鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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―先程、仕事上がりに御堂を久しぶりに自宅に招いた際…部屋に入った瞬間
濃密な匂いが室内中に満ちていた
それは脳を蕩かせて、痺れさせるような甘く官能的な代物で…
元々、下心があって恋人を招いた男の欲望を…押さえ込んでいた獣じみた
衝動を解き放たれてしまい…悲劇は起こった。
自分の会社があるビルの屋上に移動すると同時に、スーツの内側に
移しておいた愛用のタバコの箱を取り出して、一本口に咥えながら火を
灯していく。
すぐに先端から紫煙を燻らせながら、克哉は…手すりに身体を預けて…
自分の気持ちを鎮めようと試みていた。
だが、あれ程の事をしでかしたというのに…身体の奥には未だに欲望の
炎が宿って、気を抜けば暴れだしてしまいそうだ…。
(何なんだ…これ、は…!)
御堂を何回も、この衝動のままに犯し…何度も彼の中に熱い精を注ぎ込んで
やっと自分は正気に戻れたのだ。
それは自らの意思で檻に繋いでおいた己の獣性が、放たれてしまった事による
悲惨な結末。
もう二度と、御堂を怯えさせたくなくて…この一年、自分のこの暗黒面を押さえ込み
続けていたというのに…だ。
「くそ…っ!」
歯噛みしながら、手すりの向こうに広がる鮮やかな夜景を睨みつけていく。
こんな心境では、せっかく…最高の展望を約束出来る場所に身を置いても…
その美しさを感じ取る事も出来なくなってしまう。
自分の心が荒んで、刺々しくなっているのを感じて…何度も舌打ちしていった。
(…御堂、すまない…)
心の中で…愛しい恋人に向かって謝罪の言葉を浮かべたその時―
背後から、聞き慣れた声がした。
「…こんばんは~。お久しぶりですね…佐伯克哉さん…」
歌うように軽やかに、こちらに語りかけてくるその独特の口調。
最後に声を聞いてから…すでに二年近くが経過しているが、これだけインパクトが
強い人物の事は容易には忘れられない。
怪訝そうに眉を潜めながら後ろを振り向いていくと…其処には予想通り、長い金髪を
風に靡かせながら、黒衣に身を包んだ…妖しい男が佇んでいた。
Mr.R。今、ここにいる眼鏡を掛けた佐伯克哉を解放した謎の男。
この男が冴えなかった頃の自分に例の眼鏡を手渡さなければ…恐らく、現在ここに
いる克哉も存在していなかっただろう。
それくらい…深く関わりながらも、こちらは何一つこの男の事を知らないでいる。
そんな奇妙な間柄の、存在だった。
「…お前か。何の用だ…? 俺は正直言って、今は機嫌が良くない。ベラベラと
お前が何かを語りだしても、相手にしてやる余裕はないぞ…?」
「ほう? それは妙ですね…。貴方は先程、とても魅惑的な一時を味わっていた筈
ですけれどね…。久しぶりに己を解き放つ快感は、悪くなかったと思われますが…」
「…っ!」
Mr.Rの言葉が指しているのは…先程の陵辱の時間の事だと悟った克哉は、
見る見る内に表情を険しくしていく。
だが…男は、涼しい顔を浮かべたまま…そんな彼を陶酔的な眼差しをしながら
見つめ返していた。
「あぁ…例の香りはお気に召しましたか? 当店特製の…私自らが様々な貴重な
香料を材料に調合した物なんですけどね…。貴方様がこの一年、押し殺していた
本性を解き放つのに…大変お役に立ったでしょう!」
「貴様! お前が…あの香りを用意したのか…っ?」
さっきまで、あの香りに嫌疑を掛けていた処だったので…克哉は激昂して…
憤怒の表情をしながら男の胸倉に掴みかかっていく。
互いの吐息が感じられるぐらい至近距離で睨み合うが…男の余裕たっぷりな
態度は未だに崩れる気配がなかった。
それが余計に…克哉を苛立たせていった。
「えぇ…お役に立ったでしょう…? 本来…貴方様はもっと輝くべき存在なのに
愛とか恋という儚く脆い代物に躍らされて…曇ってしまわれたのですから。
あの香りは…そんな貴方の本来の光を取り戻すための研磨剤程度の代物。
…久しぶりに己の本性のままに振舞われて…貴方は、とても充実した時間を
過ごされたのではないのですか…?」
「黙れ! それ以上…ふざけた事を言えば…こちらとて、ただで済まさないぞ…!」
克哉の色素の薄い目が、はっきりとした怒りの感情を讃えて爛々と輝き始めた。
その様子を見て…男はうっとりしたようにその瞳を見つめ返していく。
「ふざけた事など、こちらは申しておりませんよ…事実です。佐伯様…。
あぁ、でも貴方の大切な方は…そんな貴方の本性に対しては否定的に
なってしまっているんですよね。それでは…大変、苦しまれる事でしょう。
ですから…貴方をお助けする意味で…今夜は持参品を用意しました。
お気に召して頂けると…幸いですね」
「持参品、だと…?」
克哉が怪訝そうな表情を浮かべながら…男を見遣っていくと…Mr.Rは
心底愉快そうな笑みを浮かべて頷いていく。
「えぇ…必ず、貴方は気に入ると…こちらは確信しておりますからね。
一度は…当店で、貴方も愉しまれた素材ですから…」
「お前は、何を…?」
そう、克哉が呟くと同時に…足音が…コツ、と小さく響いていった。
屋上の入り口の方に視線を向けていくと…一つの人影が、其処に立っていた。
最初は辺りが暗くて…顔まで判別出来なかったが、闇に目が慣れていくと…
ようやく、その人物が誰かが判り…克哉は、アっと息を呑んでいく。
自分の中から久しく気配を消していた存在。
かつて…この身体を、自分が解放されるまで使用していた者。
そしてこちらが主導権を握ったその時から…とっくの昔に消えていたと
思い込んでいた―
「…どうして、『オレ』が…ここにいるんだ…っ?」
もう、こいつは自分に呑み込まれていない筈だった。
だが現実にもう一つの肉体を持って、其処に存在している。
最初はどこか虚ろな眼差しを浮かべていた…自分とまったく同じ顔の造作をしている
存在は、ゆっくりとこちらに視線を向けて…。
「…さあ、何でだろうね?」
意味深に微笑みながら、悪戯っぽく答えていく。
克哉は…呆然と立ち尽くしながら、もう一人の自分と対峙していった―
濃密な匂いが室内中に満ちていた
それは脳を蕩かせて、痺れさせるような甘く官能的な代物で…
元々、下心があって恋人を招いた男の欲望を…押さえ込んでいた獣じみた
衝動を解き放たれてしまい…悲劇は起こった。
自分の会社があるビルの屋上に移動すると同時に、スーツの内側に
移しておいた愛用のタバコの箱を取り出して、一本口に咥えながら火を
灯していく。
すぐに先端から紫煙を燻らせながら、克哉は…手すりに身体を預けて…
自分の気持ちを鎮めようと試みていた。
だが、あれ程の事をしでかしたというのに…身体の奥には未だに欲望の
炎が宿って、気を抜けば暴れだしてしまいそうだ…。
(何なんだ…これ、は…!)
御堂を何回も、この衝動のままに犯し…何度も彼の中に熱い精を注ぎ込んで
やっと自分は正気に戻れたのだ。
それは自らの意思で檻に繋いでおいた己の獣性が、放たれてしまった事による
悲惨な結末。
もう二度と、御堂を怯えさせたくなくて…この一年、自分のこの暗黒面を押さえ込み
続けていたというのに…だ。
「くそ…っ!」
歯噛みしながら、手すりの向こうに広がる鮮やかな夜景を睨みつけていく。
こんな心境では、せっかく…最高の展望を約束出来る場所に身を置いても…
その美しさを感じ取る事も出来なくなってしまう。
自分の心が荒んで、刺々しくなっているのを感じて…何度も舌打ちしていった。
(…御堂、すまない…)
心の中で…愛しい恋人に向かって謝罪の言葉を浮かべたその時―
背後から、聞き慣れた声がした。
「…こんばんは~。お久しぶりですね…佐伯克哉さん…」
歌うように軽やかに、こちらに語りかけてくるその独特の口調。
最後に声を聞いてから…すでに二年近くが経過しているが、これだけインパクトが
強い人物の事は容易には忘れられない。
怪訝そうに眉を潜めながら後ろを振り向いていくと…其処には予想通り、長い金髪を
風に靡かせながら、黒衣に身を包んだ…妖しい男が佇んでいた。
Mr.R。今、ここにいる眼鏡を掛けた佐伯克哉を解放した謎の男。
この男が冴えなかった頃の自分に例の眼鏡を手渡さなければ…恐らく、現在ここに
いる克哉も存在していなかっただろう。
それくらい…深く関わりながらも、こちらは何一つこの男の事を知らないでいる。
そんな奇妙な間柄の、存在だった。
「…お前か。何の用だ…? 俺は正直言って、今は機嫌が良くない。ベラベラと
お前が何かを語りだしても、相手にしてやる余裕はないぞ…?」
「ほう? それは妙ですね…。貴方は先程、とても魅惑的な一時を味わっていた筈
ですけれどね…。久しぶりに己を解き放つ快感は、悪くなかったと思われますが…」
「…っ!」
Mr.Rの言葉が指しているのは…先程の陵辱の時間の事だと悟った克哉は、
見る見る内に表情を険しくしていく。
だが…男は、涼しい顔を浮かべたまま…そんな彼を陶酔的な眼差しをしながら
見つめ返していた。
「あぁ…例の香りはお気に召しましたか? 当店特製の…私自らが様々な貴重な
香料を材料に調合した物なんですけどね…。貴方様がこの一年、押し殺していた
本性を解き放つのに…大変お役に立ったでしょう!」
「貴様! お前が…あの香りを用意したのか…っ?」
さっきまで、あの香りに嫌疑を掛けていた処だったので…克哉は激昂して…
憤怒の表情をしながら男の胸倉に掴みかかっていく。
互いの吐息が感じられるぐらい至近距離で睨み合うが…男の余裕たっぷりな
態度は未だに崩れる気配がなかった。
それが余計に…克哉を苛立たせていった。
「えぇ…お役に立ったでしょう…? 本来…貴方様はもっと輝くべき存在なのに
愛とか恋という儚く脆い代物に躍らされて…曇ってしまわれたのですから。
あの香りは…そんな貴方の本来の光を取り戻すための研磨剤程度の代物。
…久しぶりに己の本性のままに振舞われて…貴方は、とても充実した時間を
過ごされたのではないのですか…?」
「黙れ! それ以上…ふざけた事を言えば…こちらとて、ただで済まさないぞ…!」
克哉の色素の薄い目が、はっきりとした怒りの感情を讃えて爛々と輝き始めた。
その様子を見て…男はうっとりしたようにその瞳を見つめ返していく。
「ふざけた事など、こちらは申しておりませんよ…事実です。佐伯様…。
あぁ、でも貴方の大切な方は…そんな貴方の本性に対しては否定的に
なってしまっているんですよね。それでは…大変、苦しまれる事でしょう。
ですから…貴方をお助けする意味で…今夜は持参品を用意しました。
お気に召して頂けると…幸いですね」
「持参品、だと…?」
克哉が怪訝そうな表情を浮かべながら…男を見遣っていくと…Mr.Rは
心底愉快そうな笑みを浮かべて頷いていく。
「えぇ…必ず、貴方は気に入ると…こちらは確信しておりますからね。
一度は…当店で、貴方も愉しまれた素材ですから…」
「お前は、何を…?」
そう、克哉が呟くと同時に…足音が…コツ、と小さく響いていった。
屋上の入り口の方に視線を向けていくと…一つの人影が、其処に立っていた。
最初は辺りが暗くて…顔まで判別出来なかったが、闇に目が慣れていくと…
ようやく、その人物が誰かが判り…克哉は、アっと息を呑んでいく。
自分の中から久しく気配を消していた存在。
かつて…この身体を、自分が解放されるまで使用していた者。
そしてこちらが主導権を握ったその時から…とっくの昔に消えていたと
思い込んでいた―
「…どうして、『オレ』が…ここにいるんだ…っ?」
もう、こいつは自分に呑み込まれていない筈だった。
だが現実にもう一つの肉体を持って、其処に存在している。
最初はどこか虚ろな眼差しを浮かべていた…自分とまったく同じ顔の造作をしている
存在は、ゆっくりとこちらに視線を向けて…。
「…さあ、何でだろうね?」
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克哉は…呆然と立ち尽くしながら、もう一人の自分と対峙していった―
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HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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