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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  2009度のクリスマス小説。(年跨ぐかも知れませんが…)
  克克ものです。ちょっとダークなサンタクロースの逸話を
  軸に使っているので宜しくです。
  コミカルだけどちょっとヒヤっとする記述がある雰囲気の
話に仕上げる予定~。

  白と黒のサンタ   

 ―克哉が通話ボタンを押すと、其処からは予想もつかなかった
声が聞こえてきた。

『こんばんは~! 一日早いですがメリークリスマス! ですね…。
お久しぶりです、お元気でしたか?』

「…っ? Mr.R! ど、どうして…?」

『おやおやせっかく久しぶりに再会したというのに実につれない返事ですね。
私はこうして貴方に出会えて、心から嬉しいというのに…』
 
 克哉がこうしてMr.Rと電話で会話するのは初めての経験だったが、
こういう形でも相手の芝居がかった口調や内容は一切変わらなかったのに
驚きだった。

(どうしてこの人…こんなにも存在のすべtが胡散臭いんだろう…?)

 心の底から思って、そう突っ込みたかったが話の流れを根本から
崩すような気がして、辛うじてその言葉を飲み込んでいった。

「…それで、オレに一体何の用ですか…?」

『明日はクリスマスですからね。…せっかくこうして貴方と再会出来た
お祝いに本日はささやかなサプライズをお部屋に用意させて頂きました。
 何も通知しないでおいたら…貴方が警察なんて無粋なものに連絡をして
私が立てたお膳立てを全てダメにされてしまう可能性があると思ったので
こうして伝えさせて貰いました…』

「…サプライズ…?」

『えぇ、必ず貴方に驚いて貰える事は確信しています…』

 自信たっぷりに相手がそう口にしたのを聞いて…申し訳ないが克哉は
猛烈な不安を感じていった。

(Mr.Rからのサプライズ…ううっ、一体どんなとんでもない物を
今度は用意してくるっていうんだよ…!)

 克哉はそんな心の叫びを、ギリギリの処で飲み込んでいった。
 限りなく不安だ。
 嬉しさよりもそっちの方が先立つのが本音だったが、それでも周りの
人間の空気や機微を読み取る性格の克哉にとっては、やはり正直に
口に出すことは出来なかった。

「…一体、何を用意したんですか…?」

『おや…それを予め貴方に教えてしまったらサプライズになりませんでしょう?
心配しなくても貴方に危害を加えるようなものは用意していないとだけ伝えて
おきましょう…。それだけでも少しは違いますでしょう…?』

「えぇ…まあ…」

 克哉は曖昧に頷いて、言葉を濁していった。
 相手が口を開けば開くだけ黒いインクの染みのようなものが克哉の
心の中に広がっていったのだが、それを声には出さないように努めた。

「さあ…私との長話はこれくらいにして、そろそろ…ご自分の部屋へと
向かって下さい。貴方が私からの贈り物に満足することを祈って
いますよ…」

「あ、ちょっと待って下さい! もう一つだけ聞かせて…あっ!」

 克哉がふと浮かんだ疑問を相手に問いただそうとした矢先には
通話は唐突に途切れていった。
 克哉はその場で呆然となるが…すぐに気を取り直していった。

「あぁ…一方的に掛けて語り捲くって、こちらから質問をしようとした
途端に切るんだもんな…。電話の仕方まで神出鬼没でなくって良いじゃないか…。
さて、どうしようかな…」

 克哉は半ば途方に暮れながらも…どうにか気を取り直して改めて
自分の部屋を見ていった。
 もしかして自分の部屋から見えた先程の人影はMr.Rで…
部屋からこちらの携帯に掛けて来たのだろうか?
 泥棒とかが勝手に入られたら大変だが、あの男性の場合は本当に
何でもない顔をしてこっちの部屋に入ってくるぐらいの芸当は朝飯前に
こなしてしまう印象がある。

「…部屋にいるのはMr.Rなのか…? それなら、警察に通報しないで
部屋に上がっても…平気、かな…・?」

 自信なさげに克哉は呟いていくが…その瞬間、冷たい夜風が住宅街を
勢い良く吹き抜けていったので猛烈な寒さを覚えていく。

「寒っ…! ううっ、いつまでも悩んでいても仕方ない…! こんな処で
迷い続けて風邪を引くのも何かバカらしいし…! そろそろ行こう!」

 今の冷たい風を受けて、ようやく克哉は決心していった。
 そうして恐る恐るながら自分の部屋の方に向かって足を進めていった。
 階段を使用して自分の部屋があるフロアまで辿り着くと、自然と克哉の
顔も強張っていく。

「ううっ…一体何が用意されているんだろ…」

 部屋の鍵をカバンから取り出しながら、克哉は不安そうに呟いていく。
 だが、ここにいつまでも突っ立っていても身体が冷えるだけだ。
 キュッと唇を噛み締めて、決心して…克哉は鍵を使って開錠して
ドアノブに手を掛けていった。
 カチャリ、と小さな音が耳に届いていく。

「よし、行こう!」

 そうして克哉はゆっくりと自分の部屋の扉を開いて、慎重な足取りでリビングの
方へと向かっていったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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