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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 2009度のクリスマス小説。
  克克ものです。ちょっとサンタクロースの逸話を
  ネタに使っているので宜しくです。
  微妙にヒヤっとする描写もあったりしますのでそれを
 了承の上でお読み下さい。コミカル、ギャグ要素も有。

  白と黒のサンタ             
 
 秋紀に抱きつかれた瞬間、克哉は心の底から困り果てていた。
 だが、背後にもう一人の自分が立っていることを思い出すと、このまま
相手に投げる訳にはいかないと思った。

(どうしよう…! けど、このまま逃げ出したら、『俺』とこの子のラブシーンや
エッチシーンを見る羽目になるかも知れなくて…うわっ! 何かそれちょっと
嫌だよな…)

 克哉が頭の中でパニックになりかけている間も秋紀はグイグイとこちらの
腕の中にしがみついてくる。
 その力の込めっぷりから、どれだけこの少年がもう一人の自分と再会を
したいと思っていたのか伝わって来て胸が締め付けられるようだった。

「克哉さん、克哉さん…克哉さん!」

 小さな声ながら、眠りの世界に半ば意識が引きずられている状態ながら
秋紀は必死にこちらの名前を呼んでくる。
 それがいじらしいと思うと同時に、やはりちょっとチリリと焼け焦げるような
感情を呼び覚ましていって。

(御免ね…目の前に『俺』がいるのに…邪魔しちゃって。けど、オレも…
どっかで会いたいと思っていたから…)

 せめて好きなように相手に抱きつかせてあげよう、となどと情け心を
出してしまった。
 その瞬間、克哉は少年から思いっきり首元にしがみつかれて…唇を
奪われてしまった。

「っ!」

「ん…ふっ…」

 少年はつたないながら必死にこちらの口腔に舌を絡めて来て、
克哉の方は混乱しながらも…抵抗する気力を失い、成すがままになっていく。
 久しぶりの官能的な感覚を味わって、背筋にゾクゾクしたものが
這い上がって来そうだった。
 それに流されそうになった時、背後からヒヤリとした声が聞こえてきた。
 
「…お前達、俺を放っておいて…随分と愉しそうな事をしているじゃないか…?
どうせなら俺も混ぜてくれないか…?」

「ん、んんんん~!」

 その声で正気に戻って、克哉は慌てて秋紀を引き剥がしていった。
 このままではこの少年もろとも、自分も眼鏡の毒牙に掛かるかも知れないと
思ったら自己防衛本能で、全力で濃厚な口付けから逃れていた。
 もう一人の自分に抱かれるのが嫌な訳ではないが、この少年と一緒に
可愛がられるのだけは何だか気持ち的に嫌だった。

(…どうせなら、二人きりの状態で抱かれたい…。他の奴と一緒っていうのは
ちょっと…って、何を考えているんだ~!)

 自分の本心をうっかり省みてしまって、克哉は顔を真っ赤にしていく。
 気分は一人百面相である。
 克哉が勝手に浮き沈みを繰り返している間に…もう一人の自分の指先は
秋紀の方に伸ばされていき。

「寂しい想いをさせたな…秋紀。その代わり俺が今夜は存分に可愛がって
やるぞ…目一杯悦べ…」

「だ、ダメだ…一方的にそんな事…!」

「何を言う? コイツの心はこんなにも俺を一途に求めているんだぞ…?
サンタクロースとして願いを叶えてやるのが筋ってものだろうが…? なあ…?」

「ダメったら、ダメだー!」

 克哉は必死になって叫んでいく。
 だが、肝心の秋紀はどうしているかというと…。

「克哉さんとキッス…幸せ……スウッ……」

 と言って、こっちと気が済むまで強く抱きついてキスをたっぷりしたことで
満足したらしく、まさに天使の寝顔といった風で安らかに眠りについていた。
 眼鏡が必死になって揺さぶっても、全然起きる気配はない。
 幸せそうな寝息を立てて、ぐっすりと眠りこけていた。

「ねえ…『俺』…一言、良いかな……」

「何だ、言ってみろ…」

 克哉がおずおずと手を挙げていきながら口を開いていくと相手は
不機嫌そうに応えていく。
 それに一瞬怯みそうになったが、それでも負けじと言葉を続けていった。

「もしかしてMr.Rの薬が強すぎたんじゃないかな…? それにこの子、
さっきのキスだけでもう満足してこんなに幸せそうだよ…?」

「チッ…認めたくないが、そうみたいだな…」

「なら起こさないで、このまま寝かしてあげた方が良くないかな…?
幸せな眠りを妨げるのは良くないと思うよ…」

「…そう、だな。寝ている相手をどうこうしても反応がイマイチであまり
愉しくないからな…」

「それ以前に、人の寝込みを襲うっていうのは充分犯罪レベルだろ!
そういうのを強姦っていうんだぞ! 少しはモラルを考えろ~!」

 克哉が思いっきり叫んで突っ込んでも相手は何処吹く風である。
 …そうだ、こういう男だった。
 どうして自分はこんな男にうっかりと心惹かれつつあるのか非常に
疑問に思いつつ…克哉はガックリと肩を落としていった。

(こ、このぐらいでメゲていたらこいつとはこれ以上付き合えない…
頑張るんだ、オレ…)

 こっそりと自分を励ましつつ、克哉は気を取り直していった。

「ほら、『俺』…この子をベッドに上げる手伝いをしてよ…」

「…ああ、判ったよ。仕方ないな…」

 そうして二人で協力して、優しく相手をベッドの上へと引き上げて横たえていった。
 秋紀は相変わらず、幸せそうに微笑みながら眠り続けている。
 見ているだけで妙に和んで癒されそうな顔だった。

(赤ちゃんみたいな感じだな…。こういう顔をして寝ているとこの子はまだ…
子供なんだなっていうのが良く判るな…)

 好きな相手に会って、抱きしめられてキスされる。
 たったそれだけの事でも、この少年にとってはとても幸せなことだったのだろう。
 セックスだけで満たされる訳ではない。
 求めている方の佐伯克哉じゃなくて悪かったなという想いがあるが…
それでも追い求めていた相手に会えたという事実だけがこの少年を
満たしたのだろう。
 本当にそれは…幸福な寝顔だったのだ。

「おやすみ…どうか、良い夢を…」

 せめて祈りながら克哉は同じ相手に片思いをしている少年に…
穏やかな声で告げていった。
 もう一人の自分も、それにチャチャを入れたり邪魔したりはしなかった。

「…さあ、次のプレゼントを配りに行くぞ。まだ四人ほど残っているからな…。
さっさと行くぞ…」

「えぇ! そんなに配る相手がいるの! すっごく大変そうじゃない?」

「ごたくは良い…。とりあえず最後まで今夜は付き合ってもらうぞ。今やった事の
埋め合わせはお前自身に取ってもらうことに決めた。さあ行くぞ…」

「えっ…?」

 その一言に克哉はドキン、と胸が高鳴った。
 深く捉えると、それは…もしかしてと思ったからだ。
 だが克哉が迷っていると相手から少し怒気を含んだ声で促していった。

「ほら、さっさと行くぞ…」

 そういって立ち去る間際、不機嫌そうな黒いサンタは…袋から
一つのプレゼント箱を置いていき、そして二人で秋紀の家を立ち去って
いったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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