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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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オムニバス作品集(CPランダム。テーマは「メッセージ」で共通しています」

※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
 暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
 通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
 期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
 この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。

 本多×克哉?  ガムガムメッセージ  1(完)
 眼鏡×秋紀    愛妻弁当                 4(完)
 太一×克哉    二人の記念日                   4(完)
  本多×松浦    光に託して       

 台所から良く冷えたミネラルウォーターのペットボトルを二本持って
戻ってくると、本多はいそいそと部屋の片隅の方に向かっていった。
 其れを何気なく松浦が見つめていると、すぐにとんでもない光景に
出くわしていく。

「なっ…! 何だそれは!」

「ん?お前の為に買ってきた土産の候補だぞ。良ければまず好きな物を
一つ選んでくれよ」

「…どう見てもそれは土産というよりも、俺の目からすればガラクタの山にしか
見えないんだが…」

「うわっ! 宏明マジでひでぇな! せっかく俺がお前の為に選んできた
土産の品々をそう言うのかよ! ほら、この中から選んでくれよ!」

 そうしてドサッと大きな音を立てて、両手いっぱいに抱えていた様々な
品を机の上に広げていった。

(やはりどう見ても俺にはこれがガラクタにしか見えん…。こいつはこんな
くだらない物を渡す為にわざわざ人を呼び付けたのか…?)

 机の上に並んでいる物をざっと羅列していけば、城の模型に色んな文字や
絵柄が描かれているペナント。あからさまに怪しいキーホルダーに
木刀や木彫りの熊など、一体こいつは何処に出張に行って来たのか
判別出来ない、旅行から帰って貰ってもゴミにしかならない品の
典型ばかりが並べられていた。
 確かに今夜、予定が入っていた訳ではない。
 しかし何年振りかに自宅に来たというのに、こんなくだらない事で
呼び付けられたと思うと無性に腹が立ってくる。
 その感情が表に出てしまったのだろう。
 実に冷ややかな眼差しを浮かべていきながらそれらの品を
眺めていくと…その視線の先で本多が相変わらずニコニコと
朗らかに微笑んでいた。

(ええい、今はこいつの笑顔すら疎ましい…! この男はいつだってそうだ。
こんな風に笑って何もかも勢いでなあなあに毎回していくんだ…!)

 本多は性格的には実直で熱く、どちらかと言えば善人の方に分類される。
 だが同時に職場内でMr.KYとあだ名がつけられるぐらい人の心の機微や
空気を読む事が出来ない男だった。
 一体どんな用事でこちらを誘いを掛けたのか、と心の何処かで期待した
部分があったからこそ…あまりのくだらなさにムカついてしまい。
 同時に、冷静な部分で…一体どのような期待をこの男に抱いて
いたのだろうか疑問に思い始めていく。

(どうしてこんなに俺はイラついているんだ…? こいつがこういう奴だって
いうのは大学時代から変わらないだろうに。嗚呼、そうだ…大学でバレーを
していた時だって実家に帰省すると微妙な品ばかりを土産に持ってきていて…
皆から冷やかしを受けていた。全く変わっていないだろうに…)

 なのに、心の中は大きくざわめいて…モヤモヤとし始めていく。
 其れは必死になって「お前ともう一度やり直したいんだ! 俺と一緒に
どうかバレーをやってくれ!」と必死に頼み込まれてなし崩し的に
交流を復活させられた日から胸の中にざわついていた想い。
 その底にある物を直視したくなくて、自分の本音から逃れようと
していく。
 だが…目の前に本多がいるだけで、其れが叶わなくなっていった。

「なあ…もしかして、俺が選んだ土産物…気に入らなかったか?」

「…気に入る訳ないだろう。どうしてお前は昔から土産物を選ぶセンスが
ここまで壊滅的に悪いんだ? かつてのメンバーだって、お前が実家に帰省
する度に持ってくる土産物の類にブーブー言っていただろうに。
お前には人の意見を参考にして改善していくという学習能力が一切ないのか?
百歩譲って饅頭の類とかだったら其処まで外れは少ないし、無難に食べる事も
出来るが…こんな置物やペナントは、あくまで現地に行った人間にとっては
思い出の品になるが…実際に行っていない人間には思い入れが全く持てないし
貰っても困るだけだ! お前はそんな事も判らないのか!」

 しかし松浦の本音とは裏腹に、そんな憎まれ口と文句ばかりが
スラスラと淀みなく唇から零れていった。
 だが本多はそれを聞いて、やっと何か得心が行ったかのように
手をポンと叩いて目を瞠っていた。

「そうか、そうだったのか! 今まで何で人にペナントやキーホルダーの類を
贈っても喜ばれないのかずっと疑問でしょうがなかったけど…。そっか、
行ったことがある俺にとっては記念の品でも、行ってない奴からすれば
思い入れがないせいで…意味がなくなるって訳か。ずっと気付かなかったぜ…」

「…本当に、気づいていなかったのか…」

 まあ、こういう部分こそ本多らしさが出ていると言ってしまえばそれまでだが…
これらのやりとりをしているだけで松浦は一気に疲れ果ててしまっていた。

(本当に…あまりに変わっていなさすぎて涙が出てくる。どうして俺は…
こいつに全幅の信頼を抱いて、セッターをかつてやっていられたんだろう…)

 あの頃のような本多に対しての強い憧憬や、尊敬の念は…心から憎悪を
抱いた時期が長かったせいで、一度裏切られたおかげで完全に消えて
しまっている。
 だからこそ今は…本多という男を、酷く冷静な目で見れる自分がいた。
 頼りがいがある、何でも出来る強い男であると…あの頃、一緒にバレーをやっていた
仲間も自分もそう信じ込んでいた。
 だからこそ、あの八百長試合の一件を本多が独断で断って…自分たちの
将来が何の相談もなく閉ざされてしまった事が許せなかった。
 けど、今は違う。…こいつにも弱い処や、情けない処、多くの欠点や
そういう部分があるのだと判って来たのだ。 
 松浦の一言にガックリと肩を落としている姿は大きなクマが項垂れて
落ち込んでいるみたいで見てて愛嬌すら感じられた。
 何となくその時、自分はこうなって初めて…かつて主将を務めていた
同級生を等身大で見れるようになったのだと気づいていく。

「ううううっ…あんまり苛めるなよ。俺なりにこれでも…お前が喜んでくれそうな
ものを必死になって選んだんだからさ…」

「お前が幾らそのつもりでも、実際に成果が出なかったら無意味だと
思うんだが。お前の用事がこのくだらない土産物を渡す為だけだったと
いうのなら…俺はもう帰るぞ。貴重な時間をこれ以上無駄な事で
過ごしたくない」

 ピシャリ、と言い放ってペットボトルの冷たい水を一気に飲みきり…
その場を後にしようとした。
 だが、其れを阻むように本多は弾かれたようにその場から立ち上がり…
必死になって食らいついていく。

「待てよ宏明! 本題はこれからだ! 俺はもう一つ…お前にどうしても
伝えたい事があったから呼んだんだ! まだ…帰るなよ!」

「なっ…?」

 本多の表情が一瞬で、情けない顔から真剣なものに変わっていく。
 その変化に、とっさに視線が釘付けになり…言葉に詰まっていった。

「帰るなよ、宏明…!」

 そう叫んだ瞬間、パチンという音が聞こえていって…部屋の照明が
落とされていく。

「うわっ…!」

 そして、本多がこちらに近づいてくる気配を感じていく。
 どうして部屋の照明が落とされたのか…その意図が判らず、松浦が
困惑していくと…本多の足音が、一歩一歩…こちらに近づいてくるのを
確かに感じ取っていったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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