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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
 暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
 通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
 期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
 この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。

 本多×克哉?  ガムガムメッセージ  1(完)
 眼鏡×秋紀    愛妻弁当                 4(完)
 太一×克哉    二人の記念日                   4(完)
  本多×松浦    光に託して              


―それくらいの事は覚えておけ。今年からお前がキャプテンに
なるんだから…いざって時に部員に何かあった時の為に
それくらいの知識は覚えておいた方が良いだろう…

 それは、本多が大学のバレー部のキャプテンに収まった年の
夏合宿の準備をしていた時の他愛無いやりとりだった。

―うっへ~覚えておいた方が良いのかよこれ。結構な量あるぞ…

―まあ、備えあれば憂いなし。一応俺は覚えておいたぞ…。
この部内にはお前みたいに向う見ずで単細胞な奴が多いからな。
覚えておけば、向こうから救助信号が出されてもすぐに対応出来る。
滅多にない事でも、こういう知識は覚えておくかいないかで生存率は
変わるからな。一応、応急手当の方法も消防署に行って覚えて来たし…

―宏明、お前凄いな。さりげに尊敬するぜ…。俺には無理だ…

―何を甘ったれた事を。お前が主将なんだから、部員に何かあった時に
対応出来るように備えておくのが筋だろうが…。それくらいの事を
覚えてばっちりだぜ、と言えるぐらいの根性と責任ぐらい見せてみろ…

 其れは呆れ口調に、モールス信号の表を渡して覚えてみろと一応
薦めてみた時の事だった。
 けど、松浦は本多の反応を見て…恐らく無理だと反応して、あまり期待は
していなかった。
 そして…意識の底に封じて、忘れてしまった他愛無いやりとりだった。

『ありがとう』

 光を託して、伝えられた言葉。
 其れは…大学時代の、口ではきつい事を言いながらも…心から本多に
全幅の信頼を寄せていた時の思い出の一つ。
 其れに気づいた瞬間、目の前の男が照れくさそうに笑っていた。

「…良くお前、覚えていたな…。俺は正直、忘れていたぞ…」

「あぁ、俺も半分忘れかけていた。けどさ…何かジブリの新作が今年発表
されたから、テレビとかで…崖の上のポニョが放映されたりしたろ?
何となく見ていたらさ、こう…光のやり取りで遠くからパチパチとメッセージを
託し合う場面あって…格好良いなって思ってさ。それで…興味持ってちょっと
調べてみたらああ、昔お前に万が一の為に覚えろって言われた表は
これだったんだって知ったんだ。当時は覚えるの面倒でスル―しちまったけどな」

「…やっぱり、スル―していたのか。まあ…判っていた事だがな」

 本多の言葉を聞いて、当時感じていた事は当たっていたのだと判った。
 大学時代だったら少しは傷ついていたかも知れないが、今はあまり
本多に期待していないので当然のことのように受け止められていた。

「…けど、船であぁやっている場面見て…妙に心が騒いだっていうかよ。
そう思ったから…こうやってお前とまた友達づきあいをするようになって
結構たつけどさ。きつい言葉を言われた事も何度もあったけど…こうして
大学時代の仲間だったお前が戻って来てくれて…本当に許してくれて、
嬉しかったんだ…。だから、伝えたいと思って今夜…呼んだんだぜ…」

「本多…」

 目の前の男が不器用に笑ったのを見た瞬間…ジワリ、と何かが
胸の奥からこみ上げて来た。

「…俺は、絶対に嫌だと思ったからあの八百長試合を断った。
それで将来を閉ざしてしまった。きっと俺は何回、あの場面に遭遇しても…
絶対に受けることはなかっただろうけど…。それでも、宏明も他のみんなも
俺にとっては大事な奴だった…。そいつらの恨みを買って、
一生許せないと言われたの…マジで辛かったからさ。だからこそ…
お前だけでも戻って来てくれた事に、感謝しているんだ。
本当に…ありがとう…」

「…お前、もしかして…泣いて、いるのか…?」

「えっ…マジ? 俺、泣いているのかよ!」

 本多は真剣になって話している間に、気づけば感情が高ぶって
知らずに涙を零していた。
 其れは何年も胸に秘めて、彼の心の澱になっていたものだった。
 松浦は其れを見た瞬間…本多にも弱い処があるのだと、当時は強くて
何でも出来ると思い込んでいた男もまた悩み…苦しむ事だって
あったのだという当たり前のことに思い至った。

「…お前が、そんなふうに思っているなんて…知らなかった。
全く、困った奴だな…」

 デカい図体をした男が、自分の事を…かつての仲間たちを想って
泣いている姿を見た瞬間…妙に、憎めない気持ちになっていった。
 庇護欲に近いものが松浦の心に浮かんでいった。
 そして…男としてのプライドにこだわる気持ちも何となく判るので…
本当にごく自然に、本多を抱きしめて…顔を見ないようにしてやった。

「宏明…?」

 松浦のこの行動に、本多は大いに驚いていく。
 その瞬間…彼はとても優しい顔をして呟いた。

「…信頼しているアタッカーが泣いている事があったら…肩を貸して
やるぐらい…セッターとして当然だろう…?」

「わりぃ…ありがとう。今はその言葉に甘えるわ…」

 そうして、顔は見えなかったが…本多は何度かそうして肩を
震わせていった。
 その様子を見た時…本多が光に託して、こちらに気持ちを必死になって
伝えようとしたり…今も仲間を想っているのだというのが本当の気持ちで
ある事を理解していった。

(全く…本当に困った奴だ…。あれだけ憎くて仕方なかった奴を…今は
憎む事すら出来なくなってしまっている…)

 そう心の中で自分にも本多にも呆れていったが、悪い気持ちではなかった。
 そうして…一言、伝えてやる。
 友人として、少しでも目の前の男の気持ちを楽にしてやる一言を…。

「いつか、他の皆とも笑えあえる日が来るさ…。きっと、一番憎んでいた
だろう俺がこうして…お前の傍に戻ってきたんだからな…」

「うっわ! お前がそれ言うと…説得力ありすぎるわ。けどな、マジで…
ありがとう。宏明…」

「…いいさ。俺も心のどこかでは…お前とこうしてまた笑い合える
関係に戻りたいと望んでいたんだろうからな…」

「…そっか…」

 そうして二人は笑っていく。
 顔は見えない状態のまま…暖かい時間がそっと流れていく。

「…困った奴だ…」

 そう笑いながら呟いた時、相手を抱きしめた状態のまま…優しく、クシャと
本多の髪を撫ぜていってやって…穏やかに松浦は微笑んでいったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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