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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  部屋に一人取り残されていた御堂は、暫くは呆然としていた。
  だが十分程過ぎた頃辺りから、ゆっくりと身体を動かし始めていく。
  今の自分の状態は余りに悲惨過ぎて、こんなに露骨に『犯された痕跡』を
肉体に残しておく事を許せなかったからだ。

「…うっ…くっ…」

 無理な体制を取らされた状態で犯されたものだから…身体を動かす度に全身の
筋肉が悲鳴を上げていた。
 特に股関節から内股周辺に掛けての筋肉が引き連れるようだ。
 それでも床を這いつくばるように進みながら、どうにか…風呂場まで進んでいく。
 精液とシャツで汚れたシャツをどうにか脱ぎ捨て…浴室に身体を運んでいくと
シャワーのコックに手を掛けて、適温になるまで待ってからその湯を全身に
掛けていった。

「ん…くっ…!」

 シャワーの湯が、アチコチに出来た擦り傷に沁みて痛みを感じたが…暫く
すればそんなに気にならなくなった。
 暖かい湯が、少しだけ…今の御堂の荒んだ心を解していってくれる。

(何故なんだ…どうして、今になって…あんな、事を…したんだ。佐伯…)

 肌にへばり付いていた…彼と自分の残滓を全て洗い流していくと、切ない表情を
浮かべながら壁に手を突いて項垂れていった。
 室内に、ただ…シャワーの落ちる水音だけが響いていく。
 ハウスキーパーを入れて定期的に掃除をしてもらっている浴槽は、入居して一年が
経過した今でも、壁も床も綺麗に整えられている。
 それを何気なく眺めながら…心の中は、克哉の事だけで埋め尽くされていた。

 湯が全てを洗い流すにしたがって、御堂の身体に染み込んでいた妙に甘ったるいような
匂いも落とされていく。
 それが鼻に突かなくなるに従って、さっきまで麻痺していた思考が復活するようだった。

「…ふっ…ぅ…」

 気づけば、目元から悔し涙が浮かんだ。
 胸が酷く軋んで、痛み続けていた。
 それでやっと…どれだけ再会してから一年の間に、佐伯克哉という男を信頼して重きを
置いていたのか…それを裏切られた事にショックを受けているのかを自覚した。

(あんな…風に…私の意志などお構いなしに、好きなように犯して…。もう二度と、
私の意志に反することはしないと…再会した時に、お前は言ってくれた筈なのに…!)

 そう、今夜の克哉は乱暴なプレイや…抱き方をしたというレベルではない。
 明らかにアレは、陵辱としか言えない行為だった。
 確かに再会してから何度か肌を重ねた際、彼の嗜虐性を時々感じる事があって
ヒヤリ…とする事は何度もあった。
 だが、こちらが怯えた態度を見せると…彼はそれ以上行動にする事はしなかったし
御堂が一言、「嫌だ」とはっきりと伝えれば強要する事もなかった。
 しかし…今夜は違っていた。
 
 幾ら御堂が声が嗄れるくらいに泣き叫ぼうと、訴えても…克哉は瞳に獰猛な
光を宿して、傲然とした態度のまま…自分を貫き続けた。
 両手を拘束されて、足を強引に押し広げられて…タオルを猿ぐつわの状態で
口に噛まされて…強烈なまでの快感を一方的に与えられた。
 愛情も何も感じられない、欲望だけを満たすだけのセックスだと…抱かれている
最中に強く感じた。
 だからこそ…御堂は、許せないと感じていた。

「克哉…どう、して…」

 一人、呟き続けても答えが返って来る事は決してない。
 膝が笑って、その場に何度も崩れ落ちそうになっていたが…どうにか身体に
力を込めて、倒れそうな身体を支えていった。
 肌から汚れや汗が全て洗い流されると…今度は克哉の欲望が留まったままに
なっている蕾に手を掛けていく。
 …ここを自分で掻き出すのは、未だに慣れず…どうしようもない羞恥を伴ったが
後処理をしないでいるともっと酷い事になる。
 そう割り切って、指を推し進めていく。

「くっ…あっ…!」

 無理矢理貫かれた其処は切れてしまっていて、指を押し込めるだけで鋭い痛みが
全身を走り抜けていった。
 泣きそうになりながら…指をどうにか押し進めて、赤い血液が混じった大量の白濁を
掻き出して…シャワーの湯に乗って、排水溝へと流し込んでいった。
 自分の鮮血を見て、先程の行為の惨たらしさを再確認していく。

「克、哉…」

 苦しげに御堂が名を呟く。
 だが、返事が戻ってくる事はない。
 自分がさっき、出て行けと言って彼はその通りにしただけなのだから…こちらが
恨み言を言う権利など、ない。
 それでも、目の前に今…彼がいるのなら、叫んで訴えたかった。
 何故、あんなに…こちらの意思を無視するような振る舞いを今更になって…
したのか。それでどれだけ、自分が辛かったかを…。

「…今の、私は…みっとも、ないな…」

 自嘲しながら、呟いていく。
 同時に…少しずつ頭の芯が冷めていくようだった。
 感情のままに行動をして、衝動に身を委ねるなど…自分はやりたくない。
 今までだって、ビジネスの場でも学生時代でも…己の感情を剥き出しにして
行動するような人種は軽蔑してきた。
 そんな人間と…同じ振る舞いをするなど、御堂のプライドが許さなかったのだ。
 だから胸の中に宿った強い怒りの感情を…理性を全て総動員して押さえ込んだ。

 先程の惨たらしい行為の名残を、消せる範囲で消し終えた後…シャワーの湯を
止めて、大きなバスタオルに手を伸ばしていく。
 壁に背中を凭れさせながら、どうにか懸命に水滴を拭っていくと…今度は克哉の
寝室まで、膝を突きながら戻って…適当に下着類や衣類を見繕って、それに
袖を通していった。
 こういう時だけは、自分と彼の体格がほぼ同じである事は有難かった。

 自分がさっきまで着ていたスーツや衣類は全て無残に引き千切られたか、もしくは
行為の最中に体液に塗れてグチャグチャになってしまったので…とても着られる
ような状態ではなかったからだ。
 相変わらず腰から下は力が入らなかったが…それでも、清潔な衣類を身に纏えば
少しは身も心もシャキッとなるような気がした。
 それから自分の携帯に手を伸ばして…愛用しているタクシー会社に連絡していった。 
 何度目かのコールの後に繋がっていくと、係の人間にまず名乗っていき…それから
ここの番地を伝えていく。
 向こうがその住所を復唱していくと…こちらも何度も頷いていきながら相槌を打ち
肯定していった。

「あぁ…その目印で大丈夫だ。今から15分後ぐらいには手配して指定の場所に
向かわせられるならば、それで。それでは宜しくお願いする」

 そう答える彼はいつもの、毅然とした態度に戻っていた。
 身体の方は相変わらず悲鳴を上げていたが…そんな姿を人前に晒すことなど
真っ平だという想いが…彼の身体を支えていた。
 胸に様々な暗い想いや、煩悶は存在していた。
 だが…今は、一旦この部屋を後にする事で…振り切っておく事にした。
 どれだけ無体な振る舞いをされたとしても…自分と克哉は今は、共同経営者という
立場であり…今では多くの部下がいるのだ。
 感情を表に出して、露骨に彼と反発してもしょうがない。…仕事場では。
 
 明日も、午後からはアポを取っている会社があるのだ。
 自分がやるべき事は…山積みだ。
 個人的な感情で、仕事を休んだり…支障を出す訳には…いかないのだ。

(午前中を半休にすれば…一社ぐらいならば、どうにか持つだろう…)

 だから、早く自分の部屋に戻って休みたかった。
 本当ならば、この下に勤めている会社があるのだから…移動しないで、
この部屋に休むのが一番良いと判っていても、今は…どうしてもここにこれ以上
居たくなかった。
 感情的な振る舞いをして、出社拒否などしないように。
 この荒れ狂う感情をどうにか午後までに宥めて、自分が成すべき責任を
果たせるように体制を整える為に…。
 彼は身支度をどうにか整えて、克哉の部屋を後にしていく。

 その背中には…強い意志と、無体な振る舞いをした己の恋人への強い不信感と
拒絶が…色濃く、残されていたのだった―
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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