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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  タクシーの窓の外には鮮やかなネオンの輝きが広がっていた。
 それは宝石箱をひっくり返したかのような、様々な光が同時に
瞬いて、彩を成していた。
 御堂に手を繋がれたまま、息を詰めて…目的地に着くまでの
時間を過ごしていく。

 そしてようやくタクシーが目的地に辿り着くと、御堂は手早く会計を
済ませて克哉の手を引いていった。
 そしてホテルの玄関の前に辿り着くと…そっと克哉の方を向き直りながら
声を掛けて来た。

「今から鍵を取って来る。ここで待っていろ…」

「はい…」

 耳まで真っ赤に染めながら、克哉は頷いていく。
 だが正直、気が気ではなかった。
 あの剣幕からしたら、本多がこの後に追いかけてくるのではないか…と
いう懸念が消えなかったからだ。
  だが、男二人でフロント係の前で連れ立って宿泊すると言いに行くのも
正直、気まずいものがあった。
 これが同性でも、単なる友人同士であるならそんな風に克哉も意識を
する事はない。
 だが、御堂とは以前にこのホテルで何度も身体を重ねている。
 おかげでその間、フロントの人間に予約確認をして…御堂が鍵を
受け取りにいっている間、非常に気恥ずかしい思いをする羽目になった。

(…どうか、すぐに本多が追いかけて来ませんように…)

 御堂とホテルを利用した事は数あれど、今までここまで戦々恐々して
待っていた事などなかった。
 久しぶりにこの人と会えたのだ…せめて、この夜だけは邪魔を
されたくない。
 そんな事を強く願いながら、暫く黙って待っていく。
 雨は、まだ静かに降り注いでいた。

(最近…雨が多いな…)

 どうしても、雨が降る度にあの日の記憶が蘇っていく。 
 あの人の顔が見たくて、突き動かされるようにマンションの前に
行ってしまった日。
 そしてそれが…当面の御堂との決別の日になってしまった。
 …こうして、無事に再会出来たのに…まだどこかで現実感がなくて。
 これが夢でないか、疑いたくなる心が残っていた。

―お願いだから、これ以上…邪魔しないでくれ…!

 今、目の前にいるこの人をもっと確かなものに感じたい。
 これが…自分の都合の良い夢でないのだと、確認したい。
 実感したい。
 そして…この人と、触れ合いたい。

(浅ましいな…オレは…)

 自重しながら、冷たい雨をジっと見つめていく。
 雨を見る度、思い知らされる。
 …あの時、御堂を待っていた自分は心の中で泣いていた事を。
 あれだけ強い感情を、衝動を…今まで克哉は他人に対して抱いた経験など
なかった。
 御堂が、初めてなのだ。
 これ程までに強い感情を他者に抱いたのも…欲しいと、会いたいと
ただひたすらに願った相手は…!

 その瞬間、雨の向こうに大きな人影が見えた。
 一瞬…本多が懲りずに追いかけて来たのかと強張った瞬間…背後から
声を掛けられて更にぎょっとなっていった。

「ひゃっ…!」

「…何て声を出している。手続きは終わった。行くぞ…」

「あっ…はい…」

 一瞬、言葉に詰まった。
 振り返った御堂の瞳の奥に…かつてのような獰猛な光を見て、
ゴクン、と息を呑んでいった。
 この瞳には、見覚えがある。
 熱く…鋭く、こちらの全てを暴かんとばかりの鮮烈な眼差し。

(嗚呼…この目だ…)

 御堂の、こちらの全てを暴くような凶暴な眼差しに…気づいたら克哉の
心は灼かれてしまったのだろうか。
 ただ、見られている。
 それだけでゾクゾクと…期待しているような、興奮しているような気持ちが
ない交ぜになった悪寒が背筋に走り抜けていく。

「行くぞ…」

 そうして、やや乱暴に克哉の腕を掴んでいきながら…真っ直ぐに御堂は
エレベーターへと乗り込んでいく。
 以前もそうだったが、御堂が指定していた部屋はいつも高層階に位置
していた。
 そんな事をふと思い出すと同時に…強引に誘導されて、早足で…
彼がリザーブした部屋へと連れていかれた。
 手早い動作で、カードキーを通して開錠していくと…克哉を強い力で
引き寄せていって、一緒にその扉を潜っていく。

「っ…!」

 そして、扉が閉まると同時に…強く、強く引き寄せられていく。
 息が詰まってしまうぐらい、力の篭った抱擁。
 それは苦しくもあったけれど…同時に克哉の心の中に、強い
喜びを齎していって。

「御堂、さん…」

 熱っぽく、心からの愛しさを込めて御堂の名を呟いてその背中に
しがみついていく。
 久しぶりに触れる御堂の体温に、鼓動に…身体中が堪らなく熱く
なっていく。
 最早、条件反射になっているのではないか…と疑いたくなる
くらいに身体中のあちこちの血が沸騰していった。

(嗚呼…オレは、こんなに…貴方に触れたいと。抱かれたいと…
思い続けていたんだ…)

 ようやくその念願が叶って、克哉は今にも泣きそうな表情を浮かべた。
 切なく…苦しげな、その艶っぽい表情に気づくと…御堂もまた、強く
心を煽られていく。

 彼もまた、同じ心境だった。
 あの日、立ち尽くしていた彼の背中を見送ってしまった日から…
もう一度会いたいと願う心を押さえつける事は出来なかった。
 克哉に、会いたい。
 その想いは日々、御堂の中で強くなっていって…だから、こんな
らしくない事をしてでも、克哉とコンタクトを求めてしまった。

 その念願がようやく叶って、二人の心に激しい想いが宿っていく。
 それは…この瞬間、驚異的な速度で加速していって…いまだに
止まる気配はなかった。

「さ、えき…」

 御堂もまた、甘い声音でこちらの名を囁き…そして、こちらの
唇を強引に塞いでいったのだった―

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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