鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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…一方その頃、本多はどうにかしてワインバーの会計を
終えると夜の街を走り続けていた。
(一体あの二人はどこにいるんだ…!?)
幾ら12月の寒い時期だからといっても、これだけ分厚いコートと
帽子を被った状態で全力で走り続けていたせいで、本多は汗だくに
なっていた。
もうじきクリスマスが近いせいか、彼が今走っている周辺は
綺麗で鮮やかなにイルミネーションが施されている歩道のせいで
大勢のカップルが歩き回っている。
そんな中で、銭形刑事のコスプレをやっているような格好を
しているような自分がどれだけ浮き上がっている事か…。
(か、考えては駄目だな…!)
と、出来るだけ前向きに考えるようにしているにも関わらず
この格好は必要以上に人目を引いてしまうらしい。
痛いぐらいの視線が突き刺さっている。
ついでに、多くのカップルにクスクスと笑われてしまっていて
非常に心が痛かった。
(俺だってこんな格好、好きでしているんじゃねえよ…!)
心の中で盛大に叫んだが、その彼の雄叫びが周囲の人間に
伝わる事はなかった。
(これというのも…変装に最適ですよ、とかいう言葉に
躍らされて反射的に買ってしまったからだよな…)
ついさっき、キクチ・マーケーティングからワインバーに行く
道のりの途中…克哉を尾行していた時の事だ。
終業後の克哉は、こちらを警戒していたみたいだったので
本多もまた先手を打って…克哉の前から姿を隠し続けていたのだ。
克哉が本多の行動パターンを読めるように、長い付き合いである
彼もまた…克哉のやりそうなことは予想がつくのである。
そして彼にしては頑張りながら、目立たないように後を着けていた
最中…あのワインバーがあった駅に降り立った直後の事だった。
通りかかった大きなデパートの前の、ワゴンの中で…クリスマス
パーティー用の様々な小道具が売っている場所があった。
そして男が、道行く人に懸命に声を掛けていきながら
販促に勤しんでいたのだ。
「らっしゃいらっしゃい~! これなんかどうですか~! パーティーを
盛り上げるのに最適! ルパン三世と銭形刑事のコスプレセットだ~!
大きめに作られているのでXLサイズは大柄な男性も平気だよ~!
普段と違う貴方になれる、変装用品としても最適! さあ買った買った~!」
と大声で叫んでいる最中に…うっかり、本多は男と目が合ってしまった。
その瞬間…変装に良いかも、とチラっと考えてしまっていたのが
良くなかったのだろう。
非常にその店員は勢いがあって、こちらに迷いがある事を看破すると
押して押して押し捲った。
そしてようやく購入の段階に入ると…結構な値段がして、財布の中身が
すっからかんに近くなってしまったぐらいだった。
…そんな経緯で購入した変装道具、活用しなければ浮かばれないと思い
ヤケクソで着てみたいのだが…何か笑い者になっているだけで
到底有効に使われているとは言い難い気がした。
「これじゃあ俺…完全にピエロじゃねえか…!」
御堂と克哉が、どうして二人きりで会っていたのか理由は
判らない。
けれど本多は、御堂と関わってからの克哉の様子はずっと
おかしいものである事は気づいていた。
その事情は彼には判らないままだ。
一時は顔も青白く、今にも倒れそうな時期もあったぐらいだ。
最初から御堂に対して良い感情を抱いていなかったというのも
あったが…本多にとってそれ以上に克哉が大事だった。
特に、大学時代から会社まで一緒だった相手は彼一人だけで
あるというのも大きい。
だが、それ以上に本多は克哉という存在に一目置いているし…
友人として好意を抱いているというのも大きな理由だった。
(何で、俺には何も話してくれないんだよ…。あんなに辛そうに
している時だって…!)
彼らがタクシーに乗っていってしまった処は目撃している。
すでに見失ってしまっている以上、後を追うのはかなり
厳しい状況だった。
大きめの黒い折り畳み傘を片手に持ちながら、それでも手掛かりを
得られないかと本多は必死になって探していく。
(せめて理由だけでも聞かせてくれなきゃ…割り切れねえよ!
どれだけ俺がお前を心配し続けていたと…)
フラフラと歩いている内に、イルミネーションがある地点をとっくに
通り過ぎて、暗い歩道に辿り着いていた。
華やかなネオンに彩られている内は、12月の寒さも…暗闇のどこか
怖い部分も意識しないで済んでいた。
だが人気がなくなり、車の存在もまばらになっていくと…そこいらの
暗がりの向こうから何かが飛び出して来そうな異様さはあった。
(人がいなきゃ…不気味な所も出てくるもんだよな…)
この、鈍色の夜空と…雨が、そのおどろおどろしさを一層強調
しているかも知れなかった。
…諦めて、戻ろうかと思ったその瞬間、本多はいきなり…黒衣の
男に声を掛けられた。
―真相を知りたくないですか?
いきなり、そんな風に歌うように言われてびっくりした。
そちらの方向に振り向いていくと…漆黒のコートと衣類に身を包んだ
金髪の男が立っていた。
今の本多の格好の怪しさも何だが、この男もそれに負けていない
雰囲気を醸していた。
「…あんた、一体誰だよ…?」
何となく、どこかで見た事があるような記憶があった。
だが、はっきりとは思い出せない。
本多が怪訝そうな顔をして問いかけていくと…・。
―ふふ、聞こえていなかったみたいですね。本多憲二様…貴方は
ご友人の佐伯克哉様の隠された部分を知りたくないですか…?
いきなり、名指しで自分と克哉の名前を呼ばれて、心臓が
鷲づかみにされたかのように驚いていく。
本多が驚きの余りに、その場に硬直していると…。
―真実を知りたいのならば、どうかお付き合い下さい。
貴方に知りたいことの断片ならば…見せて差し上げますよ?
こちらが硬直して、何も言い返せずに見守っている中…
黒衣の男はどこまでも妖艶に微笑んで、その悪魔の囁きのような
甘美な誘惑の言葉を口にしていったのだった―
終えると夜の街を走り続けていた。
(一体あの二人はどこにいるんだ…!?)
幾ら12月の寒い時期だからといっても、これだけ分厚いコートと
帽子を被った状態で全力で走り続けていたせいで、本多は汗だくに
なっていた。
もうじきクリスマスが近いせいか、彼が今走っている周辺は
綺麗で鮮やかなにイルミネーションが施されている歩道のせいで
大勢のカップルが歩き回っている。
そんな中で、銭形刑事のコスプレをやっているような格好を
しているような自分がどれだけ浮き上がっている事か…。
(か、考えては駄目だな…!)
と、出来るだけ前向きに考えるようにしているにも関わらず
この格好は必要以上に人目を引いてしまうらしい。
痛いぐらいの視線が突き刺さっている。
ついでに、多くのカップルにクスクスと笑われてしまっていて
非常に心が痛かった。
(俺だってこんな格好、好きでしているんじゃねえよ…!)
心の中で盛大に叫んだが、その彼の雄叫びが周囲の人間に
伝わる事はなかった。
(これというのも…変装に最適ですよ、とかいう言葉に
躍らされて反射的に買ってしまったからだよな…)
ついさっき、キクチ・マーケーティングからワインバーに行く
道のりの途中…克哉を尾行していた時の事だ。
終業後の克哉は、こちらを警戒していたみたいだったので
本多もまた先手を打って…克哉の前から姿を隠し続けていたのだ。
克哉が本多の行動パターンを読めるように、長い付き合いである
彼もまた…克哉のやりそうなことは予想がつくのである。
そして彼にしては頑張りながら、目立たないように後を着けていた
最中…あのワインバーがあった駅に降り立った直後の事だった。
通りかかった大きなデパートの前の、ワゴンの中で…クリスマス
パーティー用の様々な小道具が売っている場所があった。
そして男が、道行く人に懸命に声を掛けていきながら
販促に勤しんでいたのだ。
「らっしゃいらっしゃい~! これなんかどうですか~! パーティーを
盛り上げるのに最適! ルパン三世と銭形刑事のコスプレセットだ~!
大きめに作られているのでXLサイズは大柄な男性も平気だよ~!
普段と違う貴方になれる、変装用品としても最適! さあ買った買った~!」
と大声で叫んでいる最中に…うっかり、本多は男と目が合ってしまった。
その瞬間…変装に良いかも、とチラっと考えてしまっていたのが
良くなかったのだろう。
非常にその店員は勢いがあって、こちらに迷いがある事を看破すると
押して押して押し捲った。
そしてようやく購入の段階に入ると…結構な値段がして、財布の中身が
すっからかんに近くなってしまったぐらいだった。
…そんな経緯で購入した変装道具、活用しなければ浮かばれないと思い
ヤケクソで着てみたいのだが…何か笑い者になっているだけで
到底有効に使われているとは言い難い気がした。
「これじゃあ俺…完全にピエロじゃねえか…!」
御堂と克哉が、どうして二人きりで会っていたのか理由は
判らない。
けれど本多は、御堂と関わってからの克哉の様子はずっと
おかしいものである事は気づいていた。
その事情は彼には判らないままだ。
一時は顔も青白く、今にも倒れそうな時期もあったぐらいだ。
最初から御堂に対して良い感情を抱いていなかったというのも
あったが…本多にとってそれ以上に克哉が大事だった。
特に、大学時代から会社まで一緒だった相手は彼一人だけで
あるというのも大きい。
だが、それ以上に本多は克哉という存在に一目置いているし…
友人として好意を抱いているというのも大きな理由だった。
(何で、俺には何も話してくれないんだよ…。あんなに辛そうに
している時だって…!)
彼らがタクシーに乗っていってしまった処は目撃している。
すでに見失ってしまっている以上、後を追うのはかなり
厳しい状況だった。
大きめの黒い折り畳み傘を片手に持ちながら、それでも手掛かりを
得られないかと本多は必死になって探していく。
(せめて理由だけでも聞かせてくれなきゃ…割り切れねえよ!
どれだけ俺がお前を心配し続けていたと…)
フラフラと歩いている内に、イルミネーションがある地点をとっくに
通り過ぎて、暗い歩道に辿り着いていた。
華やかなネオンに彩られている内は、12月の寒さも…暗闇のどこか
怖い部分も意識しないで済んでいた。
だが人気がなくなり、車の存在もまばらになっていくと…そこいらの
暗がりの向こうから何かが飛び出して来そうな異様さはあった。
(人がいなきゃ…不気味な所も出てくるもんだよな…)
この、鈍色の夜空と…雨が、そのおどろおどろしさを一層強調
しているかも知れなかった。
…諦めて、戻ろうかと思ったその瞬間、本多はいきなり…黒衣の
男に声を掛けられた。
―真相を知りたくないですか?
いきなり、そんな風に歌うように言われてびっくりした。
そちらの方向に振り向いていくと…漆黒のコートと衣類に身を包んだ
金髪の男が立っていた。
今の本多の格好の怪しさも何だが、この男もそれに負けていない
雰囲気を醸していた。
「…あんた、一体誰だよ…?」
何となく、どこかで見た事があるような記憶があった。
だが、はっきりとは思い出せない。
本多が怪訝そうな顔をして問いかけていくと…・。
―ふふ、聞こえていなかったみたいですね。本多憲二様…貴方は
ご友人の佐伯克哉様の隠された部分を知りたくないですか…?
いきなり、名指しで自分と克哉の名前を呼ばれて、心臓が
鷲づかみにされたかのように驚いていく。
本多が驚きの余りに、その場に硬直していると…。
―真実を知りたいのならば、どうかお付き合い下さい。
貴方に知りたいことの断片ならば…見せて差し上げますよ?
こちらが硬直して、何も言い返せずに見守っている中…
黒衣の男はどこまでも妖艶に微笑んで、その悪魔の囁きのような
甘美な誘惑の言葉を口にしていったのだった―
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HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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