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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※ 今回は途中、かなり間が開いてしまったので過去のログのリンクも
話のトップに繋げる形で読み返しがしやすいようにしておきますね。

 バーニングクリスマス!                    10 
 
 お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
 これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)
 そしてバーニング11…めっちゃ難産でした。ここは絶対に疎かにしちゃいけない
場面なんですが、沢山の人間が集中しているので誰の視点で書くのかメチャクチャ
悩みまして…ここ数日で3パターンぐらい、変えて書いていました…(汗)
 朝までには上げたかったですが、一回書き直ししたので無理でした(苦笑)
 という訳で18日分にしておきます。
 やっと納得いくものが出来たのでアップします。お待たせしてすみませんでした~。

 ―12月に入って、寒さは本格的になり…街中のディスプレイもクリスマスシーズン
真っ盛りを迎えていた。
 その日、大食い大会の出場者の写真撮影をするという事で…何故か克哉も
準備会の人間に呼び出されてしまい、本多と一緒に社内で一番大きな
会議室に足を向けたら、とんでもない話を向けられてしまった。

「…やっぱりオレも参加しなきゃならないんですか…」

 本多に最初に話を盛りかけてきた若い社員が、こちらに対してあまりに
必死に頼み込んでくるので、克哉は深い溜息交じりにそう呟いた。

「…は、はい。何かお二人が推薦した五十嵐さんが参加する事になったのと、
予想外に魅力的な景品を上層部が用意して下さることになって…当初よりも
参加人数が増えた為に、三人一組形式になってしまったんですよ…。
 それで現時点の社内での参加者が16人になっておりまして…6チームを
作るには人数が足りない状況なんですよ。
 すでに片桐さんにオファーを掛けて、参加して頂けることになったので
出来れば八課チームとして…本多さんと片桐さん、そして佐伯さんの三人で
出て頂ければ非常にこちらとしては助かるんですが…」

 目の前で、大食い大会の準備係となってしまった男性が必死になって
頭を下げてくる。だが、克哉はあまり本多と違って大食いという訳では
ないし…やはり、衆人環視に晒されながらというのは非常に躊躇いがあった。

「け、けど…オレはそんなに大食いって訳ではないし…」

「最初に話を持ちかけた時点で、そんな事は判っていますって。けど…
チーム戦にすれば、本多さんという強力な方がいらっしゃるから勝てる
見込みはあると思いますし…優勝者には、一人辺り3万円のギフト券が
贈られるそうですから…悪い話じゃないと思います。
 それに五十嵐さんもそうですが、幾ら大食い大会と言っても…まさに
適役みたいな感じの方ばかりが揃うよりも…華となる人間が混じってくれた
方がバラエティに富んでいて盛り上がると思いますから!」

 そうして、目の前の男性は…克哉に向かって、力説しながら話していく。
 向こうの方で本多が、太一に本日も色々とチョッカイを出されて
ムガーとか、うおお~! と叫んでいる光景がチラリと目に入ったが
今は克哉はスルーをして…暫く考え込んでいった。

(どうしたら良いんだろう…大食い大会なんて、オレは出たってきっと
盛り下げてしまうだけだろうし…けど、この人の真剣な気持ちは汲んで
あげたいしな…)

 克哉は、正直悩んでいた。
 自分のように…本多のように身体が大きくて大食漢でもなければ、
太一のように場を盛り上げる能力もない人間が出たって、却って
盛り下げてしまうだけのような気がしたからだ。
 チラリ…と参加している人間の顔ぶれを眺めていく。

 管理職らしい壮年の頭髪の薄いでっぷりした体系の男性から
可愛らしく華やかで、とりあえず豪華景品に釣られて申し込んで
みたという感じの二十前後の女性。
 中肉中背で大人しそうだが周囲の人間に推薦されてこの場にやって
来たらしい若い男性。
 そして…大食いに自信があるから、自ら意気揚々とやってきた
二十代後半の身体の大きな眼鏡を掛けた女性から…見ている限り
沢山の人間が、様々な動機と思いを掲げてこの場にいる。
 しかし確かに…自分と太一を除いて、「美形」というカテゴリーの
条件を満たす人間はいないのは確かだった。

「…上原さん。本当に…オレが参加して良いんでしょうか…。オレは
大食漢という訳でも、場を盛り上げることも上手く出来ないでしょうし…。
むしろ場を盛り下げてしまうかも知れないんですけど…本当にそれで
良いんでしょうか…?」

 克哉はどこか自信なさげに問いかけていく。
 皆がワイワイと騒ぎながら、景品を貰ったらどうしようとか…絶対に
自分達が勝つぞ! と他チームの人間が意気込んでいるのを見ると
どうしても…こちらとの温度差みたいなのを感じてしまって、逆に自分みたい
なのが出るのが申し訳なくなってしまう。
 だが上原は力いっぱい答えた。

「はあ、凄い人の筈なのに…案外気弱な人だったんですね。佐伯さんって…
それじゃ率直に俺の意見を言わせて貰いますけど…今のキクチ社内においては
佐伯さんと本多さんは、例のバイヤーズの契約を取得してきた凄い人と
いうので注目されていて。他の課の人間からしたら、噂の人間を見る機会も
接する機会もない。
 今現在の佐伯さんは、ただ立ってそこにいるだけでも…十分に場を盛り上げる
力がある人なんですよ。ですから俺もそれを見込んでずっと貴方に声を掛けて
いるんです。もう少し…自分が華となる魅力がある人だという事を自覚
して下さいよ! そうじゃなきゃ…何度も声掛けたりなんてしませんから!」

 目の前の男性が、必死になって声を掛けている姿に克哉は胸を打たれた。
 どんな形でも、こうやって人に求められるというのは嬉しいものなのだ。
 自分が大食い大会になんてミスマッチ以外の何物でもない。
 でも、彼の言うとおり…今の自分は出るだけで場を本当に盛り上げられる存在
だと見てくれているのなら、協力したいと素直に思えた。

(上原さん…必死そうだな。それなら…協力してあげた方が良いな。
本当にオレなんかが出て…少しでも助けになるのか、判らないけど…)

 そうやって、何かを決意したような表情を克哉が浮かべた瞬間…向こうで
本多をおちょくり続けていた太一が、何かを察したらしい。
 とりあえず本多を一旦、ドウドウと言いながら暴走を止めている姿が
目に入った。…本当に気づけば賑やかな関係になってしまっていた。
 上原の今の言葉が、そう遠くない距離にいる太一と本多にも耳に
届いたのだろう。
 二人とも、じゃれあいというかケンカを止めて…真剣な目で克哉を
見据えながら伝えていく。

「克哉さん、出なよ! 本多さんを打ち負かす=克哉さんのチームの
敗北になっちゃうのは俺も少し残念だけど、その代わり…俺の雄姿を
一緒の壇上に上って、近いところで見てもらえるし! そんなにその人が
出て欲しいって言っているなら、出なきゃ男が廃るよ?」

「おう! 俺もお前が一緒のチームに入ってくれるならば…心強いからな!
こいつを打ち負かす姿を、是非間近で見守っていてくれよ!」

「太一…本多…ありが、とう…」

 二人が必死の様子で、一緒に出ることを求めてくれているのが判って
克哉はつい、嬉しくなった。
 どうしても気が乗らなくて、本多に押し付ける形で逃げようとした。
 だが話は気づけば予想外に大きなものとなり、一つの巨大な渦となって
沢山の人を巻き込み始めていた。

「上原さん、オレ…出ます。不束者ですがどうか宜しくお願いします」

「はい、こちらこそ! 宜しくお願いします佐伯さん!」

 しかしその一言を聞いた本多と太一は、瞬間同じ事を思った。

―克哉(さん)、それは嫁に行く時の常套句でこういう時に使うもんじゃない!

 その事を心中で突っ込んだ瞬間、本多と太一は…お互いの目を
見合わせていった。
 二人が顔を合わせたのは、久しぶりのことだった。
 克哉が上原とやり取りをしている間に二人の写真撮影とチーム名を
決定する打ち合わせ、そして簡単なチームプロフィールの作成の作業は
終わってて両者がこの場でやらなくてはいけない作業は全て済んでいる。
 チームの写真は各人一人ずつ、何パターンか色んな角度や
表情で撮影をして、後でポスターを作製する人間がその中で最良と
思われる一枚を使用し、盛り上げるように加工するという流れになっている。

―後、残されているのは…目の前に相手に向かってどうしても言って
おかなければならない…譲れない事だけだった。

 克哉の参加が決定したので、改めて克哉は上原や…他の準備会の
メンバーと打ち合わせを始めていった。
 その表情が、納得した上のものであるのを見届けた二人は…ほっとしたと
同時に、恋のライバルでもある目の前の存在に向き合っていく。

「ねえ、本多さん…ちょっと外に出ない。二人で…改めて話したいことが
あるから、さ。良い…?」

 そう告げた太一の表情は、強気で悪戯っぽいものだった。
 だが目の奥に譲れない、という意思をくっきりと宿している。
 それを見て…本多も固唾を呑んで頷いていく。

「あぁ、良いぜ。ちょっとここから出よう…」

「そうこなくっちゃ!」

 本多が了承すると同時に、太一は元気一杯にそう答えていく。
 そうして二人の姿は克哉の知らない内に…この沢山の人間の思惑が
渦巻く場から、そっと消えていったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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