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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)


「おはようございます!」

 営業八課の扉を、克哉は勢い良く開けながら部屋の中に飛び込んでいった。
 タイムカードを押せば、就業時間の二分前を指していた。
 すでに始業時間ギリギリの時間帯の為に、自分以外の人間は全て揃っていてこれから
ミーティングが始まろうとしていた。

(うわ…やっぱり、今日は…ギリギリだったからな。昨晩、飲み会に出てもみんなは
ちゃんと来ているのに…何か申し訳、ないな…)

「珍しいな。克哉がこんなギリギリなんて…二日酔いか?」

 真っ先に声を掛けてきたのは…自分と同期に入社した本多憲二だ。
 彼とは同じ大学の上に、途中まで同じ部活に在籍していた事もあって…ここ数年では
もっとも親しいと言える間柄の人間だ。
 昨日の飲み会では、彼も結構な量を飲んでいた筈なのに、いつもと同じ元気溌剌そうに
笑っている。その姿が今は、心底羨ましかった。

(…本多は今朝も元気そうだな。オレもその元気…分けて貰いたいな…はぁ…)

 それに比べて、今朝の自分は…昨日から異常事態のオンパレードで、すでに
ペースなど乱され巻くって足元すら覚束ない状況になっていた。
 公園で飲んでいたら、変な人物に遭遇して、自分と同じ顔した奴に指令を下されて変な植物と
戦わされ…気づいたら仲間も出来てて、猫が人間になって隣で寝ていて…。
 思い出しただけで、朝から思いっきりウツになりそうな事態ばかりである。
 ズモモモモモ…と重い空気を背負いながらも、どうにか克哉は本多に笑顔を浮かべていった。
 限りない、やせ我慢であった訳だが…。

「えっ…まあ、うん…ちょっと…」

 限りなく歯切れが悪い言い方になってしまったが、そういう事にしておく。
 二日酔いなら、テンションが低かったり暗そうにしていても恐らく深く詮索はされない
だろう。その計算の元で、曖昧に微笑んで煙に巻いていった。

「大丈夫ですか? 若いからと言って、飲みすぎは身体に悪いですよ?」

 ふいに、自分の上司である片桐が間に割り込んでくる。
 営業第八課の課長…総括を勤めている片桐稔は、克哉と本多の直属の上司に
当たる存在である。
 温厚で人当たりが良い性格で、仕事を効率よくこなしたりする器用さこそないが
真面目な仕事ぶりと、誠実さだけは折り紙つきの人物である。

「あ、片桐課長。おはようございます」

「はい、佐伯君…おはよう」

「課長! もっとこいつにビシっと言ってやって下さいよ。始業五分前には出社
するのが基本だ! って感じで…」

「別に良いじゃないですか。毎度の事なら僕もピシっと言わせて貰いますけど
佐伯君は普段は早めに来てくれる人ですし。今朝だって遅刻した訳じゃないんですし…」

(あぁぁ…片桐さん、本当にありがとうございます…!)

 片桐の温厚さが、今朝は妙に心に沁みていた。
 こうして本多と片桐の、いつもと変わらないやりとりを聞いていると…やっと自分の日常に
帰って来れたような気分になった。
 そうだ! 自分の日常はこれが普通なのだ。だからこそ余計に…昨日の非現実な事が
本当に起こった事なのか、不安さえ湧き上がってくる。
 あれは自分の夢に過ぎなかったのだろうか? いや…むしろそうであって貰いたいと
願う反面、自分の胸のポケットの中には…それが事実だと主張するように細いフレームの
銀縁眼鏡がしっかりと治まって、輝きを放っていた。

「さーて、仕事仕事。今日も一日、頑張ろうなっ!」

 本多が元気いっぱいに訴えかけながら、いつもの日常が訪れる。
 やっと…変わらない日常に戻って来れた。
 克哉は八課の穏やかな空気に包まれながら、ほっと一息を突いていく。

 だが運命はある日、突然に変革して…回り始めるもの。
 それは本人の意思と関係なく、動き始めた際には…必死で抗おうとも
問答無用で…自分の取り巻く環境全てが変わっていくものなのだ。
 
 オフィスで、通常業務に就きながら…その報告書を完成させて、片桐に
渡している時に、本多が凄い形相で飛び込んでくる。

「おいっ! みんな聞いてくれ! チャンスだっ!」

 こんなに弾んでいる本多の声は、ここ暫く聞いた事がなかった。
 八課の部屋に戻って来たばかりの彼の顔は…爛々と希望に輝き、眩しい
くらいだった。

「ど、どうしたんだ?」

 その剣幕に、克哉は少し押されていく。
 本多の眩しいくらいの表情が…また、自分にとっての変化を招くものだという事を
本能的に察したから、だ。

「おう! 克哉! これだよ…これっ! コレを見てくれ!」

 そして、一枚の書類を本多は皆に見せていく。
 そこには魅力的な新商品の商品説明が書かれている物だった。
 
『プロトファイバー』

 その書類には、間違いなくそう記されていた。
 本多はそれから…これを俺達が扱いたい! という正直な気持ちを皆に熱弁して
語っていった。

「これを俺達の手で売れるようにMGNに直接掛け合ってくるんだ!」

 そして最終結論はそれに落ち着いて、本多は勢い良く八課の部屋から飛び出ていく。

「本多、待てよ! そんなの…無茶、だって…!」

「無茶…じゃないかも、知れませんよ。駄目かも知れませんが…始めから諦めるよりも
行動してみるだけ、してみるのも一つの手かも…知れません」

「えっ…?」

「…こういう時、僕は何にも役に立てないですけどね。いざとなったら責任を取るくらいの
事は出来ます。本多君の後を追いましょう…」

「…片桐、さん…? どうしたんですか…?」
 
 いつも穏やかで、温厚で…悪く言えば腰が引けて押しが弱い筈の片桐が今日に限っては
ひどく積極的になっているように見えた。

「…いえ、さっき本多君が言っていたように、指を咥えてみているだけじゃ仕事は回って
来ませんから。それに僕も…このままじゃ、八課はこの会社のお荷物部署として…リストラ
対象になる、という噂ぐらいは聞いていますからね。…僕は、ここにいる皆が大好きです。
そんな評価を下されて、首を切られるなんて事態は招きたくない。だから…本多君の助けに
なりたいんです…。何も、出来ないかも知れないんですけどね…」

 そう穏やかに笑う片桐の中に、思いやりや優しさを感じて…克哉は酷く心が癒されるような
気持ちになった。

「…判りました。本多が暴走したら、それに歯止めを掛けるのも…オレ達の役目ですしね。
一緒に追いかけましょう。みんな! 迷惑掛けるけど…今日のこの後のフォローは頼みます!
 後でこの埋め合わせはするから!」

 片桐と一緒にMGNに向かう準備をする途中、ここに残る事になる他の八課のメンバーに
一声を掛けていく。
 克哉、片桐、本多の前向きな態度を快く思ってくれたらしい。皆、笑顔で応えてくれていた。

『任せておいて下さい! 後のフォローはしておきます!』 
 
 八課の唯一の紅一点の子が快く自分達を送り出してくれる事で、克哉も励まされる
気持ちになった。

「行って来ます! 行きましょう片桐さん!」

 そうして片桐の手を引きながら、本多の後を全力で追いかけていった。
 この後に、大きな変化が訪れる事を漠然と感じつつ…本多と片桐と共に、克哉は
MGN本社へと乗り込んでいったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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