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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)
 

  ―遠い昔の記憶を、克哉は夢で見ていた。

  恐らく、前世の―14歳か15歳くらいの時の夢。
  地球国の王子との…政略的な意味合いの強い婚約が決まった日の記憶だ。
  見事な細工が施された大理石の柱が立ち並ぶ白亜の宮殿の一室。
  これから引き合わされる相手が、自分を見て…どんな反応をするのか、恐くて…
不安でいっぱいでしょうがなかった。
 
 この時の自分は…肉体的に未成熟で、男性か女性かまだ判らない未分化の
状態で。女性になるなら新たな銀水晶を内包する女王として迎えられる。
 男性ならば、もう一人の血を分けた血族と同等の権利を持つ王位継承者候補
扱いになるという微妙な時期を迎えていた。

(本当に…オレと結婚する事になっても…構わないって言ってくれるのかな…
王位継承の件だって…オレなんかより、よっぽど…あの人の方が頭も良いし
頼りになりそうだし…相応しいのに…)

 今の自分の身体は、生まれつきの異常のせいで…どちらでも、ない。
 成長も同年代の人間に比べれば若干生育も悪く…12、3歳くらいにしか
見えない。
 一応女性に分化した日の為に髪は長くさせられていたけれど…最近は
薄々と気づいていた。
 自分の心が、男性寄りになってきている事を。

 白いドレスに身を包み、長い髪を両サイドでクルンと丸めて流している姿は一応
女…と見えなくもない。
 けれど、そのドレスの下には女性らしい膨らみなど一切ない。
 身体のラインも子供らしい、柔らかさを残したままで男性らしさもまったくない。
 こんな中途半端な自分を…本当に相手は望んでくれるのか。
 そんな強い不安感を覚えながら、ついに…扉が開かれた。

「お初にお目に掛かります。月の国の王女―カイヤ=セレニティ=
ムーンキングダム様。
地球国王子…ミデォール=フォン=メイディア=ガイアスです」

 現れた男の年は、自分より…7歳か8歳は上だろうか。
 紫紺の髪と瞳をした、端正な顔立ちをした人だった。

「は、始め…まして…カイヤ、です。その…宜しくお願いします…」

 あまりに堂々と自信ありげに振舞う相手の態度に圧倒されて、こちらの態度は
自然とオドオドしたものになってしまう。

「…お噂の通り、お美しい方ですね。…貴方とこうして、婚約の話が決まって
私はとても嬉しく思っていますよ」

「は、はい…オ、いや…私も…」

 完全にそれは造られた笑顔である事は、見れば判った。
 瞳の奥にあるのは…こちらへの好意でも、憧憬も、尊敬も何もなく…ただ
静かな野心と、狡猾な光だけだ。
 噂の通り、だったんだな…と人の心を読むことに長けたカイヤは少し
切なくなる。
 この地球国の王子との強引な婚約話は、野心的な第一王子が…幻の
銀水晶が齎す、長寿と永続的な若さを望んでいるから結ばれたものだという
噂がまことしやかに囁かれていたのだ。

(…誰も彼も、ただ…オレを利用しようとするだけ…何だな…)

 女として、生まれなかった。
 しかしそうなる可能性がある存在として…生まれた時から自分の立場は
微妙だった。
 明らかに自分よりも有能なもう一人の王位継承者。
 能力も人徳も余程彼の方があるのに…自分の体内に、次代の銀水晶が
宿る可能性がある。
 それだけで自分の方が最有力の王位継承者扱いされている事が苦痛だった。
 腹で馬鹿にしながら、取り入ってくる人間に沢山囲まれていた。
 こうして婚約しようとしているのに、その相手まで…宿るかも知れない
銀水晶目当てだった事に、カイヤは酷く傷ついていた。
 それでも王族として、その苦悩は顔に出さず…精一杯の笑顔を浮かべて
相手に頭を下げていく。

「私も…嬉しく、思っています…ミデォール様…」

 その言葉を聞くと同時に、目の前の男は…不敵に微笑んでいく。
 自分の手を優雅な動作で掬い取っていくと…恭しく手の甲に口付けを
落とされていった。
 一見すると、気障にしか見えない仕草でも…この整った容姿の男性が
すると酷く様になっているのに…心からカイヤは感心していた。

「貴方と正式に添い遂げられる日が来ることを…心から私は待ち望んで
いますよ…カイヤ様…」

 そう、目の前の男が冷然と微笑みながら口にするのを…胸がチクンと
痛みながら、カイヤは聞いていったのだった―

                         *

 そこまで夢で見た時、急に克哉の意識は覚醒していった。

(何だ、今の夢は…)

 愕然と、するしかなかった。
 昔から…幾つか不思議な夢を見る事はあったが、今朝見たそれは…初めて
見る場面ばかりだった。
 しかもどんな風に自分が考えていたか、どんな衣装を着ていたのかもはっきりと
覚えている。

(えっ…オレが月の国の王女、で…セレニティって呼ばれていて…で、地球国の
王子と婚約…って一体何の冗談だよ!)
 
 セレニティ、というと銀縁眼鏡をした…自分と同じ顔の奴の名称だった筈だ。
 なのにどうして、自分がそう呼ばれていて…ドレスを着ていて、恭しく手の甲に
キスまでされなきゃいけないのかがまったく判らなかった。
 目覚めたばかりではっきりしない頭で、幾つかの情報が散乱してグルグルと
回っていく。

「何で昨日の夜から…いきなりこんな非日常に叩き込まれなきゃならないんだ…
…うわぁ!!」

 目の前に広がっている現実に、克哉は驚愕の声を挙げるしかなかった。
 確か自分はあの後、もう疲れ果てていたので…あの公園の近くのホテルに
部屋を取って…こっそりと白い猫と一緒に共に布団に入った筈だ。
 それなのにどうして…自分の隣に、美少年が裸の状態で寄り添っているのか…
現状を把握するまで、かなりの時間を要していた。

「ん…んぅ…あ、おはよう。克哉さん…起きたんだ…?」

 寝ぼけ眼をしながら、謎の美少年は眠そうに瞼を擦っていく。
 透けるような真っ白い肌に、鮮やかな金髪。その澄んだ瞳は緑玉石(エメラルド)のように
輝いていて…整った風貌に良く似合っていた。
 しかし、まったく見覚えがない筈なのに…声だけは聞き覚えがあるような気がするのは
不思議でならなかった。

「き、君は一体…?」

「…やだなぁ。判らない? 僕…アキ、だよ。基本的に地球上では省エネモードの時は
猫の姿しているけど、これが…僕の本当の姿なんだけど?」

 非常に愛らしく、人懐こく笑いながら克哉の常識では考えられない事を
さも当然そうに言い放っていた。

「は?」

 自分が変身して戦う事になるだけで、理解の範疇を超えているのに更に非常識の
塊のような事態が目の前で起こっていて、一瞬克哉は思考停止状態になっていた。
 しかも自分も相手も、お互い裸である。
 ホテルの一室で、ベッドの上で裸の美少年と寄り添いながら朝を共にしている。
 おまけにその少年は、あの白い猫だったと言い張る。
 これが現実だというのなら…何て非現実的すぎるのだろうか。
 起きた早々、一気に克哉は猛烈な疲労感に襲われていた。

「…君、猫…だったよね?」

「うん。むか~し、セレニティ・眼鏡様に僕が他の男に愛想を振り撒かないようにって…
こういう身体にさせられたんだ。だからあの人の前以外では…僕は人型になれない筈
だったんだけど。やっぱり同じ人…だから、かな?」

「同じ人って…? あいつと、オレが…?」

「違うの? だって…セレニティ様は…克哉さんは来世の自分だって…僕に
説明していたよ?」

 そんな訳、ない…と言い返そうとした。
 しかし…ふと、思い出していく。そういえば…初めてセレニティ・眼鏡と対面した時に
奴はこう言ってなかったか?

『やっと繋がったか今生では初めまして、だな<オレ>』

 その一言を思い出して、克哉の顔は蒼白になっていく。

「嘘…だろ?」

「…僕が貴方に嘘ついて、何になるの? けど…うん、久しぶりに腕枕して貰えて
凄い嬉しかった。セレニティ様は…もう実体を失ってしまっている思念体だから
…話す事は出来るけど、もう温もりを分け合えないから…」

「思念、体…?」

 もう幾つ、こちらが驚くような単語が飛び出してくれば気が済むのだ。
 あの傲慢な男が前世の自分だったり、自分が月世界の王女だという夢を見たり
昨日からとんでもない事実がわんさかと大挙して押し寄せて来ていた。

「うん…セレニティ様は…殺されて、しまった。うんと遠い昔に…誰かの
手に掛かって。それでも意思の強い人だったのと…幻の銀縁眼鏡のおかげで
思念だけは残ったけれど…。その日から、つい最近まで…僕も冷凍睡眠
状態にさせられていたから…それ以上は詳しく知らないんだ…。
一つだけ確かなのは…僕は今も昔も。あの人の可愛い飼い猫だって
いう事くらいかな…?」

「そ、う…なんだ…」

 語られる、意外な事実に…克哉は知らず、震えていた。
 とても信じられる内容ではないのに…そう語るアキの顔はどこか切なくて―
嘘を言っている感じではなかった。

「だから、貴方の腕の中はとても暖かかった。うんと昔…セレニティ様が
僕を抱きしめながら一緒に寝てくれた事を思い出せて…幸せだったし」

 そうやって本当に嬉しそうに笑う姿は、どこか健気で。

(良い子…だな。それだけは確かかも知れない…)

 少しだけ相手への警戒心を解いて、肩の力を抜いていく。
 その瞬間…馴染みの携帯アラーム音が部屋中に響き渡った。

「うわっ! もうこんな時間かっ?」

 克哉は寝坊しないように、一応いつも二段階で目覚ましを掛けてある。
 一段階目はミリオンレイの定番ソングの着信音を。
 二段階目ではオーソドックスな時計のアラーム音を設定してある。
 そしてアラーム音が鳴り響いているという事は…もうギリギリの時間帯に
差し掛かっているという事だ。
 慌ててベッドから起き上がって、椅子の上に置いてあった自分の服を
身に纏い始めていく。

「…もう、行っちゃうの? 僕…まだ、もう少し寝ていたいんだけど…?」

「そ、それならもう少し君はここにいて良いからっ! けどオレは…もう
出ないと会社に間に合わないしっ!」

 慌てながら答えて、大急ぎで下着からシャツから…袖や足を通していく。
 昨晩、幾ら疲れていたからって、相手が猫だからって…気を緩ませて裸で
寝るような真似をした自分の軽率さを本気で呪いたくなった。
 …こんな美少年の前で、アワアワと服を着る様を晒す羽目になるのは
本気で恥ずかしかった。

「そうなんだ…大人って大変なんだねぇ…ふぁ…」

 そういいながら、アキは…平和そうな顔をしてポスンともう一回
ベッドの上に横たわっていく。
 間もなく限りなく穏やかな寝息が零れていった。

(もう…何が何だか、判らない…! これからどうなるんだ…オレは…!)

 半ば涙目になりながら、着替えを終えていくと…自分の荷物や所持品を
確認して…ここから会社に出勤する準備を整えていく。

「ここの代金は、オレが払っておくから。ちゃんと自分で帰っておいて!」

 そう慌ててベッドに眠るアキに告げながら、克哉は部屋を出て行った。
 …しかし、一切服を着ていない上に自宅にも招いていない状態のアキが
どうやってここから帰れば良いのだろうか?
 その事実に気づいて、自己嫌悪に陥った時には…すでにフロントで代金を
支払って、電車に乗り込んだ後だったので…どうにも連絡のつけようがなく。
 大変モヤモヤした気分のまま…克哉はキクチ・マーケティングへ出勤する事に
なったのだった―。
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プロフィール
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香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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