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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)

   片桐と一緒にMGN本社に乗り込んだ時には、すでに本多は…商品企画開発部第一室の
部長に面会を求めて、すでに会話を開始している状態だった。
 緊張した面持ちのまま、二人で…責任者に話したいと言うと…更に5分くらい待たされる。
 それからやっと本多に追いつくと…そこには凄い剣幕で、責任者に食って掛かって訴えて
いる本多と…冷淡な態度でそれを流している男の姿が視界に飛び込んできた。

「…こっちがこれだけ真剣に訴えているっていうのに…まったくあんたは聞く様子が
ないんだな! 幾ら子会社の人間だからって馬鹿にしすぎじゃないのか! あんたは!」

「そういう問題ではない。本多…君、と言ったかな? 君は聞いている限りでは正規のルートで
この商品の情報を手に入れた訳ではなさそうだからな。幾ら偉そうな事を言っていても
こんなにすぐに冷静さを欠いて、ただ真正面から自分達に営業をやらせて貰いたいと訴え
られても…到底、任せたいとは思えないとこちらは言っているだけだ…」

 かなり激昂している本多に対し、御堂の態度は極めて冷ややかなものだった。
 傍から見ていて、かなり緊迫した空気が流れているようにしか見えない。
 それに嫌な予感を覚えながら、二人の会話に割り込む形で…克哉は声を掛けていった。

「会話中、失礼します! 私はキクチ・マーケーティング営業第八課の佐伯克哉と
申します。えっと…貴方は…」

 と、言いながら責任者の顔を見て、驚いた。
 驚愕で目を見開いていくと…相手もようやくこちらに気づいたのだろう。
 一瞬、お互いの目線が合って…急な沈黙が訪れていく。

(嘘、だろ…この人、今朝…オレの夢の中に出て来た人に瓜二つだ…!)

 今朝、見た…不思議な夢。
 白亜の宮殿で、ドレスを着たまま…婚約者候補の人を待っていた自分と
扉の向こうから現れた端正な面立ちの青年。
 あの夢に出て来た人よりも十歳くらいは年を重ねている感じだが…間違いない。
 紫紺の瞳と髪に、怜悧な印象の面立ち。そして頑健そうな体躯。
 今日の朝に、あんな夢を見て…その日の内に瓜二つな人物と対面する。
 そんな偶然があるものなのかと…心底、克哉は驚いてしまっていた。

「…君、は…? 以前にどこかで会った事が…あったか?」

 目の前の男もまた怪訝そうな表情をしながら…問いかけていく。
 相手―先程面会を求めている時に、受付嬢に確認を取られたおかげで『御堂孝典』と
いう名前である事を知ったその人もまた、こちらの顔に見覚えがあるらしい。
 紛れもなく初対面な筈なのに、以前から知っているように感じられる概視感を…自分だけ
ではなく、相手も抱いている。
 そんな不思議な事態に…何故か、妙に緊張して…鼓動が早まっていった。

「いえ…その、怒るかも知れませんけど…今朝、貴方に似た人が出た夢を見まして…
それで驚いてしまったんです。不快にさせたのなら申し訳ないです…」

「…夢? 奇遇だな。私も…そうだな。今までに何度か…今の君よりは幾つかは若いが
君に似た人物を夢の中で見た記憶がある。…スーツ姿を見たのは今日が初めてに
なるがな…?」

「っ…!」

「おいおい、何の話だ? 夢だ何だって…?」

 すっかり置いてきぼりにされた本多が不服そうな顔を浮かべていく。
 恐らく自分達が来る前に、必死になって御堂に…この魅力的な新製品を是非扱いたいと
強く訴え続けていたのだろう。
 しかし本多の熱意など、この目の前の男にはまったく通じる事がなく…逆に偶然に落ちていた
企画書を拾った形で知った事をストレートに言えずに苦戦を強いられていたのだ。
 その中で…克哉が御堂と妙な雰囲気を醸していたので…本多としては、ともかく困惑
するしかなかった。

「…こちらの話だ。で…君からの話は以上だろうか? 話したい事がそれだけならば…
そろそろお引取りを願いたいのだが…?」

「そんな! あんた一体…こっちの話をどう聞いていたんだっ? こんなに真剣に
頼み込んでいるっていうのに…っ!」

「ほう? 真剣に頼み込めば…こちらが全力を掛けて取り組んだ新商品が流して
貰えるとでも思っていたのか? 呆れる程の単細胞な男だな、君という男は。
もう少し情報ソースが明らかになって…君の情報収集能力とやらが確かなものだと
確信が出来れば、少しは考えるが…秘密です、となどと答えるような輩を…しかも
まったくの初対面の男をこちらが信用して、任せるとでも思っていたのか?」

「ぐっ…」

 御堂の言い分は、正しかった。
 以前に少しでも仕事上で付き合いがあったり、以前から接点があるのなら
ともかく…自分達は、この直談判で初めて顔を合わせた間柄だ。
 それは向こうがこちらを信頼相手かどうかを判断するにはあまりに不利だった。
 その場に一緒に乗り込んできた片桐も、すでに場に流れる空気で状況を察して
しまったらしい。
 どう言い返すか、それに迷っている内に…沈黙が訪れていく。

(…この人の言い分は、正しい。オレ達は今日…ここで初めて顔を合わせた
ばかりの間柄だ。それで…こちらを信頼しろ、といっても…根拠となるものが
何もない…!)

 悔しくて、克哉が唇を噛んだその瞬間…激震がMGN本社全体を襲った。

 グラッ!! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!

「な、何だ…何だっ!!」

「うわっ! わわわわっ!!」

「な、何だこの揺れは! 地震かっ?」

 突然の展開に、他の三人は動揺しまくっていたが…唯一、克哉だけは違っていた。
 地震が起こると同時に、自分の胸ポケット内に納まっていた銀縁眼鏡が熱を持って
ドクンドクンと、こちらの心臓の音に同調するように淡い光を放っていたからだ。

(な、んで…眼鏡が、こんな風に輝いているんだ…?)

 つい、ポケットから引き抜いて眼鏡を観察していくと…やはり、紛れもなくそれは
淡く発光して、点滅を繰り返していた。

『…さあ、これを掛けろ…』

 その瞬間に脳裏に響くのは、セレニティ・眼鏡の声と…その顔だった。

(…どうして、こんなに鮮明にあいつの顔が浮かぶんだ…?)

『…不利な状況、何だろ? 俺なら…この状況をどうにか打破してやる。
お前がこれを掛けさえすれば…こちらも介入が出来る。…このままじゃ…お前達は
こいつに邪魔者扱いされて、そのまま追い返されるだけがオチじゃないのか?』

(そ、うだ…このままじゃ、俺達は新製品の営業を任せてもらう処じゃない。自分達の
親会社の偉い人に悪印象を抱かれたまま…スゴスゴと帰る羽目になるだけなんだ…)

 それは、この場に先程まで流れていた空気だけで充分に判ることだ。

『…俺なら、どうにか出来るぞ? それなのに…そのチャンスを逃して
負け犬のようにこの場から退場するのか…?』

 自分の頭の中で、瓜二つの風貌をした男が…不敵に微笑んでいく。
 自信たっぷりの態度に、口調が本当に克哉には羨ましかった。
 克哉は、控えめに目立たないように生きてきた自分には…自信と呼べるものが
何もない事は自覚していた。
 それに比べて、この男はいつも威風堂々として…自信に満ち溢れた態度を
している。それが…自信がないこちらとしては、憧憬すら掻き立てられて。
 その言葉に従うように…自らの意思で、克哉は眼鏡を掛けていく。

(このまま…負け犬になんて、なりたくない!)

 ただ、一心にそれだけを願い…光を放っている銀縁眼鏡を自らの顔に
掛けていく。

 その瞬間―部屋中に眩いばかりの光が溢れていく。
 同時に…MGN本社全体に轟音が鳴り響き、一部が倒壊して…社内中に
黒い影の集団が大挙して押し寄せようとしていた―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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