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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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太一が現場に駆けつけるのと同時に…ようやくセレニティ・眼鏡との交信が
出来るようになった。
 暫く音沙汰がなかった彼の姿が突然…目の前に現れて、その場にいた全員が
ぎょっとする羽目になった。

「うわっ! 貴様! やっとか…!」

「わわっ! えっと…やっと片付いたの?」

「うへぇ~また、あんたかよ…」

 御堂、克哉、太一がそれぞれ似たような反応をしつつも…セレニティ・眼鏡を
出迎えていった。相変わらず偉そうに胸の前で両腕を組んで、やる気なさそうに
全員を一瞥していく。

「…どうにか持ちこたえていたか。まあそれなりに及第点だな…。
とりあえずこちらの方は本多と片桐に頑張ってもらったおかげで…ビルの
倒壊の危険性は回避出来た。後はあの二人でもどうにかなると思うので
遅くなったが…こちらの指揮を取らせてもらうぞ」

「…あんたの指示なんて貰わなくても、俺は充分やれるけどな」

「あぁ、俺もお前に対しては細かい指示を出すつもりはない。太一、お前は
自分の判断で戦っていろ。残り二名は…これが初めての実戦経験だからな。
ちゃんとこちらの指示に従って戦って貰うぞ?」

 眼鏡が、残り二名をざっと見つめていくと…御堂の方は限りなく屈辱そうな
表情を浮かべていた。

「…お前の指示に従うなど、平素なら冗談じゃないんだがな…今は、仕方ない。
頼むから戦い方を教えて貰いたい…」

「…良く、良い子で待っていた。俺もお前に一つの必殺技も持たせないで
現場に向かわせたのはすまなかったと思っている。が…じっと良く耐えて
傷を広げないでくれたのは有難かった。
 今から全力でお前をサポートしてやるから…な?」

「なっ…誰が、良い子だっ! 私の方がお前より年上の筈だっ!」

 相手の言い草に顔を真っ赤にしながら反論していくが、眼鏡の方はどこ吹く
風といった感じだった。

「御堂…今からお前に奮発して三つ、戦う手段を与えてやろう。
一つはムーン・ティアラ・アクション。額にあるティアラを外して、円盤を投げるような
要領で飛ばせば…敵に攻撃が出来る。
ウィーター・スプラッシャー…は両手を交差させて
そう叫べば、水の刃が一斉に
敵に向かっていき…水圧で鋭くきりつけていくぞ。

三つ目がシャイン・アクア・イリュージョン…光と霧の技だ。これを使えば周辺に
眩い光が放たれ、敵の網膜を焼いて…光の霧が一斉に敵を切り裂いていく。
他二つに比べて、三つ目のは威力も高いが…同時に消耗するものも多い。
ついでに残り二名は、こいつがこれを唱えたら即座に目を瞑っておけ。
そうしなければ…目が瞑れるから気をつけるように! もう敵も体制を
立て直したようだっ! 全員、行け!」

 大隈の方も、突如現れた眼鏡を見て…暫く様子を見て、攻撃を仕掛けないで
おいたが…必殺技を伝授されている姿を見て…慌てて黒い影を数十体生み出し…
それをこちらに仕向けていく!

「ちっ! …余計な時間を与えすぎたかっ! お前たち! 掛かれっ!」

 大隈が命ずると同時に、ユラユラと暗い光を揺らめかせながら…黒い影が
一斉に彼らを襲い掛かった。

「へへっ! こんな雑魚に負ける気はしないねっ! エアロ・ハリケーン!」

 太一が弾んだ調子で、必殺技を唱えて…敵を撃退していく。
 その間、攻撃を仕掛けられても…まるで円舞を踊るかのような優雅さで
軽やかに敵の攻撃をかわし続けていた。

「私だって…もう足手まといでいるつもりはない! ウォータースプラッシャー!」

 大きく足を開いて、両手を交差させて…御堂が高らかに必殺技を唱えていく。
 鋭い水の刃が一斉に敵を切り裂き、黒い影を無に戻していく。
 …しかし太一に比べて、かなりその動作には羞恥と照れがあり…まさに茹でダコ
のように耳まで顔を赤く染めていた。

「ムーン・ティアラ・アクション!」

 克哉は派手な行動はせずに…再び捕まらないようにどうにか攻撃をかわし続けて
地道にティアラを使って、襲い掛かってくる敵を確実に倒していった。
 そこら辺の処は、堅実な彼の性格が良く現れていた。
 
「へえ…このティアラを使って、攻撃も出来るんだ…少し試してみよっかな?」

 今の御堂への説明を聞いたのと、克哉が何対もその必殺技を使用している姿を見て
太一は興味を覚えたらしい。
 自分の額のティアラを外していくと、克哉がやっていた動作を見よう見真似で
やっていく。

「とりゃ! これも食らえっ! ムーン・ティアラ・アクション!」

 どこか楽しそうに弾んだ声で、敵をフリスビーで薙ぎ払っていく。
 そこら辺の戦いのセンスに関しては、残り二名も目を瞠るしかなかった。
 そうやって三人で戦っている内に…その場にいた黒い影の殆どは蹴散らし終えた。
 …三人の前には、禍々しい色のジェダイトを額に抱いた…MGN社専務、
大隈だけが立ち塞がっていた。

『貴様ら…良くもわしの可愛いしもべ達を…!』

「大隈専務、まだ…目を覚まして下さらないんですね…」

『当然だ。額にあの石がある限りは、乗っ取られた人間は決して
正気に戻る事はない。ようするに…お前の上司を助け出したかったら
お前の手で、額の石を砕くか…その男の命を奪うかの二つの方法しか
ないという事だ。それ以外の解放の手段はない」

「…私を守り立ててくれた恩のある上司を、殺すなんて手段を取れると
思うか! ふざけるなっ! こうなれば…意地でも私の手で額の
石を砕いてみせる! 佐伯君と…太一君、と言ったかな? 正直
君たちの詳しい素性は良く知らないが…ここは君らの協力が必要なんだ。
すまないが…私に、手を貸して欲しい」

 御堂の顔には、激しい怒りと決意が生まれていた。
 そして…彼にしては珍しく、物言いこそはどこか偉そうな態度が残って
いたがどうにか二人に頭を下げて、協力を仰いでいく。
 正直、この事態そのものが冗談みたいにふざけていて…とんでもなかったが
やはりこれは現実なのである。
 それなら…この会社の責任者として、少しでも良い方に持って行くしかない。
 その為には…得体が知れなくても、今はこの二人の協力が不可欠だ、と。
 冷静な判断でその現実を受け入れて…御堂は頭を下げて頼み込んでいった。

「当然です。…誰かが死んだり、傷ついたりする場面はもうオレも
見たくないですから。オレでよかったら幾らでも協力しますよ…
御堂さん」

「…ちぇ…。あんた、すっごく偉そうだから…正直、気は進まないけどね。
けどそんな風に頭下げられたら…断れないなぁ。判った…仕方ないけど、
俺も全力で手助けさせて貰うよっ!」

 そうして、二人の同意を得て…御堂が満足げな笑みを浮かべていった。

「良しっ! 頼んだぞ…二人ともっ!」

 そして三人は…大隈に、対峙していった。

『…ぬぐぐっ! 貴様達ごときに…この私がここまで追い詰められるとは…!』

 その瞬間、大隈の容姿が別人のように変貌していく。
 瞳は真紅に禍々しく輝き、唇はそこから顔が裂けてしまうかも知れないくらいに
釣り上がり恐ろしい形相へと変化していく。
 手は異様に大きく腫れ上がり、爪はまるで野生の動物のように鋭さを帯びていく。

『掛かってくるが良いっ! 貴様達をこの手で引き裂いてくれるわぁ!!』

『御堂、とりあえず…あいつの目が光った瞬間に先程教えた三つ目の
呪文を唱えろっ!』

 大隈の変貌が終わると同時に、眼鏡の声が…御堂の脳裏にだけ
はっきりと聞こえていく。

(三つ目の呪文…例の大技、か? あいつの目が光った瞬間に…かっ!)

「佐伯っ! 太一君っ! 私はいつでも…技を発動出来るような状態に
しておく! 君たち二人で応戦して…活路を見出してくれっ!」

「はいっ! 判りました御堂さん!」

「うぉっしゃ、任せておいてっ! 俺の活躍ぶりを、よ~く眺めておいてよっ!」

 二人が快く承諾すれば、克哉はムーン・ティアラ・アクションで…
太一はエアロ=ハリケーンとムーン・ティアラ・アクションを交互に駆使して
敵の爪の間合いに入らない距離を保ちながら、遠隔で攻撃を繰り返していく。
 
 技を放つ度に二人のスカートがヒラヒラヒラと華麗に舞い上がり、
敵の攻撃をかわしながら、軽やかなステップを踏んで技を繰り出す様はまるで
ダンスを踊っているかのようだ。

 そう指示を出して、三つ目の技を発動出来るように意識を集中していく。
 シャイン・アクア・イリュージョンは…御堂が現在使える技の中では
もっとも派手で威力が高い必殺技である。
 タイミングさえ見極めれば戦況を逆転出来るが、同時に気力の
消耗も激しいので…2度、3度と連続して放てない欠点がある。
 御堂は残り二名が戦っている場面を目を凝らして見守っていく。

『ぐぉぉ!! 小癪なっ! 遠くの方からチマチマとした攻撃を繰り返しおってっ!
このままじゃ埒が明かぬ! 喰らえ…我が暗黒の炎を!! 
ダーク・エクスプローション!!!」

 大隈が技を放つ為に両手を大きく広げて、大声で吠えていった。
 その轟音が辺り一面に響き渡り、その赤い目が…まるで宝石のように
美しくも恐ろしい光を浮かべて輝いていく。
 その瞬間を、御堂は決して見逃さなかった。

「今だっ! シャイン・アクア・イリュージョンっ!!」

 敵の全身から爆音と共に燃え盛る黒い炎が湧き起こると同時に
その炎を全て飲み込んで相殺する力を持つ、七色に輝く霧が辺り一面に
立ち込めて物凄い音を立てながらぶつかりあっていく!!

 太一も克哉も、その瞬間には目を瞑って…どうにかやり過ごしていく。
 光が消え去ると同時に、真っ先に敵の懐に飛び込んでいたのは…
御堂、だった!

「大隈専務っ! 今…貴方を解放するっ!」

 絶対的な強い意志を宿しながら、御堂は敵の額に渾身の力を込めて
盛大な飛び蹴りを繰り広げていった。
 スカートが舞って、足を晒す羽目になっていたが…今はそんな事に
かまっている暇はない!
 御堂のつま先が額の石にめり込み、それを粉砕していくっ!

『ぐぅ…おおおぉぉぉっ!!!!!』

 その瞬間、大隈が吠えて…辺りに爆煙が湧き起こってた!
 御堂は空中に大気していたせいで、盛大に吹き飛ばされて…今にも
壁に叩きつけられそうになっていく。

「危ないっ!」

 大急ぎで太一は、風を巻き起こし…少しでも御堂が叩きつけられる
勢いを相殺しようとしていった。
 その風のおかげでかなり勢いは弱まり、壁にぶつかる形になっても…
軽い打ち身をあちこち作るくらいで済んでいた。

 克哉は倒れた大隈の元に駆け寄り、命に別状がないか…
ざっと確認していく。

「克哉さん! 何をしているんだよっ! さっきまで敵に操られていた
人の処に駆け寄ったりなんかして捕まったらどうするんだよっ!」

「大丈夫…この人からはさっきのような禍々しい気配を感じられない。
少し消耗をしているだけだ…。行くよ…! 
『ムーン・ヒーリング・エスカレーション!』」

 克哉がその技を発動させると同時に…室内に眩いばかりの
光が満ちていく。
 その光を受けて…倒れている大隈も、今…激しい戦闘を繰り広げて
消耗している御堂と太一の二人の体力と気力が一気に回復していく。
 それはまさに…癒しの光。
 神々しく光輝いて…その場にいる人間を労わる克哉の姿は…
慈愛に満ち溢れていた。

「克哉さん…」

 その姿を見て、太一は更に惚れ直していく。

(本当に…この人ってバカ、だよな…。けど、うん…俺、こういう
バカな人って好きだ。本気で、放っておけないよな…この人は…)

 そう思いながら、太一は荒い呼吸を整えて…微笑んでいった。
 御堂もまた…自力で起き上がる体力を取り戻して…パンパンと
アチコチを払って、その場から立ち上がっていく。

 そうして…彼らにとって二度目の大きな戦いは…誰の
犠牲も出る事もなく、完全勝利で終わったのだった―。

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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