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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  ―御堂と克哉が、ゆっくりとお互いの想いを確認し合っているのと
同じ頃…本多は画面に映るとんでもない光景を食い入るように
見つめていた。

―これは一体、何だ?

 克哉が誰かの下肢の前に跪いて…口で性器を愛している場面がやっと
終わると更にとんでもない場面がTVに映し出されていった。
  どこかのホテルの一室で、克哉が目隠しをされながら…椅子の上に拘束
されて、大股開きをさせられている。
  普段は隠されて決して晒されない奥まった秘所まで丸見えのその体制に
本多は息を呑んでいった。

―これは本当に…克哉なのかよ!

 信じられない思いでいっぱいだった。
 あの克哉に、本当にこんな過去があったなんて信じたくなかった。
 目隠しをされているせいで、目元が隠れている。
 本多は強く、それが克哉に良く似た別人である事を願った。
 だが無常にも、行為は続けられていく。
 ザーザーという音に混じって、克哉の嬌声が流れ込んでくる。
 その声が皮肉にも…それが紛れも無く克哉本人である事を裏付けて
しまっていた。

 ―止めて下さい…っ

 そう声を漏らしていたが、徐々に克哉の性器は硬く張り詰めていく。
 その様は酷く…卑猥だった。
 当然の事ながら、本多は克哉のこんな姿を今まで見た事などなかった。
 本多にとって彼はあくまで同性の友人であり…性的な対象としてみた事など
ただの一度もない筈…だった。
 だが、その艶っぽい姿につい目線が釘付けになっていく。
 
「…こ、んな…」

 相手の男の顔は見えない。誰だがまだ特定は出来なかった。
 それでも…克哉にこんな真似をしている『誰か』に嫉妬している自分がいた。
 上等そうなスーツを纏った男の手が、克哉の肌に氷を押し付けながら…
克哉の唇を強引に塞いでいた。

「…っ!」

 男の姿はシルエットになってぼやけていて…はっきりと見えるのは克哉の
姿のみだ。だが、二人が濃厚なキスをしているのだけは充分に判った。
 胸を満たすのは…強烈な嫉妬。
 克哉がその度に、艶かしい表情を浮かべていく。

―はぁ、はあ…

 憤りと同時に、本多は激しく興奮してしまっていた。
 息が次第に乱れて、忙しいものに変わっていく。
 見ていてムカつくのに…なのに、克哉の痴態から目を離す事が出来ない。
 
「っ…くぅっ…。う……んうっ!!」

 くぐもった声を漏らしながら…克哉がもがいていく。
 その声が酷く扇情的に聞こえた。
 男の手が氷を押し付けつつも、克哉の胸元や腹部の辺りを撫ぜ回していって…
その度にその肉体がビクビクと震えていく。
 ゆっくりと氷を持った手は下降していって、茂みの中へと落とされていく。

 ―克哉の身体が大きく跳ねて、震えている様が…淫らだった。

 この状況から逃れようと克哉が必死に身体をギシギシと動かしていく。
 それがかえって腰を揺らめかしているように見えて、誘い掛けているかの
ように本多には映った。

「か、つや…」

 目が、離せない。
 自分の友人の恐ろしいまでの媚態に。
 そしてペニスが握りこまれて…それから、氷を内部に埋め込まれていった。
 とんでもない光景だ。だがそれによって克哉の身体が妖しく色づいていくようにも
見えてしまった。
 そして暫く、氷を埋め込まれたまま耐えていたが…克哉は、必死に懇願して…
男の口にペニスを含まれて、そのまま達していった。

 そこで場面が暗転する。一瞬だけチカっと瞬いて真っ黒な画面が覗いていくと…
次は更に衝撃的な姿が映し出されていた。

「…これ以上、何があるっていうんだよ…!」

 怒号するように、本多が大声を挙げていく。
 これ以上、克哉のこんな姿を見ていたくないという憤りと…友人の乱れて、感じる様を
もっと見たいという相反した感情が彼の心の中に生じていた。
 そして、次に見た光景に愕然となる。思わず声も出せなくなったぐらいだった。

「…っ!!!」

 今度の克哉はシャツだけは着せられたまま…下半身は完全にむき出しの状態で
四つんばいにされて、両手を拘束させられていた。
 かなり屈辱的な体制だ。
 だが、克哉もそれを感じているらしく…今までとは違って、かなり挑戦的な眼差しを
浮かべて…相手を睨みつけているみたいだった。

(克哉…こんな顔も出来たのか…?)

 今まで本多は、克哉のこんな表情を見た事がない。
 どんな酷い言葉を投げつけられても、舐められているような扱いをされても
自分の知っている佐伯克哉はいつだって曖昧に微笑むだけだった。
 このテレビを通して、今まで知らなかった克哉の別の側面を知っていく。
 それは…腹立たしいと同時に、強く本多の興味を引いていた。
 
 ふいに画面がぼやけていく。
 そして…ここだけ、この二人のやり取りが鮮明に聞き取れてしまった。

―反抗的な目だ。君は、まだ自分の立場がわかっていないようだな

―そんなこと…っ! こうして、いう事を聞いているじゃないですか

―仕事が欲しくて尻尾を振る犬が偉そうな口を利く

―仕事が欲しいだけじゃありません

 その言葉に息を呑んでいく。
 嫌な予感がした。
 本多は、克哉の性格をある程度は熟知している。
 仕事という言葉を気にしながら更にその会話に耳を傾けていくととんでもない
一言が紡がれていった。

―ああ、失敬。君はこうやって嬲られるのが好きなのだったな

―なっ…! 違います! 八課の為じゃなければ、誰がこんな…!

―フッ、ご立派な犠牲精神だ。

「…何だとっ!」

 その言葉を聞いた瞬間、本多は吼えた。
 最初のフェラチオと言い、拘束されて氷を突きつけられて攻め立てられる姿と良い
傍から見て愛情がある行為にはどうしても見えなかった。
 何故、克哉がそんな相手とこんな行為をしていたのか…本多にはどうしても腑に
落ちない部分があった。
 だが、その一言で符号が合致していく。

 異常に一時、克哉の顔色が悪かったのも…今にも倒れそうになっていた時期が
確かにあった
 確かあれは…御堂がムチャクチャな目標数値を設定して、克哉がそれを
懇願しにいった直後くらいからではなかったか?
 確か自分はその前後に、あまりの体調の悪そうな態度が気になって…
克哉を引き止めて体調を伺ったりしていた。
 だが、その時は何でもない…という言葉を聞いて、引き下がっていった。
 しかし…本多はその時、あっさりと引き下がってしまったことを心から後悔して
しまっていた。

―だったら、この姿を君の仲間に見せてやったらどうだ? 涙を流して感謝するだろうよ

 見ていたら、絶対に本多は…御堂を許せなかっただろう。
 仕事が欲しくて、克哉を犠牲にするような真似を彼なら絶対にしなかった。
 それが判っていたから…きっと、克哉は口を噤んで一人、耐え続けていたのだ。

「…こんな、のが…これが、克哉が俺たちに隠し続けていたことだって…言う、のかよ…!
こんなのって、ねえよっ…!」

 本気で嘆きながら、本多は大声で叫んでいった。
 知らなかった。気づいていなかった。
 御堂がここまで、克哉に裏で酷い真似をしていたなんて。
 過去に疑念を抱いていた事の答えを知って、本気で本多は…御堂に殺意すら
抱いていた。
 結果的にプロトファイバーの売り上げはそこそこのレベルまで行って、八課の評価は
社内では格段に上がっていた。
 その現状に正直、自分は満足してしまっていた。
 けれど…その裏で、克哉がこうして…犠牲になって、自分達を守ってくれた事を
知ったことで男の心に強い決意が宿っていく。

 それが、真実を湾曲して受け止めさせてしまった。

 ここに映し出されたのは、確かに佐伯克哉が心の奥で秘め続けていた事。
 だが、彼はまだ気づいていなかった。
 本日の克哉は、こんな酷い扱いをされた相手にも関わらずどうして自分を必死に
撒いて御堂に会いに向かったのか…という事に対しての答えだ。
 フツフツと湧いてくる怒りをどう処理すれば良いのか惑っている本多に対して…
ようやく黒衣の男が語りかけていく。
 
―これは、あくまで…あの人にとって決して口に出すことが出来ない『過去』だけを
映し出しています。
 これは真実を知る上での判断材料の一つであり…全てではありません。
 今の克哉さんがどのような事を望み、振る舞われているのか…それを観察した
上で、ご判断をして下さい…。

 そう、語りかけられたが…強烈なショックのあまりに、本多はその言葉の意味を
正しく理解することは到底叶わなかった。
 彼はこの瞬間、克哉が心から幸せに想って御堂の腕の中に納まっている事実を
知らない。

―か、つや…。

 知らない内に…本多の目から涙が溢れていた。
 気づかなかった、今まで自覚をした事はなかった。
 こんな形で…自分の気持ちに気づかされるなんて…思ってもみなかった。

 胸を焦がす想いの正体は、克哉を好きなように扱った御堂への怒りと嫉妬。
 それを自覚して、彼は次の場面を眺めていく。
 最後の場面は…桜の下で、悲しそうな顔をしている少年の克哉の顔だった。

 今にも泣きそうな顔をしている克哉。

 本多はそれを…抱き締めてやりたいと思って、無意識の内に手を伸ばしていた。
 だがそれは所詮、過去の残像。
 決して、それに本多が触れることは叶わない。

―嗚呼、そうか…俺は、お前が…好き、だったんだ。助けになりたいとか、支えて
やりたいとか…ずっと、心の中じゃ思い続けていたんだ…

 こんな形で、自分の想いを自覚するなんて…皮肉だと思った。
 そして…画面は、何も映し出さない。
 ザーザーと砂嵐のような無機質な画面だけが流れ続けていた。

「…こんなのって、ねえよ…。どうして…俺は、お前が苦しんでいた時に…
もっとキチンと…聞き出さなかったんだよ…!」

 男は、泣きながら床に拳を打ち付けていく。
 痛いぐらいにその行為を繰り返して、男泣きを続けていた。
 その姿を見て、Mr.Rは密かにほくそ笑んでいた。

(それで良いのです…。佐伯様、貴方は己の欲望に忠実にならなかった。その上で
安易に幸運を手に入れられてもそれは…中庸な幸せしか齎さないでしょう。
なら、大嵐に巻き込まれてもそれでも自らの想いを貫ける強さをどうか…私の
前で示して下さい。貴方の思いが本物であるかどうか…このご友人がきっと
はっきりと強く照らし出して下さるでしょうからね…)

 それが、目の前の男が描いた『悪魔のようなシナリオ』の筋書きの
 一つであった事など気づかずに…男は翻弄されていく。

 ―そして、悲劇と喜劇の折り重なった彼らの物語は、新たに開幕していったのだった―

 
 
 


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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