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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  ―御堂孝典が目覚めると、恋人の姿はすでに傍らにはなかった。

「克哉…?」

 小さく、愛しい相手の名前を呟きながらゆっくりと身体を起こしていった。
 激しいセックスをした後、快楽の余韻に浸りながら眠りに落ちた時には
しっかりとこの腕に抱いて眠っていた存在は…今では、その温もりのカケラすら
存在していない。
 それに若干の寂しさを感じつつ、御堂は髪を掻き上げていった。

「…昨日は随分と、激しく抱いたからな。シャワーでも浴びに出ていったん
だろうな…」

 そう割り切って、一先ずベッドサイドに置いてある棚の上から…ミネラルウォーターの
ペットボトルを手に取って、喉に流し込んでいく。
 これは週末、克哉が泊まりに来ると判っている時には必ず用意しているものだ。
 二人で愛し合うと…一日中、殆どベッドの中から出ないで過ごしてしまう日が
ある為…2~3本のペットボトルと、簡単に食べれるバランス食品の類は
すぐ近くに置くように心がけているのだ。
 カロリーメイトの箱を取っていくと、その包装を剥いて一本…食べ始める。
 水でそれを流し込んでいくと…ゆっくりと昨晩の記憶を思い出していった。

(昨晩も…私の克哉は、可愛かったな…)

 無意識の内に、すでに御堂の中では克哉は…「自分のモノ」という感覚が
出来上がってしまっている。
 有能で高学歴、仕事もバリバリとこなす上に容姿端麗という御堂は
今までも男女問わずに良くモテた。
 だが、どんな人間と付き合おうとも仕事を優先する御堂に…交際している
相手は寂しさや欲求不満を募らせる場合が多く、それであまり長くは続かなかった。
 御堂自身も、そうやって己を高めようとせずにダダを捏ねたり拗ねたりして
振り回してくるような相手に執着することもなく、どの付き合いもあっさりとして
今思えば…深く付き合った相手などいなかった。
 だが、7歳下の現恋人…佐伯克哉だけは、例外だった。

「…こんな物を贈ってしまうぐらい…彼に熱を上げるとはな…。我ながら、
滑稽だな…」

 自分の左手の薬指に嵌められているシンプルなデザインのプラチナリングを
見て…つい苦笑したくなってしまう。
 御堂にとっては、これはエンゲージリングやマリッジリングとほぼ同一の意味合いを
持つこの指輪は…昨日、依頼していたジュエリーショップから受け取って来て…
克哉に贈った物と対になっていた。
 昨日、この指輪を贈った時…本当に克哉は喜んでくれて。
 その顔が可愛くて仕方なくて、愛しさがこみ上げて来て…自分でもどうしようと
思ったぐらいだ。

 正式な結婚式や、挙式は出来ない間柄だ。
 日本では同性同士での結婚は認められていないし、その辺が外国のように
認められるのはまだまだ先の話だからだ。
 けれど気持ち的にはそれと同じ意味合いを込めて…指輪を贈った。
 それでお互いに…気持ちが高まって…。

―はっ…あっ…孝典、さん…! ダメェ…そんなに、されたら…オレ…!

 一瞬、無我夢中で克哉をバックから突き上げている時の…艶かしい
媚態を思い出してしまい…つい、鼻先と口元を覆ってしまっていた。

―んんっ…も、う…イク…た、かのり…さん…好き…!

 もう抑えないといけない筈なのに、今度は正面から抱いた時に…
瞳を潤ませながら必死に首元に抱きついて来た時の、切なくて…
耳まで紅潮していた表情を思い出し…それだけで下半身がズクズクと
疼くような思いがした。

(…何で私の克哉は、あんなに可愛くて可愛くて…仕方ないんだ…?)

 思い出すだけでこんな風に興奮して仕方なくなるなんて…それこそ
高校生同士のカップルでもないのに、凄いことだと思う。
 結局…今週の休みを確保する為に、平日は過密スケジュールを過ごして
かなり疲れていたにも関わらず…三発も彼の中で放ってしまったのだから
自分も随分…若いものだと思った。

「…いかん、これ以上…朝から克哉のことばかり考えていたら…本日も
セックスで明け暮れてしまう。…指輪を贈った昨日はさながら…私達に
とって初夜のようなものなら…今朝は、いわば…新婚初日と言った所だ。
せめて…もう少し、克哉にとって思い出になるような事をしなければ…」

 ただ、一日中セックスして愛し合うことは…今までだって散々していた。
 けれど…一生彼と添い遂げていくぐらいの覚悟を持って指輪を作り…
それを贈ったのならば、もう少し…二人でその思い出をずっと語り合えて
いけるような…そんな一日にしたいと、御堂は考えた。

―それから、暫く御堂は考え始めていく

 …そのまま、考えが纏まると…ベッドサイドに大雑把にたたんであった
自分のスーツから…携帯電話を取り出して、ネットに繋いで検索を
始めていった。
 そして対象となる店のリンクをいくつか辿っていくと…ようやく望んでいた内容に
合致する所を発見し、その電話番号を登録していく。

「…これで、良い…」

 どうせなら、恋人の喜ぶ顔をもっと見たい。
 嬉しそうに笑う克哉を、しっかりと眼に焼き付けたい。
 そう想像して…御堂は本当に幸せそうに微笑んでいった。

「…そろそろ、起きるか。克哉の顔を早く…見たいしな…」

 そうして、御堂はベッドから身体を起こし…簡単に衣類を羽織った状態で
リビングの方へと向かっていく。
 その時、キッチンの方からコポコポコポ…という音と、ジュージューと
言う小気味の良い音が微かに聞こえていたのだった―
 

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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