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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 香坂です。
 何かこのサイトを開設してから、原稿もない状態で
一週間SSを書かないでいるのは初めてなので落ち着かない。
 耳の方の状況は安定してきたんですが、どうもずっと
動かし続けてきたエンジンを一旦、長期間止めてしまったので
なかなか着火してくれません。

 しかしいつまでもこの状況に甘んじているのも情けないので
ちょっとリハビリにSS書いてみた。
 連載、止まっててすみません。
 けど、水面下で起こっていた問題(外耳炎になったのはその
ストレスが要因だった…)もどうにか片付いて来たのでボチボチ
手をつけます。
 興味ある方は読んでやって下さい。

 ※鬼畜眼鏡R 御堂×克哉ルートネタバレ有です
 入院期間中の御克の一幕でございます~。

  『騎士のように』  御堂×克哉

 ―其れは本城によって、克哉が車で轢かれてしまった間の
小さな二人の思い出だった

 薬物中毒になり、自分を制御出来なくなって思い上がった男の
愚かなる行動によって、最愛の存在は重傷を負った。
 幸いにも命に別状もなく、後遺症も残らないで済んだ。
 だが一歩間違えれば…克哉を失っていたかも知れないという
恐怖は…御堂に深い影を落としていた。

 友人の四柳の勤務している病院に担ぎ込まれて、現在入院している。
 現在は検査と、怪我の経過を見る為に…仕事も休ませ、彼に
療養に専念するように言い含めていた。
 自宅でも、会社でも…いつでも彼と長い時間一緒に過ごすことが
当たり前になっていた。
 そのせいかたった数日の間、克哉と引き離されただけでも
どこか気持ちが落ち着かなかった。
 本来ならとっくに面会時間が終わっている時刻。
 それでも四柳に連絡をして、許可を取り付けて御堂は
克哉の病室に足を向けていた。
 部屋の明かりは当に落とされていて、真っ暗だった。
 無理もない、病院内での消灯時刻は本来ならば午後九時。
 現在は日付も変わる頃だ。
 仕事をしている時から午前一時から二時まで起きているのが
当然であっても、環境が変われば就寝時間も変わって当然だ。

(それに…四柳には許可を取ったが、克哉には一言も連絡を
していなかったからな…)

 原則的に病院内では、決められた場所以外は携帯電話の電源を
切っておくのが患者としてのマナーだ。
 そして自分の恋人は、そういうルールをきちんと守るタイプの人種だ。
 …それ以上に、今の克哉は安静にしなければならない。
 彼の顔を少しでも見たいという我儘な気持ちの為に、克哉に必要以上に
負担を強いたくなかった。
 窓際から月光が差し込んでいる。
 そんな中…瞼を閉じた克哉の表情が浮かび上がり、一瞬心臓が
冷えていった。
 まるで深い眠りに…永眠をしてしまったのではないかという強烈な
不安が心の中に湧き上がっていって、慌てて其れを打ち消していく。

「…馬鹿馬鹿しい。何をこんなに…私は不安になっているんだ…」

 けれど、目を閉じたまま安らかな寝息を立てている克哉を見ていると…
本当に生きているのか怖くなった。
 確認するように、相手の手をそっと掬い取っていき…脈を確認していく。
 
―トクトクトク…

 規則正しいリズムで、鼓動が刻まれているのが判る。
 その音に、御堂は安堵していった。
 
(君が、生きていてくれて…本当に、良かった…!)

 御堂はその時、心からそう…感謝した。
 あの瞬間、本城が暴走させた車で…克哉を跳ねた時、自分を庇って
派手に吹き飛ばされているその姿を見た時。
 頭から大量の血を流してぐったりとしている恋人の姿を見た時…御堂は
本当に生きた心地がしなかった。
 自分が撥ねられた方がよっぽどマシだと、心底思ったぐらいだ。
 克哉は未だに頭に包帯を巻いているが…怪我の経過は良好で、後数日も
すれば問題なく包帯も取れて退院出来るだろうと太鼓判を押してもらっている。
 それでも…やはり、あの日の生々しい記憶がどうしても…離れてくれなかった。

(君と出会ってから、私は弱くなったな…)

 彼と共に過ごして、一つの目標に向かって共に努力している間…
今まで以上に充実しているのを感じられるようになった。
 だが、逆に…彼の身に何かあると、今までの自分からは考えられないぐらいに
弱くなってしまったように思う。
 まさにアキレス腱だ。彼のおかげで今まで以上に駆けられるようになった自分。
 だがそれを奪われたら、こんなにも自分は弱くなってしまっている。
 後、数日すれば今回はそれでも元通りの日常が訪れる事は判っている。
 それでも…。

(だが、それ以上に腹立たしいのは…目の前で君が撥ねられた時に
何も出来なかった自分だ。そして…本城をあそこまで追い詰めるような
真似をした…私自身の愚かさだ…)

 そう、辛辣な事を直前に本城にぶつけ続けた。
 その行動がこの結果を招いてしまったことを自覚している。
 窮鼠猫を噛む、という言葉の通りだ。
 あの時、自分は優位を疑わなかった。そして…上から目線で、かつての友人であった
男に…今は堕ちてしまった相手に向かって言葉を投げつけ続けた。
 それが…あの事故を起こすトリガーとなったのは紛れもない事実だ。

―孝典さんは、挫折した事がないから。劣等感を覚えて…泥沼を彷徨うよりも
自分で努力して、どうにかしてしまうから。…だから本城さんのように、其処に
堕ちてしまう人の弱さを判れないんですね。
 …自分が持っていないものを理解するのはとても大変です。けれど…
もうちょっとだけ、弱さというものを知って下さい。
 誰もが…孝典さんのように強い訳でも、有能な訳でもないんですから…

 事故の後、とても優しい穏やかな口調で…克哉は、そう御堂に告げた。
 本城を恨むような一言を決して口にせず。
 逆に思いやるように…そして、辛辣な言葉を投げつけることしか出来なかった
あの日の自分を顧みさせる為に…彼は、静かにそう伝えて来た。

「克哉…君は、強いな…」

 入院してから、そう自分に伝えて来た克哉の言葉を思い出して…
御堂は心からそう思った。
 否、彼がそうやって人の過ちを赦すことが出来る人間だったからこそ
今の自分たちの関係が存在している。
 かつて御堂も、彼を虐げて追い詰めて…傷つけるような真似をした。
 その一件については、恋人関係になってからも敢えて触れないでいた。
 だが…克哉のその優しさと、許すことが出来る一面に…御堂は強く惹かれた
のは事実だった。

―私は君と出会うまで、人を許すという事を知らなかった気がする…

 足手まといの無能な部下はいらないと思った。
 こちらの邪魔となる存在なら、理性で持って切り捨てるのが最良だと
信じて疑わなかった。
 合理的で、理性的。それがかつての自分の姿。
 だが…振り返ってみれば、何と温かみに欠けた人間だったのだろうと…
克哉を知って変わった今の自分から見れば、呆れるばかりだ。
 
 ただ、彼の手を握っているだけで様々な想いが溢れて来る。

「克哉…君を失ったら、私はきっと正気でなどいられない…」

 克哉は、こうして生きていてくれている。
 だから本城を辛うじて、許すことが出来た。
 しかしもし…あの男が克哉の命を奪っていたなら、自分はきっと復讐の鬼と
成り果てていただろう。
 それぐらい今の御堂にとっては克哉の占める比重は重かった。
 同時に傍にいながら…守ることが出来なかった自分に、腹も立った。
 二度とこんな想いはしたくなかった。
 とっさの時に動けず、愛する人間を守ることも庇うことも出来なかった。
 
「…克哉、次は絶対に…私は守る。君が二度と…こんな傷を
負わなくて済むように…」

 眠る愛しい相手に向かって、小さく誓っていく。
 そして御堂は…まるで騎士のように恭しく、克哉の手の甲にキスを
落としていった。
 心からの愛しさと決意を秘めて相手の手に口づける仕草はまるで
中世の騎士のようだ。
 …そんな二人の姿を、窓から差し込む月光の光が仄かに照らしている。

「愛している…」

 そうして、御堂はそっと手を握り締めていきながら…眠る克哉に口づけていく。
 その瞬間、ピクリと…克哉の眉と肩が揺れて、指先に力が入った気がした。
 起こしてしまったか、と思ったが…目が開かれる様子はない。
 だから、敢えて問いかけもせず神聖な気持ちを込めたキスを相手に
捧げていった。

―次こそは必ず、君を守る…

 そう願いを込めて、静かな夜に君にキスを送ろう。
 この誓いを胸に秘め、そうして男は身を離し…愛しい者の寝顔を
見守っていく。
 其れはまるで、騎士のような…気高い想い。
 そして…御堂孝典は、静かに微笑んでいくと…後ろ髪を引かれながらも
決意をしながら、ゆっくりと帰路についていったのだった―
 


 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/

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 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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