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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 某Kさんに進呈した克克のSSでございます。
 イラストつきバージョンはこちらからどうぞ(掲載許可はこのイラストのみ頂きました)
 サイトにお邪魔した際、9月13日に掲載されていた如月さんの克克イラストが
こちらの胸に凄く残りまして…あぁ、恐らくこんなストーリーと、こういった
加工がしたいんだろうな…と何となく読み取れたので、それをこちらが
勝手にSSつけて送らせて貰った作品です。
(イラストの加工も少々やらせて頂きました)
 ご本人に凄いシンクロしてるー! と喜んで貰えたのでほっとした次第ですが。
 克克は切ない部分がとても好きです。
 快くこちらの加工やSSを受け入れて下さったKさんに感謝ですv

 気になる方だけ、つづきは~をクリックしてお読み下さいませv

『またな…』
 
 深夜の克哉のアパート内にて、一人の男が静かに立ち…窓の向こうに
浮かんでいる満月と、部屋の中を交互に視線を向けていた。
 静寂に包まれた静かな秋の夜。
 空気は冴え渡るように澄んでいるが…まだ、肌を突き刺すような冷たさはない。
 
 眼鏡はベッドの傍らに腰を掛けながら…煙草に火を点けて紫煙を燻らせ
始めていた。
 彼の足元には…床で仰向けに意識を失って倒れているもう一人の自分の
姿があった。
  身体中には自分がつけた赤い痕が散りばめられて、目元には快楽の余韻である
涙の筋がうっすらと残されている。
 
―今夜もこいつを散々抱いたな…
 
 そんな事を想いながら、また深く息を吸い込んで煙草の煙を肺の奥へと
送り込んでいった。
 
(そういえばこの部屋にいつの間にか…灰皿が置かれていたな…)
 
 定期的に繰り返される、もう一人の『オレ』との逢瀬。
 今回は何度目に当たるのだろうか。
 ただ、初めてこの部屋でコイツを抱いた夜には終わった後に…一服しようと
したらどこにも灰皿がなくて、仕方ない適当な皿で代用した記憶がある。
 いつの間にか置かれた灰皿。
 それは…コイツが俺が来る事を待っていてくれるようになった証みたいな
ものなのだろうか…?
 
「まさか、な…」
 
 自分の甘っちょろい考えに、つい苦笑していきながら…眼鏡は改めて
もう一人の自分を見つめていった。
 同じ顔の造作と体格、誰が見ても瓜二つの容姿。
 当たり前だ、同じ人間なのだから。
 そんな奴をこうやって定期的に抱きに来るなんて、自分でも物好きだなと
感じる事はある。
 だが…いつしか、コイツを抱くことは自分にとって深い快楽と愉しみを
味わえるものとなっていた。
 
 また…もう一回、深く煙草の煙を吸い込み…肺の奥から搾り出していく。
 
 静かで、沈黙が支配している室内。
 明かりはすでに消しているせいで…窓の向こうに広がる月がとても
綺麗に感じられた。
 月はすでに空のかなり低い位置にある。
 もうじき夜明けが近いのだろう。
 自分がこうして肉体を伴って…こいつの傍にいられるのも、もう刻限が
迫っていた。
 それを何気なく眺めながら…もう一人の自分を再び眺めていく。
 
 ぐったりと意識を失っている姿を見て…奇妙な感情が湧き出ていった。
 それに気づくと、少し悔しそうに眼鏡は舌打ちしていった。
 
「チッ…」
 
 眉を顰めて、一瞬だけ忌々しそうな表情を浮かべるが…すぐに平静の
表情へと戻り、ベッドから腰を上げていく。
 今夜は、玄関から入ってすぐの部屋で…立ったままコイツを抱いた。
 
―ん、あっ…はっ…やっ…もう、ヤメて…『俺』…おかしく、なるからぁ…!
 
 頭の中に、さっきまでのコイツの乱れていた姿が蘇っていく。
 
―ほう? お前の穴はこんなに俺を求めて…キツく締め付けて来ていると
いうのに…本当に、ここで止めていいのか…?
 
 意地悪く相手の耳の奥を犯していきながら、卑猥な言葉を囁く自分。
 
―はっ…やだぁ。もう…其処ばかり、弄るなよぉ…イクから、耐えられ、ないからぁ…
 
 浅ましく腰を振りながら、その癖こちらを引き千切らんばかりに強く搾り取って
くるアイツの内部は熱くて、気が狂いそうになるぐらいの快楽を眼鏡に与えていた。
 
―イケよ。お前が乱れて、狂う姿を…俺に見せて、みろ…
 
―あっ…あぁぁっ…!
 
 一際高く啼きながら、あいつは夢中でこちらの激しさに応えていった。
 その情事の記憶を思い出し、仄かな欲望の火と…何か奇妙な気持ちが
胸の奥から滲み出てくる。
 
 時間に余裕があれば、意識を失っているコイツを相手にもう一回ぐらい
抱いてやろうと思ったが…もう、空がうっすらと白くなり始めていた。
 藍色の夜の帳が開け、太陽が静かに目覚めていく時間帯。
 夜が完全に終わった時が、彼のリミットだった。
 ゆっくりと近づいて…相手の顔を見下ろしていく。
 その傍らに跪くと、そっと指を絡めるようにして手を握り締めていった。
 
「お前は、俺にとって何なんだろうな…」
 
 意識を失った相手に向かって、独り言のように呟いていく。
 だが…激しく何度も貫かれて、快楽の余り意識を手放してしまった相手は
それしきのことでは目覚める気配を見せなかった。
 
「…もうじき、夜明けだ。…俺は、もう行く。だから…良い子にして…再び
俺が現れるのを待っていろ…」
 
 そう、告げて…唇に儚いキスを落としていく。
 行為の最中に交わしているような、激しい情熱的なものではない。
 どこか優しさを感じさせる…触れる程度の口づけだった。
 もう一方の手を相手の頭部の付近にそっと回し…穏やかな手つきで
何度か撫ぜていってやる。
 
―その仕草がとても優しい事に、眼鏡自身は気づいていなかった。
 
 そのまま…朝が訪れる。
 一筋の淡い光が窓の向こうから差し込むと同時に…彼の姿は幻のように
ゆっくりと透明になり始めていった。
 リミットが訪れたことを悟っていくと…彼は最後に一言だけ、もう一人の自分に
対して残していった。
 
―また、な…
 
 再び、逢瀬出来る日を願って…彼の姿は掻き消えていく。
 まるで最初から其処にいなかったかのように…。
 夢幻のごとくその姿は消失し、そして克哉一人だけが残されていった。
 
 だが、最後の呟きだけは…辛うじて、耳に届いていた。
 半分夢現に…それでも、克哉は確かに返答していった。
 
―うん、またね…『俺』
 
 そして再び、彼もまた深い意識の深遠へと落ちていく。
 二人が再び会える日は果たしていつの日なのだろうか―
 
 ただ、彼らが互いを求め合う限り…この逢瀬は続いていくだろう。
 そして今夜も静かに終わる。
 
―克哉が目覚めた頃、窓の向こうには白く輝く街並みが広がっていた―
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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