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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 とりあえず一日遅れになりましたが…御堂さん誕生日祝いSS、
眼鏡×御堂編の方をアップさせて頂きます。
 …え~と、絵チャに行って絵師様六人、文章書き五人な状況だった為に
もう一本私が書きます…と言ったので後日、ひょっこり某所で書いてアップして
いるかも知れませんが宜しく(汗)

 という訳でもう一本、眼鏡×御堂の方は書き上げます。
 …リセットの続きは一先ず、明日から開始しますのでご了承下され。
 無謀なことばかりやっている管理人ですみません。はい…(汗)

 興味ある方だけ「続きを…」をクリックしてお読みくださいませv
  以下に記してあります(ペコリ)

『ストロベリーキッス』

それは佐伯克哉と再会して、一緒にアクワイヤ・アソシエーションという
会社を興してから半年以上が経過した頃の話だった。
 
 その日は御堂孝典の誕生日の当日であった。
 学生時代は特に意識していなかったが…大会社に勤めるようになってから
この日に誕生日が来る事はそれなりに支障がある事を思い知るようになった。
 会社の決算期というのは一年に二回、九月末と三月末にある。
 
 ―そのおかげで役職に就いてから、毎年その日はほぼ忙殺されて終わる
ことが多かった。
 
 だからたまに『恋人』と呼ばれる存在が出来ても、悠長に誕生日を
祝うようなことは殆どなかった。
 誕生日の前後は、決算の為にいつだって食事すらままならないスケジュールを
送ることばかりだった。
 相手の誕生日や記念日とやらも、今まで気遣った試しはない。
 恋人よりも仕事優先。
 そういう生き方をしてきたからこそ大会社内に置いて三十代前半で部長職にまで
上り詰めた訳なのだが…そのおかげでここ十年ぐらいは、誕生日にケーキを
食べるという習慣すら忘れかけていた部分があった。
 
―そんな彼のディスクの上に、一つのケーキがポツンと載せられていた。
 
 外回りから帰って来て、御堂はつい…訝しげにそれを凝視してしまっていた。
 
「これは一体…何だというんだ…?」
 
 今年の御堂の誕生日は、平日に当たる。
 ここ十年近く誰にも祝って貰えた試しがなかっただけに…突然のケーキとの
遭遇に本気で驚いてしまっていた。
 一体、果たして何故ケーキなのか…?
 本気で机の前で腕を組みながら御堂が呻いていると…オフィスの奥にある
資料室の扉が開いて…其処には自分の恋人であり、この会社の代表取締役でも
ある佐伯克哉が立っていた。
 
「…忘れたのか? 今日が何の日…何かを…」
 
 相変わらず強気の笑みを讃えていきながら…ぴっちりとダーク系の色合いのスーツに
身を包んだ克哉がゆっくりと近づいていく。
 鋭い眼光に、銀縁眼鏡を掛けたこの青年こそ…御堂の人生を大きく変えてしまった
元凶とも言うべき存在でもあった。
 
「…今日は、何かあったか…? …あぁ、そうか…私の誕生日だったか」
 
 少し考えてから、ようやく思い出したらしい。 
 その様子を見て逆に克哉の方が呆れてしまった。
 
「…あんたは、自分の誕生日ぐらい覚えていないのか?」
 
「…学生時代ならいざ知らず、ここ十年ぐらいは…この時期は会社の決算期で非常に
忙しい時期が続いていたしな。MGNで役職についてからはいつしか祝わない事も
多くなっていたからな…」
 
 その言葉を聞いて、克哉はふう…と溜息を突いていった。
 次の瞬間…思いがけず優しく微笑みを浮かべたので…一瞬、御堂はその表情に
釘付けになってしまった。
 
「…まあ、あんたの普段のワーカーホリックぶりからそんな予感はしていたがな。
…俺達の会社も軌道に乗ってから初めて迎える決算期の前だから…当日には
流石にたっぷりと時間を取って祝うような真似はしてやれないがな…。
せめてケーキの一つでも贈ろうと思って手配しておいた」
 
「…っ! このケーキ…君が用意したのか?」
 
「あぁ、そうだ、都内でも有名な店の物だ。どうせならとびっきり上質なのを
用意した方が良いと思ってな」
 
「…その気持ちは在り難いが、私は余り甘い物は…」
 
「まあ、一口食べてから文句を言ってくれ。…それからならあんたの苦情を
受け付けるから。ほら…俺が食べさせてやる」
 
 そういって御堂の元にツカツカと歩み寄ると、
そのまま御堂のディスクの腰を掛けて、そっと指先でケーキの端を
掬い取っていく。
 
「…ちょっと待て! フォークとかはないのか!」
 
「…あんたの帰って来た直後にちゃんと手を洗ってアルコールで
消毒してある。心配するな」
 
「そういう問題かっ? 君と言う男はどこまで非常識なんだ!」
 
「御堂…その辺で黙っておけ」
 
 そう言うと、ケーキを掬い取ったのと反対の方の手で強引に御堂を
引き寄せ、唇を塞いでいった。
 突然の深い口付けに…驚愕に目を見開いていくが克哉の方は
まったく気にした様子はない。
 
 クチャリ…クチュ…。
 
 むしろ、ねっとりと熱い舌先が上顎から歯列の辺りを丹念に辿って…
こちらの舌を絡め取られていくと早くも理性は崩壊寸前になっていった。
 
(くそ…どうしてコイツは、こんなにキスが上手いんだ…?)
 
 克哉にキスされるだけで、いつだって自分の身体は熱くて
どうしようもなくなっていく。 
 唇を甘く食まれ、息苦しいまでに貪られていくと…早くも御堂の息は
上がり、忙しない呼吸を繰り返すようになっていた。
 
「はぁ…んっ…」
 
 ようやく解放されると、互いの唇には銀糸がキラリと糸を引いていった。
 それを指先で切られていくと…すぐに、指先でケーキをそっと
運ばれていく。
 ジュワ…と蕩けるような舌触りの生クリームの味が口の中
いっぱいに広がっていった。
 まるで牛乳をそのままふわふわの食感にしたような感じで、それが
スポンジ生地にジュワっと染み込んでいる。
 
「これ、は…美味しいな。…正直、甘い物は苦手な方だが…これは、
素直に美味しいと思える…」
 
「あぁ、都内でも隠れた名店のショートケーキだからな。…あんたに
贈るなら、どうせならとびっきり最上の物を…と思って用意させて貰った。
プレゼントは週末に、時間取れた時に改めて、な。…せめて当日にケーキ
ぐらいは用意して祝いたかったからな…」
 
「あっ…うん。…あり、がとう…」
 
 そう告げた、克哉の顔が思いがけず優しいものだったので…御堂は、
一瞬見蕩れてしまっていた。
 
(今の顔は…反則だぞ、佐伯…)
 
 普段意地悪な顔ばかりする癖に、不意にこんな…こちらを慈しむような
そんな顔を見せるから…おかげで胸の鼓動が荒くなって落ち着かなくなる。
 
「ほら…御堂。もう少し…」
 
「ん…」
 
 珍しく、こちらが年上である事をほんの少しの間だけ忘れながら…相手の
言葉に従ってみせる。
 何度も、何度も指先でケーキを掬って口元に運んでみせる。
 それを…丹念に舌先で舐め上げてしゃぶり上げる様は何となく卑猥な
感じだった。
 
「…何か厭らしい舐め方だな、あんたの舌使いは…」
 
「…ん、こら…そういう事を口に、するな…! あっ…」
 
 何度かその動作を繰り返されている内に、御堂の口元にはうっすらと
生クリームがついてしまっていた。
 それを克哉は舌でそっと舐め取っていく。
 その思いがけない甘い感触にビクっと肩を震わしていった。
 自分達が興した会社のオフィス内で、こんな時間を過ごす事になるなんて
予想もしていなかっただけに…頬をほんのりと染めながら、呟いていく。
 
「…こんな誕生日の祝われ方など、初めてだ…」
 
「そうか。嫌…だったか?」
 
「…嫌じゃないから、困っている。本当に…君という男は…何度も、何度も
私にカルチャーショックを与えてくれるな…」
 
 呆れたように呟きながら、御堂の方からも相手の頬を穏やかな手つきで
撫ぜて…その頬から顎に掛けての稜線を辿っていく。
 瞬間、部屋の中の空気はとても甘い物へと変わっていく。
 
「ほら…御堂、苺だ。これも…食べるよな…?」
 
「あ、うむ…」
 
 歪になったショートケーキの上に、チョコンと乗せられていた一つの苺。
 それを克哉は指先で掴んでいきながら問いかけて来たので、少し
躊躇いながらも頷いていく。
 御堂が小さく答えていくと…克哉はそれを口に咥えながら顔を
」寄せていった。
 そのまま…御堂は吸い寄せられるように恋人の方に顔を近づけ…その苺を
口にしていった。
 其れを口の中に運んで、一回…咀嚼していくと…口の中一杯に苺の
甘酸っぱい味とジューシーな果汁が広がっていった。
 
「…甘酸っぱいキスだな、これは…」
 
「だが、悪くないだろう…?」
 
「そうだな…本当に、君には驚かされてばかりだ。…こんな事をされて、
嬉しく思う自分など…今まで考えた事もなかったからな…」
 
 そう言いながらも、御堂はクスクスと笑って…相手の首元にそっと
両腕を回していった。
 胸を満たすのは…幸福感。
 何年も、自分誕生日を祝うなんて行為から遠ざかっていた。
 だから…ケーキやご馳走、プレゼントなんて無くても何てことないと思っていた。
 けれど…今、好きで仕方ない相手からこんなサプライズを貰えた事が、
今…嬉しくて仕方ない。
 そのまま、何度も磁石のように克哉に引き寄せられていき…啄ばむような
口付けを繰り返していく。
 
―そのキスはほんのり、ストロベリーの味がしていた。
 
「…苺の味がするな。今…キスをすると…」
 
「そうだな…。新鮮な感じがする…」
 
 気づけば、しっかりと机の上に腰掛けながら…二人は
抱き合う格好になっていた。
 そのまま克哉は…御堂の身体をその上に押し倒していく。
 幾つかの書類と文房具の類がバラバラと床の上に落下していったが…
今は、文句の言葉を言わないでおいた。
 本当なら、自分のディスクの上でこんな事をされたら…その後が
大変なのは判っていたが…嬉しくて、克哉が愛しくて仕方なくて…
とても上の克哉の部屋に行くまで耐えられそうになかった。
 
―今すぐにでも、克哉を感じたい…
 
 そう素直に感じながら、耳まで赤く染めて…ぎゅっとその背中に腕を回していく。
 そんなやりとりをしている間に…もうじき、9月29日が終わろうとしていた。
 その瞬間、克哉はそっと囁いていく。
 
―誕生日おめでとう…孝典。あんたがこの世に生まれて来てくれたことを、
俺は心から…感謝する
 
 そんな、胸の中を幸せで満たすような…とびっきりの言葉を告げられて、
驚きながらも…御堂は幸福そうに微笑んでいく。
 好きで仕方ない相手から、誕生日に祝いの言葉を告げられることは
こんなにも幸せな事だった。
 
「ありがとう…克哉」
 
 心から、こちらも感謝していきながら…相手の腕の中に素直に収まっていく。
 そして落ちる、幸せな一時。
 
 愛する人の誕生日を祝う。
 それは…ささやかで、とても幸せな時間。
 その甘さに酔いしれながら…二人は、実に充実した一時を共に過ごしたのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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