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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  ―克哉の願いが通じたのか、御堂は…冬に差し掛かった寒い朝の日に
初めて言葉を取り戻した。

『ずっと…そこにいたのか?』

 最初は、たった一言。
 それでも…虚ろだった瞳が少しだけ焦点を取り戻して自分を見てくれた時
彼の目はこんなに綺麗だったのかと、思い出せた。

「御堂…」

 泣きそうになる。
 たったそれだけの事に、瞳から雫が浮かび上がって…静かに頬を伝っていく。
 駆け寄って、ベッドの上に力なく身体を起こした御堂を抱きすくめる。
 しかし…その身体は、カチカチに強張っている。
 現状が理解出来ない。
 そんな困惑の表情を浮かべていた。

「…どうして、お前が…ここ、に…?」

 目覚めたばかりの御堂には、ここが自分の部屋だという認識はある。
 しかし…どうして、彼が『今も』この一室にいるかが…判らなかった。
 どれくらい時間が過ぎたのか、まだ把握出来ていない。
 それでも長い―長い間、自分は心を閉ざして…夢の世界に生きていた。
 うっすらとそれくらいは判っていた。

「…あんたを、ずっと…待っていた…」

「ど、う…して…お前は、私を…抱く、価値も…ない、と…」

「弱気で愚痴っぽいあんたよりも、いつもの高慢で生意気なあんたの方が
俺は好きだからな…」

「そ、れ、なら…どう、して…」

 御堂の声は切れ切れで、掠れるような小さな声だった。

「俺は…あんたを、好きだから…」

「…………嘘、だ………」

「嘘じゃない。じゃなければ…壊れたあんたの面倒を…一年近くも
する訳がない…だろう…」

「い、ち…ねん…っ!?」

 何ヶ月か、くらいは覚悟していた。
 しかし…そんなに長い時間が経過していた事に御堂は驚きを隠せない様子だった。
 その肩と指先はワナワナと震えて、内心の動揺を現している。
 
「…ずっと、あんたを待っていた…御堂孝典…」

 その頬に優しく触れて…愛しげになぞり上げていく。
 御堂は瞠目し、信じられないと眼差しで訴えかけていた。

「そ、んなの…」

 壊れる間際の地獄が、一瞬だけ脳裏を過ぎる。
 あんなに自分に酷い仕打ちをして…今まで築き上げてきた全てのものを
奪い取った男が、自分を愛しているという。
 そんなの…有り得る訳がなかった。
 愛しているのなら、何故…あんなに酷い事を自分にし続けたのか。
 あれ程の地獄を、自分が泣いて叫ぼうとも止めてくれなかったのか。

―心を閉ざす程の、痛々しい記憶の数々が…意識が目覚めると同時に
蘇り、御堂の心を侵食していく―

「嘘だ、嘘だ…嘘だ…どこ、まで…お前は…わた、しを…」

 御堂は必死になって自分を抱きしめてくる克哉の腕から逃れようと
身を捩って抵抗していく。
 しかし一年以上、自らの意思で動かす事のなかった身体は鉛のように重く
満足に動かす事すら出来ない。

「嘘じゃない。これは紛れもなく…俺の本心、だ…」

「……ふっ…ぅ…う、そ…だぁ…」

 克哉はこの一年で、強く感じていた御堂への愛情を口にしていく。
 しかし御堂は信じない。受け入れようともしない。
 嫌いなままでいれば…余計な期待もしないで済む。
 あれだけの仕打ちをされても…不思議な事に、御堂は佐伯克哉という
傲慢な男の事を嫌いになり切れなかった。
 けれど、信じたくない。これは自分にとって都合の良い幻とか空想に
過ぎないのだと…必死になって言い聞かせた。

「お前が、こんなに…優しい訳がない。夢なら…早く覚めて、くれ…
こんな夢を見て…また、あんな酷い事を…され、たら…私は、もう…
耐えられ、ない…!」

 御堂の目から、滂沱の涙が溢れてくる。
 痛々しい表情だった。
 しかし…ここまで、彼を追い詰めたのは自分だ。
 その罪の重さを感じ取り、克哉は突き刺さるような胸の痛みを覚えていく。

「御堂…っ!」

 それでも、強く強く抱きしめていく。
 御堂から、抱き返される事がなくても…腕に力を込め続ける。

(それでも…あんたは、帰って来てくれた。どんな憎しみの言葉も
拒絶の言葉も…引き受ける。だから…どうか…どうかっ…!)

 自分の罪は、自らの手で贖うしかないのだ。
 そう心に秘めて…二人の影は朝日の差し込む中―重なり合う。
 それが…新たな、関係の始まりでもあった―。
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  愛している、と心から思った唯一の相手を壊してから
一年近くが経過しようとしていた。
 気位がとても高くて、傲慢で…プライドの塊のようだったかつての姿が
今となっては嘘のようだった。

 彼は…自分を拒絶して、心を殺す事を選んでしまった。
 その日から、瞳から気丈な光は消えて…ガラス玉のように
無機質な目となってしまっていた。
 その日から一年。かつて住んでいた自分のアパートは引き払い
御堂のマンションで克哉は寝泊りを続けて、真摯に…彼の面倒を
見る日々を重ねていた。
 
「御堂…痛くないか…?」

 佐伯克哉はいつものように、人形のようになってしまった御堂考典を
風呂に入れて…丁寧にその身体を拭いていた。
 上質の手触りの大きなバスタオルを使って髪を拭ってから…全身くまなく
タオルを滑らせて…丁寧に雫を取っていった。
 
「ほら…腕を上げて。早くやらないと…お前が風邪を引いてしまうからな。
協力…してくれ…」

 声を掛けても、何も相手が反応しない事など…とっくの昔に判っている。
 それでも普通に接する事を、克哉は止めなかった。
 お互いにこうして…裸になっていても、今は…欲望は何も感じない。
 ただ、糸が切れた操り人形のようになってしまった…御堂を見て、止む事のない
鋭い胸の痛みを覚えるだけだ。

「…………」

 こちらの成すがままに、御堂は腕を上げて…虚空に視線を向けていく。
 決して、こちらを映さなくなった眼差し。
 それを悲しいと思う感傷さえも…今の克哉は失ってしまっていた―

                          *

 初めて会った時、何て傲慢で高圧的な人間だと思った。
 人を見下すような態度が、気に食わなかった。
 だから…徹底的に立場の違いというのを思い知らして、屈服させてやろうと
思って…強引に肉体関係を持った。
 自分達の関係は、そんな動機から始まっていた。

 そんな事を思い出しながら、お互いにバスローブに身を包み…上質なベッドの上に
横たわっていく。
 御堂は…自分で寝返りを打つ事も滅多にない。
 気をつけていなければ、克哉が取らせた格好のまま…一日を過ごして皮膚が
鬱血してしまった事も数え切れないくらいあった。
 だから寝る時も…克哉は2、3時間ごとに起きて…御堂の体制を変えてやっていた。
 最初の頃はきつかったが…今となっては毎日の事だ。
 身体はすっかり慣れて、夜中に2回…目覚めながら寝るのが当たり前になって
しまっていた。

(…俺はこんな事になっても…こいつを手放せないくらいに…
御堂孝典という人間が欲しくて…堪らなかったんだな…)

 御堂は、自分の隣で横たわって…安らかな寝息を立てていた。
 食事も排泄も、身の回りの世話も…全て自分がやらなければ、
今の御堂は一日だって生きてはいられないだろう。
 だからと言って、他の人間を雇って世話してもらう事はもっと
嫌だった。
 ―その為に克哉は、この一年で…飲みに誘ってくれる人間関係の
全てを…このただ一人の存在の為に、失っていた。

「御堂…」

 月光が白いシーツの上に降り注がれて、愛しい人が闇の中に
静かに浮かび上がっている。
 伏せられた表情は…どこかあどけなくて、まるで子供のようだ。
 無防備で、弱々しい…自分が手を貸さなければ生きていけない。
 そんなモノに、彼を変えてしまった自分の罪が…許せなかった。

「御堂…」

 飽く事なく、呼び声を掛けていく。
 しかし起きる気配も、反応すらもない。
 そんな御堂の手をそっと掬い取って…その指先に優しく口付けていく。
 殆ど身体を動かす事のない御堂の身体は、どこに触れても…冷たく
暖めようとそっとその掌を強く握りこんでいく。

「…………」

 声に出せない強い願いを込めて、強く強くその手を握り締めていく。
 暫く手を繋いだままだったおかげで…少しずつだが、氷のように冷たかった
御堂の手に体温と血が通い始めていく。

「いつか…で、良い…帰って来て、くれ…御堂…」

 振り絞るような、切ない声を克哉は漏らしていく。
 今…この万能の能力を持った男が望んでいる事は、出世でも
世界に自分の力を示す事のどちらでもなかった。
 ただ…御堂の閉ざされた心が、いつか氷解して…自ら身体を動かして
話す姿を見たい。それだけしか…望みはなかった。

「…憎しみでも、俺を罵る言葉でも…何でも良い。ただ…俺は…
あんたの声を、もう一度…聞きたい、んだ…」

 声に出さず、静かに克哉は涙を零していく。
 搾り出すような祈りの言葉に…御堂は相変わらず、反応する事さえない。
 こんな夜を、何回繰り返していたのか…すでに数える事も面倒だった。

 涙はいつしか、哄笑に代わり…乾いた笑い声が喉を突くだけだった。

「はっ…ははは…! 俺は、本当に…バカ、だったんだな…。あんたの事を
これだけ…想っていたのに…あんたの心が壊れる前は…ただの一度だって
本心を…言わずに、痛めつけるような真似しか…してこなかったんだからな…」

 自嘲の笑みを浮かべて…御堂に覆い被さり、触れるだけのキスを落として
その頬を撫ぜていく。
 触れた頬も、唇も何もかもが作り物のように冷たく…マネキンのように
身動き一つしなかった。

「帰って、来てくれ…!」

 願いを込めて、強くその身体を抱きしめていく。
 冷たい身体に、それでも確かな鼓動を感じることが出来る。
 まだ、心は死んでしまっていても…身体は生きていてくれている。
 それなら…希望は消えていないのだと、克哉は自分にそう言い聞かせていた。

 それは傲慢な男が作り上げた絶望的な結末。
 どれだけ悔やんでも、一度壊してしまったものが元通りになる事などなく
修復したとしても…その疵は痕を残し続けるだろう。
 
 それでも…清冽な夜の大気と、月光がそんな二人を静かに包み込み
見守っていく。
 折れるくらいに強く御堂の身体を抱きしめながら…いつしか克哉も
深い眠りの淵に落ちていく。

 ―いつか御堂が戻ってくる筈だ―

 克哉はその希望を胸に刻み、今宵も深い闇の中に身を落としていく。
 そう信じる事だけが今の克哉のただ一つの救いでもあった―。

  暫しのまどろみの中に落ちていた意識が浮上していく。
  薄っすらと瞼を開けば、目の前に広がるのは宝石のように輝く夜の息吹。
  御堂の身体は臀部にはタオルが敷かれた状態で…壁際に背をもたれさせる格好で
座らされていた。
 身体の上に掛けられていたのは…自分と、相手の上着。
 相手の匂いがふわり、と鼻腔をくすぐって…何か甘い気持ちが胸を過ぎった。

「ここは…?」

 とっさに状況判断が出来ない。
 身体の節々があちこち軋んで、悲鳴を上げている。
 電灯が落とされた特別展望室内を見回していくと、窓際の方から聞き慣れた声が
耳に届いていく。

「起きたか…孝典…」

 最近になって、言われる事に慣れた呼ばれ方。
 再会してから暫くの間は…ずっと「御堂さん」だったのが、いつから二人きりの時だけ
佐伯克哉がこう呼ぶようになったのか…はっきりと覚えていない。
 意識はせずとも、こう呼ばれるようになった事に気づけば…自分もまた「佐伯」から
克哉と呼ぶように心がけて…ごく最近になって、それが当たり前のように感じられるようになった。
 それが…お互いの気持ちが通い合ってから一年という時間の成果だろう。

「あぁ…あれから、どれくらいの時間が…過ぎたんだ…?」

「30分くらいだ。こちらは大体の片付けは終えてある」

「…片付け?」

「…今夜の痕跡を、ここに残しておく訳にはいかないだろう?」

 その意味を理解して、再び顔がカッとなる。
 そんな自分の反応を、面白げに見ているのだろう。
 御堂は少し憮然としながら闇の中に佇む相手のシルエットを睨んだ。

「…誰のせいだと、思っているんだ…? 君は…?」

「くっく…そういうなよ。…あんただって、今夜は楽しめたんじゃないのか? さっきはあんなに
腰を振ってよがっていたんだし…な…?」

「…本当に、君という男は優しくないな。…まさかこんな処で強引に抱かれるとは
呼び出された時には思ってもみなかった」

 指定された場所が場所だっただけに、最初訝しげに思ったのは確かだったがこの男を
甘くみていた自分が振り返ると…今は少々悔しく思えた。

「…だから、俺といると…刺激的なんじゃないのか? あんたにとっては…?」

 その言葉を聞いて、正直頷くしかなかった。
 この佐伯克哉という男は…自分にとっては、革命者だった。
 初対面の時の眼鏡を掛けた瞬間から別人のように代わり、自分の予定や将来の設計を
ことごとく破壊していき…今まで生きて培ってきた価値観や考え方を変える事を余儀なく
されるくらい、強烈な事を数々とされてきた。

 自分を陵辱し、監禁までして…MGNを退社せざる得ない状況にまで追い込んだ男。
 憎かった筈なのに、最後にこの男が見せた情と…こちらへの好意が、その憎悪を溶かし…
離れてからゆっくりと、この強烈な感情は…恋慕へと、変質を遂げていた。

「…まったく。君はどれくらい私の価値観とか、そういうものを壊し続ければ
気が済むんだろうな…」

「一生だ。その方が…楽しい人生という奴を送れるだろう?」

「…楽しいかどうか定かではないが…確かに、退屈しない人生は送れそうだな。
君といる限りは…」

 会話をしながら、ゆっくりと克哉が歩み寄って…自分の傍らに跪いていく。
 大きな形が整っている指先がこちらの両頬を包み込んで、そっと上を向かされていく。
 …顔を寄せられて、優しくキスをされるのが当たり前の事として受け止められるように
なったのは、果たしていつの事だったのだろうか…?

「飽きさせるつもりはないさ…それがあんたを引き抜いて、俺たちが作った会社に
来させた責任だからな…」

「ほう、それは良い。たまに困らされるが…私も退屈な未来の為に、将来設計や
基盤の数々を壊されたのなら…堪らないからな…?」

 こちらからも、唇を押し付けて…やんわりと唇を吸っていく。
 相手の手がこちらの髪を優しく撫ぜて…梳き始める。
 その心地よい感触に眼を伏せながら…身を委ねていった。

「立てそうか…?」

「あぁ…こうして雑談している間に、少し身体も回復したようだ。…眼が覚めたばかりの
頃よりは随分マシになってきたな…」

 先程までの情事の最中は、自分の方が窓際に立たされて…この鮮やかなネオンの数々を
背負っていたのだろう。
 しかし…今は、彼がその夜の息吹をその背中に背負っている。
 それが…この傲慢な男には、限りなく似合っているような気がした。

「…まるで、君は帝王だな…。私がいる世界をことごとく支配し、破壊して…同時に
君臨して離さない」

「離すつもりなど、毛頭ないがな…やっとあんたの心を手に入れる事が出来たんだ。
このまま一生愛し続けて…傍らにいてもらう予定だからな」

 傲岸不遜な彼らしい物言いに、つい吹き出しそうになる。

「あぁ…それで良い。もう二度と私を置き去りにしていったら…それこそ君を探し回って
それなりの報復はさせて貰うつもりだからな…」

「…怖いな。一体…あんたはどんな報復をするつもりなんだ?」

「…さあな? そんな事は許さないからな。私の世界をことごとく変えてくれた責任は
一生掛けて、取ってもらおうかな…?」

 互いに物騒な物の言い方をしつつも、彼らはこのやり取りを楽しんでいた。
 どこか腫れ物に触れるようだった最初の頃に比べれば、こうして挑発的なことを
口にしても大丈夫になったのは…大した進歩だし、お互いに安定したからだ。

「あぁ…責任は取ろう。俺にとって…あんたは、今は…掛け替えのない…右腕であり
パートナーだからな…」

 その一言に、どうしようもなく満たされる気がした。
 いつしか自分の中で存在を大きくした男に、必要され求められる。
 お互いの眼を見つめあい、楽しげに笑いながらもう一度…そっと唇を重ねていく。

『私もだ…』

 御堂の同意の言葉は、紡がれると同時に唇によってかき消されていく。
 夜の闇の中…二つの影が一つとなり、重なり合う。
 相手の腕の中に包まれながら…もう少しだけ、御堂はどうしようもない
幸福感に己が身を委ねていったのだった―。

  これほど甘くこちらを苛んでいく拷問はないだろう。
  冷たいガラスに身体の前面を押し付けられ、背後には相手の燃えるように熱い体温。
  それでもっとも脆弱な…自分の最奥と、性器の先端を同時に刺激されているのだ。
  幾つもの強烈な感覚を同時に与えられて、御堂の身体は耐えられずに大きな痙攣を
繰り返していく。
 呼吸も鼓動も、そのまま心臓が壊れるのではと恐怖するぐらいに早鐘を打っていた。

「ふぁ…っ! くぅ…や、止め…ろ…!」

 ガラスに爪を立てようとしたが、滑らかな表面には掴みどころがなく…空しく下に
ずり落ちていくだけだった。
 しかし頭を振って嫌がっても相手の指での蹂躙は収まるどころか…一層激しさを増していく。
 アヌス周辺の皺を丹念に伸ばすように、克哉の中指と人差し指が入り口周辺で蠢いている。
 クチュ…と淫らな音を立てながら、浅く深く相手の内部を辿り…ペニスを攻め立てる。

「止めたら、自分の熱を持て余すだけだろう…いい加減、認めたらどうだ…? そうすれば、
あんたが望んでいるものを…あげても良いんだがな…?」

 愉しげな笑みを刻みながら、克哉がこちらを鮮烈な眼でもって問いかけていく。
 こういう時の彼の追及は容赦がなかった。

(…どうしてこいつは、こういう時は心底意地悪なんだ…)

 御堂は非常に自尊心と意地が強い人間であった。
 だから…克哉にこうやって意地の悪い事を言われたり、陵辱めいた事を繰り返されても
精神が壊れる一歩手前まで譲ろうとしなかった事すらあった。
 克哉が求めるように、相手に全てを委ねておねだりするなど…今まで相手にさせた事はあっても
彼以外の人間の前でした事など一切ない。
 この男に無理やり開かれた身体は、両思いになってからは…快楽に関して歯止めが
いつしか効かなくなっていた。
 男の整った指が前立腺を掠る度に生じる、悦楽。
 最初はあれだけあった場所柄に関しての抵抗も…今はどうでも良く。
 ただ…克哉の熱さを己の深い処で感じ取りたい気持ちだけでいっぱいになっていた。

「っ…くっ…! はぅ…ぁ…ふっ…か、つや…も、う…欲…しい…だ、から…」

 余裕のない嬌声と共に漏れるのは、相手の純粋な熱を求める言葉。
 その言葉を聞いて、やっと…克哉は心底満足そうな笑みを浮かべた。

「良い子だ…それなら、たっぷりと…ご褒美をあげないとな…」

 耳元で、低音で囁かれてそれだけの刺激でもイキそうになる。
 長い指が引き抜かれれば…喪失感を覚えたが、すぐに蕾の処に熱いモノを宛がわれて
期待で身体が小刻みに震えていった。
 
「入るぞ…孝典…」

「…はっ…あぁぁぁっ…!」

 すでに柔らかくなっていた内部に…容赦なく挿入されていく。
 そのまま焼き尽くされてしまいそうな熱さに…眩暈すら覚えた。
 うっすらと眼を開けば、飛び込んでくるのは地上に瞬く、ネオンと言う名の地上の星。
 タワーの中の特別展望室。
その大きなガラスの前で犯されるという異常なシチュエーションでさえ肉欲に
火をつけられれば…快楽のスパイスにしかならない。

「やっ…か、つや! もっと…早…くっ…!」

 挿入こそ性急だったが…際奥まで辿り着けば、その内部を掻き回す腰の動きは
ゆっくりとしたもので貪婪になっている今は、そんなのじゃ全然満たされなかった。

「そんなに急くなよ…。せっかくあんたの中にいるんだ…もう少し、堪能させてくれても
良いんじゃないのか…?」

  たっぷりと塗りつけられた軟膏の助けもあるのか…御堂の内部で克哉自身はスムーズに
蠢いていた。
 最初は単調なストロークだけだったが…次第に円を描くような動きに変わっていき
その度に色々な処を擦り上げて、こちらを追い上げてくる。

「はっ…もっ…と! お前が…欲、しい…から…だ、から…!」

「早く、腰を使え…と、いうのか? なかなかの…淫乱ぶりだな。あんたも…」

 眼が闇に慣れたのか、ふとガラスを見れば…闇の中に鏡のように背後の相手の顔が
映し出されている。
 相手の快楽に歪んだ表情に、更に煽られていく。
 気づけばこちらからも腰を大きく揺らして、相手の律動のリズムに合わせ始めていた。

「…自分から、腰を使うとは…な…やらしく、なったな…考典は…」

 クチュ、と耳の奥に舌を差し込まれ…其処を舐め上げられながら胸の突起を弄られれば
相手のペニスをキツく締め付けていた。

「お前が…私、を…そうした、んだろ…! はぁぁぁ!!!」

 ふいに克哉の腰の動きがパンパンと肉を打つようなものに変わった。
 ようやく待ち望んでいた強い刺激を与えられて御堂の身体もまた歓喜でもって
応えていく。
 
「んんっ…! イイ…! か、つや…! 熱、い…ひゃっ!!」

 この段階まで来れば、もう声を抑える事など出来やしない。
 ただただ…相手の与える感覚に身を委ねて、それを享受するだけだ。
 
「あんたの…中だって、凄く熱いぜ…そのまま…こちらを、食いちぎって…
しまいそうなくらいに、キツい…」

「お前の、だって…大、きい…じゃ、ないか…んぁ…!」

 激しい腰使いで、弱い処を突かれ続ければ…御堂の性器からもはしたなく蜜が
零れ続けて…其処を手で覆う克哉の手すら汚していく。
 律動に合わせて緩く扱かれるだけだった手の動きもまた…先端を重点的に
攻めていくものに変わればすでに御堂にとって、その感覚に抗う術はなかった。

「はっ…ふぁ…だ、駄目だ…お、かしく…なるっ!!」

 圧倒的な快楽の前には、理性も何も打ち砕かれた。
 克哉の性器が一層大きく熱を持ったのを最奥で感じられる。
 それを夢中で頬張るような動きになっているのを自覚し、更に羞恥は高まっていく。
 だがこの段階まで昂ぶればすでに何であろうと関係ない。
 深い愉悦を求めて、互いの身体を重ねて求め合う以外に…この欲望を満たす
方法はないのだから―。

「も…駄目、だ…か、つやぁ…」

 普段の御堂ならば、決して出さないであろう切羽詰った声音。
 それを聞いて克哉もまた限界近くまでペニスを張り詰めさせていく。
 相手の内部を己の先走りで更に濡らしていき、頂点を目指そうと激しく
御堂の身体を突き上げ続けた。

「…俺も、イクぞ…孝典…」

 グイっと強く性器を握られながら深く抉られて、こちらも感極まった。

「あぁっ…!」

 一際大きい声を漏らして、御堂が達していく。
 ほぼ同時に克哉も達して…熱い精が堰を切ったように御堂の身体の奥へと
解放され…流し込まれていった。

「孝典…愛して、いるぞ…」

「っ!!」

 滅多に囁かれない言葉に、御堂は瞠目する。
 しかしすでに達した疲労感で意識ははっきりせずに…ぎこちなく振り返るくらいしか
出来なかった。
 荒い息を整えながら、振り絞るように…小声で、呟く。

「そんな、のは…私、も…同じ、だ…」

 やっとの想いでそう口に乗せれば、グイと顔を引き寄せられた。
 お互いの気持ちを確認しあうような熱いキス。
 それだけで…こんな場所で無理やり抱かれた事も何もかもがどうでも良くなって
許せてしまいそうになる。

 甘い幸福感に浸りながら…そのまま克哉の腕に支えられて、御堂の意識は
一時…深い闇の中へと落ちていった―。

 

 唇は酷く甘く、極上のワインよりも深い酩酊感を御堂に齎した。
 こちらの抵抗などものともせずに、克哉の舌先がこちらの口腔を犯していく。
 
 クチュ…ピチャ…チュル…。

 互いの脳裏に淫靡な水音が響き渡り、それだけで劣情を呼び起こされていく。
 相手の舌が的確にこちらの敏感な場所を擦り上げる度に、脊髄すら焼き切れて
しまいそうな熱と、強烈な快感が全身を走り、抗う気力すら奪われそうだ。

「佐伯、やめ…っ…!」

 必死に抵抗するが、払いのける腕の力すら弱々しくなっている。

「…何が嫌なんだ…? こんなに…キスだけでここをこんなに硬く張り詰めさせている癖に…?」
  
 克哉の膝が容赦なく御堂の股間を攻めていく。
 何度かそうやって服の上から押されるだけで、鈍い快感が襲い掛かってくる。

「…誰がそうしていると思っている!」

「…ほう? あんたは俺以外に…誰がいると思っているんだ?」

「お前以外にいる訳がないだろうが! いいから…離せ!」

 もがいて克哉の腕の中から逃れようとするが、揉み合っている内に御堂の身体の前面は
大きなガラスの方に押し付けられていった。
 背後からしっかりと抱きすくめられて、今度は克哉の胸の中に背中を向けた状態で
閉じ込められる形になった。
 ふいに臀部の谷間に、硬い感触を覚えて…背筋に悪寒が走った。

「…っ!」

「…相変わらず、あんたは察しが良い…」

 ズボンの布地越しに、克哉の熱を感じて…御堂の身体の奥に言いようのない情欲が
湧き上がっていく。
 無理やりに陵辱された時は恐怖しか覚えなかったモノも、今となっては…それは御堂に
深い快楽を何度も与えていた。
 まるでパブロフの犬だ。これだけの動作で克哉が与えてきた悦楽を思い出して…身体の
自由さえ奪われてしまっている。

「はぁ…ぁ…」

 何度も、尻の谷間に硬いものが擦りつけられて…間接的に御堂の後蕾を刺激していく。
 それだけで奥まった箇所がヒクつき始めて堪らなくなる。
 淫らに腰が揺れて、まるで強請っているかのような動きをする己の身が恨めしくすらあった。

「…あんた、口では嫌と言っている癖に…身体は反対の事を訴えているんじゃないのか?
さっきから物欲しそうに腰が揺れているぞ…?」

 ふいに克哉が首筋に顔を埋めて、色濃く痕を刻み込んでいく。

「ひゃう!!」

 突然に走った鋭い痛みに、とっさに声を抑えられなかった。
 そうしている間に胸の突起を同時に背後から摘まれ…指先で異なるリズムで捏ね回され、
一瞬だけ片方の突起を強くつねられて、強烈な痛覚と快楽が脳髄を走り抜けていく。

「はぁぁっ…ぅ…!!!」
 
 その身が大きく震えて、嬌声が唇から零れた。
 幾らこちらがもがいても、その魔手が身体から離されることはない。
 じわじわ…とこちらを快楽で苛んで、まともな思考を破壊尽くされていった。

「い、やだ…佐伯! こんな、処では…誰の目に触れるか…判らないんだぞ! 止めてくれ…!」

 こうやって仕掛けられたのがホテルか、お互いの自室のベッドの上ならばここまで強固な抵抗を
御堂はする事なく…彼に身を委ねていただろう。
 しかし、こういった場所ではどうしても…万が一の最悪の事態が脳裏をよぎって、どうしても
行為に集中など出来ない。
 それにいい加減…克哉も焦れてきたらしい。
 最初は相手のイキの良さを楽しんでいたが…これだけ煽っても「止めてくれ」という単語を
口にする御堂に苛立ちを覚えていく。

「…困ったな。あんたのぼうやも、身体も…どこも俺を欲しがって堪らなくなっている癖に
まだそんな口を叩くんですか…?」

「当たり、前だ…! 場所というものを考えろ!」

 御堂のその気丈な目は、克哉の男としての征服欲を酷く刺激していく。
 いつまでも屈服する様子が見えない相手に…過去の焦燥めいた思いが胸の中を満たしていく。

「なら…教えてやるよ。言っていることと…あんた自身がまったく噛み合っていない事にな…」

 いきなりズボンと下着が一気に引き下ろされると、冷たい感触が臀部全体に
広がっていく。
 恐らく感じからして、潤滑用に使うローション系の類だろう。
 それが尻房の上部から伝って、奥の蕾の周辺をしとどに濡らしていく。
 其処に鉤状に丸められた指など宛がわれたら堪ったものではなかった。
 克哉の指が的確に御堂の弱い箇所を探り当てて…指の腹で容赦なく擦り上げていく。
 もう、ここまでの強い感覚にこちらも抵抗する気力を根こそぎに打ち砕かれた。

「くっ…あぁっ!!!」

 堪え切れずにまるでエビのように身体を幾度も跳ねさせていく。
 そのままもう一方の手でペニスを扱かれて…御堂のモノは、すでに今にもはち切れんばかりに
熱い蜜を滴らせていた―。

 

 

 
  特別展望室の明かりは全て落とされていた。
  そのせいで窓の向こうに広がる夜景が、圧倒的な力を伴って網膜に飛び込んでくる。
  赤、青、緑、黄、橙、白…夜の街にはこれだけの色彩がひしめき、瞬いていた事に
御堂は驚きを隠せなかった。
 室内が真っ暗でなければ、日常の中に当たり前に存在する光が…これだけ美しかった事に
改めて気づく事はなかっただろう。
 
 地上よりほど高い場所にある展望室。
 静寂をたたえた其処に、一人の男のシルエットが浮かび上がる。
 夜の光を背後に称え、眼鏡の奥に傲慢な輝きを宿したその男の姿を見て…御堂は
心臓が早鐘を打つのを感じた。

「…来たか、御堂…」

 男は、不敵に笑う。
 この男は記憶にある限り、眼鏡を掛けている時はいつだってこうやって自信満々の表情を浮かべる。
 おどおどした態度をしていた頃の記憶はすでに遠い。
 まるでこの夜の全てを統べる帝王がごとく、堂々とした態度で…
男―佐伯克哉は、前面ガラス張りの展望室に佇んでいた。

「来たか、じゃない…何だって君は私をこんな処に呼び出したんだ?」

「…ほう。それが判らないほど、お前が野暮だったとはな…」

「…佐伯。まさかと思うが…これはお前からのデートの誘い…なのか…?」

 コツ…コツ…。
 静かな室内に、御堂の上等な靴の音が響き渡る。
 不遜な男の下に、一歩ずつ歩み寄り…真っ直ぐにその顔を見据えていく。
 目の前の男の口元に、不敵な笑いが刻まれている。

「…仕事上がりに、お前に場所の指定をした。それだけで…察してくれても
良さそうなものだがな…」

 低く掠れた声音。
 それだけで腰に来そうなくらいに甘さを帯びながら…克哉の指先が御堂の頬を
そっと静かに撫ぜていく。
 冷たい指先が整った頬の稜線を辿り…耳の後ろから、項の辺りをやんわりと
辿っていく。

「…っ!」

 それだけで電気が走ったかのような…鋭い感覚が走っていく。
 …例の一件から立ち直り、彼と再会して…一緒に会社を興してから一年近く。
 自分の身体はすでにこの男の与える感覚に慣れすぎてしまっている。
 飽きるどころか、日にちを重ねる度に自分の知らない神経が開拓されている感じだ。
 それだけの動作で肩を揺らした御堂を、克哉は面白そうに眺めていた。

「…まだ、頬を撫ぜただけだぞ…?」

「…誰が、私をこんな身体にしたと思っているんだ…?」

 気丈な眼差しで、克哉を見つめ返していく。
 その澄んだ瞳に、こちらへの欲情の色を感じ取って…御堂の鼓動も落ち着かなくなっていく。
 幾度も訪れた、独特の濃密な空気。

「…俺以外には、ありえないな…」

「…判っているじゃないか…」

 互いの瞼を伏せて、唇が重なり合う。
 触れるだけのキスが暫く…続いた。

「ふっ…」

 口の端から漏れるのは、甘い声と熱い吐息。
 触れるだけのキスでこれだけ昂ぶるのだから本当に重症だ。
 克哉の手が背広の内側に忍び込んで…シャツの上から御堂の腰のラインを辿っていく。

「ん…さ、えき…」

 軽く唇を吸われれば、陶然とした表情を浮かべて口付けを享受していく。
 しかし…克哉の腿が、こちらの足を割り始めた辺りでぎょっとなった。

「なっ…! 何を…」

 今夜は指定された場所が場所だから、こうやって夜景を楽しみながら
甘いキスや抱擁を楽しむだけだと思い込んでいた。
 しかし…こちらが戸惑っている間に克哉の魔手は確実に伸びてきて…
こちらのシャツのボタンををやや荒々しく外し始めていく。
 均整の取れた御堂の胸板が外気に晒されていくと…克哉は強気な笑みを
浮かべていった。

「…判らないのか? 今夜…ここで、あんたを抱くつもりだが…」

 その言葉に、一瞬…相手の正気を疑った。

「な、何を考えている! ここをどこだと…!」

「心配するな。その為に貸切にしたんだ…ちゃんと担当の人間に言い含めてあるから、朝までは
誰もこのフロアに立ち入る心配はないぞ…?」

「そ、そういう問題じゃない! こ、こんな処で出来る訳がないだろ!」

 羞恥で顔を真っ赤にしながら訴える頃には、気づけば窓際まで追い詰められていた。
 大きなガラスと、克哉の身体の間に閉じ込められていく。

「…あんたの意見は、聞く気はない。…今夜、俺の誘いを受けた時点で…合意したと
見なさせてもらう…」

「ふざけ…っ!」

 御堂が最後まで言葉を終える前に、その叫び声は…傲岸不遜な男の唇によって吸い取られた。
 
 

 ある秋の夜。
 御堂孝典は指定された場所へと、タクシーを出して急いでいた。
 今現在、自分達が興した会社を退社したばかりだ。

(まったく…あいつは、本当に傲慢すぎるにも程がある…)

 タクシーのシートの上で、軽く憤慨しながら…自分の公私にわたるパートナーに対して思考を巡らせていく。
 彼は本日分の自分のやるべき仕事を終わらせてさっさと帰っていった癖に、こちらが丁度仕事を片付け終える時間に丁度電話を寄越して、いきなり呼びつけたのだ。
 しかも、こういうパターンの場合…いつもならば使い慣れたホテルなのに、何故か今夜に限っては展望タワーを指定してきたのだ。
 少し不可解に思いながらも、惚れた弱みという奴だろうか。
 御堂は深い溜息を突きつつも、相手の元に真っ直ぐに向かっていく。

 タクシーの窓の向こうに広がるのは、色鮮やかなネオンの群。
 一つ一つの光は、まるで生き物のように光り輝き、蠢いている。
 そんな深夜の街の息吹に触れている内に…車は目的地へと辿りつき、五千円札を一枚運転手に手渡して悠然と言い放っていく。

「つりはいらない。そのままで…」

 態度こそ、いつものままだが…本音を言えば運転手がつり銭を用意する時間すらも今は惜しい。
 だからそんな太っ腹な事を言ってのけて、タクシーを降りていく。
 この展望タワーはいつもなら、この時間帯はカップルたちで溢れている。
 しかし今夜は…どこか活気がないように見受けられた。
 だが、そんな違和感など頭の隅に追いやって…入り口に足を踏み入れていく。
 
(何故…こんなに人が少ないんだ?)

 先程感じた違和感は、更に強まっていく。
 夜のこの時間帯に、デートスポットとして有名なここがここまで閑散としているのは少しおかしい気がした。

「御堂孝典様ですか?」

 しかし、そんな事を考えていると…エレベーターの前に立っている女性から声を掛けられいていく。
 服装からして、この展望台の案内係…といった処だろう。
 髪を綺麗に纏め上げ、薄い控えめなメイクをしている処が好感が持てた。

「あぁ…そうだが…」

「はい、それなら…お連れ様の佐伯克哉様が展望室でお待ちです。伝言を頼まれましたので…確かに御堂様にお伝えしました」

 恭しく女性が頭を下げて、伝言を伝えていく。

「…後、本日21時からは佐伯様の希望で、当タワーの特別展望室は貸切となっております。ゆっくりと夜景をお楽しみ下さいませ。それでは失礼致します」

 言葉を言い終えると同時に、女性は御堂にエレベーターに乗るように動作で薦めていった。
 その優雅な動きは、洗練されていて見ているだけでつい目を奪われる程だ。

「あぁ、ありがとう。それでは失礼するよ…」

 そう告げて、御堂はエレベーターに乗り込み…特別展望室へと向かっていった―。

 
 

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小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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