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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  2009度のクリスマス小説。
  克克ものです。ちょっとサンタクロースの逸話を
  ネタに使っているので宜しくです。
  微妙にヒヤっとする描写もあったりしますのでそれを
 了承の上でお読み下さい。コミカル、ギャグ要素も有。

  白と黒のサンタ               

  
  クリスマスイブの夜にもう一人の自分が唐突に現れ、赤ではなく、
白と黒のサンタクロースの衣装に身を包み…今年、自分と深く関わった
五人の相手にクリスマスプレゼントを一緒に配ることになった。
 そして最初の秋紀の家に行った時に意味深な笑みを浮かべて
いきながらもう一人の自分は確かにこういった。

 ―この埋め合わせはお前自身に取って貰うぞ…

 目の前で他の人間を…秋紀をもう一人の自分に抱いて欲しくなくて
阻んでしまった時、確かに彼はこういった。
 おかげで本多、片桐、太一、御堂の家にそれぞれ回っている間も
その発言が頭の中でグルグルと回っていて、集中出来なかった。
 秋紀の時には積極的に自らチョッカイを掛けようとしていた癖に
他の家を回っている時は眼鏡は非常に大人しかった。
 その事に克哉は軽く拍子抜けをした程だった。
 むしろ寝ている皆の方がなかなか愉快だったり意外な反応を
見せていたくらいだった。

 本多は寝ぼけて眼鏡の方に強く抱きついて、渾身の一撃を喰らって
床に撃沈をする羽目になり。
 片桐はメソメソしながら克哉の方にしがみついて…こちらが
全力で肩を叩きながら慰めて寝かしつけることになり。
 太一は寝ぼけている間、眼鏡を異常なぐらいに敵視して思いがけない
黒い一面を見せていき。
 御堂に至っては二人の克哉に対して非常に威圧的な態度を決して
崩さずに、寝ぼけていても妙に凛々しさを感じさせていた。

 それでも基本、全員が眠り薬で眠らされている状態だったので
意識を覚醒させても10分前後で再び寝入ってくれたので…プレゼント
配達自体はスムーズに完了した。
 そのおかげで日付変更間際には克哉の自宅のマンションに戻ることが出来て、
克哉はホっと一息をついていった。

「は~これで無事に終わったんだよな~。つっかれた~」

「…あぁ、とりあえず今夜用意してあったプレゼント箱はこれで殆ど
配り終わった。後はゆっくりとするだけだな…」

「…へ? 殆ど…? まだ一つ残っているのか…?」

「ああ、お前宛のが一つ残っている。最後のプレゼントはお前のだ」

「えっ…?」

 ただ一方的に手伝わされるだけだと思っていただけに、今の眼鏡の
発言は虚を突かれて驚いてしまった。
 しかし嬉しいという気持ちも同時に湧き上がっていった。

「オレに…プレゼント、用意してくれていたんだ…」

「ああ、まあ…用意したのはあの男だがな。良かったら開けてみろ…」

「うん!」

 そうして眼鏡は一通の封書を懐から取り出して克哉に手渡していった。
 
(手紙…? 何かのチケットか何かかな…?)

 他の人間に配ったプレゼントがそれなりの大きさの物ばかりだったのに
比べて…克哉用に用意されたものはどうみても手紙だった。
 だが、どんな形であれ贈り物が用意されていたことに嬉しくて…
克哉は警戒心を怠ってしまった。
 其れを素直に受け取って、相手に尋ねていった。

「ねえ…これ、すぐに開けても良いのかな…?」

「ああ、好きにしろ…」

「ん、判った。じゃあ…開けさせてもらうね…」

 そうして克哉は丁寧な手つきで手紙を開封していった。
 其処には一枚のメッセージカードが入っていた。
 そして流暢な文字で簡潔にこう記されていた。

『一仕事、どうもお疲れ様でした。
 今宵、私のお店に改めて貴方様を招待させて頂きます。
 甘美な一夜をどうか…もう一人のご自分と過ごされて下さい

                         Mr.Rより愛を込めて』

 最後の署名まで目を通した瞬間、ふいに部屋中に甘い香りが
いつの間にか漂っていたことに気づいた。

「っ…! 何だ、この甘い香りは…?」

 その匂いは脳内を官能的に蕩かすような…蟲惑的な芳香だった。
 あ、と思った時にはすでに遅かった。
 猛烈な眠気とだるさを同時に覚えていく。
 指先の一本すら満足に動かせない状況に追い込まれていった。

「な、んだよ…これ…」
 
 克哉はようやくこの段階になって危機感を覚えていった。
 その瞬間、もう一人の自分の声が鮮明に頭の中に響いていった。

―さあ、もう日付が変わる頃だ…。そしてクリスマス当日を迎える…
お前に忘れられない一夜を俺からプレゼントしてやろう…

 その言葉を聞いた瞬間、期待するように…克哉の背中に甘い痺れが
走りぬけていく。

「意識、が…もう、遠く…」

 そう力なく克哉が呟いた次の瞬間…重い暗幕に覆われてしまったかのように
克哉の意識は急速に闇の中へと落ちていった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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