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オムニバス作品集(CPランダム。テーマは「メッセージ」で共通しています」
※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。
本多×克哉? ガムガムメッセージ 1(完)
眼鏡×秋紀 愛妻弁当 1 2 3 4(完)
太一×克哉 二人の記念日 1 2 3 4(完)
本多×松浦 光に託して 1 2
―唐突に部屋の明かりが消されて真っ暗になり、松浦はかなり
身構えてしまっていた。
本多の自室で、いきなり明かり一つない状況に陥ってしまい…
妙に緊張してしまっている自分がいた。
何故、突然本多は部屋の明かりを落としてしまったのか
その意図を察する事が出来ない分だけ不安はジワリと広がっていき
闇の中で彼は困惑した表情を浮かべていった。
(あいつは一体…何を考えているんだ?)
これはただ単に、呆れて帰ろうとするこちらの足を止める為
だけの行動なのだろうか?
だとしたら確かに効果はあったと言えた。
実際、何年振りかに来た部屋で明かりが消されてしまったら…
すんなりと玄関の方に向かうにはそれなりの時間が掛かってしまう
事になるだろう。
「…玄関は、どっちの方だ…?」
思わずそう呟いた瞬間、ガシッ! と手首を掴まれていく。
「いつっ…!」
「そこか、宏明…なあ、まだ…帰るなよ…。まだ本題は終わってないから…
せめて、それが終わるまで…な?」
「…用っていうのは、一体何だ? くだらない事だったら…帰るぞ」
「くだらなくねえよ…。俺なりには結構真剣なんだからな…」
その時の本多の声は思いがけず低くて、どこか真摯なものが
含まれている事を感じ取っていった。
少なくとも声の調子からふざけている様子はないと察すると…
松浦もまた相手を邪険にはし辛くなった。
「…こっち、来てくれよ…」
「…判った、もう少しだけ付き合ってやろう…」
「…ん、サンキュ…」
そして、真っ暗闇の中で…本多に手を引かれた状態のままで
ゆっくりと連れて行かれていく。
少しするとガチャ、と扉が開く音が聞こえた時…何となく位置的に
此処は本多の寝室ではないかと察していった。
こう視界が効かない状態では方角も何も全く判らないが、部屋の
構造的にさっきまでいたトレーニング道具各種が置かれている部屋から
扉があって続いているのは寝室だったのは辛うじて覚えているからだ。
(こいつは寝室に…何で俺を連れていこうとしているんだ…?)
何となく其処に色めいたものを感じてしまって、松浦はガラになく
落ち付かなくなっていった。
まさか、こっちに何か仕掛けるつもりなのだろうか…? と思うと、
ベッドの上にさりげなく腰を掛けさせられる。
「…ちょっと其処に座って待っていてくれよ。準備してくるから…」
「っ…! 準備って、何をするつもりだ…」
「…心配するなよ。そんな変な事じゃねえから…。一応そのつもりだったから
直ぐに終わるからよ。ちょっとだって失礼するぜ…」
「おい、待て…本多! お前、一体何を…!」
と問いかけるが、いきなり本多から手を離されて一気に相手の存在が
遠くなり始めていく。
こうなると…良く構造を知っている人間とそうでない人間との差は明らかに
歴然となっていった。
手さぐりで周囲の状況を探ろうとするが…サラリとしたシーツの手触りと
ベッドのスプリングぐらいしか感じられない。
ある程度手を伸ばしてもベッド以外の物の存在が感じられない処から…
自分が腰を掛けているのが寝具の中央付近であるぐらいしか情報を
得る事は叶わなかった。
そうしている間に少し離れた位置から、本多がガサゴソと何かを
探っている音だけが響いていく。
そしていきなり…パチン、と鮮烈な明かりが灯されていった。
「うわっ! 何だ…!」
「やっとスイッチが見つかったぜ…。なあ、宏明…モールス信号って
覚えているか? お前が昔…合宿に行く時にいざって時の為にそれぐらいは
頭に入れておけって…一覧表を手渡した事がある奴?」
「…モールス信号? ああ…ちゃんと覚えている。もう何年も使って
いないからうろ覚えになっている部分があるけどな…。あの部にはお前と
同じようにあまり考えずに動いて、たまに大変な事を引き起こす単細胞な
奴が多かったからな…。海や山に合宿する時、それぐらい覚えておかないと
当時は安心出来なかったからな…」
「そうそう、お前って昔から心配性っつーか…俺らの中では珍しく色んな
事まで気を回して、あれこれ予め準備しておく奴だったもんな…。俺も当時は
面倒くさがってなかなか覚えようとしなかったけど…お前、夏が来る度に、
特に俺がキャプテンになってから耳にタコが出来るぐらいに覚えろって
うるさかったからな…。それ、覚えているだろう?」
「…ああ、まとめ役になるなら万が一の時に備えて…遭難した時に誰かに
伝達する手段を覚えておくに越した事がないだろうに…。あの時、俺は何度も
お前に言ったのに…結局、覚えなかったからな…」
そう呆れ口調で昔の事を語っていくと、思いがけず強い口調で本多
本人から否定されていった。
「…そうやって人の事、決めつけるんじゃねえよ…。覚えてないって
いつ…俺が言ったんだよ…?」
「えっ…?」
そして本多は、自分の右手に持っている懐中電灯を動かし始めて…
長短をつけて明かりを明滅させ始めていく。
モールス信号にはアルファベット版と、ひらがなに対応しているものと
数字に対応しているものの三種類がある。
とっさにどれか…と迷った瞬間、本多は短く注釈を加えていった。
「これは和文符号の奴だぜ…」
そして文字と文字の間に少し、間を空けていきながら文字を動きと
光を点滅させる形で作っていく。
最初の動きは、「あ」。
次はどうやら…『り』のようだった。
確かに夏の合宿が近づくたびに不安になって在学中は覚えていざという時に
備えていたが…社会人になってから半分忘れかけていた知識だった。
だが、本多の動きはひどくゆっくりだったおかげで…辛うじて、何を描いているのか
理解出来ていった。
そして三文字目は「か」の文字に濁音である「・・」が二個足されて
「が」を作っていくのに気付くと…何を作ろうとしているのか松浦は
大体察していく。
そしてすぐに「と」と「う」が予想通りに足されていった。
『ありがとう』
そう、光に託されて伝えられていくと…本多の照れくさそうな声が
聞こえていった。
「何で、こんな形で…そんな、言葉を伝えるんだ…お前は…?」
松浦が声を震わせながら問いかけていけば、本多の照れくさそうな声が
直ぐに返って来た。
『ああ…お前がまた俺とこうして一緒にいてくれるようになった事、俺のしたことを
呆れながらも許してくれた事と…お前が俺に教えようとしてくれた事をちゃんと
覚えているって…伝えたかったからな。だから…ない頭を考えて必死に
考えたんだぜ…』
「お前、は…」
その言葉を聞いた時、松浦の脳裏に…大学時代の、夏の合宿前に
いつもやっていたくだらないやりとりが急速に思い出されて、とっさに
彼は言葉に詰まっていったのだった―
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当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。