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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は結ばれて結構経過した眼鏡と御堂のお話です。
ふとした瞬間に、黒い欲望を克哉は覚えてしまい…それを
どう抑えるか、忠実になるか眼鏡が葛藤を覚えるお話です。

『刻印』            


―人間の中には、好きな人に全てを受け入れて貰いたいという願いと共に…
相手に嫌われてしまうかも知れない事は、絶対に隠しておきたいという
相反する欲求が、恋愛をすると同時に生じていくものだ

 克哉が御堂と結ばれてからずっと、ドス黒い…相手を苛めたり、
辱めたいという気持ちを抑えるようになったのは…せっかく得た
愛を失いたくないと思うようになっていたからだ。

(だが、あんたは…そんな俺のどうしようもない感情を受け止めて、
そんな事は何でもないと…そう言ってくれた。もう全て知っているんだから
今更無駄だと…。それで凄く、俺は救われた気持ちになれた…。
嗚呼、本当にあんたの心が得る事が出来て…俺は幸せ者だよ…)

 心の中からそう噛みしめていきながら、性急に御堂の服を全部
剥いていく。
 こんなに清々しい気分になったのは本当に久しぶりだった。
 愛おしくて、急きたてられるような感情に突き動かされながら
早く御堂を感じたくて、一つになりたくて…相手を全裸にしていった。

「こら、克哉…がっつくのは良いが、君もちゃんと脱げ…! 私だけ
裸なのは、嫌だぞ…!」

「ああ、判っているさ…。あんたと抱きあう時に服など邪魔なだけだからな…。
ちゃんと肌でしっかりと感じ取りたいからちゃんと脱ぐさ…」

「…いちいちそんな事を口に出して言わなくて良い…だから、
早くしろ…!」

 御堂は少し焦れたように言いながら、克哉の服を脱がすのを手伝って
ジロリとこちらを睨みつけてくる。
 そんな仕草すら凄く愛おしく感じて…克哉は相手の身体にまた
一つ、色濃く痕を刻んでいった。
 首筋や、鎖骨に…赤く刻まれていく痕を見る度に、喜びと同時に支配欲が
満たされていくのを実感していった。

「っ…! 何か、今夜は随分と私にキスマークをつけまくるな…。
あまり、つけるなと言っているだろう…? 君がそういうのを目立つ場所に
つけると…ジムで着替えしたりプールで泳ぐのも少々…恥ずかしくなって
しまうんだぞ…」

 そう、御堂は健康と体型の維持の為に定期的にスポーツジムに
通って汗を掻くようにしている。
 克哉はそれを知っているから…抱きあった時も、キスマークの
類は極力つけないように配慮していた。
 つけるにしても出来るだけ見えにくい位置にしたり…抑えたり。
 けれど今日は…そんな配慮をしたくなかった。
 嬉しくて愛おしい気持ちが溢れてくるからこそ…相手の身体に
自分の刻印をしっかりと刻みつけたくて、だから苦笑しながら
克哉は首を振っていった。

「ああ、あんたの事情を良く知っている…。だから抱きあっても出来るだけ
つけないように気をつけていた。だが…今夜はあんたが愛しくて、
同時に俺を刻みつけて、俺のものなんだって…証を残したくて仕方ない
心境なんだ…。だから、我儘と承知の上だが…許して、くれ…」

「…全く、君はズルいな…。そんな目をしながら頼まれてしまったら…
突っぱねられない、じゃないか…」

 そうして…御堂は小さく溜息を吐いて…首を横にプイと向けていった。
 その時、不意に…ベッドサイドの机の上に新品のビデオカメラの
箱が置いてあるのが目に入っていった。
 其れを見た途端、思わずビクっと怯えたような目を向けていった。

「なっ…! 何であんな処に…ビデオカメラが…?」

「っ…!」

 其れは、苦い思い出が付きまとうアイテムだった。
 かつて御堂が住んでいたマンションに初めて克哉が訪れた日…
良いワインが手に入ったからと言って、接待をすると承諾した日…
酒に一服盛られて…身体の自由を奪われて、そして強姦された
場面をビデオカメラに収められた事があった。
 御堂に気づかれた事に対して、そう呟かれた事に対して克哉は軽く
目を見開いていった。
 だが…軽く息を吐いて、正直に観念していった。

「…今夜は予想外の展開に転がっていたから、切り出し損ねて…失念
してしまっていたな…。そうだ、あれは俺が用意した。今夜…あんたと良いムードに
持ち込めたら…一緒にあれで俺達が抱きあっている場面を撮影しないか、と
持ちかける為にな…」

「なっ…君は一体、何を考えているんだ…! しょ、正気か…!」

「ああ、至って正気だね。…ま、今夜じゃなくても…来週でも、さ来週でも
あんたがこの我儘を受け入れてくれそうな、上機嫌の時にでもさりげなく
提案してみるつもりだったが、見られたなら仕方ない…。御堂、
せっかくお互いの気持ちが通い合ったのを改めて確かめられたんだ。
今夜は…良ければ、これで愛し合った事を記録しておかないか?」

「なっ…そんな、事…出来る訳が、ないだろう…! 君はかつてした事を
反省していないのか!」

「…反省しているし、悔い改めているさ。だから…今度は、脅迫する為の
ものじゃなく…ちゃんと「愛し合っている」証を残したいって動機で…
これを購入したんだがな…」

「あ…」

 そう言った、克哉の顔を見て…切なそうな、同時にこちらに対しての
愛おしさが溢れているような…そんな表情を見て、何となく意図を察して
しまったのだ。

「…そう、か…。君は、あの出来事を上書きしたいから…あれを買ったのか…?」

「ああ、そうだ…。今度は、証として…残したいと思ったからな。まあ…あんたが
どうしても嫌だっていうのなら、強要はしないがな…」

 そして、傲慢な男はこちらに選択肢を与えてくる。
 かつては一方的に犯され、そして記録を残された。
 それは御堂にとって地獄の日々の始まりを告げていたが…今の佐伯克哉は
どんな時だって、御堂に選択の自由を与えようと心掛けてくれている。
 だから…少し迷った末に、相手に強く抱きついて…その肩口に顔を埋めて、
表情を悟られないようにしながら…答えていった。

「…愛し合っている時間を、形として残す為なら…構わない…だが、
絶対に、他の人間に見せるなよ…!」

「ああ、当たり前だ…。あんたの一番綺麗でいやらしい姿を…俺以外の
人間に見せるなんてもったいない真似は絶対に、しないさ…」

「なら、良い…。好きにしろ…。君が変態で意地悪でどうしようもない男だって
知っている上で愛しているってさっき言ったばかりだからな…。受け入れてやろう…」

 そう、悪態をつきながら…こちらの我儘を受け入れてくれている御堂に
向かって克哉は、腹の底から笑いながら言った。

―ああ、本当にあんたは最高だよ…孝典! 

 そうして克哉は腕を伸ばして、箱を手に取り…ビデオカメラを取り出して、
録画の準備を施していったのだった―

 


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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