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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 現在連載中のお話のログ

この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。

いつかのメリークリスマス                       10

 目の前に広がるのは白と深い蒼のイルミネーションに飾られた
大きなクリスマスツリーと、目にも鮮やかな夜景だった。
 ホテルの一室、大きく取られた窓の向こうには光の洪水とも
言える光景が広がっていて…言葉を失っていった。
 まるで地上に、数多の色合いの宝石が散りばめられて輝いている
ように見えて…克哉は感嘆の声を漏らしていった。

「凄い…綺麗、です…」

「そうか、君が気に入ったなら良かった…ここは私のとっておきの
場所だからな…」

「そう、何ですか…?」

「ああ、このホテルのスィートルームは今ぐらいの時期にはとても綺麗な
イルミネーションが見えるからな…。もし、今年のクリスマスを一緒に過ごせるなら
此処が良いと思っていたから手配しておいた…。二カ月前、からな…」

「えっ…?」

 部屋の内装を見るだけでも、一泊するだけで相当な値段がする事が
判る豪奢で上品な内装をしていた。
 ヒラ社員である克哉には全く縁のない室内。
 確かにこのクラスの内装が施されている広い間取りのスィートルームを
この時期に確保するとなったら、相当前から用意していなければならない
事は克哉もすぐに察していた。
 その言葉に、克哉は驚いていく。
 だが御堂は実に照れくさそうに口元を覆っていた。

「…御堂さん、今…何て言いました…? 二か月前って…まだ、オレ達は
恋人同士になっていない頃じゃあ…」

「ああ、そうだ。このホテルの予約は大体二か月前から受け付けている訳だが
その頃には…私は、クリスマスぐらい君と一緒に…このイルミネーションが綺麗な
この部屋で一緒に過ごしたいと…そう考え始めていたという事だ…」

「そ、それって…」

 その言葉に含まれている意図を察した途端、克哉は涙ぐみそうに
なってしまった。
 恐らく二か月前と言ったら、自分もまた御堂との関係の在り方に大きな
疑問を覚え始めていた頃だった。
 身体を重ねているが…御堂がどう想っているか、その気持ちが判らなくて
見えなくて…葛藤を重ねていたのを良く覚えている。

(二か月前から…御堂さんがそんな風に、想ってくれていたなんて…凄く嬉しくて…
眩暈がしてしまいそうだ…)

 たったそれだけの事でも、嬉しくて。
 あの長い迷路を彷徨っていたような時期の中でも…御堂の気持ちは
確かにこちらに注がれていたのだと自覚した途端、涙腺が緩んでいってしまった。

「どうしよう…凄く、嬉しいです…」

 嬉しくて嬉しくて、克哉は透明な涙を浮かべて幾つも零していく。
 けれどその顔は、確かに笑みが刻まれていた。
 自分の意思と関係なく涙は零れるけれど…其れは、あまりに幸福だったから…
その気持ちが溢れてくるから流れるものだった。

「…君のそういう顔は初めて見たな…。もう君の涙を見るのはゴメンだと
思っていたが…そういう顔をしながら、泣かれるのは悪くない気分だ…」

「…いや、見ないで下さい…。こんな涙でグシャグシャの顔なんて…」

 あまりに御堂が優しい眼差しを浮かべながらこちらを見つめてくるから
気恥しくなって顔をそむけていってしまう。
 そうやってささやかに抵抗してこちらから逃げようとする克哉を押しとどめるように
御堂の手がそっと頬に添えられて…彼を見るように向きを直されていった。
 愛しい人と目が合った瞬間、息が詰まるようだった。

「…クリスマスに、こんなサプライズが待っているなんて思っていませんでした…」

「いいや、忘れるな克哉。今夜はクリスマスイブだ…。クリスマスの前夜に過ぎない。
明日の当日には、君と私が買ったあのクリスマスツリーが飾ってある私の部屋で
二人きりでパーティーをするんだ…。それが私なりの、君とのクリスマスプランなのだが…
気に入ってくれたか…?」

「と、当然です…。貴方にそう言って貰えただけで…オレ、幸せで…堪らなく
なってしまいますから…」

 御堂の行動に、こちらへの想いが確かに存在しているのを感じ取って
克哉はギュっとその身体に抱きついていった。
 強く強く愛しくて、嬉しくてこちらから腕に力を込めて抱きついていく。
 そのまま深く唇が重ねられて、舌先を強引に捻じ込まれて…荒々しい口づけを
交わし合っていく。
 今夜も、御堂に激しく愛されたいという欲求が胸の奥に湧き上がっていった。
 この人は自分の事を思ってくれている。
 それが恋人関係になったばかりの克哉にとっては何より嬉しいプレゼントであり、
最大の贈り物でもあった。

「ああ、君のそういう嬉しそうな顔は…可愛いものだな…。その顔を今夜
見れただけでも…今夜は充分だな…」

「そんな、可愛いだなんて…からかわないで下さい…それに、見ないで…」

 克哉は顔をそむけようとしたが、それを許されず強引にベッドの方まで
誘導してシーツの上に組み敷かれていった。
 そうして部屋の照明を消されて、ベッドサイドの淡い光だけで照らされる
格好になっていく。
 その途端に窓の向こうに輝くイルミネーションが、一層こちらに迫ってくる
ような錯覚を覚えていった。
 御堂の体温が、息遣いが…何かもが愛しく感じる。

「御堂、さん…ありがとう、ございます…」

「ああ、君が喜んでくれたなら…良かった…」

「あっ…」

 その瞬間、御堂が蕩けるような優しい顔を浮かべて…克哉は
言葉を失っていった。
 幸せの余り、胸が詰まってしまいそうだった。

―そして二人だけの熱い夜が訪れ、そうして…彼らの最初に迎えた
クリスマスの夜は幸福な思い出だけで満たされていったのだった―



 



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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