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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
 一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。

忘却の彼方に               

 一旦現実逃避する為に寝て、起きた後…克哉は自分と同じ顔をした
男と一緒にいたくなくて、散歩する事にした。
  一度抱かれてから気づくのもマヌケな話だが、目が覚めた後に
身支度を整える為に鏡を見た時にやっとその事実に気付いた。
 印象とかそういうのは自分と全然違うが、昨晩あれだけ間近で
相手の顔を見たのだから間違いようがない。

―彼と自分の顔のパーツが全く同一であることを…

 その事実が判った途端、また克哉は混乱していった。
 彼の言ったシェルターという意味。
 そして目覚めた時から断片的に思い浮かぶ光景が何の
事実を指しているのか。
 そして何故、この世界に自分と全く同じ顔をした男と二人きりで
存在しているのか。
 白いワイシャツにジーンズというラフな格好に着替えた状態で
あてもなく彷徨い歩き…そして不思議な色合いをした空を眺めていく。

(普通…ここが異世界だって言われたら相手の正気を疑う処だけど…
この不思議な空の色を眺めるとつい納得してしまうよな…)

 そう、きっと空の色が青色だったなら、その言葉の方を疑って
いただろう。
 けれど青、緑、黄色、黄緑、赤、ピンク、紫…オーロラのように様々な色合いが
混ざって輝いている空を見ると、ここが現実ではない事は妙に納得して
しまえるのは確かだった。
 けれどやはり気に掛かるのは、どうして自分がここに来たのか…
その経緯を全く思い出せない事だった。

「ここは一体、何処なんだろう…。どうして、オレはあの人と一緒に
二人でいるんだ…?」

 彼は今は思い出すな、と言った。
 この場所は自分の為に生み出されたシェルターのようなものだと。
 どうしてもその疑問が膨らんでしまって、抑える事が出来ない。
 知るな、と言われれば知りたくなるのが人間のサガというもので。
 今なら決して開けるなと言い含められてしまってもパンドラの箱を開けてしまった
女や、決して神に口にしてはならないと言われていながら蛇に唆されてしまって
知恵の実を食べてしまったアダムとイブの気持ちが判る気がした。

「知りたい…どうしても。オレがどうして此処に来るに至ったのか…
その原因を…」

 強い気持ちを持って呟いたその瞬間、奇妙にも脳裏に声が
聞こえていった。
 
―困りますね。まだ真実を知るには…早すぎますよ…佐伯克哉さん

 一瞬、誰かと思った。
 しかし周囲を見回しても誰も存在していない。
 なのに声だけはこんなにもはっきりと鮮明に頭の中に響いている状態に
克哉は困惑していった。

「誰、誰なんですか! 今の声は一体…」

―私が誰かなのは、今の貴方にとっては限りなくどうでも良い事です…
しかし、今の時点で記憶を思い出すのは決して良い事ではありません。
ですが口で説明しても判っては貰えないでしょう…。ですから、今から
例を一つお見せする事にしましょう…

「れ、例って一体…何を、ですか…?」

 克哉の声が震えていく。
 だが、相手の声はそれきり全く聞こえなくなった。
 その不気味な沈黙に克哉は、ゾワっと寒気すら覚えていった。
 一体これから何が起こるのだろうかと身構えていく。
 しかし風は変わらず穏やかに吹き続けて、周囲の様子にも何か大きく
異なった変化が起こる訳でもなかった。

「えっ…?」

 何が起こるのかと身構えていた分だけ、すぐに変化が何も
起こらなかった事に拍子抜けを覚えていく。
 その瞬間、少し離れた位置からガサリ…という草音が響いて
とっさに振り向いていった。
 その先に存在していたものに、克哉は驚きを隠せなかった。

「えっ…まさか、オレ…?」

 其処に立っていたのは、まるで幽霊のように透き通った…ホログラムの
ようにすら見える、青白い死んだ目をした自分だった。
 さっきの眼鏡を掛けた自分と同じ顔をした人物じゃない、紛れもなく…
眼鏡を掛けていない今の自分と全く同じ顔をしていた。
 だが、目の輝きは全く異なっている。
 全てに絶望して、食べる事すら止めているのだと一目で判るぐらい…
憔悴して、やつれきっている。
 自分のそんな姿をいきなり突きつけられて、克哉はパニックになりかけた。

「う、ああああっ!」

 そして絶叫が喉からほとばしる。
 理解を越えた出来事ばかりが立て続けに起こる事に耐えきれず、
一瞬だけでも逃避をする為にともかく克哉は叫び続ける。
 その瞬間、先程の謎の声がまた頭の中に聞こえていった。

―まだ、時期が来ていない状態で思い出せば…貴方はこの状態と
全く同じになり果てるでしょう…。これは異なる未来を辿った、貴方とは
別の道を歩んだ貴方の姿。けれど記憶を持ったままでいれば…
確実に同じ姿になっていたでしょう…? それでも、貴方はすぐに
思い出す事を望みますか…?

 謎の人物の声は、諭すように優しく…同時に事実を容赦なくつきつけてくる
残酷さをもって響き渡る。
 そして克哉は今は何も考えられなくなり…茫然と、目の前に存在する
哀れな自分の姿を凝視していったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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