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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※この話は本編のED№3「嗜虐の果て」にを迎えた後、どうにか立ち直った
御堂と眼鏡が結ばれた後、という設定の上に執筆した眼鏡誕生日ものです。
ミドたんが佐伯の嫁状態になっています。(当サイトの作品『白銀の輪舞』の後です)
それを了承の上でお読みくださいv

 あれから、何度求め合ったのか…御堂自身も正しく認識していなかった。
 達する度に、意識が朦朧とするぐらいにイイのに…こちらが覚醒すると同時に
すぐに克哉に求められる。
 体位を何度も変えられて、その度に違う角度で奥まった場所を熱いペニスで
貫かれて。
 相手の放ったもので溢れかえった其処を気が狂ってしまうくらいに激しく
掻き回され続けて。
 そんな応酬を、今夜はどれくらい繰り返して来たのだろうか?
 
(…本気で腹上死するかと思った…)

 ようやく克哉の方の意識が、疲労で落ちた頃を見計らって…彼の下から
脱出出来て、御堂は…一度、シャワーを浴びて身体を清めていた。
 …あまりに激しいセックスをしたせいか、全身が汗と互いの体液でベタベタ
だったからだ。
 まだベッドシーツの上なら汗も吸ってくれるが、革張りのソファではそうは
いかない。
 清潔なバスローブに身を包み、バスタオルで髪を拭いながらリビングへと
戻っていく。克哉は先程と変わらず、穏やかな顔をして眠りこけている。
 …さっきシャワーに行く前に、軽く濡れタオルで身体を拭ってやったおかげか
実に気持ち良さそうな表情をしていた。

「…まったく、良く寝ているな…。こいつは…」

 そういえば、正月からしっかりと休みを取る為に…この年末はずっと克哉は
働き通しだった事を思い出していく。
 それだけ疲れている癖に、あれだけこちらを好き放題出来るのだから…
やはり若さという奴なのだろうか。

(そういえば…こいつとは七つ違いだったな。すっかり忘れていたが…)

 ソファの傍らに腰を掛けながら、相手の髪にそっと触れていく。
 柔らかい癖っ毛は…意外に触り心地が良い。
 普段は怜悧な印象の瞳がこうやって閉じられていると…案外、幼い
顔立ちをしている気がした。
 …七歳も年下の男にここまで惚れ込んで、一生を捧げても良いと思うように
なるとは…自分でも予想していなかった。

 何より、自分でも驚きなのは…克哉のこんな無防備な姿を見て、心から
愛しいなどと感じてしまっている事だ。
 心を通わせる前は、こいつの顔を見るだけで複雑な感情が込み上げて
どうすれば良いのか判らなかったのに…大した心境の変化だな、と
自分でも思った。

(今なら…こいつの首も容易に絞められるな…)

 ふと、あまりに穏やかな顔をして眠っているものだから…一瞬だけそんな
物騒な考えが脳裏を過ぎっていく。
 クッションを枕にしながら…裸身で、毛布だけを身体に掛けているだけの
この男の首に両手を回せば、それはあっさりと達成出来そうだった。
 そのまま…相手の首筋に整った指先を伸ばしていく。
 何度か優しくそこを撫ぜていくと…クイっと顎を掴んで、自分の方へ
顔を上向かせていった。

「んっ…」

 唇を重ねると同時に、遠くで除夜の鐘が鳴り響いているのが耳に届いた。
 もうこんな時間になっているのかと…気づいた瞬間、克哉の睫が揺れて
澄んだ青い双眸が…こちらに向けられていく。

「…御堂…」

「起きたか? 佐伯…」

「ん…あぁ。今、な…ずっと其処にいたのか…?」

「…まあな。一度シャワーを浴びに席を外したが…戻って来てからは
ずっとこうして…君の寝顔を見させてもらった。貴重な体験だったぞ?」

 クスクスと笑いながら、はっきりと言ってのけると…一瞬だけ克哉の顔が
赤く染まっていく。
 それから…すぐに体制を整えて、見慣れた…余裕たっぷりの表情を口元に
称えていった。

「…これからは、飽きるぐらいに拝めると思うけどな。あんたは…俺の伴侶に
なってくれたんだろ…?」

 そうして、自分の左手の薬指を翳して…御堂に見せていく。
 御堂もまた、それに習って…己の指に嵌められたリングを克哉の方に
翳していった。
 お互いの指に嵌められたプラチナのリングは…白銀に輝いて、お互いの
指先を彩っていた。

「…あぁ、私の気持ちは君に示した。…式も、立会人も何もない。慎しまやかな
誓いだがな。君が私の人生を受け取ってくれるのなら…もう、私は君のものだ」

 そう、それはお互いだけが知っている誓い。
 祝福してくれる人間も、それを見届ける神父すら存在しない…静かな式典。

「…それなら、きちんと誓いの言葉ぐらいはした方が良いな。神など俺は
頭から信じてはいないが…こういうのは通過儀礼だ。御堂…良いか?」

「…何をするつもりだ?」

 ふいに自分の左手を引き寄せられると…御堂は怪訝そうな顔をしていく。
 そのまま克哉の方は気にせずに、御堂の銀の指輪に…厳かな顔をして
恭しく口付けていく。
 この指輪を贈った時も、同じような仕草をしていた。
 しかし…今は、少しだけ先程と様子が異なっているように感じられた。

「…私、佐伯克哉は…病める時も健やかなる時も…御堂孝典を生涯の
伴侶として、これからの人生を共に歩んでいく事を誓います。…御堂
孝典は…佐伯克哉を生涯の伴侶として…認めますか?」

 それは…神父が式場で読み上げる、定番の誓いの言葉。
 克哉がこんなかしこまった口調で告げていく事に…最初は御堂も
少し驚いたが、すぐに満面の笑みを浮かべて…答えていく。

「…あぁ、誓おう。私の生涯のパートナーと成り得る人間は…この世で
君だけだ。克哉…」

 やっと、御堂は照れることなく…初めて克哉の名をしっかりと口に
登らせていく。
 結ばれてからも、セックスの最中も…ずっと、「佐伯」という呼び方を
崩さなかった御堂が…初めて、克哉の名を呼ぶと…克哉もまた心から
嬉しそうな笑みを浮かべていく。
 そのまま自然と、顔が寄せられていく。
 それはまるで…将来を誓い合った二人が、神前で誓いの口付けを
交わすかのように…自然に、唇が重なり合う。
 窓の外から照らされる煌々とした月光は…まるで二人を祝福
しているかのように幻想的だった。

「…やっと、呼んでくれたな。佐伯のままだと、凄い他人行事に
聞こえていたからな…」

「じゃあ、君も私の呼び方をいい加減改めたらどうだ? 君だって…
私の事を『御堂』とばかり呼んで…下の名前じゃ殆ど呼ばないじゃないか…」

「ん、そうだな…。それなら、今度からあんたが俺を克哉と呼ぶ代わりに
俺も…あんたを孝典、と呼ばせて貰おう…」

「良い提案だ。それで…もう一つ、私の方から君に贈りたいものが
あるんだが…良いかな?」

「もう一つ…?」

 眼鏡が訝しげに眉を潜めると、そのまま…ごく自然な感じで髪を
掻き上げられて、額に口付けられる。
 そして厳かな口調で…御堂は一言、告げた。

「君の…私に犯した全ての罪を、この瞬間に…許そう…」

 時計の針が十二時を指し、今年が終わる瞬間を見計らいながら
御堂は…静かな声で告げていく。
 108つ目の鐘が鳴り終わり、場所によっては盛大に祝いを告げられる
その瞬間。二人の間にはどこまでも透み切った沈黙だけが落ちていた―

「み、どう…」

「…違う、『孝典』だろう…? 克哉…」

 震える声で呼びかければ、どこまでも優しい顔で訂正されていく。
 その顔を見れば判る。
 今の言葉を、恐らく本心から発している事を―
 
 御堂が穏やかに微笑みながら、慈愛を込めた手で…克哉の頬を撫ぜた。
 その指先の温かさに…克哉は知らず、頬に涙を伝らせていく。
 やっとそれで自覚する。
 どれだけ自分の中で、この人に対しての罪悪感が重石になって
乗りかかっていたか。
 心の底では深い罪悪感が消える事なく、今も自分を縛り付けている事を―
 そして克哉は理解する。
 御堂が用意した三つの誕生日プレゼント。
 一つ目は極上のシャンパン。
 二つ目は御堂の将来とそれを象徴する銀色のリング。
 そして三つ目は…克哉を罪悪感から解放する為の『赦し』である事を―

「克哉…泣いている、のか…?」

「あぁ…あんまりにも、予想外過ぎてな。こんなに早く…あんたから、俺のした事を
許して貰えるとは…思ってもみなかったからな…」

 本当はこんな風に相手の前で泣くことはみっともないと、判っている。
 けれど…嬉しくて、重荷になっている事からやっと解放されて…自分の意思と
関係なく、瞼からは透明な涙が溢れてくる。

 この人を壊した日から、罪の意識は克哉の中で消える事がなかった。
 正気に戻るまでずっと傍らで面倒を見て、徐々に以前の姿を取り戻していく間も
自分が傍にいて良いのか、触れて良いのか逡巡して…なかなか身体を求める事すら
出来ずにいた。
 けれどこの人は、自分が傍にいる事を求めてくれているし…これから先の己の
人生までもこうして捧げようとしてくれている。
 この人が欲しくて欲しくて堪らなくて…仕方なかった自分にとって、これ以上の
誕生日プレゼントがあるのだろうか?

 克哉の頬を伝う涙を、御堂はただそっと…唇で静かに拭っていく。
 相手に触れる手はどこまでも優しく。
 まるであやすかのように…その背中を静かに擦り上げていった。

「…愛している、克哉。だから…ずっと…私の、傍に…」

 愛して止まない人が、そんな言葉を口付けと共に与えてくれる。
 幸福で眩暈すらして…そのまま放っておいたらそれだけで逝けそうだ。
 克哉の方も堪らずに、御堂の唇を強く吸い上げていく。
 キスは次第に情熱的になり…互いの身体をまた、強く強く抱き上げていく。

「…あぁ、何があってももう…あんたの傍から離れない。あんたが俺のもののように…
俺の人生もまた…あんたのものだ。孝典…」

 涙を乱暴に拭い、いつもの強気の表情を浮かべながら…はっきりと眼鏡もまた
己の気持ちを伝えていく。

「当然だ…。離れたら、地の果てまで追って探し出して…その償いはしてもらう。
その覚悟はあるな…? 克哉…?」

 物騒な笑みを浮かべながら、御堂もまた口付けを落としていく。
 しっかりと指を絡ませるように手を握り合い…お互いの左手に嵌まっている白銀の
リングを確認していった。
 月の光を帯びて、それは燦然と輝き…彼らの中に芽生えた絆をより確かなものに
感じさせてくれていた。
 お互いに満たされるものを感じて、自然と微笑を浮かべていく。
 御堂がほっと安堵の息を吐いた瞬間…頭が真っ白になるようなとんでもない一言が
克哉の唇から紡がれていった。

「言われるまでもない。じゃあ…姫初めでも始めるとしようか。孝典…」

 不敵な笑みを浮かべながら、突然そんな事を克哉が言ってのけたので…御堂は
ぎょっとした顔を浮かべていく。

「…っ! 克哉! 姫初めって…! さっきまで散々…シたばかりだろうが!」

 自分をさっきまで抱きすくめていた手が、再び怪しく蠢いていくのを感じて御堂は
思いっきり動揺しまくっていた。
 先程だってあれだけ好き放題にされてこのままじゃ死ぬ! と思うくらいに追い詰められた
のに更にまたヤられたら今度こそ腹上死をしてしまう。
 そう危機感を感じて、バタバタと相手の腕の中で暴れ捲くるが…眼鏡の方はさりげなく
関節技をかまして、決して御堂が逃げられないように押さえ込んでいった。

「…嫌だなぁ。孝典…これだけ、俺の心を熱くするような事ばかり言ってくれて…このまま
朝まで大人しく眠るつもりでいたのか? その責任はちゃんと…お前の身体で取って
貰わないとな…?」

「だめ、だって! 今夜はこれ以上君にされたら…本気で、死んでしまうかも知れ、ない
から…やっ!」

 バスローブを問答無用で剥がされて、御堂は顔を真っ赤にさせていく。
 まったくこの男は…そんな顔をしたら、こちらがそそるだけだというのを恐らく自覚して
いないに違いない。

「…あんたとなら、腹上死しても俺は一向に構わないぞ?」

「私が、構うんだっ! あっ…バカ…止め、ろ…! これから先、ずっとずっと…歩んでいく
つもりなのに、こんな形で…はっ! 殺されたら、堪ったものじゃ…ないっ、から…!」

 克哉の手が御堂の性器をやんわりと包み込んで愛撫していくと、先程までの情欲を
思い出したのかあっという間に…それは育って硬度を取り戻していく。
 しかし御堂の態度は強固なものだったので…相手の耳朶にキスを落としていきながら
克哉は妥協案を囁いていった。

「…判った。あんたを殺さないように…凄く時間を掛けて、優しく抱くようにする。
それなら…構わない、だろ…?」

「…そんな事、本当にお前に…出来る、のか…?」

「やらなきゃ、お預けになるんだろ…? それならそうするさ…。それよりもこの先は
将来を誓い合った初夜にもなる訳だし…あんたをたっぷりと時間を掛けて味わうのも
良さそうだしな…」

「しょ、初夜って…! 今更、だろ…!」

「ん? だってさっき誓い合ったその瞬間に…あんたは俺の嫁さんになったんだ。それなら
その晩にあんたを抱くのは人として正しい道筋だろ? そうじゃないのか…孝典…」

「っ…! うぅ…もう、好きにしろ! これ以上君に何かを言い返しても不毛にしかならない
気がしてならない…!」

 不貞腐れながらも、ようやく腕の中で抵抗を止めていくと…御堂は克哉に自らの
身を委ねていった。
 触れ合う肌は灼けてしまいそうなくらいにすでに熱く。
 心臓は忙しなく早鐘を打ってこのまま壊れてしまいそうなくらいだった。
 けれど眼鏡の瞳は…やっと、罪悪から解放されて…澄んだ色合いを取り戻していた。
 意地悪だけど、どこか優しい色を帯びた瞳をやっと見る事が出来て…御堂はガラになく
胸が高まっていく。

 その目が真っ直ぐに…御堂の瞳を覗き込んでくる。
 真摯で、どこまでも情熱を感じさせる眼差し。
 彼に心まで射抜かれながら…御堂はぎゅっと強くその身体を抱きすくめていった―

―孝典、愛している…

 その一言を耳元で囁かれ、背筋に甘い痺れが走り抜けていった。
  克哉のその囁きだけで、先程の軽口も怒る気力が失せてしまい…御堂も
素直に克哉に身を任せていった。
 後はただお互いの愛情を感じ合う長い長い時間が…二人の間に静かに訪れる―

 ここまで来る道のりにお互いに過ちは数多くしてきた
 沢山の傷を負い、どれくらい血と涙を流してきたかも判らない
 それでも…今はこうして寄り添い、罪を許し…二人は寄り添う道を選択した
 この先にどんな苦難が待ち受けるのか
 辛い事もあるかも今は見えないが…これだけの試練を乗り越えても離さない道を
選択出来たのなら…自分たちはこれからも一緒にやっていけると、そう確信していた。

 御堂はそれを覚悟して、一対のリングを克哉に贈った。
 それを承知で克哉もまた受け取った。
 後はただ愛し合って、確認しあうだけだ。
 これからもずっと相手の手を離さないと…そう己の心に刻みあう為に。

 情熱の時間が、二人の間に再び訪れる。
 その間、ずっと…指に嵌められた白銀の絆の証だけが
 藍色の深い闇の中で光を放って輝き続けていた―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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