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「そのまま口に入れたら、多分火傷するだろうな…」
スプーンで一口分のミルク粥を掬いながら、御堂はそんな事を呟いて…
フーフーと息を吹きかけていく。
(うわ…)
別段、それ自体は大した事でないのかも知れないが…大好きな人の吐息が
これから自分が口にする物に吹きかけられていくと思うとやはり気恥ずかしい。
「ほら、克哉…口を、開いてくれるか…?」
「は、はい…お願い、します…」
そうして、オズオズと御堂の方に向かってア~ン、と口を開いて顔を向けていくと…
ゆっくりと仄かに暖かい粥が口の中に運ばれていく。
さっき食べて美味しい、と感じた味が…こういう行為によってまた違う味のように感じられる。
ドキドキドキドキ…。
いつになったら、自分の忙しない鼓動は落ち着いてくれるのだろう。
御堂のマンションに来てからというもの、ずっと落ち着かないままだった。
「旨いか…?」
「はい…とて、も…」
顔が火照ってしまっていて、まともに御堂の顔を見つめ返す事も出来ない。
そんな克哉の様子が可愛かったのだろう…。
御堂は、顔を俯かせたままの自分の恋人の姿を見て…酷く微笑ましいような
もっと苛めてみたいような、相反する感情を抱いていた。
(本当に…君はこういう処が、可愛いな…)
しみじみとそう思いながら、もう一口…克哉の口元に運ぼうと、スプーンで
彼の唇を軽くノックしていく。
「ほら…これでは、足りないだろう。もう一度…開けられる、な…?」
「…御堂、さん…もう…」
これ以上は恥ずかしくて、仕方がなかった。
だから…首を振って、もう…止めて下さい、と告げて自分の手で食べたいと
思ったが…それを簡単に、御堂も許すつもりはなかった。
「…私は、君に食べさせてあげたい。ダメか…?」
「うっ…は、はい…判りました。貴方が…そう、言うなら…」
御堂がダメ押しをすると、克哉もようやく観念して…瞳を閉じながら、御堂の方に
口を差し出していく。
まるでヒナに餌を丁寧に食べさせてあげているような気分になった。
一さじ、一さじ…愛情を込めながら、可愛い恋人の口に…自分が作った粥を
運ぶ時間は…御堂にとっては楽しい一時だったが、その間…克哉の顔は常に
上気したままだった。
「ほら…これで終わりだ…。良くここまで食べれたな…」
労いながら、最後の一口分をスプーンに乗せて克哉の口に宛がってやる。
もうこの時点で…茹でダコのように克哉は、耳まで赤くして…羞恥に耐えていた。
だが…この時間もやっと終わると思って…ふわっと柔らかく克哉が微笑みを
浮かべた瞬間…御堂は胸が射抜かれるような衝撃を味わった。
(克哉…その顔、可愛すぎるぞ…!)
現在の御堂の心中を一言で表現するなら、背景にカミナリが走っているような…
そんな気分だ。
ふいに、意地悪したい気持ちが勝っていく。
最後の一さじを…安堵したような表情で頬張っていく克哉の姿を見て…スプーンの先を
引き抜く際…相手の唇と舌先をくすぐるような動きをしていった。
「ふっ…?」
克哉がびっくりしたような声を漏らすと同時に、スプーンをひっくり返して…
アーチになっている部分で舌全体を覆うような動作に変えていく。
突然、冷たい金属に口腔を弄られて…相手の目が見開いていく。
だがその躊躇した瞬間を…御堂は見逃さなかった。
いつも深くキスする時に、舌先で弄ってやると謙虚に反応する上顎や舌先の
部分を…スプーンの先で刺激していくと、すぐに…克哉の目はトロンとした艶めいた
色合いに変化していった。
ピチャ…クチャ…
時折、其処から漏れる水音が…まるで深い口付けを交わしている時のような
淫らなものに変わっていく。
一分ぐらい…そうしていただろうか。
ようやく解放して、スプーンを引き抜いていった頃には…銀糸が口端から伝い、
克哉の瞳は、潤み始めていた。
「こ、んなの…不意打ち、です…ずる、いですよ…御堂、さん…!」
冷たい金属に、ふいに性感を刺激されて…自分の口の中が酷く淫らになっていた。
似ているけど、否なる感覚。
あんなに硬くて冷たいものじゃなくて…同じ部位を、暖かくて柔らかい舌先や唇で
刺激されたいという…いやらしい欲求が湧き上がって、どうしようもなくなった。
「…悪いな。君が素直に…私の口から、食べている様子を見て…つい、
可愛くて…そうしたくなった…」
「また、オレを…可愛い、って…言う、んです…ね、んんっ!」
スプーンをお盆の上に置いていくと同時に、一旦それごとサイドテーブルの上に
どけていって…すぐに身を乗り出して、克哉の唇を塞いでいく。
本当は風邪を引いている人間に、こんな振る舞いをするのは…自分も移る可能性が
あるし…相手の体力を無駄に消耗させるだけだというのは判っている。
だが、もう止まらなかった。
たっぷりと…相手の唇を貪るように舌を蠢かしていって。
その柔らかく熱い舌先を捉えて、たっぷりと吸い上げていくと…すぐに相手の身体から
力が抜けて…こちらに凭れ掛かっていく。
「はっ…あっ…み、どう…さ、ん…」
たっぷりと二分は相手の口腔を犯していくと…唇を離した際、克哉は実に
悩ましげな眼差しを浮かべてこちらを見つめ返してきた。
「…今日、君を私の部屋に連れてきたのは失敗だったかもな…。このままでは、
とても君を安静になど…させてやれそうに、ない…」
苦笑めいた笑みを浮かべながら…御堂が優しく克哉の髪を梳いていく。
その口調もまた…自嘲めいたものが滲んでいたが、彼の方もまた…克哉が欲しくて
仕方ない心境になってしまっている。
すると…克哉もまた、顔を真っ赤にしながら…ぎゅっと恋人の背に腕を回して…
小さく、呟いていく。
「…いえ、その…良いんです…。貴方に、その…気遣って貰ったり…優しく、
してもらって…オレ、も…凄く、嬉しかった…です、から…」
御堂の耳元で、小声で…掠れた声でそんな可愛い事を伝えてくる。
ギュっと彼の袖を掴んでいくと…勇気を振り絞って、自分の気持ちを告げていった。
「…だから、御堂…さん。貴方の好きに…して、下さい…。オレは…今は、
貴方の…もの、なんですから…」
「…っ!」
それは、御堂にとっては殺し文句以外の何物でもない一言。
聞いた瞬間に…辛うじて残っていた理性がコナゴナに砕け散っていく。
愛しい人間から、こんないじらしい一言を聞かされて…男として冷静でいられる
訳がないのだ。
「克哉…!」
其処で、御堂もまた余裕のない表情を浮かべていく。
強い力で…相手の身体を抱きすくめていきながら…御堂は、克哉を…
自分のベッドの上に組み敷いていったのだった―
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当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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