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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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―同じ過ちは二度と繰り返すまい、と心に誓っていた筈だった。
 
 だが、嵐のような衝動が過ぎ去って…正気に戻ってから、自分のベッドルームで
佐伯克哉は愕然としていた。
 たった今まで自分が行っていた行動に、ショックを受けて。
 しかしどれだけ後悔しても、何をしても…時間が巻き戻ることはなく。
 同時にやってしまった事を無かった事にする事も出来ない。

「御堂…」

 以前、自分が監禁していた頃と同じ…虚ろな眼差しをしながら…ここ一年くらいは
彼にとって良きパートナーであり、愛しい恋人である存在に声を掛ける。
 御堂は、何の反応を示してくれない。
 彼にとって忘れがたい過去を呼び覚ます、あまりに強烈な出来事が起こってしまった
為に…彼の心は一時、閉ざされてしまったようだった。
 
 新しい会社を設立して、その運営も軌道に乗り始めて。
 二度とこの人に対して酷い振る舞いを…あの鬼畜で外道めいた行為をするものかと
心に誓って、再会してからは穏やかな関係を築けていた筈だったのに。
 二ヶ月ほど触れ合えぬ時間が生まれたせいで、少し歯車がズレ始めて。
 そのせいで…自分は同じ過ちを犯してしまった。

「…御堂、答えてくれ…!」

 呼びかけている人物の様子は、悲惨な状態だった。
 四肢には赤黒い痕がくっきりと残されて、全身には克哉の所有欲の証が刻み込まれている。
 身体のアチコチには、お互いが放った精液の残滓がこびり付いて、御堂の整った顔には
涙の痕がくっきりと刻み込まれていた。
 
「ぁ……」

 何度目になるか判らない、克哉の悲痛な呼びかけに…御堂がやっと反応していく。 
 さっきまで無反応であった御堂が、微かにこちらに視線を向けて…か細くながらも声を
漏らした事に…彼はほっとしていく。
 だが…目の前にいる人物が克哉―自分をさっき乱暴に犯した当人であると認識すると
同時にその瞳が、不安定に揺れて…そして悲痛な叫びが喉の奥から迸った。

「うあっ…あぁ―!」

 其れは監禁し続けた日々の終わりに、彼が示した反応ととても良く似ていた。
 陵辱、と呼ばれる行為によって…誇りも矜持も、全て踏み躙られて。
 信頼という感情がお互いの間に生まれた時期に…過去と同じ振る舞いをされた
事によって、御堂の心に大きなダメージを与えてしまっていたのだ。
 
「や、めろ…もう…止めろ…!」

 さっきまでの扱いがあまりにも、かつての非道な頃の彼を思い出すような行為ばかり
だったので…あの頃と同じ拒絶を、愛しい人間が示していく。
 愛していた筈だった、大事にしたいと強く願っていた存在の筈だったのに―
 その想いが強すぎて、克哉は再び闇の中に堕ちてしまった。

 求めている気持ちが強すぎて。
 御堂と言う存在を欲しがりすぎて。
 その強烈な欲求を封じて、己の中にある獣の衝動を抑え続けた結果。
 二ヶ月間の触れ合えなかった時期の到来により、彼は一時…
己のコントロールが出来なくなってしまっていた。

「孝典…すまな、かった…!」

 御堂に縋りつくように、克哉がその身体を強く強く抱き締めていく。
 だが…返って来たのは、強い強張りと…拒絶感だった。
 その身体の硬さから…御堂はこちらに対して、酷く怯えていたり強い不信感を
抱いているのだというのが伝わってくる。
 それが悲しくて…切なくて、克哉の表情が悲痛に染まっていく。
 だが、御堂から怯えているような態度は消える事はない。
 彼の意思を無視して、己の欲求だけを…嗜虐的な衝動のままに犯してしまった
行為に対しての代償は、このような形で返って来てしまった。

「離せ…もう、私に今は…触れないで、くれ…!」

 やっと、御堂の瞳に光が戻ってくる。
 先程の人形のような態度に比べれば、反応があるだけ克哉は有難いと思っていたが
それでも戻ってくるのは険しい表情と、言葉ばかりだった。

「…今は、君の顔を…見たくない…! 一人に、させておいて…くれっ…!」

 吐き捨てるように、克哉の存在を拒むような発言をする。
 それに胸がズキリ、と痛むような想いがしたが…今の自分には、それを反論する
資格すらありはしないのだ。

「判った…一旦、俺が出て行く。あんたは…落ち着くまでここにいると良い…」

 ここは、克哉の興した会社と同じビルにある…彼自身の居室だ。
 だが…今の御堂はそっとしておいた方が良いと…そう判断して諦めて、克哉は
自分の方が出て行く決断をしていった。
 大急ぎで自分の部屋に向かうと、性行為によって汚れた衣類を脱ぎ去って…
新しいスーツやYシャツ、下着の類を身に纏っていく。

「…あんたも、身体をどうか冷やさないようにな…」

 着替えを終えて、寝室から出てくると同時に…片手には薄手の毛布を、持っていた。
 御堂の剥き出しの肩に、そっと毛布を掛けていくと…そのまま静かに克哉は
部屋の外に出ていく。
 御堂はその場に一人で取り残されて…呆然とした顔を浮かべながら、呟いていった。

「どうして…何だ…今になって、何故…」

 信頼していたからこそ、今夜の振る舞いは許しがたく…御堂の心に、深い不信の感情を
植えつけていた。
 愛していた、だからこそ…辛かった。
 御堂の意思など、まるで無視していたかのような…強引な、情交。
 いや…最早、強姦と呼べるくらいに乱暴に犯された事が…御堂にとっては、過去の過ちを
なぞられているようで…苦しかった。
 
 扉の向こうに、彼の姿が消えていく。
 その背中をジっと追いながら…御堂は深く項垂れて…。
 爪が肉に食い込んでいくぐらいに強く…その拳を握り締め続けていた―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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