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バーニングクリスマス! 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)
―昨日の夜から、御堂孝典の心中は穏やかではなかった。
その想いに突き動かされながら…大食い大会の参加者の撮影会が
開かれていた日、御堂は…キクチ社内へと単身乗り込んでいた。
美丈夫で、高級なスーツを身に纏っているエリート然とした男性が
どこか鋭い眼差しを浮かべながら、風を切るように早足で動く光景は
鬼気迫るものがあった。
途中の道のりで、何人もの女性社員が熱い眼差しも向けていたが
御堂は一切気づくことなく、カッカッカと靴音を響かせながら八課から
会議室のあるフロアを歩いて移動していた。
階段に差し掛かると、その音は一層大きなものになって反響していった。
(…どうしても気になって仕方なかった。君に…昨日のことを
絶対に聞かせて貰うぞ…佐伯君…!)
何故、あの日…メールを受信したばかりの時に佐伯克哉があの場に
いたのか。あんなに冷たい目をしながら小さな宝石ケースを眺めていたのか。
そして…ジュエリーショップになど、どうして入っていたのか。
その三つの点が気になって仕方なくて…昨晩は、眠れないという程でも
なかったが熟睡感がなかった。
今の御堂は、佐伯克哉に対して猛烈な興味と…恋心を抱いている。
そういう感情を抱いている人間が不可解な行動をしたら…気になって
当然だった。御堂も今、その状態であった。
(君がどうして…昨日、あんな場所にいたのか…私は、知りたい!)
その強烈な想いは、多忙で過密なスケジュールで動いている御堂を
突き動かしていった。
たまたま…本日の午後一で、この近辺にある会社に車で出向していた
彼は…その帰り道に、キクチに立ち寄った。
一応…仕事に関することで幾つか、直接会って確認した方が良いと
いう口実もあったので…その打ち合わせをする合間に、昨日の件のことを
彼に問い質すつもりで、意気揚々と御堂はキクチ・マーケティング内の
廊下を歩いていた。
普段の御堂なら、エレベーターを使って移動するのだが…今は
急き立てられている状態なので、扉の前で待っている時間すらも
まどろっこしい気分だった。
目的のフロアに降り立つと、階数を確認しながら…御堂は一旦
足を止めて、さっき八課の部屋に立ち寄った時に、片桐から聞いた
話を頭の中で反芻していった。
(確か彼はこのフロアの大きな会議室にいると…片桐部長は行っていたな…)
プロトファイバーの営業時代から、御堂の方がキクチ社内に足を向ける
事は滅多になかった。
引き続き彼らと仕事を担当するようになってからも、本日の訪問で
二度目か三度目程度の…それぐらいのものだった。
殆ど歩き回ったことがない会社だから、丁寧に説明されたとて…一発で
なかなか判るものではない。
片桐が説明していたであろう付近に立ち寄ると、御堂は歩くスピードを
緩めて…その周辺を丹念に探し回っていった。
一つ一つの扉の前で足を止めて、その該当する部屋を探し始めていく。
奥の方にとても騒がしい様子の部屋があったが、片桐からはどれくらいの
規模の人間がいるとまでは聞いていなかったので、御堂は階段から
近い部屋から、確認を始めていった。
そして…とある部屋の前に立った時、穏やかでない話が聞こえた。
―ねえ、本多さん…腹を割って話そうよ。克哉さんのことを…俺も
あんたに対して譲るつもりなんて、ないから…
「っ…!」
その声が耳に届いた瞬間、御堂はとっさに声を漏らしそうになった。
だがどうにか堪えて、耳を澄ませて会議室内の人間の会話に
意識を集中していく。
―俺だって、お前に克哉を譲るつもりはねえよ。お前が知り合うよりも
ずっと以前から…俺はあいつに惹かれていたんだって、もうとっくに気づいて
しまっているからな…!
後から聞こえた方の声は、間違いなく御堂が良く知る…典型的な体育会系の
本多という男のもので間違いなかった。
(何でこのような場所で…こんな会話が…?)
とも一瞬思ったが、「克哉」という単語が出ている以上…御堂にとって
それは聞き捨て出来ない内容のものだった。
最初に聞こえた男の声は、御堂にとってはまったく知らない人間の者だ。
だが彼らが話している内容が…佐伯克哉に纏わるものならば、御堂は
聞かない訳にはいかなかった。
―それは俺も一緒だよ。…俺は一年以上も前から、ずっとうちの喫茶店の
前を通っていく克哉さんに…恋、してた。克哉さんにとって…俺は単なる
仲の良い友達に過ぎない、そういう扱いだって判っているけどね。
けど…ずっと好きで堪らなかった人を、簡単に諦める訳にはいかないんでね…!
(喫茶店…? あぁ、もしかしてこれは…佐伯君がたまに行くと言っていた
サンドイッチが美味しい喫茶店の若いバイトの男か…? 確か「ロイド」とか
言っていたな…)
小さな会議室の中で、太一がしゃべっている内容から…御堂は推測を
続けていく。だがやはり…気配は押し殺したままであった。
―それを言ったら、俺だって一緒だ! あいつは大学時代から…キクチに
入社してからずっと一緒に過ごして来た大切な仲間でもあるからな…!
今はこの気持ちを自覚しちまった。だから…後から来た奴に、克哉を
取られるなんて許せないからな…! だから、お前にも負けない。
…大食い大会で、白黒をつけようぜ!
(大食い大会…? あぁ、そういえばその話も少しだが話していたな…。
確か今年はキクチ社内で開催されるクリスマス会でそんな催しごとが
開かれるとかで…本多君が参加する事になったと。興味がなかったので
適当に聞き流していたのだが…)
―あぁ、その大会で負けた方が克哉さんを諦める! そういうルールで…
大会の壇上で決着をつけようよ! その場合…負けたら潔く諦める。
それで良いよね…本多さん?
そう囁いた、五十嵐とか言う男の声は…不穏なものを滲ませていた。
だが、その瞬間…御堂は穏やかではない気持ちになった。
くだらない話だ、そう笑って切り捨てることも出来た筈だった。
だが…今の御堂は、克哉のことに関してだけは絶対に譲りたくなかった。
いつから惹かれていたか判らない。
けれど気づいた時には、彼への想いは御堂の中で強く息づいてしまっていた。
(だから彼に関することだけは、私とて…譲る訳にはいかないんだ!)
―あぁ、そこで…決闘だ! お前こそ…負けたら、みっともなく克哉に
付きまとうんじゃないぜ!
そう本多が叫んだ瞬間、御堂も…その小さな会議室の扉を
勢い良く開けていった。
「その話に…私も加えさせて貰おうか!」
それはきっと、いつもの御堂から見たら馬鹿な話。
御堂孝典という…エリート街道を突き進んできたいつもの彼ならば
どれだけ馬鹿にされようと、挑発されようと…そんなバカバカしい舞台の上に
自ら名乗り上げるような真似などしなかっただろう。
だが、恋は盲目だ。
絶対に譲れない事の為なら、男は…愚かな行動にしか思えない事でも
時に実行に移してしまう時がある。
今がこの時だった。大食い大会などという催しごとで…ここで彼を想う
男が二人、雌雄を決するというのなら…この男共を叩き潰さない限りは
御堂の気が済まなかった。
だが突然の闖入者に、室内にいた二人は驚いて…鳩が豆鉄砲を
食らったような表情を浮かべて、御堂を見遣っていった。
「うわっ! あんた誰だよ!」
「御堂さん!? 何で貴方がここに…?」
「私が誰であるかなど…どうでも良い事だ。だが…私も佐伯君を
想う男の一人であるからな…。君らがそんな密談をしているのならば、
そこに加えさせて貰おう…。確か君らが話していたのは…そこで
白黒ついたならば、佐伯君を諦める…そんな内容だったな?」
そうして…御堂は腕を組んで、威風堂々とした態度で二人に
対峙していく。
御堂がその言葉を発した瞬間、彼らの表情もまた驚愕の顔から…
戦いを挑むもののような勇ましいものへと変化していった。
―その瞬間、三者の間に…強烈な火花が散っていったのだった―
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当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。