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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  ※ この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)

 あまりの事態に、その場の空気は一斉に硬直していた。
 気分は瞬間冷凍されたのに近い。
 もしくは思考停止状態といえば良いのだろうか?
 本多は燃えるように赤い襟元とスカート、リボンの色は紫の上に何故か真っ赤な
ハイヒールを履いていた。こんなデカイ代物が良くあったな、と疑いたくなった。

(ほ、本多に真紅のハイヒールって…似合わな過ぎるっ!)

 そして一歩、踏み出した瞬間、バランスを崩して思いっきり地面に激突していた。
 片桐の方は襟元とスカートは明るいオレンジ色で、リボンの色は深い青。
 それに若干踵が高い雰囲気の黄色い靴を履いていた。
 43歳にも関わらず、モジモジと恥らっているような様は想いっきり乙女な
雰囲気満載である。それで見苦しく感じないのは一種の奇跡に近かった。

 御堂の衣装は、水色を基調にした物だ。襟元、スカート、リボン、ブーツの全てが
淡い水色に統率されていて清楚な印象がある。
 額を飾るティアラのデザインは、各人若干嵌められている宝石が違うだけで
ほぼ同じ形状をしていた。
 …一気に変身少女物のヒロインになってしまったかのような錯覚に陥るが、
この場にいるのが全員、いい年した男ばかりという現実に…本気で克哉は
卒倒したくなっていた。
 全員が、各人の衣装を穴が開く程眺めながら…重苦しい沈黙が落ちていく。
 …一番最初に正気を取り戻したのは御堂だった。

「一体これは何だと言うんだっ!!」

  さっきまでパリっとしたスーツに身を包み、エリート然としていた32歳の男性が
水色を基調にしたセーラー服に似た衣装に身を包む羽目になっていたら、吠えるのは
むしろ当然の反応である。
 その顔は耳まで真っ赤に染まっていて、羞恥と憤怒の為か小刻みに震え続けていた。


『それは戦いの為の正装だ。一応…月の王族に仕える戦士達に代々伝わる
由緒正しい衣装だ。本来ならお前には勿体無い代物なんだぞ?』

「えぇい! 戦う衣装だとかそういうのはどうでも良い! その正装とやらが
どうしてこんなふざけた代物なんだっ! イイ年をした男が、スカートをヒラヒラ
させて戦っていたりしたら変態以外の何物でもないだろうが!」

 グサッ!

 その一言を聞いた時、昨晩すでにその格好で戦う羽目になっていた克哉の胸は
かなり傷ついていた。

(…御堂さん。それは同感なんですけど…オレ、もう昨日の時点で立派に戦って
変態になってしまっています…)

 本気でシクシクと心の中で泣きながら、克哉は訴えたくなった。

「くくっ! なかなかその格好…そそるぞ? ミドォール…今度お前の夢の中に
現れる時は、その服装を着させるのも楽しそうだな…』

「…っ! この変態めっ! お前は一体…私をどれくらい辱めれば気が済むんだぁぁ!!』

「…なあ、克哉。一つ聞きたいんだが…お前に妙に顔が似ている、ドレス着た怪しい奴と…
御堂さん、凄い単語ばっか飛び交っている気がするんだけど…気のせい、か…?」

 やっとどうにか現実に戻ってきた本多が、かなり気の抜けた炭酸状態…というか、
視線を明後日の方に彷徨わせながら、棒読みに呟いていった。

「…あぁ、本多君。人は誰しも…安易に立ち入ってはいけない領域というものが存在
します。御堂部長にとって…恐らく、今がそうでしょう。そっとしておいてあげましょう…」

(片桐さん、その判断…正しいです…)

 昨日、自分も初めてこの格好をする羽目になった時は…本気で恥ずかしくて
自己嫌悪に陥っていて…本気で暫く一人になりたい気持ちになっていたから、彼の
言い分に心の中で思いっきり賛同していく。

『…どうでも良いが、あんまりモタモタしていると…敵がさっさとこのビルを
破壊し尽くすぞ? お前達…それでも良いのか?』

 一番の非現実の塊である存在が、一番正当な意見を口にしていく。

「そ、そうだ! こんな恥辱を覚えてでも、私には成さねばならない事があるんだっ!
さあ…次はどうしたら良いんだ?」

『焦るなよ…とりあえず、お前達には二手に分かれて貰おう。本多、片桐の二人は
このビルの基礎がある地下へ…御堂と、克哉の二人は…今回の元締めがいる
最上階へと向かって貰おう。恐らくお前達二人では荷が重いだろうから…今、
アキに向かわせてもう一人もここに来るように手配してある。
それまでとりあえず持ち応えるのが当面のお前達の指名だ。判ったか?』

「…もう一人、こんな格好をして戦う奴が存在しているのか?」

「…あ、はい。太一って言って…オレよりもずっと戦えるし、戦力になると思います」

『…本多は炎の属性があるから、それで…「クリア・フレイム」と唱えれば…黒い影に
憑りつかれている人間を、命を奪わずに影だけ追い出せる筈だ。片桐は石や
鉱石の類を強化したり、元通りの形状に残す能力があるから…本多と共に地下に向かって、
壊れたコンクリートを掻き集めて、壊されたビルの基礎を復元しろ。
 それでここの倒壊は防げる筈だ。
 御堂はこの中じゃ一番戦う力があるから、今回の元締めと…もう一人が来るまで
軽く手合わせして時間稼ぎを。克哉は…生命力を吸い取られた人間を回復させる
為に「ムーン・ヒーリング・エスカレーション」と…人がいっぱい倒れている地点に
差し掛かったら唱えていけ。各人への指令は以上だ…」

「…元締めっていうのは、一体誰なんだ? そんな不埒な輩が…最上階まで
入り込んでいると…そういうのか?」

『…確か今回選ばれたのは、この会社の専務の…大隈って男だったと
思うがな。お前…顔ぐらいは知っているだろう?』

「っ! な、何をデタラメな事を! 大隈専務が元締めだと! ふざけた事を言うのも
大概にしろっ!」

『…いや、事実だ。その大隈という男は…ジェダイト…あいつらが使っている傀儡に
する為の魔石に選ばれてしまっている。…敵の四天王は遠い昔に肉体は滅んでいるが
その意思だけは今も生きていて…己に波長が合う人間か、欲望や野心の強い人間を
選んで乗っ取る性質を持っている。大隈という男は選ばれてしまっているだけだ』

「バカな! MGNの上層部の人間が…敵に操られているだとっ!」

「あぁ…最近この近隣で起こっている、原因不明の…バタバタと人が昏睡状態になって
倒れる事件。今回に限って言えば…その指揮を取っているのは、ジェダイトに意識を
操られている大隈という男だ。間違いない…。
 だから、あんたはこの件に対して拒否権はない筈だ。このまま放置しておけば…
いずれ大隈が今回の事件の犯人という事が世間にいつ知れ渡るか判らない。
 そんな会社の信用が地に落ちるような事態を…果たしてあんたは放置しておけるのかな?」

 心から楽しそうな笑みを浮かべながら、御堂にそこら辺の事情を説明していった。

「放置出来る訳がないだろうがぁぁ!! あぁぁ! プロトファイバーの企画、開発段階までは
非常にスムーズに行っていたのに…何でこんな重要な時期に、厄介事が一挙に押し寄せて
くるんだっ!」

 普段は冷静でクールで、人を手玉に取る立場に回る事が多い御堂も…どうも何か因縁らしき
ものがある眼鏡の前でだけはどう見ても取り乱しているようだった。

「…何か御堂さんのイメージがどんどん壊れていく気がするな…」

 もう二人のやり取りを見て、本多が目が点になりながら様子を見守っていく。

『…じゃあ、さっさと現場に向かえ。今は全員に声が届くように調整してあるが、
細かい指示を出す必要性が出来たら、即座にその人間以外には俺の声は聞こえない
ように設定しておいた。聞こえた場合は、俺の指示に従ってもらうぞ』

『『『はい』』』

 御堂を除く、全員の声が折り重なっていった。

『俺がいる以上は…必ずお前達に勝利の味を味合わせてやろう…。
せいぜい、頑張って貰うぞ…?』

 強気かつ、不穏そうに微笑みながら…眼鏡はその場にいたメンバー全員に
そう告げていく。
 不遜で傲慢な発言だが、むしろその方が彼らしく感じられた。

『じゃあ、行け! 吉報を待っているぞ…っ!』

「行くぞ! みんなっ!君達の健闘を期待しているっ!』

 御堂が皆を振り返りながら、そう声掛けしていく。
 そのまま、彼らは二手に分かれて…全力で敵の下へと駆けて向かっていった。
 敵の勢力から、このビルを解放する為に―彼らは戦う事を選択していく。
 そうして、克哉は御堂と共に…MGN本社ビルの最上階へ向かう為に
エレベーターの方へと勢い良く駆け出していったのだった―
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 昨晩から大概の異常事態には慣れたつもり―だった。
 だが、大会社の会議室の真ん中に自分と同じ顔をしてヒラヒラと白いドレスを着た奴が
突然現れた時には、克哉は声にならない雄叫びを上げるしか出来なかった。

(あぁぁぁぁ! 片桐さんにも、本多にも…出会ったばかりの御堂さんにまで思いっきり
あれが見られてるぅぅ…!)

 もう、ここまで言ったら笑うしか出来ない領域である。
 片桐も、本多もあっけに取られるしかない。
 だが…御堂だけは反応が違っていた。さっきまでクールで怜悧な表情を浮かべていたのに
真っ青になって、冷や汗まで流れ始めている。
 恐らく長年御堂の下についている部下達も、彼がこんな風に取り乱す様は今まで
見たことなかっただろう。目の前の光景はそれぐらいレアなものだった。

「ど、どうして…貴様が、ここにいるんだぁぁ!! お前は私の夢の中にしか現れない
奴じゃなかったのかっ!」

『久しぶりだな…ミドォール。確かに現実にあんたの前に現れるのはこれが初めてだが…
随分と連れない態度だな?』

(へっ?)

 二人のやり取りを聞いて、克哉は驚くしかなかった。
 今朝の夢に出てきた青年と、この人がそっくりであった事だけでも驚いているのに
御堂と…セレニティ・眼鏡はどうやら初対面ではないらしかった。

「誰がミドォール、だ! 私の名前は御堂孝典だ! そんな怪しい外人くさい名前では
断じてない! お前とは無関係だっ!」

『…酷いな。一度は俺達は…式まで挙げた仲だと言うのに…な?』

 ピシッ!

 その発言を聞いた瞬間、克哉はその場にどっと倒れた。
 リノリウムの床に膝を突いて、もう力なく笑うしか出来ない。
 本気でこの場で意識を失って卒倒したいくらいの気分である。
 たった二日間でどこまでこちらの神経をぶち壊すような事態や情報が舞い込んでくれば
気が済むのだろうか。 
 確か自分はこの人と婚約する、という夢を見ていて…こいつが紛れもなく自分と同一人物
だというのなら、イコール自分と御堂は前世で結婚していた、という事になる。
 いっそ、悪い夢なら一刻も早く覚めてくれと破れかぶれな気持ちになった。

(もう、誰か助けてくれぇ…っ!)

 助けを求めた瞬間、克哉の意識は短い間だけ白昼夢の中に落ちていく。
 広がるのは満開の花畑。そこに…王族としてではなく、一時の自由を得ていた
自分が座り込んでいる。
 芳醇な花の香りと、様々な色彩の花々に囲まれて…背後から、誰かにしっかりと
抱きすくめられていた。

―カ……ヤ…さん…大好きだよ…

 それは―王家の一員とか、そういうのから解放されていた間の、とても幸福で
大切に感じていた思い出のカケラ。
 その声の主は、ミドォールという人でも、もう一人の自分でもなく…。

(太、一に…声が、似てる…?)

 そう思った瞬間、何故か安らいだ。
 そして克哉は―もう一つの記憶を思い出していく。
 黒い玉座に豪奢な貴族風の衣装を纏って君臨する、セレニティ・眼鏡と…それを
必死に睨んでいる自分の記憶を―。
 それは克哉の魂の底に眠る真実の、ほんのごく一部でしかない。
 けれどたったそれだけでも、克哉は少しだけ救われた気持ちになった。
 …自分達は、同一人物ではない。どんな形であっても今、一瞬だけ流れた映像は
前世で「二人」で存在していた証明でもあったからだ。
 まだまだ疑問は尽きなかったが、思考を切り替えて辺りを見回していく。

 御堂とセレニティの言い争いはその間も続けられていたらしいが…態度から
察するに、御堂の方が明らかな劣勢であることは疑いなかった。
 
『もう…俺に言いたい事は尽きたか? それじゃあそろそろ本題に入らせて貰おうか。
今…この会社は敵の標的に入ってしまっている。このまま放置しておけば、目標物を
探し出す為にこのビルを破壊し尽くすぐらいは余裕でやるだろう…」

「何っ! このMGN本社ビルを…破壊、だと…? そんな事が出来る訳が…っ!」

 御堂が叫ぶと同時に、高層ビル全体が大きく揺れ動いていく。
 先程感じた揺れと同等か、それ以上か…ともかく、一瞬…立っているのが
困難なくらいの大きな振動が襲ってきたのは事実だった。
 それが…皮肉にも眼鏡の言葉に強い説得力を持たせていた。
 結局、黙るしかなく…その場にいた全員が息を呑んで眼鏡の言葉に耳を
傾けていった。

『…それを阻止、したいか?』

「当然だっ! 本社ビルが倒壊などしたら…当然、全ての業務が立ち行かなくなる!
そんな事態になったらどれくらいの数の社員が路頭に迷うと思っているんだっ!」

『なら、さっき話題に上っていた新商品の営業をこいつらに任せる…という条件でなら
俺が力を貸してやろう…』

『『『えぇぇっ?』』』

 その場にいた克哉、片桐、本多の三人の声がハモっていく。

「…そんな無茶な条件を、呑めというのかっ! プロトファイバーは…我が社が威信を
掛けて全力で作り上げた新製品だっ! それをこんな得体の知れない連中に任せて
フイにしろというのかっ!?」

『…このまま、この本社が駄目になったら…売り出すもクソもないだろ? 良く
考えて見ろ…どちらが得か。納得いかないのなら期限と売り上げ目標とかを
設定して、一定期間任せる形でも良い。とりあえず…お前がそれを承諾するなら
俺も全力でこの状況を打破してやろう。…取引としては悪くないと思うがな…?』

 眼鏡の話が終わった瞬間、また大きな揺れと…MGN内にいる沢山の人間の
悲鳴が響き渡っていく。
 こんな奴の言う事など、信じるものじゃない。そう理性が訴えかけているが…
同時にこの大きな揺れをどうにかしない事には本当にMGN本社ビルは倒壊
してしまうかも知れない。
 そうなった場合…新商品の営業先を間違えて、営業不振…というレベルの
話ではない。下手をすれば会社の存続すら危なくなるかも知れない。
 だから精一杯、平静を取り繕いながら…御堂も答える。

「…判った。本当に君達がこの状況を解決出来たのなら、新商品の取り扱いを
君達に一任する、という取引に応じよう。だが…こちらにそれだけ大きな口を
叩いたからには…それなりの成果は期待させてもらうぞ…?」

 半信半疑ながらも、その条件の上に…御堂は眼鏡の取引を承諾していく。

『任せておけ。…それじゃあ、お前達にも協力して貰うぞ! おい、お前…
ムーンプリズムパワーメイクアップ! と大声で叫べっ!」

「えっ…あぁ、判った! ムーンプリズムパワーメイクアップっ!」

 いきなり話を、自分の顔を見られながら振られてしまったので、とっさに
良く考えもせずに例の呪文を口にしてしまった。

 今回は克哉が叫ぶのと同時に、部屋中がプリズムの鮮やかな光に
包まれていく。それがその場にいた全員を一斉に飲み込んでいった。

「うわっ! 何だこれはっ!」

「眩しい、ですね…わわわっ!!」

「一体何が…起こったんだっ!!」

 本多、片桐、御堂の叫び声が一斉に響き渡ると同時に…瞬く間に光の洪水は
過ぎ去って、視界が効くようになっていく。
 次の瞬間、その場にいた全員が硬直するしかなかった。

『『『うわぁぁぁぁぁ!!!』』』

 三人の心からの雄叫びが会議室中に響き渡っていく。

(ご、ご愁傷様です…みんな…)

 その様子を見て、克哉は心から他三名に同情していった。
 彼らの叫びと混乱は、まさに昨日…自分が体験した物だったからだ。
 
 眩い光が過ぎ去った後、その場にいた全員が…例のセーラー服風のヒラヒラしたスカートと
長いブーツを履いた装いに…変身させられてしまっていたのだった―

 とりあえず今回から、カテゴリーに『イベント・インフォメーション』という項目を
追加しました。
 参加イベントや新刊情報、スペース№等に関しては今後、ここをチェック
して頂けると有難いです。

 1月13日、バスチケットの方は無事取れたので行く事は決定してます。
 イベント後は太克オフ会(みついさん主催)に参加します。

 で…新刊情報。
 某サークル様で(まだ本確定ではないので伏せておきます)克克本を一冊委託。
 んで…オフ会参加メンバーが太克サークルが2つしかない! と叫んでいるのを
聞いてもう一冊太克本作って持っていきます。
 これは…うん、知り合い様とか希望者様用です。本売りは次回のイベント以降に
なると思います。ただこっちも読みたい! と言う人がいたら…知り合いの分+αの
分を持って行く形にしようかと。

 キチメガで本作るのも、インテ行くのも初めてだから…何部くらい作れば
まったく読めてないんですが…一応克克本は20~30部くらい持ち込み予定です。
 太克本は…え~と…オフ会参加者&委託サークル様分の五冊、かな。
 こっちの本も欲しい! インテで買いたい! って人がいたら拍手で
名乗り上げておいて下さればその分余計に持っていきます(ペコリ)

 克克本の内容は…ドラマCD 非装着版のトラック08…その後と言う設定+原画様の
冬コミ発行のボツ画集で「これは萌えじゃぁぁぁ!」と私が噴いたネタをミックスした
話&余力あればクリスマスに発表した克克SS完全版(H有フルバーション)の
二本立てにする予定。(これから死ぬ気で仕上げます…)
 さ、最低でも一本は形にして発行します。一本(20P前後)の場合の値段は200円。
 二本立てになった場合は300円の値段設定にする予定です。

 太克本は…みついさんの処の絵チャットでchie子さんと合作した「慰安旅行に
出掛けた克哉とそれを追っかけて合流する太一」ネタです。
 私の中に…太一は喫茶店に、克哉はキクチ・マーケーティングに勤務した状態で
ゆっくりと恋愛状態になっていく太克話も良いよな~って想いあるんですよ。
 本多とは友情エンドで終わってて(不憫だ…)太一と本多が克哉を取り合ってて…
火花散らしている状態…という設定の上での太克話です。
 こちらは販売する場合は200円。お世話になるであろう…オフ会メンバーと委託先の
方達には無料進呈する予定。

 とりあえずSSは5分の1か、4分の1仕上げて…本制作の材料はほぼ買い終わっていて、
表紙絵だけは完成している状況です。
 …連載と平行して本二冊は結構、冒険ですが…まあ、14日まで私は仕事休み状態なので
頑張れば出る状況です。
 という訳で修羅場の海に逝ってきます!! 無事出るように祈っててやって下され(なむ~)

※この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)

   片桐と一緒にMGN本社に乗り込んだ時には、すでに本多は…商品企画開発部第一室の
部長に面会を求めて、すでに会話を開始している状態だった。
 緊張した面持ちのまま、二人で…責任者に話したいと言うと…更に5分くらい待たされる。
 それからやっと本多に追いつくと…そこには凄い剣幕で、責任者に食って掛かって訴えて
いる本多と…冷淡な態度でそれを流している男の姿が視界に飛び込んできた。

「…こっちがこれだけ真剣に訴えているっていうのに…まったくあんたは聞く様子が
ないんだな! 幾ら子会社の人間だからって馬鹿にしすぎじゃないのか! あんたは!」

「そういう問題ではない。本多…君、と言ったかな? 君は聞いている限りでは正規のルートで
この商品の情報を手に入れた訳ではなさそうだからな。幾ら偉そうな事を言っていても
こんなにすぐに冷静さを欠いて、ただ真正面から自分達に営業をやらせて貰いたいと訴え
られても…到底、任せたいとは思えないとこちらは言っているだけだ…」

 かなり激昂している本多に対し、御堂の態度は極めて冷ややかなものだった。
 傍から見ていて、かなり緊迫した空気が流れているようにしか見えない。
 それに嫌な予感を覚えながら、二人の会話に割り込む形で…克哉は声を掛けていった。

「会話中、失礼します! 私はキクチ・マーケーティング営業第八課の佐伯克哉と
申します。えっと…貴方は…」

 と、言いながら責任者の顔を見て、驚いた。
 驚愕で目を見開いていくと…相手もようやくこちらに気づいたのだろう。
 一瞬、お互いの目線が合って…急な沈黙が訪れていく。

(嘘、だろ…この人、今朝…オレの夢の中に出て来た人に瓜二つだ…!)

 今朝、見た…不思議な夢。
 白亜の宮殿で、ドレスを着たまま…婚約者候補の人を待っていた自分と
扉の向こうから現れた端正な面立ちの青年。
 あの夢に出て来た人よりも十歳くらいは年を重ねている感じだが…間違いない。
 紫紺の瞳と髪に、怜悧な印象の面立ち。そして頑健そうな体躯。
 今日の朝に、あんな夢を見て…その日の内に瓜二つな人物と対面する。
 そんな偶然があるものなのかと…心底、克哉は驚いてしまっていた。

「…君、は…? 以前にどこかで会った事が…あったか?」

 目の前の男もまた怪訝そうな表情をしながら…問いかけていく。
 相手―先程面会を求めている時に、受付嬢に確認を取られたおかげで『御堂孝典』と
いう名前である事を知ったその人もまた、こちらの顔に見覚えがあるらしい。
 紛れもなく初対面な筈なのに、以前から知っているように感じられる概視感を…自分だけ
ではなく、相手も抱いている。
 そんな不思議な事態に…何故か、妙に緊張して…鼓動が早まっていった。

「いえ…その、怒るかも知れませんけど…今朝、貴方に似た人が出た夢を見まして…
それで驚いてしまったんです。不快にさせたのなら申し訳ないです…」

「…夢? 奇遇だな。私も…そうだな。今までに何度か…今の君よりは幾つかは若いが
君に似た人物を夢の中で見た記憶がある。…スーツ姿を見たのは今日が初めてに
なるがな…?」

「っ…!」

「おいおい、何の話だ? 夢だ何だって…?」

 すっかり置いてきぼりにされた本多が不服そうな顔を浮かべていく。
 恐らく自分達が来る前に、必死になって御堂に…この魅力的な新製品を是非扱いたいと
強く訴え続けていたのだろう。
 しかし本多の熱意など、この目の前の男にはまったく通じる事がなく…逆に偶然に落ちていた
企画書を拾った形で知った事をストレートに言えずに苦戦を強いられていたのだ。
 その中で…克哉が御堂と妙な雰囲気を醸していたので…本多としては、ともかく困惑
するしかなかった。

「…こちらの話だ。で…君からの話は以上だろうか? 話したい事がそれだけならば…
そろそろお引取りを願いたいのだが…?」

「そんな! あんた一体…こっちの話をどう聞いていたんだっ? こんなに真剣に
頼み込んでいるっていうのに…っ!」

「ほう? 真剣に頼み込めば…こちらが全力を掛けて取り組んだ新商品が流して
貰えるとでも思っていたのか? 呆れる程の単細胞な男だな、君という男は。
もう少し情報ソースが明らかになって…君の情報収集能力とやらが確かなものだと
確信が出来れば、少しは考えるが…秘密です、となどと答えるような輩を…しかも
まったくの初対面の男をこちらが信用して、任せるとでも思っていたのか?」

「ぐっ…」

 御堂の言い分は、正しかった。
 以前に少しでも仕事上で付き合いがあったり、以前から接点があるのなら
ともかく…自分達は、この直談判で初めて顔を合わせた間柄だ。
 それは向こうがこちらを信頼相手かどうかを判断するにはあまりに不利だった。
 その場に一緒に乗り込んできた片桐も、すでに場に流れる空気で状況を察して
しまったらしい。
 どう言い返すか、それに迷っている内に…沈黙が訪れていく。

(…この人の言い分は、正しい。オレ達は今日…ここで初めて顔を合わせた
ばかりの間柄だ。それで…こちらを信頼しろ、といっても…根拠となるものが
何もない…!)

 悔しくて、克哉が唇を噛んだその瞬間…激震がMGN本社全体を襲った。

 グラッ!! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!

「な、何だ…何だっ!!」

「うわっ! わわわわっ!!」

「な、何だこの揺れは! 地震かっ?」

 突然の展開に、他の三人は動揺しまくっていたが…唯一、克哉だけは違っていた。
 地震が起こると同時に、自分の胸ポケット内に納まっていた銀縁眼鏡が熱を持って
ドクンドクンと、こちらの心臓の音に同調するように淡い光を放っていたからだ。

(な、んで…眼鏡が、こんな風に輝いているんだ…?)

 つい、ポケットから引き抜いて眼鏡を観察していくと…やはり、紛れもなくそれは
淡く発光して、点滅を繰り返していた。

『…さあ、これを掛けろ…』

 その瞬間に脳裏に響くのは、セレニティ・眼鏡の声と…その顔だった。

(…どうして、こんなに鮮明にあいつの顔が浮かぶんだ…?)

『…不利な状況、何だろ? 俺なら…この状況をどうにか打破してやる。
お前がこれを掛けさえすれば…こちらも介入が出来る。…このままじゃ…お前達は
こいつに邪魔者扱いされて、そのまま追い返されるだけがオチじゃないのか?』

(そ、うだ…このままじゃ、俺達は新製品の営業を任せてもらう処じゃない。自分達の
親会社の偉い人に悪印象を抱かれたまま…スゴスゴと帰る羽目になるだけなんだ…)

 それは、この場に先程まで流れていた空気だけで充分に判ることだ。

『…俺なら、どうにか出来るぞ? それなのに…そのチャンスを逃して
負け犬のようにこの場から退場するのか…?』

 自分の頭の中で、瓜二つの風貌をした男が…不敵に微笑んでいく。
 自信たっぷりの態度に、口調が本当に克哉には羨ましかった。
 克哉は、控えめに目立たないように生きてきた自分には…自信と呼べるものが
何もない事は自覚していた。
 それに比べて、この男はいつも威風堂々として…自信に満ち溢れた態度を
している。それが…自信がないこちらとしては、憧憬すら掻き立てられて。
 その言葉に従うように…自らの意思で、克哉は眼鏡を掛けていく。

(このまま…負け犬になんて、なりたくない!)

 ただ、一心にそれだけを願い…光を放っている銀縁眼鏡を自らの顔に
掛けていく。

 その瞬間―部屋中に眩いばかりの光が溢れていく。
 同時に…MGN本社全体に轟音が鳴り響き、一部が倒壊して…社内中に
黒い影の集団が大挙して押し寄せようとしていた―

※この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)


「おはようございます!」

 営業八課の扉を、克哉は勢い良く開けながら部屋の中に飛び込んでいった。
 タイムカードを押せば、就業時間の二分前を指していた。
 すでに始業時間ギリギリの時間帯の為に、自分以外の人間は全て揃っていてこれから
ミーティングが始まろうとしていた。

(うわ…やっぱり、今日は…ギリギリだったからな。昨晩、飲み会に出てもみんなは
ちゃんと来ているのに…何か申し訳、ないな…)

「珍しいな。克哉がこんなギリギリなんて…二日酔いか?」

 真っ先に声を掛けてきたのは…自分と同期に入社した本多憲二だ。
 彼とは同じ大学の上に、途中まで同じ部活に在籍していた事もあって…ここ数年では
もっとも親しいと言える間柄の人間だ。
 昨日の飲み会では、彼も結構な量を飲んでいた筈なのに、いつもと同じ元気溌剌そうに
笑っている。その姿が今は、心底羨ましかった。

(…本多は今朝も元気そうだな。オレもその元気…分けて貰いたいな…はぁ…)

 それに比べて、今朝の自分は…昨日から異常事態のオンパレードで、すでに
ペースなど乱され巻くって足元すら覚束ない状況になっていた。
 公園で飲んでいたら、変な人物に遭遇して、自分と同じ顔した奴に指令を下されて変な植物と
戦わされ…気づいたら仲間も出来てて、猫が人間になって隣で寝ていて…。
 思い出しただけで、朝から思いっきりウツになりそうな事態ばかりである。
 ズモモモモモ…と重い空気を背負いながらも、どうにか克哉は本多に笑顔を浮かべていった。
 限りない、やせ我慢であった訳だが…。

「えっ…まあ、うん…ちょっと…」

 限りなく歯切れが悪い言い方になってしまったが、そういう事にしておく。
 二日酔いなら、テンションが低かったり暗そうにしていても恐らく深く詮索はされない
だろう。その計算の元で、曖昧に微笑んで煙に巻いていった。

「大丈夫ですか? 若いからと言って、飲みすぎは身体に悪いですよ?」

 ふいに、自分の上司である片桐が間に割り込んでくる。
 営業第八課の課長…総括を勤めている片桐稔は、克哉と本多の直属の上司に
当たる存在である。
 温厚で人当たりが良い性格で、仕事を効率よくこなしたりする器用さこそないが
真面目な仕事ぶりと、誠実さだけは折り紙つきの人物である。

「あ、片桐課長。おはようございます」

「はい、佐伯君…おはよう」

「課長! もっとこいつにビシっと言ってやって下さいよ。始業五分前には出社
するのが基本だ! って感じで…」

「別に良いじゃないですか。毎度の事なら僕もピシっと言わせて貰いますけど
佐伯君は普段は早めに来てくれる人ですし。今朝だって遅刻した訳じゃないんですし…」

(あぁぁ…片桐さん、本当にありがとうございます…!)

 片桐の温厚さが、今朝は妙に心に沁みていた。
 こうして本多と片桐の、いつもと変わらないやりとりを聞いていると…やっと自分の日常に
帰って来れたような気分になった。
 そうだ! 自分の日常はこれが普通なのだ。だからこそ余計に…昨日の非現実な事が
本当に起こった事なのか、不安さえ湧き上がってくる。
 あれは自分の夢に過ぎなかったのだろうか? いや…むしろそうであって貰いたいと
願う反面、自分の胸のポケットの中には…それが事実だと主張するように細いフレームの
銀縁眼鏡がしっかりと治まって、輝きを放っていた。

「さーて、仕事仕事。今日も一日、頑張ろうなっ!」

 本多が元気いっぱいに訴えかけながら、いつもの日常が訪れる。
 やっと…変わらない日常に戻って来れた。
 克哉は八課の穏やかな空気に包まれながら、ほっと一息を突いていく。

 だが運命はある日、突然に変革して…回り始めるもの。
 それは本人の意思と関係なく、動き始めた際には…必死で抗おうとも
問答無用で…自分の取り巻く環境全てが変わっていくものなのだ。
 
 オフィスで、通常業務に就きながら…その報告書を完成させて、片桐に
渡している時に、本多が凄い形相で飛び込んでくる。

「おいっ! みんな聞いてくれ! チャンスだっ!」

 こんなに弾んでいる本多の声は、ここ暫く聞いた事がなかった。
 八課の部屋に戻って来たばかりの彼の顔は…爛々と希望に輝き、眩しい
くらいだった。

「ど、どうしたんだ?」

 その剣幕に、克哉は少し押されていく。
 本多の眩しいくらいの表情が…また、自分にとっての変化を招くものだという事を
本能的に察したから、だ。

「おう! 克哉! これだよ…これっ! コレを見てくれ!」

 そして、一枚の書類を本多は皆に見せていく。
 そこには魅力的な新商品の商品説明が書かれている物だった。
 
『プロトファイバー』

 その書類には、間違いなくそう記されていた。
 本多はそれから…これを俺達が扱いたい! という正直な気持ちを皆に熱弁して
語っていった。

「これを俺達の手で売れるようにMGNに直接掛け合ってくるんだ!」

 そして最終結論はそれに落ち着いて、本多は勢い良く八課の部屋から飛び出ていく。

「本多、待てよ! そんなの…無茶、だって…!」

「無茶…じゃないかも、知れませんよ。駄目かも知れませんが…始めから諦めるよりも
行動してみるだけ、してみるのも一つの手かも…知れません」

「えっ…?」

「…こういう時、僕は何にも役に立てないですけどね。いざとなったら責任を取るくらいの
事は出来ます。本多君の後を追いましょう…」

「…片桐、さん…? どうしたんですか…?」
 
 いつも穏やかで、温厚で…悪く言えば腰が引けて押しが弱い筈の片桐が今日に限っては
ひどく積極的になっているように見えた。

「…いえ、さっき本多君が言っていたように、指を咥えてみているだけじゃ仕事は回って
来ませんから。それに僕も…このままじゃ、八課はこの会社のお荷物部署として…リストラ
対象になる、という噂ぐらいは聞いていますからね。…僕は、ここにいる皆が大好きです。
そんな評価を下されて、首を切られるなんて事態は招きたくない。だから…本多君の助けに
なりたいんです…。何も、出来ないかも知れないんですけどね…」

 そう穏やかに笑う片桐の中に、思いやりや優しさを感じて…克哉は酷く心が癒されるような
気持ちになった。

「…判りました。本多が暴走したら、それに歯止めを掛けるのも…オレ達の役目ですしね。
一緒に追いかけましょう。みんな! 迷惑掛けるけど…今日のこの後のフォローは頼みます!
 後でこの埋め合わせはするから!」

 片桐と一緒にMGNに向かう準備をする途中、ここに残る事になる他の八課のメンバーに
一声を掛けていく。
 克哉、片桐、本多の前向きな態度を快く思ってくれたらしい。皆、笑顔で応えてくれていた。

『任せておいて下さい! 後のフォローはしておきます!』 
 
 八課の唯一の紅一点の子が快く自分達を送り出してくれる事で、克哉も励まされる
気持ちになった。

「行って来ます! 行きましょう片桐さん!」

 そうして片桐の手を引きながら、本多の後を全力で追いかけていった。
 この後に、大きな変化が訪れる事を漠然と感じつつ…本多と片桐と共に、克哉は
MGN本社へと乗り込んでいったのだった―

  とりあえず本日、『白銀の絆』を作品倉庫に格納。
  二件、鬼畜眼鏡サイト様のリンクを追加しました。
  むいさん、阿佐海さんどうぞ宜しくお願いしますです(ペコリ)
  …え~と、連載終了して…作品倉庫に入れてない作品、現在は5~6作は
ありますが…はい、この件に関してはもう少しお待ち下さい(遠い目)

 chie子さん、セーラーロイド一話のURL送るの遅れてすまないっす!
 とりあえず時期ものだから、エントリーしたメガミド企画の方を年末から年明けは
優先していましたけど、今日からロイドの方を優先するので許してやって下さい!
 私もインテで会えるの楽しみにしていますよ(私信)
 近日中に作業しますのでもう少し待って下さいませ!

 拍手返信~

 080104 23:41の方

 白銀の絆、気に入って頂けたようで良かったです(^^)
 私もこの許す場面のくだりは書いてて、実はちょっとだけホロリと来ました。
この二人は多分、罪を許す処から始めないと先に進まないな~と以前から思っていたので、
そこら辺を力込めて書いてみたんですよ。少しでも心に響いたなら嬉しいですv

 草羅さん
 
 感想どうもありがとうございました。私もメガミド好きですが、他のCPもバリバリ書いている
奴なので、他の作品のつまみぐい大歓迎です。あ…着物に関しては私はまったく知識がないので
ネットでにわか仕込みで着付けの仕方を勉強しながら、新年SS書いたんですが・・・最初は
そちらの指摘の通り、間違えておりました。すぐにその箇所訂正したので…その節に関しては
有難うございました(ペコ)  ただ新年SS自体は楽しめて頂けたようなので、良かったです。
 私もこの話は御堂さん可愛いな~と思いながら楽しんで書けました。
 また気軽にお立ち寄り下さいませv

  返信、完了!
 んで…ちょこっとセーラーロイドについて語ると…この話は、11月22日の太一誕生日
記念チャットに出た際に出た…鬼畜眼鏡キャラにセーラームーンのコスプレをさせる…
という処から発生していたりします。
 んで…チャット主催者様とchie子さんが神業のような速さで…紙芝居のように
お話を展開させていまして。それにインスパイアされて書きたい! と私が名乗り上げて
書かせてもらっている話だったりします(汗)

 ま…その時、丁度うちのじいさまがお亡くなりになる直前で。
 実際に11月24日の朝に逝去したんですが…まあ、そんなヘビィな事態になっていても
chie子さんとか、その時…一緒に書くのに巻き込んだみついさんとKAGIさんは言葉掛けて
くれたり、リンク結んだりしてくれたんですよ。
 で、それが大変嬉しかったので…書かなきゃな、と思ってやっているシリーズなのです。

 克克好きな人や、企画から…メガミド好きな人が結構うちのサイトを閲覧するように
なっている状況は判っていますが、この話は出来れば最後まで書きたいと思っているし…
当面、一ヶ月か二ヶ月に一回ぐらいのペースで連載していって、年内に終わらせられればな、
という感じで続けていきます。

  こういうの苦手な方は、その期間は回れ右して下さい。
  基本的にこのサイトは人のリクエストなど一切聞かずに、自分が書きたいものを
自分のペースで書き続けるというマイペースサイトですし。
 読むのも読まないのも、閲覧者様の自由だと思います。
 とりあえず今回の連載期間予定は6日から…11、12日までになります。
 14日から…また、その時書きたいと思ったCPで連載を始めますので…セーラーロイドを
苦手だなって思う方はそれくらいをメドにまたお立ち寄り下さいませ。

 …あ、セーラーロイド…実はかなり複雑な話ですよ。
 第一話からミスリードや、様々な謎を散りばめるように配慮していますし。
 最終的にこの話は、太克だけど克克要素やメガミド要素も混ざって来てシリアス色を
帯びてきます。どんな風に仕上がるのか…まあ興味が湧いたら見てやって下さい。
 では本日はこの辺で失礼します。ではでは~(Mr.R風に)

 
 

 
※この話は鬼畜眼鏡とセーラームーンをミックスさせたパロディものです。
 登場人物が女装するわ、必殺技をかまして怪しい奴らと戦い捲くります。
 無駄にお色気要素満載です。1話&2話目まではギャグ要素に溢れています。
 そういうのに不快になられる方はどうぞ回れ右をお願いしますです(ふかぶか~)
 

  ―遠い昔の記憶を、克哉は夢で見ていた。

  恐らく、前世の―14歳か15歳くらいの時の夢。
  地球国の王子との…政略的な意味合いの強い婚約が決まった日の記憶だ。
  見事な細工が施された大理石の柱が立ち並ぶ白亜の宮殿の一室。
  これから引き合わされる相手が、自分を見て…どんな反応をするのか、恐くて…
不安でいっぱいでしょうがなかった。
 
 この時の自分は…肉体的に未成熟で、男性か女性かまだ判らない未分化の
状態で。女性になるなら新たな銀水晶を内包する女王として迎えられる。
 男性ならば、もう一人の血を分けた血族と同等の権利を持つ王位継承者候補
扱いになるという微妙な時期を迎えていた。

(本当に…オレと結婚する事になっても…構わないって言ってくれるのかな…
王位継承の件だって…オレなんかより、よっぽど…あの人の方が頭も良いし
頼りになりそうだし…相応しいのに…)

 今の自分の身体は、生まれつきの異常のせいで…どちらでも、ない。
 成長も同年代の人間に比べれば若干生育も悪く…12、3歳くらいにしか
見えない。
 一応女性に分化した日の為に髪は長くさせられていたけれど…最近は
薄々と気づいていた。
 自分の心が、男性寄りになってきている事を。

 白いドレスに身を包み、長い髪を両サイドでクルンと丸めて流している姿は一応
女…と見えなくもない。
 けれど、そのドレスの下には女性らしい膨らみなど一切ない。
 身体のラインも子供らしい、柔らかさを残したままで男性らしさもまったくない。
 こんな中途半端な自分を…本当に相手は望んでくれるのか。
 そんな強い不安感を覚えながら、ついに…扉が開かれた。

「お初にお目に掛かります。月の国の王女―カイヤ=セレニティ=
ムーンキングダム様。
地球国王子…ミデォール=フォン=メイディア=ガイアスです」

 現れた男の年は、自分より…7歳か8歳は上だろうか。
 紫紺の髪と瞳をした、端正な顔立ちをした人だった。

「は、始め…まして…カイヤ、です。その…宜しくお願いします…」

 あまりに堂々と自信ありげに振舞う相手の態度に圧倒されて、こちらの態度は
自然とオドオドしたものになってしまう。

「…お噂の通り、お美しい方ですね。…貴方とこうして、婚約の話が決まって
私はとても嬉しく思っていますよ」

「は、はい…オ、いや…私も…」

 完全にそれは造られた笑顔である事は、見れば判った。
 瞳の奥にあるのは…こちらへの好意でも、憧憬も、尊敬も何もなく…ただ
静かな野心と、狡猾な光だけだ。
 噂の通り、だったんだな…と人の心を読むことに長けたカイヤは少し
切なくなる。
 この地球国の王子との強引な婚約話は、野心的な第一王子が…幻の
銀水晶が齎す、長寿と永続的な若さを望んでいるから結ばれたものだという
噂がまことしやかに囁かれていたのだ。

(…誰も彼も、ただ…オレを利用しようとするだけ…何だな…)

 女として、生まれなかった。
 しかしそうなる可能性がある存在として…生まれた時から自分の立場は
微妙だった。
 明らかに自分よりも有能なもう一人の王位継承者。
 能力も人徳も余程彼の方があるのに…自分の体内に、次代の銀水晶が
宿る可能性がある。
 それだけで自分の方が最有力の王位継承者扱いされている事が苦痛だった。
 腹で馬鹿にしながら、取り入ってくる人間に沢山囲まれていた。
 こうして婚約しようとしているのに、その相手まで…宿るかも知れない
銀水晶目当てだった事に、カイヤは酷く傷ついていた。
 それでも王族として、その苦悩は顔に出さず…精一杯の笑顔を浮かべて
相手に頭を下げていく。

「私も…嬉しく、思っています…ミデォール様…」

 その言葉を聞くと同時に、目の前の男は…不敵に微笑んでいく。
 自分の手を優雅な動作で掬い取っていくと…恭しく手の甲に口付けを
落とされていった。
 一見すると、気障にしか見えない仕草でも…この整った容姿の男性が
すると酷く様になっているのに…心からカイヤは感心していた。

「貴方と正式に添い遂げられる日が来ることを…心から私は待ち望んで
いますよ…カイヤ様…」

 そう、目の前の男が冷然と微笑みながら口にするのを…胸がチクンと
痛みながら、カイヤは聞いていったのだった―

                         *

 そこまで夢で見た時、急に克哉の意識は覚醒していった。

(何だ、今の夢は…)

 愕然と、するしかなかった。
 昔から…幾つか不思議な夢を見る事はあったが、今朝見たそれは…初めて
見る場面ばかりだった。
 しかもどんな風に自分が考えていたか、どんな衣装を着ていたのかもはっきりと
覚えている。

(えっ…オレが月の国の王女、で…セレニティって呼ばれていて…で、地球国の
王子と婚約…って一体何の冗談だよ!)
 
 セレニティ、というと銀縁眼鏡をした…自分と同じ顔の奴の名称だった筈だ。
 なのにどうして、自分がそう呼ばれていて…ドレスを着ていて、恭しく手の甲に
キスまでされなきゃいけないのかがまったく判らなかった。
 目覚めたばかりではっきりしない頭で、幾つかの情報が散乱してグルグルと
回っていく。

「何で昨日の夜から…いきなりこんな非日常に叩き込まれなきゃならないんだ…
…うわぁ!!」

 目の前に広がっている現実に、克哉は驚愕の声を挙げるしかなかった。
 確か自分はあの後、もう疲れ果てていたので…あの公園の近くのホテルに
部屋を取って…こっそりと白い猫と一緒に共に布団に入った筈だ。
 それなのにどうして…自分の隣に、美少年が裸の状態で寄り添っているのか…
現状を把握するまで、かなりの時間を要していた。

「ん…んぅ…あ、おはよう。克哉さん…起きたんだ…?」

 寝ぼけ眼をしながら、謎の美少年は眠そうに瞼を擦っていく。
 透けるような真っ白い肌に、鮮やかな金髪。その澄んだ瞳は緑玉石(エメラルド)のように
輝いていて…整った風貌に良く似合っていた。
 しかし、まったく見覚えがない筈なのに…声だけは聞き覚えがあるような気がするのは
不思議でならなかった。

「き、君は一体…?」

「…やだなぁ。判らない? 僕…アキ、だよ。基本的に地球上では省エネモードの時は
猫の姿しているけど、これが…僕の本当の姿なんだけど?」

 非常に愛らしく、人懐こく笑いながら克哉の常識では考えられない事を
さも当然そうに言い放っていた。

「は?」

 自分が変身して戦う事になるだけで、理解の範疇を超えているのに更に非常識の
塊のような事態が目の前で起こっていて、一瞬克哉は思考停止状態になっていた。
 しかも自分も相手も、お互い裸である。
 ホテルの一室で、ベッドの上で裸の美少年と寄り添いながら朝を共にしている。
 おまけにその少年は、あの白い猫だったと言い張る。
 これが現実だというのなら…何て非現実的すぎるのだろうか。
 起きた早々、一気に克哉は猛烈な疲労感に襲われていた。

「…君、猫…だったよね?」

「うん。むか~し、セレニティ・眼鏡様に僕が他の男に愛想を振り撒かないようにって…
こういう身体にさせられたんだ。だからあの人の前以外では…僕は人型になれない筈
だったんだけど。やっぱり同じ人…だから、かな?」

「同じ人って…? あいつと、オレが…?」

「違うの? だって…セレニティ様は…克哉さんは来世の自分だって…僕に
説明していたよ?」

 そんな訳、ない…と言い返そうとした。
 しかし…ふと、思い出していく。そういえば…初めてセレニティ・眼鏡と対面した時に
奴はこう言ってなかったか?

『やっと繋がったか今生では初めまして、だな<オレ>』

 その一言を思い出して、克哉の顔は蒼白になっていく。

「嘘…だろ?」

「…僕が貴方に嘘ついて、何になるの? けど…うん、久しぶりに腕枕して貰えて
凄い嬉しかった。セレニティ様は…もう実体を失ってしまっている思念体だから
…話す事は出来るけど、もう温もりを分け合えないから…」

「思念、体…?」

 もう幾つ、こちらが驚くような単語が飛び出してくれば気が済むのだ。
 あの傲慢な男が前世の自分だったり、自分が月世界の王女だという夢を見たり
昨日からとんでもない事実がわんさかと大挙して押し寄せて来ていた。

「うん…セレニティ様は…殺されて、しまった。うんと遠い昔に…誰かの
手に掛かって。それでも意思の強い人だったのと…幻の銀縁眼鏡のおかげで
思念だけは残ったけれど…。その日から、つい最近まで…僕も冷凍睡眠
状態にさせられていたから…それ以上は詳しく知らないんだ…。
一つだけ確かなのは…僕は今も昔も。あの人の可愛い飼い猫だって
いう事くらいかな…?」

「そ、う…なんだ…」

 語られる、意外な事実に…克哉は知らず、震えていた。
 とても信じられる内容ではないのに…そう語るアキの顔はどこか切なくて―
嘘を言っている感じではなかった。

「だから、貴方の腕の中はとても暖かかった。うんと昔…セレニティ様が
僕を抱きしめながら一緒に寝てくれた事を思い出せて…幸せだったし」

 そうやって本当に嬉しそうに笑う姿は、どこか健気で。

(良い子…だな。それだけは確かかも知れない…)

 少しだけ相手への警戒心を解いて、肩の力を抜いていく。
 その瞬間…馴染みの携帯アラーム音が部屋中に響き渡った。

「うわっ! もうこんな時間かっ?」

 克哉は寝坊しないように、一応いつも二段階で目覚ましを掛けてある。
 一段階目はミリオンレイの定番ソングの着信音を。
 二段階目ではオーソドックスな時計のアラーム音を設定してある。
 そしてアラーム音が鳴り響いているという事は…もうギリギリの時間帯に
差し掛かっているという事だ。
 慌ててベッドから起き上がって、椅子の上に置いてあった自分の服を
身に纏い始めていく。

「…もう、行っちゃうの? 僕…まだ、もう少し寝ていたいんだけど…?」

「そ、それならもう少し君はここにいて良いからっ! けどオレは…もう
出ないと会社に間に合わないしっ!」

 慌てながら答えて、大急ぎで下着からシャツから…袖や足を通していく。
 昨晩、幾ら疲れていたからって、相手が猫だからって…気を緩ませて裸で
寝るような真似をした自分の軽率さを本気で呪いたくなった。
 …こんな美少年の前で、アワアワと服を着る様を晒す羽目になるのは
本気で恥ずかしかった。

「そうなんだ…大人って大変なんだねぇ…ふぁ…」

 そういいながら、アキは…平和そうな顔をしてポスンともう一回
ベッドの上に横たわっていく。
 間もなく限りなく穏やかな寝息が零れていった。

(もう…何が何だか、判らない…! これからどうなるんだ…オレは…!)

 半ば涙目になりながら、着替えを終えていくと…自分の荷物や所持品を
確認して…ここから会社に出勤する準備を整えていく。

「ここの代金は、オレが払っておくから。ちゃんと自分で帰っておいて!」

 そう慌ててベッドに眠るアキに告げながら、克哉は部屋を出て行った。
 …しかし、一切服を着ていない上に自宅にも招いていない状態のアキが
どうやってここから帰れば良いのだろうか?
 その事実に気づいて、自己嫌悪に陥った時には…すでにフロントで代金を
支払って、電車に乗り込んだ後だったので…どうにも連絡のつけようがなく。
 大変モヤモヤした気分のまま…克哉はキクチ・マーケティングへ出勤する事に
なったのだった―。

  昨晩、某所に初めて人がいる時に顔を出しました!
  素敵絵師さん達の豪華な競演により、大変楽しい一時を過ごさせてもらいました。
  構ってくださった皆様、どうもありがとうございました。
  …で、私は今回絵チャットには会話のみの参加でしたが、皆様の大変素敵な絵を
拝見させて貰ったお礼に一本、SSを書き下ろさせて貰いましたv
   絵の方のリンクは、以下から飛べます。背後注意絵なので、閲覧の際には
気をつけてくださいませ!
 えっと絵に参加はしてないけど…ちゃんとお題にちなんだSS書いたから…載せる権利
ありますよね…?(ドキドキドキ)

 (メガミド新春合作絵)

 ついでにいうと…某所ではもう一つ、左から二番目の絵(筆プレイ…)にちなんだSSが、
文章書きⅠ様の手によってアップされていますv
 興味のある方は探してみるのも一興かと思います。(まあ…メガミド好きな人なら一発で
判るでしょうが)

『君と一緒に』 メガミド姫初めSS


   1月1日の朝、体中の筋肉がミシミシと悲鳴を上げているのを自覚しながら、
御堂孝典は目覚めた。

「…朝、か…」

 昨晩は…自分の恋人の克哉に好き放題貪られたおかげで、酷く身体がダルかった。
 身体中が何か汗とか体液で汚れているせいで、寝起きの気分も最悪だ。
 しかも更に腹が立つのは…そこまで自分を好き放題にしておきながら、起きた時に
佐伯克哉の姿がどこにも感じられなかった事だ。
 ムカムカする気分をどうにか抑えながら、ダブルベッドから降りていくと…そのまま脇目も
振らずに浴室へと向かっていった。

(とりあえずあいつの姿を探すのは…身体をさっぱりさせてからで良い…)

 まだ自分の内部に、相手の残滓が残っている。
 それをまずは掻き出さない事には…冷静な判断など出来っこないだろう。
 そう思って、浴室に入り熱いシャワーを浴びていく。暖かいお湯の感触が、
身体を清めていってくれる感触がとても心地よかった。

                         *

 全身をさっぱりさせて、バスローブに身を包んでリビングに足を向けると…ソファの前の
透明な机の上に…何やら藍色の着物が折りたたんで置かれている事に気づいた。

(…何でこんな処に着物が?)

 御堂は基本的に洋装の物ばかりを好んで着用している。和服や浴衣の類は一着も
所持していない筈だった。
 それなのにここには間違いなく…まったく見覚えのない和服が存在している。
 訝しげに思いながらも近寄って…手に取って見せる。
 肌触りはとても良い処から判断するに、これは相当に上等な生地を使用されている。

「何でこんな物がここに…?」

 そう、呟くと同時に背後から何者かに羽交い絞めにされていた。

「っ!」

 咄嗟の事でこちらも反応が出来ない。
 一瞬、竦んでいる隙に首筋に柔らかい感触と鋭い痛みが走って…それで状況を理解した。

「佐伯! 何の冗談だ! 止めろ!」

 そう、今…背後から御堂を抱き込んでいるのは…つい最近再会して、心を通わせた
ばかりの恋人―佐伯克哉その人である。
 彼の方も目が覚めてすぐにシャワーを浴びたのかこざっぱりしていて…いつも通り、
ピシっとしたスーツに身を包んでいる姿は、悔しい事にかなり格好良かった。
 …今の御堂には、そんな事を気づく余裕もない訳なのだが。
 
「…断わらせてもらう。年明け早々、あんたの湯上り姿なんて色っぽいものを拝ませて
貰っているんだ…まったく手を出さないでいられる訳がないだろう…?」

「くっ…君という男は、いい加減にしたまえ! 昨日だって私を散々好きなようにしただろうが!」

 克哉の手が怪しく蠢きながら…自分の胸の突起を両手で弄り上げていく。
 昨晩、散々弄られた其処は…ほんの少しこの男に触れられるだけで充血し、
堅くなっていた。首筋には熱い吐息と、唇の感触も感じる。
 たったそれだけの接触で…再び自分の身体の奥に熱い疼きが湧き上がってくる事に、
御堂は戸惑うしかなかった。

「やっ! こら…新年早々、朝っぱらから君は何をするんだ! もう少し落ち着いたら、
どう…なんだっ!」

「あぁ…そういえば今朝はもう新年でしたね。御堂さん…あけましておめでとうございます」

 克哉はとびっきり爽やかな口調と笑顔で、晴れやかに新年の挨拶を口にしていく。
 しかしやっている行動は限りなく…爽やかという単語とは縁遠かった。

「何をいけしゃあしゃあと…!挨拶をするのならこんな真似は止めて、正面から向かい合って
まともにやってくれ!」

「…そんな事したら、あんたはさっさと俺の腕から逃げるでしょう。あぁ…そういえば、
御堂さん。俺の方から一つお願いしたい事があるんですが…聞いて貰えますか?」

「お願いを口にする前に…! はっ…! そのいやらしい手を止めて、くれ! 
おかしく…なる、だろ…!」

 弱々しく頭を振って抗議していくが、克哉は一向に手を止める気配すら見せない。
 耳朶を甘く食まれながら、腰に響く低い声音で…甘く囁きを落とされていく。

「…せっかくあんたの為に、上等の着物を用意したんだ。これで…姫初めに付き合って
貰えませんか…?」

「ひ、姫初めって…! ひゃっ…!」

 バスローブの裾を割られて、そのまま性器をやんわりと握りこまれていく。
 相手の体温を背後に感じながら、胸を弄られるだけで半勃ちになっていた其処を
弄られるのは…顔から火が噴出しそうになるくらいに恥ずかしい。
 けれど、それ以上の愉悦が…身体の奥から湧き上がってくるのも事実だった。

「…こうして、一緒に新年を過ごしているんだ。今日…この瞬間に、真っ先にあんたを
感じ取りたい…」

「…あっ」

 揶揄する訳ではなく、今度は真摯な声音で…耳元に直接、呟かれた。 
 その瞬間に、期待しているかのように…自分のペニスがドックンと脈打つのを
自覚する。御堂は羞恥の表情を浮かべながら…荒い吐息と共に頷いていく。

「好きに…しろ…」

 そう言いながら、一旦スルリと…頷いた瞬間に緩くなった克哉の腕から抜けていく。
 頭の中で円周率を50ケタくらい、ざっと思い描いて…少しの間だけでも冷静さを
取り戻して…下半身のモノを沈めた。まあ効果は一時に過ぎないだろうが…。

(意外に効くな…円周率…)

 妙な事に感心しながら、そのまま…克哉の目の前で…バスローブを脱ぎ去った。
 朝日が差し込む部屋の中…御堂の身体は、陽光に照らされて…眩いばかりに
輝いている。
 均整の取れたその身体に、満遍なく克哉がつけた赤い痕が散らされている。
 その妖艶な様子に息を呑みながら…御堂は、克哉の視線に晒されながらも…
藍色の着物にゆっくりと袖を通していった。

 着物など、殆ど着た経験はない。辛うじて知っている知識は肩と襟の位置をキチンと
合わせる事と、右側の襟を下にする事ぐらいだ。
 克哉は肌襦袢までしっかりと用意していたが…どうやって着るのかまでは判らない。
 結局、直接肌の上に長襦袢を見よう見まねで羽織って…整えていく。
 それで腰紐を結わえれば…一先ず、格好だけはついていった。

「…これで、良いのか…? 佐伯…」

「…やっぱりな。あんたにはそういう…凛とした印象の物が良く似合う…」

 良く見れば、その着物は藍色だけではなく…所々に空に瞬く星のように、銀が瞬いて
散らされていた。
 派手すぎず、地味すぎないなかなか粋なデザインの生地選んだな、と少し感心する。

「…着物なんて、初めてだから…キチンと着れているか非常に不安はあるがな…」

「…別に構わない。どうせ…すぐに脱がしてしまうんだから…。俺は一度でも、あんたが
袖を通してくれれば…満足だからな…」

 そのまま、腕を引かれると…寝室の方まで連れ込まれていく。
 御堂の方も、予測済みだったので…抵抗しない。むしろ…下半身がかなり疼いている
状態で、平常心を保って…着物を纏った事の方がかなり堪えていたくらいだ。
 問答無用でベッドシーツの上に組み敷かれた。
 …どうやら自分がシャワーに入っている内に…しっかりと克哉はシーツ交換を
していたらしい。
 起きた時は昨晩の行為でグチャグチャになっていた筈なのに…実に抜かりのない男だ。

「シーツが…。君って男は…本当にこういう事だけは抜かりがないんだな…!」

「当たり前だ。あんたと愛し合うのに…手抜かりなんて出来る訳がないでしょう?」

 実にあっさりと、とんでもない発言を口にしながら…御堂の身体に容赦なく
圧し掛かって、唇を塞いでくる。

「んっ…はぁ…!」

 深く唇を重ねられながら、胸の突起を弄られて足を大きく割られていくだけで
もう駄目だった。
 せっかく着たばかりの着物は愛撫の最中にすぐに肌蹴られ、そのまま剥ぎ取られた。
 死ぬ程恥ずかしい想いをしながらストリップまがいの事までしたのに…そこら辺は
張り合いがない事、この上ない。

「せっかく…着た、のに…」

 少し恨めしそうに相手の顔を見つめていくと…さも当然とばかりに克哉は反論する。

「…あれは凝ったプレゼントの包装みたいな物だ。元々メインはあんた自身なんだから…
一度、袖を通してくれるだけで充分なんだ…。それに着たままじゃ…これ以上の事をしたら、
汚してしまうだろ…?」

 クスクスと笑いながら、唇にチョンとキスを落とされればもう駄目だ。
 それだけで甘い衝動が全身を走り抜けて、堪えが効かなくなりそうだった。
 足の間に大量のローションを落とされて、下肢が再びビショビショにされていく。

「ん、それ…冷た、い…!」

「我慢しろ…早く、あんたが欲しくて仕方ないからな…」

 相手の指がすぐに、昨晩散々愛された蕾へと伸ばされていく。
 ローションの滑りも手伝ったせいか…あっさりと内壁は克哉の指を飲み込み、緩い収縮を
繰り返していった。
 自分の身体の反応の速さに、思わず死にそうなくらいに恥ずかしくなった。

「…火が点くのが早いな。もう柔らかくなって…俺の指を締め付け始めて、いるぞ…
あんたの此処…」

「だから! そういう事はわざわざ、言わなくて…良いって! んぁ…!」

 今度は、再び性器の方にも指が絡められていく。
 キスと蕾への刺激だけでビンビンに腫れ上がったペニスを、早い動作で扱かれて…
それだけで御堂の息は容赦なく上がっていく。

 ピチュ…グチュ…ニチャ…ネチャ…

 克哉の指が亀頭を攻め上げる度に、先端から厭らしい水音が立って、
部屋中に響き渡っていく。
 まだ明るい内からこんな事をされるだけでこっちは死にそうなくらいの羞恥に
晒されているのに、更にわざとこんな仕打ちをすることの男は真性のサドだと思う。

「あんたの身体…本当に、やらしくて…美味しそうだな…孝典…」

「バカ、バカ…! 言うなって…何度、言ったら…むっ、がっ…!」

 そのまま相手の腕に押さえ込まれると同時に深く唇を塞がれて、反論を封じられていく。
 もがいている隙に指を引き抜かれて…熱く脈動している剛直を宛がわれた。
 期待するように御堂が息を呑むのと同時に、その灼熱の塊は奥まで一気に
刺し貫いていった。

「ふぁっ!!」

 片足を大きく抱えられて、いつもよりも深い処を抉られたらもう駄目だ。
 たったそれだけの刺激で、全身に電流が走り抜けたようで堪らなくなる。
 克哉のペニスが…御堂の感じる部位を探り当てて其処を重点的に擦り上げていけば…
その度に御堂は翻弄され、あえかな息を漏らし続けるしか、ない。

「はっ…ぁ…や、もう…それだけで、おかしく…なるから…加減、して…くれ…!」

 御堂の身体の反応が顕著になる度に、克哉の腰の動きもまた容赦ないものになっていく。

「駄目だ…俺はどこまでも、あんたが感じる姿を見たいんだ…。せっかく今年最初の
愛の営み…なんだ。あんたも…とことんまで、俺を…感じろ…」

 熱っぽく囁かれると同時に、一層奥深くを穿たれて…御堂の喉が弓なりに
反り返っていく。

「ひぁ!!」

 もう、反論の言葉など紡ぐ余裕などない。
 ただ…相手の熱を享受して、受け入れていくだけだ。
 御堂のペニスが、相手の指と腹部に擦られていく度にまるで別の生き物のように…
克哉の身体の下で暴れ狂っていく。
 接合部からも、性器の先端からも互いの蜜が滴りあって…絡み合う音が何かの
音楽のように、グチャグチャグプ…と鳴り響いていた。

「はっ…あっ…、克哉…も、うっ…」

 意識が、混濁する。
 あまりの強い愉悦に頭が真っ白になって…彼が与えてくれる感覚以外、
何も考えられなくなった。
 必死になって相手の背中に縋り、全身を大きく震わせながら…際奥に収まった
克哉の熱塊を締め付けていく。

「…あぁ、あんたの中で…イクぞ。孝典…っ!」

 克哉もまた、余裕の無い表情を浮かべながら最後の追い上げとばかりに激しく
腰を突き入れていく。

「ひぃぃ…あぁぁ!!」

 一際大きな声で御堂が啼き。
 そのまま勢い良く、克哉の情熱の証が身体の奥へと注ぎ込まれていく。

(…気持ち、良い…)

 どっと押し寄せる快楽の波に身を委ねながら、そのまま御堂の身体から力が抜けていく。
 心地よい酩酊感に浸りながら…ふいに、唇にチュっと小さくキスを落とされる感触がした。

「改めて、今年も宜しくな…孝典…」

 とってつけたような、定番の新年の挨拶に…ついこちらも笑いたくなった。
 けれどあまりの疲労感に…もはや声も枯れて、言葉にならない。
 
 しょうがないので…柔らかく、どこか儚い笑顔を浮かべていきながら…答えてやった。
 御堂のその顔を見て…克哉もまた、心から嬉しそうな顔をしていた。

(まったく…しょうがない奴だな…)

 最後にそう心の中で呟きながら、ゆっくりとまどろみの中に御堂の意識は落ちていく。
 そうして…二人の新しい年は、幕を開けたのであった―

 ※この話は本編のED№3「嗜虐の果て」にを迎えた後、どうにか立ち直った
御堂と眼鏡が結ばれた後、という設定の上に執筆した眼鏡誕生日ものです。
ミドたんが佐伯の嫁状態になっています。(当サイトの作品『白銀の輪舞』の後です)
それを了承の上でお読みくださいv

 あれから、何度求め合ったのか…御堂自身も正しく認識していなかった。
 達する度に、意識が朦朧とするぐらいにイイのに…こちらが覚醒すると同時に
すぐに克哉に求められる。
 体位を何度も変えられて、その度に違う角度で奥まった場所を熱いペニスで
貫かれて。
 相手の放ったもので溢れかえった其処を気が狂ってしまうくらいに激しく
掻き回され続けて。
 そんな応酬を、今夜はどれくらい繰り返して来たのだろうか?
 
(…本気で腹上死するかと思った…)

 ようやく克哉の方の意識が、疲労で落ちた頃を見計らって…彼の下から
脱出出来て、御堂は…一度、シャワーを浴びて身体を清めていた。
 …あまりに激しいセックスをしたせいか、全身が汗と互いの体液でベタベタ
だったからだ。
 まだベッドシーツの上なら汗も吸ってくれるが、革張りのソファではそうは
いかない。
 清潔なバスローブに身を包み、バスタオルで髪を拭いながらリビングへと
戻っていく。克哉は先程と変わらず、穏やかな顔をして眠りこけている。
 …さっきシャワーに行く前に、軽く濡れタオルで身体を拭ってやったおかげか
実に気持ち良さそうな表情をしていた。

「…まったく、良く寝ているな…。こいつは…」

 そういえば、正月からしっかりと休みを取る為に…この年末はずっと克哉は
働き通しだった事を思い出していく。
 それだけ疲れている癖に、あれだけこちらを好き放題出来るのだから…
やはり若さという奴なのだろうか。

(そういえば…こいつとは七つ違いだったな。すっかり忘れていたが…)

 ソファの傍らに腰を掛けながら、相手の髪にそっと触れていく。
 柔らかい癖っ毛は…意外に触り心地が良い。
 普段は怜悧な印象の瞳がこうやって閉じられていると…案外、幼い
顔立ちをしている気がした。
 …七歳も年下の男にここまで惚れ込んで、一生を捧げても良いと思うように
なるとは…自分でも予想していなかった。

 何より、自分でも驚きなのは…克哉のこんな無防備な姿を見て、心から
愛しいなどと感じてしまっている事だ。
 心を通わせる前は、こいつの顔を見るだけで複雑な感情が込み上げて
どうすれば良いのか判らなかったのに…大した心境の変化だな、と
自分でも思った。

(今なら…こいつの首も容易に絞められるな…)

 ふと、あまりに穏やかな顔をして眠っているものだから…一瞬だけそんな
物騒な考えが脳裏を過ぎっていく。
 クッションを枕にしながら…裸身で、毛布だけを身体に掛けているだけの
この男の首に両手を回せば、それはあっさりと達成出来そうだった。
 そのまま…相手の首筋に整った指先を伸ばしていく。
 何度か優しくそこを撫ぜていくと…クイっと顎を掴んで、自分の方へ
顔を上向かせていった。

「んっ…」

 唇を重ねると同時に、遠くで除夜の鐘が鳴り響いているのが耳に届いた。
 もうこんな時間になっているのかと…気づいた瞬間、克哉の睫が揺れて
澄んだ青い双眸が…こちらに向けられていく。

「…御堂…」

「起きたか? 佐伯…」

「ん…あぁ。今、な…ずっと其処にいたのか…?」

「…まあな。一度シャワーを浴びに席を外したが…戻って来てからは
ずっとこうして…君の寝顔を見させてもらった。貴重な体験だったぞ?」

 クスクスと笑いながら、はっきりと言ってのけると…一瞬だけ克哉の顔が
赤く染まっていく。
 それから…すぐに体制を整えて、見慣れた…余裕たっぷりの表情を口元に
称えていった。

「…これからは、飽きるぐらいに拝めると思うけどな。あんたは…俺の伴侶に
なってくれたんだろ…?」

 そうして、自分の左手の薬指を翳して…御堂に見せていく。
 御堂もまた、それに習って…己の指に嵌められたリングを克哉の方に
翳していった。
 お互いの指に嵌められたプラチナのリングは…白銀に輝いて、お互いの
指先を彩っていた。

「…あぁ、私の気持ちは君に示した。…式も、立会人も何もない。慎しまやかな
誓いだがな。君が私の人生を受け取ってくれるのなら…もう、私は君のものだ」

 そう、それはお互いだけが知っている誓い。
 祝福してくれる人間も、それを見届ける神父すら存在しない…静かな式典。

「…それなら、きちんと誓いの言葉ぐらいはした方が良いな。神など俺は
頭から信じてはいないが…こういうのは通過儀礼だ。御堂…良いか?」

「…何をするつもりだ?」

 ふいに自分の左手を引き寄せられると…御堂は怪訝そうな顔をしていく。
 そのまま克哉の方は気にせずに、御堂の銀の指輪に…厳かな顔をして
恭しく口付けていく。
 この指輪を贈った時も、同じような仕草をしていた。
 しかし…今は、少しだけ先程と様子が異なっているように感じられた。

「…私、佐伯克哉は…病める時も健やかなる時も…御堂孝典を生涯の
伴侶として、これからの人生を共に歩んでいく事を誓います。…御堂
孝典は…佐伯克哉を生涯の伴侶として…認めますか?」

 それは…神父が式場で読み上げる、定番の誓いの言葉。
 克哉がこんなかしこまった口調で告げていく事に…最初は御堂も
少し驚いたが、すぐに満面の笑みを浮かべて…答えていく。

「…あぁ、誓おう。私の生涯のパートナーと成り得る人間は…この世で
君だけだ。克哉…」

 やっと、御堂は照れることなく…初めて克哉の名をしっかりと口に
登らせていく。
 結ばれてからも、セックスの最中も…ずっと、「佐伯」という呼び方を
崩さなかった御堂が…初めて、克哉の名を呼ぶと…克哉もまた心から
嬉しそうな笑みを浮かべていく。
 そのまま自然と、顔が寄せられていく。
 それはまるで…将来を誓い合った二人が、神前で誓いの口付けを
交わすかのように…自然に、唇が重なり合う。
 窓の外から照らされる煌々とした月光は…まるで二人を祝福
しているかのように幻想的だった。

「…やっと、呼んでくれたな。佐伯のままだと、凄い他人行事に
聞こえていたからな…」

「じゃあ、君も私の呼び方をいい加減改めたらどうだ? 君だって…
私の事を『御堂』とばかり呼んで…下の名前じゃ殆ど呼ばないじゃないか…」

「ん、そうだな…。それなら、今度からあんたが俺を克哉と呼ぶ代わりに
俺も…あんたを孝典、と呼ばせて貰おう…」

「良い提案だ。それで…もう一つ、私の方から君に贈りたいものが
あるんだが…良いかな?」

「もう一つ…?」

 眼鏡が訝しげに眉を潜めると、そのまま…ごく自然な感じで髪を
掻き上げられて、額に口付けられる。
 そして厳かな口調で…御堂は一言、告げた。

「君の…私に犯した全ての罪を、この瞬間に…許そう…」

 時計の針が十二時を指し、今年が終わる瞬間を見計らいながら
御堂は…静かな声で告げていく。
 108つ目の鐘が鳴り終わり、場所によっては盛大に祝いを告げられる
その瞬間。二人の間にはどこまでも透み切った沈黙だけが落ちていた―

「み、どう…」

「…違う、『孝典』だろう…? 克哉…」

 震える声で呼びかければ、どこまでも優しい顔で訂正されていく。
 その顔を見れば判る。
 今の言葉を、恐らく本心から発している事を―
 
 御堂が穏やかに微笑みながら、慈愛を込めた手で…克哉の頬を撫ぜた。
 その指先の温かさに…克哉は知らず、頬に涙を伝らせていく。
 やっとそれで自覚する。
 どれだけ自分の中で、この人に対しての罪悪感が重石になって
乗りかかっていたか。
 心の底では深い罪悪感が消える事なく、今も自分を縛り付けている事を―
 そして克哉は理解する。
 御堂が用意した三つの誕生日プレゼント。
 一つ目は極上のシャンパン。
 二つ目は御堂の将来とそれを象徴する銀色のリング。
 そして三つ目は…克哉を罪悪感から解放する為の『赦し』である事を―

「克哉…泣いている、のか…?」

「あぁ…あんまりにも、予想外過ぎてな。こんなに早く…あんたから、俺のした事を
許して貰えるとは…思ってもみなかったからな…」

 本当はこんな風に相手の前で泣くことはみっともないと、判っている。
 けれど…嬉しくて、重荷になっている事からやっと解放されて…自分の意思と
関係なく、瞼からは透明な涙が溢れてくる。

 この人を壊した日から、罪の意識は克哉の中で消える事がなかった。
 正気に戻るまでずっと傍らで面倒を見て、徐々に以前の姿を取り戻していく間も
自分が傍にいて良いのか、触れて良いのか逡巡して…なかなか身体を求める事すら
出来ずにいた。
 けれどこの人は、自分が傍にいる事を求めてくれているし…これから先の己の
人生までもこうして捧げようとしてくれている。
 この人が欲しくて欲しくて堪らなくて…仕方なかった自分にとって、これ以上の
誕生日プレゼントがあるのだろうか?

 克哉の頬を伝う涙を、御堂はただそっと…唇で静かに拭っていく。
 相手に触れる手はどこまでも優しく。
 まるであやすかのように…その背中を静かに擦り上げていった。

「…愛している、克哉。だから…ずっと…私の、傍に…」

 愛して止まない人が、そんな言葉を口付けと共に与えてくれる。
 幸福で眩暈すらして…そのまま放っておいたらそれだけで逝けそうだ。
 克哉の方も堪らずに、御堂の唇を強く吸い上げていく。
 キスは次第に情熱的になり…互いの身体をまた、強く強く抱き上げていく。

「…あぁ、何があってももう…あんたの傍から離れない。あんたが俺のもののように…
俺の人生もまた…あんたのものだ。孝典…」

 涙を乱暴に拭い、いつもの強気の表情を浮かべながら…はっきりと眼鏡もまた
己の気持ちを伝えていく。

「当然だ…。離れたら、地の果てまで追って探し出して…その償いはしてもらう。
その覚悟はあるな…? 克哉…?」

 物騒な笑みを浮かべながら、御堂もまた口付けを落としていく。
 しっかりと指を絡ませるように手を握り合い…お互いの左手に嵌まっている白銀の
リングを確認していった。
 月の光を帯びて、それは燦然と輝き…彼らの中に芽生えた絆をより確かなものに
感じさせてくれていた。
 お互いに満たされるものを感じて、自然と微笑を浮かべていく。
 御堂がほっと安堵の息を吐いた瞬間…頭が真っ白になるようなとんでもない一言が
克哉の唇から紡がれていった。

「言われるまでもない。じゃあ…姫初めでも始めるとしようか。孝典…」

 不敵な笑みを浮かべながら、突然そんな事を克哉が言ってのけたので…御堂は
ぎょっとした顔を浮かべていく。

「…っ! 克哉! 姫初めって…! さっきまで散々…シたばかりだろうが!」

 自分をさっきまで抱きすくめていた手が、再び怪しく蠢いていくのを感じて御堂は
思いっきり動揺しまくっていた。
 先程だってあれだけ好き放題にされてこのままじゃ死ぬ! と思うくらいに追い詰められた
のに更にまたヤられたら今度こそ腹上死をしてしまう。
 そう危機感を感じて、バタバタと相手の腕の中で暴れ捲くるが…眼鏡の方はさりげなく
関節技をかまして、決して御堂が逃げられないように押さえ込んでいった。

「…嫌だなぁ。孝典…これだけ、俺の心を熱くするような事ばかり言ってくれて…このまま
朝まで大人しく眠るつもりでいたのか? その責任はちゃんと…お前の身体で取って
貰わないとな…?」

「だめ、だって! 今夜はこれ以上君にされたら…本気で、死んでしまうかも知れ、ない
から…やっ!」

 バスローブを問答無用で剥がされて、御堂は顔を真っ赤にさせていく。
 まったくこの男は…そんな顔をしたら、こちらがそそるだけだというのを恐らく自覚して
いないに違いない。

「…あんたとなら、腹上死しても俺は一向に構わないぞ?」

「私が、構うんだっ! あっ…バカ…止め、ろ…! これから先、ずっとずっと…歩んでいく
つもりなのに、こんな形で…はっ! 殺されたら、堪ったものじゃ…ないっ、から…!」

 克哉の手が御堂の性器をやんわりと包み込んで愛撫していくと、先程までの情欲を
思い出したのかあっという間に…それは育って硬度を取り戻していく。
 しかし御堂の態度は強固なものだったので…相手の耳朶にキスを落としていきながら
克哉は妥協案を囁いていった。

「…判った。あんたを殺さないように…凄く時間を掛けて、優しく抱くようにする。
それなら…構わない、だろ…?」

「…そんな事、本当にお前に…出来る、のか…?」

「やらなきゃ、お預けになるんだろ…? それならそうするさ…。それよりもこの先は
将来を誓い合った初夜にもなる訳だし…あんたをたっぷりと時間を掛けて味わうのも
良さそうだしな…」

「しょ、初夜って…! 今更、だろ…!」

「ん? だってさっき誓い合ったその瞬間に…あんたは俺の嫁さんになったんだ。それなら
その晩にあんたを抱くのは人として正しい道筋だろ? そうじゃないのか…孝典…」

「っ…! うぅ…もう、好きにしろ! これ以上君に何かを言い返しても不毛にしかならない
気がしてならない…!」

 不貞腐れながらも、ようやく腕の中で抵抗を止めていくと…御堂は克哉に自らの
身を委ねていった。
 触れ合う肌は灼けてしまいそうなくらいにすでに熱く。
 心臓は忙しなく早鐘を打ってこのまま壊れてしまいそうなくらいだった。
 けれど眼鏡の瞳は…やっと、罪悪から解放されて…澄んだ色合いを取り戻していた。
 意地悪だけど、どこか優しい色を帯びた瞳をやっと見る事が出来て…御堂はガラになく
胸が高まっていく。

 その目が真っ直ぐに…御堂の瞳を覗き込んでくる。
 真摯で、どこまでも情熱を感じさせる眼差し。
 彼に心まで射抜かれながら…御堂はぎゅっと強くその身体を抱きすくめていった―

―孝典、愛している…

 その一言を耳元で囁かれ、背筋に甘い痺れが走り抜けていった。
  克哉のその囁きだけで、先程の軽口も怒る気力が失せてしまい…御堂も
素直に克哉に身を任せていった。
 後はただお互いの愛情を感じ合う長い長い時間が…二人の間に静かに訪れる―

 ここまで来る道のりにお互いに過ちは数多くしてきた
 沢山の傷を負い、どれくらい血と涙を流してきたかも判らない
 それでも…今はこうして寄り添い、罪を許し…二人は寄り添う道を選択した
 この先にどんな苦難が待ち受けるのか
 辛い事もあるかも今は見えないが…これだけの試練を乗り越えても離さない道を
選択出来たのなら…自分たちはこれからも一緒にやっていけると、そう確信していた。

 御堂はそれを覚悟して、一対のリングを克哉に贈った。
 それを承知で克哉もまた受け取った。
 後はただ愛し合って、確認しあうだけだ。
 これからもずっと相手の手を離さないと…そう己の心に刻みあう為に。

 情熱の時間が、二人の間に再び訪れる。
 その間、ずっと…指に嵌められた白銀の絆の証だけが
 藍色の深い闇の中で光を放って輝き続けていた―
  とりあえず指摘された件の修正、作品倉庫&ブログ掲載分をほぼ全部
直しました。二時間は掛かりましたが、どうにか終わりました。
 一応自分で注意してチェックしましたが、もし直っていない箇所を発見
しましたら、拍手の方でコソっと囁いて教えて下さると助かります。

 後、白銀の絆4…昨晩はギリギリ日付変更寸前に(アップしたのが23:45分
なので)上げたせいで…今朝読み返したら、うわっ! 色々描写が足りないと
気づいてこっちも加筆修正しました。
  
 後…Cさんに約束したセーラーロイドの一話のアップ作業と、そろそろ第二話の
執筆準備にも入ります。

 他にも1月13日のインテックスに某Sさんの処に克克本(コピーですが)を
売り子をやる事を条件に置いてもらう約束を取り付けたのでその執筆にも
入ります。…何か年明け早々、やる事山積み…つーか、自分で仕事を増やし
まくっておりますが…頑張って順番にこなしていきます。

 今は鬼畜眼鏡にハマったばかりだし、CDドラマだのボツ画集だの、ご本家から
新年メールが届いたりカレンダーをゲットしたばかりと色々と萌えが熱い時期!
 ここで頑張らなかったら、いつ頑張るのよ! って感じなんで…やります。

 インテの前日、12日はうちのじいさまの49日の法事が入っているので…
それより前に仕上げないと色々とヤバイです。
 無事に本が出る事を祈ってやって下さい。Sさん…こちらの我侭を聞いて
下さって感謝です。当日、お土産持って行くので待っててやって下さい(私信)
 本日分の更新は夕方頃を目標に仕上げます。もうちょい待っててやって下さい。
 んじゃまた潜ります…(ブクブクブク) 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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