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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 お待たせしました。通販についての説明ページを
作成させて頂きます。
 まだ全ての準備は完了しておりませんが、それを待っていたら
いつまでたっても開始出来ない気がしますのでアナウンスの方を
先にやらせて頂きます。

 今回、自家通販の対象となるのは以下の二冊です。

「Innocent Blue」 -イノセントブルー- (価格 1000円)
(フルカラー表紙+カラー口絵4P本文92P+おまけ本『やきもちサンタ(克克)有)




 表紙は「最果て」のおしげさんに描いて頂きました。
 内容は…書き下ろし4本+サイト掲載されている7本の合計11本を収録。
 全15話で予定していたんですが…100Pで組んだら、ぶっちぎりでP数を超えて
4話削らないと収まらなかったといういわくがある本です。
 収録してある話は以下の通り。
 フルカラー表紙&カラー口絵4P&本文92Pでトータル100Pになります。

 第一話 挙式編 -黒の誓婚―(書き下ろし)+口絵有(木口薄荷様)
 第二話 初夜編 (書き下ろし) おしげさんの挿絵有
 第三話 目玉焼き編 ―眼鏡流目玉焼き講座― 口絵有(気有様)
 第四話 ご奉仕編
 第五話 ミラープレイ編 おしげさんの挿絵有
 第六話 夕食作成編  如月さんの口絵有
 第七話 お仕置き編
 第八話 見送り編 ―いってらっしゃい―  おしげさんの口絵有
 第九話 DVD鑑賞編 おしげさんの挿絵有
 第十話 看病編(書き下ろし)
 最終話 指輪編(書き下ろし) おしげさんの挿絵有

 4つの書き下ろしを前後に入れた事で、一つのストーリーとして…
挙式してからの最初の三ヶ月間を共に過ごす眼鏡と克哉…という感じで
構成してあります。
 …9話のお風呂編と11話の出張編を入れればもっと完璧だったのに
気合入れて書きすぎた為に収まりきりませんでした(ぐぉぉぉ~)
(未収録の話は後日発行の本に収録予定です)
 素敵な口絵提供者&おしげさんの表紙+挿絵のおかげで恐らく香坂が
作成した本の中で一番豪華な仕上がりになりました。

 …しかし残念なことに、フォントの統一が出来ていなくて一箇所…ちょっと
ツートンカラーになって気になる箇所がございます。
 その点の侘び状も込めて…おまけ本「やきもちサンタ(克克)がセットと
なっております。
 一月現在で連載中の「バーニングクリスマス」と、新婚本の第一話に
あたる話とリンクしているおまけSSが収録されております。
 良かったら手にとってやって下さいませ(ペコリ)

 二冊目、澤村本こと…「幻花繚乱」(フルカラー表紙の44P本。価格 500円)
 

 これは表紙だけおしげさんに描いて貰って、澤村に関しての熱い想いを
KMA」のゆまさんに…主要人物の一人で10Pも××なシーンを頑張って
こなしているのに表紙に出ていない御堂さんを救済してくれというページを
眼鏡依存症」の如月さんにそれぞれ担当してもらっているという
カオスな本です。
  内容は…御堂×克哉ルート前提で澤村がノマに絡んでくるという
感じの内容です。
 愛しい人が出来て充実した日々を送り…春を迎えた克哉。
 ですが…桜が満開に咲き誇るある日、克哉はMr.Rと…一人の見知らぬ
男性と再会を果たします。
 そしてその夜、御堂のマンションに行った後…深い眠りに落ちたその時、
克哉は夢の中で昼間の男性と出会い、そして…。

 という感じのあらすじです。
 御克ルートで澤村が絡んできたら…という前提のかなり
切ない雰囲気のお話です。完全に泣き系なストーリー。
 御堂×克哉と、眼鏡×澤村(どっちが攻めなのか判らない感じですが
二人がある意味…両思いなのは確か)な話。
 御堂×克哉と澤村×克哉の他に眼鏡×克哉っぽい描写もあるちょっと
エロ度高めなお話です。
 ここら辺がドンと来い! な方だけどうぞお手に取って見て下さい。
 次回作の予想とかは一切混ぜず、2008年現在に公表されているゲーム
雑誌の情報+鬼畜眼鏡本編に出てくる回想の親友君を前提に組み立てた
結構真面目な感じで作った話です。
 代わりにゲスト様二人が、良い和みになっていると思いますよ(笑)    

 以上の二冊が今回の通販対象本です。

 それで…ささやかですが、通販おまけ本も今回別につけさせて頂きます。
 12月に買って下さった方用に、3月の春コミでもスペースで配布予定なので
すでにお持ちの方はそちらで手に取って下さいませ。
 4~8P程度の短いSSをおまけにつけます。
 こちらはどちらの本でも、一冊でも購入して下さった方に進呈させて貰いますね。

送料はイノセントブルーと幻花繚乱のどちらか一冊の場合は本代+80円。
 (クロネコメール便の使用となります。ご了承下さい。メール便の場合は
本の厚さが1センチ以内=80円 1センチ以上2センチまでが160円です)
 それ以上の冊数をお求めになる場合は160円を振り込み下さい。

 例 どちらか一冊のみの場合=80円
    イノセントブルー&幻花繚乱一冊ずつ=160円
    幻花繚乱×2冊=80円
    イノセントブルー×2冊=160円
    イノセントブルー&幻花繚乱を二冊ずつまで=160円

 ここからは通販の方法及び流れの説明になります。
 通販を希望される方はまず以下のフォームからお願いします。

 通販用メールフォーム

 ここをクリックしまして、以下の6点は記述お願いします。

 ・お名前orHN(ハンドルネーム)
 ・メールアドレス(必須)
 ・発送先の住所
 ・TEL(この項目のみ、任意で構いません)
 ・件名の欄に『通販希望』と記述する事
 ・お問い合わせ内容の欄に「欲しい本のタイトル」と「冊数」の記述
 
  
 以上の点を宜しくお願いします。
 これらのメールを受け取った後に、こちらから支払い口座の
記述したメールを送ります。
 代金の支払い方法は、「ゆうちょ銀行」と「銀行口座」の
二つから選べます。
 基本的に「ゆうちょ」の方が手数料が掛かりませんのでこちらを
推奨致します。
 銀行口座は「ゆうちょ」の方に口座を持っていない方のみ使用
して下さい。その際には多少の手数料が掛かりますので
ご了承下さいませ。

 入金が済みましたら、一言こちらにメールにて一言連絡して
伝えて下さい。
 その確認が済み次第、当方からお客様の方へ荷物を発送させて
頂きます。
 通販の流れは以上です。
 冬コミに来れなかった方や、遠方にお住まいの方は気軽に申し込み
下さいませ。それでは…皆様のご利用、お待ちしております(ペコリ)
 
 

PR
 ここ数日、通販の方のおまけにどのカップリングの本を
作れば良いのか迷っていて…そのおかげで着手出来ないで
いたんですが、それなら率直に希望者の方に意見を求める
ことにしました。

 おまけ本は16日の休みの日に原稿を作成して準備させて頂きます。
 …という訳で、通販を申し込む方にお願いします。
 拍手の方に、自分が一番読みたいカップリングの方をコソっと投票
して頂けるようにお願いします。
 明日の朝から昼ぐらいまでに…一番意見が多かったCPにて
そちらを作成させて頂きます。

 そして早くも申し込んで頂いた方がいたので嬉しかったです。
 本当にありがとうございます。
 ちょっとその件に関して、ご協力して頂けたらと思っています。
 どうぞ宜しくお願いします(ペコリ)
※ 今回は途中、かなり間が開いてしまったので過去のログのリンクも話のトップに
繋げる形で読み返しがしやすいようにしておきますね。
   
    バーニングクリスマス!                     
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)



 ―12月のある日の夜の事だった。

 御堂孝典は…友人達と一杯飲む為に行きつけのワインバーへと
向かう途中に…以前から気になって仕方なかった存在に電話して
色好い返事をもらえた事に、口元を綻ばせていた。
 現在の時刻は19時。
 街中の街路樹には眩いばかりのイルミネーションが飾り付けられている。
 この時期を迎える頃にはかなり風は冷たくなっているが…代わりに人工の
光が、華やかに街をライトアップしていく。
 今夜はワインを飲む予定の為に愛車は使用せずに、御堂は真っ直ぐに
電車と徒歩を今夜は利用していた。

「…やっと、私の誘いに乗ってくれたか…。随分と長く待たされたものだな…」

 そう言いつつも、御堂は本当に嬉しそうに笑っていた。
 佐伯克哉。いつから…彼のことが気になり始めたのか、御堂自身にも
判らなかった。
 だがあの挑発的な言動でプロトファイバーの営業権を勝ち取り、本来なら
ありえない数字にまで引き上げた売り上げ目標値まで達成させ、あまつの
果てに…バイヤーズと契約を勝ち取り、新規販売経路まで開拓した時点で…
御堂の中で、彼は一目置く存在になった。

 最初の頃はこちらの妨害をものともせずに、目標を次々と達成していく
彼の存在に苛立ったし、ついでに言うと…目障りだった。
 だが、彼とあの身体の大きな本多とか言う男がやり遂げたことは…
偉業に他ならなかった。
 あの新製品の成功は…悔しいが、彼らの力なしでは決して達成される
事はなかっただろう。
 営業期間が終わり、新しい商品のプロジェクトを立ち上げる時…御堂は
彼の実力を認めて、プライドを捨てて協力を仰いだ。
 …小さなことに拘って、大局を見誤ることなど愚の骨頂だとその時点で
察したからだ。

―そして、御堂は…いつしか佐伯克哉に惹かれてしまったのだ

 それで…彼と過ごす時間が長くなればなるだけ、気づけば…当たり前の
ように御堂は佐伯克哉のことを気になり始めて来た。
 それは…ごく自然に、御堂の中で育まれていき…気づけば大きくなって
いてもたってもいられなくなった。
 最近はふとした瞬間に…強烈な色気を感じて、穏やかではない気持ちに
させられる事も多くなった。
 そして先月、御堂は食事に誘い…彼にモーションを初めて掛けた。
 本気の想いと、挑発を込めた深い口付け。
 それから…克哉は時折、こちらを意識したような仕草や態度を取るように
なった。何度も…二人きりの時に、自分の私室で抱こうか…そんな
凶暴な気持ちに陥った事も沢山あった。
 だが、それ以後…意味深にこちらを見つめてくる以上に、克哉の方から
リアクションがなかったから…御堂は正直、焦れ始めていた。
 だからこそ余計に…先程電話して克哉がこちらの誘いを承諾した時、
男は満たされた気持ちになった。

「…ようやく、あの日の私の行動の意味を理解してくれたか…」

 そうして、心から愉快そうに笑みを刻んだ瞬間…御堂はその場に
凍り付いていった。

「な、に…?」

 たった今、彼に電話していた筈だった。
 そして電話している最中…間違いなく、自分の部屋にいると答えていた。
 この場所から彼の自宅まで、最低30分以上は掛かる距離の筈だった。
 通話を完了して…まだ十分も経過していない。
 なのに…どうして、ここに彼がいるのか…御堂は驚愕に目を見開かせていた。

「どうして、君が…ここにいる? さっき…私に、自宅にいると言った
あの言葉自体が…嘘だったと、言うのか…?」

 御堂がたまたま通りかかったジュエリーショップの前に、上質の
黒いコートとスーツに身を包んだ…一人の男が現れていった。
 一瞬、良く似た赤の他人か…別人かと思った。
 だが…顔の造作は紛れもなくさっき電話を掛けていた筈の
佐伯克哉のものであった。
 ただ、一つだけ異なる点があるとすれば、眼鏡を掛けているという事ぐらいだ。
 鋭く冷たい眼差しを浮かべながら、何か掌に乗っている小さなケースを
眺めている姿に…御堂は強烈な違和感を覚えていく。

(どうして…ジュエリーショップになど、君がいるんだ…?)

 しかも手に持っているケースは…指輪かカフス、ピアスなど小物のアクセサリーを
収めるのに丁度良いぐらいのサイズだった。
 目の前にいる長身の男は…かなり不機嫌そうな様子で、手の中に持っている
ケースを睨み付けている。
 その様子にどこか…鬼気迫るものすら感じて、御堂はその場に凍り付いていった。

(…そのケースの中に、何が入っているんだ…?)

 猛烈な好奇心が刺激していく。
 だが…男が纏っている剣呑過ぎる空気のせいで、御堂は今の彼に
声を掛けることは憚られてしまった。
 しかしどうしても御堂は気になって…斜め後ろの位置から、気づかれないように
慎重に彼の傍へと歩み寄っていく。

「…あのバカが。暫く構わない間に…他の男に尻尾を振るような真似を
するとはな…」

(…何故だ…? 君の言っているバカとは…誰を指しているんだ…?)

 その一言を聞いた瞬間、何故か…自分にその敵意が向けられているような
そんな気がしてしまった。
 そんな筈はない。さっき…佐伯克哉は、躊躇いがちとはいえ…こちらの誘いを
承諾した筈だ。
 なのに、それとまったく同じ顔をした男が…苦々しげにその内容を呟いているのを
聞いて…御堂は、背筋に寒いものを覚えた
 殺意にも似た、冷たい空気が男の背中から立ち昇っているのが判る。
 声を、掛けようとした。そして問おうと思った…が、御堂にはどうしても
それが出来なかった。
 その場に両足が縫い付けられたかのように…それ以上、近づくことが
出来なくなる。
 瞬間…佐伯克哉は一瞬だけ、こちらに視線を向けた。

「っ…!」

 御堂は、その冷たい双眸を目の当たりにして…心臓が凍るかと思った。
 あまりに冷たい空気を纏う今の克哉の眼差しは、まるで鋭い刃のように
凶悪な美しさを秘めていた。
 何も、言葉を紡げない。ただ、冷や汗が背筋にツウっと伝っていった。

「…あんたか。じゃあな…」

 そしてさっきまで丁寧に電話口で応対していたのが嘘のように感じられる
ぐらいに、ざっくばらんな様子で…そう言い捨てて男はその場を後にしていった。
 御堂は、暫く戦慄のあまりに身動きを取ることすら出来なかった。

「…佐伯克哉。君は、一体…?」

 御堂は、本気で疑問に思いながらそう呟き…暫くその場に立ち尽くしていく。
 瞬く間に眼鏡を掛けた佐伯克哉の姿は消えて、御堂だけが取り残されていった。
 あまりに深い謎を残して…彼は立ち去っていく。
 その日、御堂の中に…更に強い佐伯克哉への興味と、疑念がその一件を機に
生まれていったのだった―
 
※ 今回は途中、かなり間が開いてしまったので過去のログのリンクも話のトップに
繋げる形で読み返しがしやすいようにしておきますね。
   
    バーニングクリスマス!                    
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)

  克哉は電話を受け取った後、もう一度改めてベッドの上へと横になって
仰向けになって寝そべっていった。
 室内の明かりは完全に落としていたので辺りは真っ暗だった。
 だがどれだけ長く目を瞑っていても一向に眠気が訪れてくれなかった。
 そうしている内に…克哉の脳裏に、一つの出来事の記憶が浮かび上がっていった。

 ―それは一ヶ月前の出来事だった。

  克哉は、暫くもう一人の自分が現れてくれなかった事に焦れ始めていた。
  秋の初め、人肌が心地よくなり始めた頃からは…気まぐれにしか現れない
眼鏡のことに、不満を覚え始めていた。
  会いたい、と自分ばかりが思っている現実に苛立って。
  そのモヤモヤした感情をどう発散させれば良いか…判らなかった。
  太一だけではなく、その時期…御堂からも、何かと接触を求められるように
なっていた。
  本多と協力して、バイヤーズの契約を勝ち取ったことがキッカケで…
プロトファイバーの営業が終わっても、MGNとの繋がりは残り続けた。
 その後、御堂が新しいプロジェクトを立ち上げることになって、新しい商品を
引き続き営業八課の方で担当して貰いたいと…そう申し出があってから、克哉は
御堂と仕事上での付き合いは続いていたのだった。
 その関係が、丁度変化を迎えた日のことだった。

 珍しく御堂に食事に誘われ…ワインを飲みながら会話を楽しんだ。
 タクシーを手配して、こちらを自宅のマンションまで送ってくれた帰り…
克哉は、御堂にさりげなくキスをされた。
 それは唇に、一瞬掠める程度のものだったけれど…それが、どういう意図で
されたものなのか判らないほど…克哉は鈍くなかった。

 どうして、ととっさに口を開きかけた。
 『私の意図が判らないほど、君は鈍いのか…?』とその前に逆に
問いかけられた。
 そして…両手首を掴まれて、深いキスをされた。
 …抵抗は、殆ど出来ないままだった。
 久しぶりに誰かの腕に包まれた瞬間…自分がどれだけ、人肌を求めて
いたのかを思い知らされた。
 背筋がゾクゾクとするぐらいに官能的なキスを施されて…克哉は限界寸前まで
焚き付けられていった。
 腰が砕けそうになりながら、「今夜はここまでにしておこう…」と告げて御堂は
さっさと待たせていたタクシーの元へと戻って、帰っていってしまった。

―もう一人の自分が、克哉の部屋の前で待っていたのは…そんな夜の事だった

 部屋の中には明かりが何も灯っていなかった。
 暗い室内に…彼が愛用しているタバコの紫煙だけが静かに立ち昇っていた。

『…どう、して…』

 自分のベッドの上に腰をかけて待っていた眼鏡の姿を発見した瞬間、
克哉は後ろめたさの余りに…眩暈すら感じてしまった。

『…俺がお前に会うのに、いちいち事前にアポでも取らなければ
ならないのか…?』

 不愉快そうに、もう一人の自分が答えていく。
 たった今、別の男に深く口付けられた直後に…もう一人の自分と遭遇
してしまったせいで、克哉はその夜…真っ直ぐに相手を見れなかった。

(何で、よりにもよって…今夜、オレの部屋にいるんだよ…!)

 心の底から克哉はその事実に呪いたくなってしまった。
 ずっと会いたいと焦がれていた。喉から手が出るぐらいに…相手が目の前に
現れてくれることを願い続けていた筈だったのに…さっき、御堂にキスをされて
感じてしまったという事実が、克哉の胸に深く影を落としていた。
 きっと…あんな深いキスをされた直後でなければ、もっと…口でなんだ
かんだ言いつつも…もう一人の自分が現れてくれた事を喜べただろう。
 だが、今の克哉は素直にそれを喜べなかった。
 逆に胸が締め付けられそうになるぐらいに…苦しくて、仕方なくなっていた。
 もう一人の自分が…こちらの心を射抜くように、瞳を見つめてくる。

―夜の闇の中でもゾっとするぐらいに美しく輝くアイスブルーの双眸

 その冷たい輝きに、己の心まで暴かれてしまいそうだった。
 眼鏡は何も言わなかった。
 ただ…その目が、さっきの出来事を責めているような…そんな気がして
克哉は知らず、涙を零していた。

『…どうして、泣いている。そんなに…今夜、俺が現れたことがお前に
とっては…不愉快だったのか?』

『違う…そんな、訳ない…!』

 けれど、顔をクシャクシャにしながら必死になって否定をしても
何も相手には伝わらない。

『…なら、どうして…お前は泣いているんだ…?』

『あっ…』

 相手がこちらの頬をぬぐうような仕草をされた時、克哉自身はやっと
その時に自分が泣いている事に気づいた。

『…そんなに、俺が来るのが…嫌だったのか…?』

『違う…って、言っているだろ…』

 けれど、この夜…今までにないぐらいに…切なくて悲しい雰囲気が
自分達の間に流れた。
 普段のように、嫌がってジタバタと暴れるような真似は克哉はしなかった。
 けれど…微妙に、もう一人の態度も違っているように思えた。
 腫れ物に触れるような、そんな空気がどこか悲しかった。
 否定するように、克哉は自ら必死になって相手の身体にしがみついて
訴えていった。
 それでようやく…もう一人の自分が積極的に、こちらの身体に手を
這わし始めていった。
 だが…その夜はいつもと違って、もう一人の自分は余計なことを
殆どそれ以後…口にする事なく、黙ってこちらを組み敷いていった。

 その後、自分たちは無言のまま…肌を重ね続けた。
 何もお互いに、言えなかった。
 快楽で身体は熱くなっている筈なのに、苦しくて悲しくて。
 ただ克哉は泣きながら…無言で攻めてくるようなもう一人の自分の
愛撫に身を委ねていった。

―その原因となった御堂の誘いに、克哉は一ヵ月後乗ってしまった

 それが間違っていると判っていても。
 けれど…あの日、その事を言わずに黙ってもう一人の自分に
抱かれたことが克哉の中で重荷になってしまった。
 いっそ、その事実が暴かれて何か言われて責められた方がよっぽど
楽だと思った。
 ジクジクジクと…克哉の中で、日増しに黒いものが広がって心の
中を徐々に侵食していく。
 何度もベッドの上で寝返りを打っていく。
 そうして…何度も身体を反転させている内にようやく眠気が
訪れようとしていた。

「ねえ…『俺』…お前にとって、オレは…何なんだよ…。お前は、どうして
そんなに冷たくて…何も言って、くれないんだよ…」

 泣きながら、克哉は脳裏にもう一人の自分の姿を思い浮かべていく。
 あいつは、あまりに言葉が足りない。
 あんな風に自分を抱く癖に、どう思っているのか一言も口に発して
くれない。だから克哉の不安は日増しに強まっていく。
 …自分でも、制御が出来ないぐらいに…。

「好き…なのは、オレだけ…なの、かな…」

 あいつの事を思い浮かべるだけで、涙が最近は浮かぶようになった。
 好きだから、相手の行動が…言動が、ささいなものでさえ気になっていく。
 一言で良い、好きだと言ってくれたら。
 こちらが安心出来るように、暖かい仕草や…優しさを感じることが
出来たのならば、きっとここまで黒いものが広がったりはしない。

「…オレだけが、お前を好きなのは…悲しい、よ…。オレのことなんて、
何とも思っていないのなら、もう…抱かないで、くれよ…」

 抱かれる度に、心が引き寄せられてしまうのが辛い。
 相手の熱をこんなに自分が求めているのに、あいつの中にそういった
想いが何一つないのなら…悲しすぎるから。

「ねえ、『俺』…」

 そう、もう一人の自分の事を思い浮かべていきながら…克哉は
ギュっとシーツを握り締めて、ゆっくりと眠りに落ちていく。
 ようやく訪れた眠気によって、深い所へ意識は誘われていく。

―夢も見ないぐらいに深く、泥のように眠っていった

 そうして…緩やかに、道を克哉は踏み外し始めていく。
 その動機が…もう一人の自分への想いから発しているだけに
とても悲しいものがあった―

 こんにちは香坂です。
 無事にインテックスの方から帰還して参りました(ペコリ)
 そして本日は疲れ果てて、一日の大半を寝て過ごしておりました。
 やっぱりとんぼ帰りでの夜行バスでの大阪遠征は、安く済む代わりに
身体の負担は半端じゃないですね。
 うっかり家帰った早々に、二階の自室に上がる気力すらなくて
ホットカーペットの上で数時間、力尽きておりました。
  それから入浴済ませて、自分のベッドでも数時間ほど寝ていたら…
一日が終わっておりました。
 …本気で今日、仕事が休みで良かったと思った瞬間でございました…(汗)

 そして昨晩は、朝に書いていた残りを夜に掲載出来ずに
すみません。
 やっぱり夜には疲れが出て…頭がちょっとプー状態になっていたので
小説書けるコンディションじゃありませんでした。
 ちょっと年齢を感じましたぜ…去年はそれでも、インテに行っている間に
一本書き下ろせたのに…(くぅ)

 ただ別ジャンルの友人達と久しぶりにゆっくりと話したり
キチメガの方でも、知り合いの方と何人もお会い出来て非常に
楽しい一時を満喫出来ました。
 こちらを構って下さったK田さん、K本さん、A井さん、Mおさん…
どうもありがとうございました。
 インテ遠征が充実したのは、皆様が構って下さったおかげで
ございます。

 そしてスケブを描いて下さったUめさん、Nナシさん、Mおさんも
どうもありがとうございます。
 買い物をして、可愛いノマのポストカードを描いて下さったサークルの方も
ありがとう。とても嬉しかったです。
 このサイト見ているか判らないけれど…コソっとここに感謝の気持ちを
記しておきます。

 そして色んな収穫物を得られてホクホクです。
 色んなサークルさんの萌え本の中に、某サークル様が作った
「鬼畜眼鏡 エロカルタ」なるものも購入して来ました。
 A~Zまでの26枚編成で、本気でエロい内容の絵とワンセットに
なっているカルタです。読む人が一番羞恥プレイだよね…という
感じの代物です。えぇ、私もそう思います(力強く)
 けど一発ネタとしてはこれ以上の破壊力のある代物は滅多にないと
思いますので大切に保管させて頂きます。
 良くこんなアイディア出るよな~と今回のインテで一番感心しましたわ…。

 イベント後は別ジャンルの友人のみるくるさんと陽さんと、三人で
K-BOOKS行って色んなものを見て参りました。
 王レベの中古本の棚を漁っていたら…以前から探していたTAMAMIさんの
「ドラゴンナイト×やぎさん」本を発見しました。
 えぇ、鬼畜眼鏡の本編のシナリオライター様の御本です。
 一応、私の前ジャンルは「王子さまLV1-2」でございまして。
 それで今はキチメガにハマっている身だからこの本は欲しいな~と以前から
探していたんですが、ひょっこりと出会いましたので購入してきました。
 …と言ってもゲーム中に登場する敵キャラ「やぎさん」は角笛を持っていて
その角笛は彼氏のドラゴンナイトのもので、その笛を吹くと恋人に角笛を贈った
片方の角しかないドラゴンナイトがやってくる…という設定知らなきゃ、恐らく
楽しめないし判らないだろうな~と。
 これから読みます。…気力あったら感想書くかも知れません(マテ)

 みるくるさんは富山の方なので、6時くらいにはお暇しなきゃいけなかったので
日本橋のK-BOOKSに行った後は梅田の方まで移動して、三人で夕食を
一緒に食べました。
 みるくるさんは6時30分前後にはお別れしましたが、久しぶりに色んな会話が
出来て楽しかったです。

 彼女を見送ってからは…別ジャンルの本を今は置いて貰っている陽さんと
22時半ぐらいまで二人で喫茶店で過ごしておりました。
 21時ぐらいで一旦、お別れして漫画喫茶で更新しようかなと当初では
考えていたんですが…身体が予想以上に疲れておったので、一時間半
取っても小説一本書くのは厳しいなと判断したのと、滅多に会えない人
なんで…会話を楽しもうと思って、王レベに纏わる昔話を彼女に色々と
聞かせておりました。

 …2001年から活動しているサークルで生き残っているのすでに私だけ
なので…ある意味、こっちのジャンルでは最古参なのですよ。
 東京と大阪で開催された全てのオンリーイベントに参加しているので、
王レベに関してだけはかなり詳しいです。
 陽さん自身も…サークル活動は2004年後半からでも、2002年から
一般で買いに来ている方だったので…今では、殆ど覚えている人もいない
古い話に色々と花咲かせて過ごしておりました。
 どんなサークルさんや、サイトさんがあったのか…お互いに知っている所が
被っていたので非常に懐かしい気持ちを満喫しつつあっという間に時間は
過ぎていきました。
 
 それで23時10分発の夜行バスに乗って帰り…帰路につきました。
 K本さんが来ていると知っていたら、へそまる嬢も連れてくれば良かったかな~と
ちょっと思ったけれど…とりあえず今回は古い絆を優先で。
 その代わり、ちょっとしたサプライズを彼女に用意したので近日中に送ろうっと。 
 喜んで貰えると良いなぁ(ちょっと弱気)

 とりあえず今回の大阪遠征に関しての報告は以上でございます。
 こちらを構ってくれた皆様に感謝の気持ちを込めて。
 本日はレポートのみで失礼しますね。

 代わりに明日の分はキチンと掲載しますので宜しくです。
 それでは…。
 こんにちは、な香坂です。
 とりあえず11日の朝、無事に大阪に到着しました。
 まあ…新刊も無事に製本完了しました。

 …終電車の中で製本したっていうギリギリチョップすぎる
感じではございましたが(遠い眼)

 現在ネットカフェにて更新作業やっておりましたが、バーニングの
第九話は長くなりそうで…朝の執筆時間だけで終わりそうにないです。
 夜にまた時間取れましたら、本日中にアップしますです。
 ではインテックスに行ってきます。ではん~!
 ※ 今回は途中、かなり間が開いてしまったので過去のログのリンクも話のトップに
繋げる形で読み返しがしやすいようにしておきますね。
   
    バーニングクリスマス!                  
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)


―佐伯克哉は、一日の業務を無事に終わらせると…どこか浮かない
表情を浮かべながら自分のマンションへと帰って行った。
 帰宅早々、一日の疲れをシャワーを浴びて流していっても…本日の
克哉の顔はどこか憂いを帯びたままだった。

「はあ…疲れた、な…」

 深く溜息を吐きながら、パジャマに袖を通して…ベッドの上へと
ダイブしていった。
 ギシ、と大きな軋み音を立てながら…克哉の身体はシーツの上へと
沈んでいった。
 そのまま幾度もゴロゴロと転がってみせたが、まったく気持ちが晴れる
気配を見せない。
 むしろ…心の中のモヤモヤは、刻一刻と広がっていくような気がした。

(何か気持ちが…すっきりしないよな。原因は…判り切っているけれど、
オレからはどうしようもない事だし…)

 心の中に、くっきりと浮かぶ面影がある。
 …その存在は、最初に出会った時は…好意とかそういうものと無縁な
筈だった。なのに…今では、克哉の中から決して消えることはない。
 それが悔しくて堪らなくて…つい、無意識の内に唇を噛み締めてしまっていた。

「…お前は、いつまでオレを放っておくつもりなんだよ…。気まぐれに
顔を出して、オレを好き放題に扱って…。もうじきクリスマスだっていうのに
全然音沙汰もなくて…会いたい時に会うことも、連絡手段も一切ないままで…」

 このベッドの上に寝っ転がっていると…どうしてもあいつのことばかり
鮮明に思い出してしまう。
 何度も、このベッドで抱かれた。だから…横になると、どうしたって…思い出すのは
あいつとの情事の記憶ばかりで。
 吐き出されないイライラが…即物的な欲望へと変換されて、知らない内に…
身体の奥が疼いて堪らなくなってしまった。

「はっ…あっ…」

 ジリジリジリ、と身の奥を焼く衝動が背骨の辺りから競り上がってくるようだった。
 悩ましい声を零しながら、克哉はゆっくりと…己の下肢へと指先を伸ばしていく。
 まだ柔らかみを帯びたペニスの先端をゆっくりと握り込んで、自分の欲望を
徐々に育てていく。

「んっ…あっ…『俺』…」

 もう一人の自分がこちらを抱く時の手順を、ゆっくりと思い出しながら
己の性器を弄っていく。
 だが…彼に扱かれている時のような、鮮烈な快感はどれだけ指を激しく
蠢かそうとも感じることはなかった。
 まるで性質の悪い麻薬のようだ。
 あいつがこちらを抱く、あの強烈な快感は…克哉の理性をいつだって強烈に
焼いて…決して忘れさせてくれない。
 抱かれる度に、募っていく想い。そして…苛立ちが、少しずつ克哉の心を
日々苛んで…荒ませていく。

―以前と変わらない笑みを浮かべているつもりでも、無意識の内に
それは男を誘う色香へと変わっていく

 自らを慰めて、呼吸を乱していく克哉の顔が…耳まで朱に染まって実に
艶かしいものへと変わっていく。
 それをきっと…本多や太一が見ていたら、きっと虫が甘い花に惹かれるように
彼を貪るまでその手が止まることはないだろう。
 それぐらいに…強烈な色気を、今の克哉は醸すようになっていた。
 以前であったなら…克哉が男である事が歯止めが掛かっていた。
 だが…思い悩み、そして強烈な快楽をもう一人の自分の手によって知ってしまった
今の克哉は…男女問わずに、他の人間を惹き付けるようになってしまった。

 彼の掌の中で、グチャグチャ…と厭らしい音を立てながら、熱いペニスが
徐々に育って硬度を増していく。
 夢中になって、胸の中に巣食う…ドロドロしたものを、快楽と一緒に
吐き出して少しでも楽になりたかった。
 けれど…浮かぶのは、もう一人の自分の顔ばかり。
 会いたくて気が狂いそうなぐらいなのに…どうやってコンタクトを求めれば
良いのか判らない存在。

「会いたい、よ…『俺』…! もう、一ヶ月も…お前に…」

 半分、切なさの余りに涙を浮かべながら…克哉がどこか苦しそうに
眉を顰めていった。
 唇は仄かにピンクに染まり、口元から覗く舌先が妙に淫らな匂いを
発していた。
 去年は、こんな想いを抱くことはなかった。
 11月の下旬ともなれば…都内ではあちこちで、クリスマスの気配を
漂わせ始めていく。
 それを目の当たりにしたから…今年は、克哉の中で不安が生じて
しまったのかも知れない。
 
 都内の各所で灯る鮮やかなイルミネーション。
 そして夜、街を歩くと…楽しそうに寄り添い歩く恋人たちの姿。
 それらを連日、見かけるようになって…日増しに強まっていく想い。

―自分も、あんな風にもう一人の自分と過ごしたい。楽しそうに
笑いあいながら…彼と、クリスマスを過ごしたいと…そんな気持ちが
ここ数日、膨らんでしまっていた…


(そんな事…あいつに求めたって、無駄だって判っているのに…。
どうして、オレは…こんな事を願ってしまっているんだろう…)

 克哉は、悔しくて…うっすらと目元に涙を浮かべていく。
 あいつは、気まぐれに自分を抱いているだけなのだ。
 セックスにそれ以上の意味なんて、きっとない筈なのに…何度も
身体を重ねていることで、自分の意思と関係なく…この想いは育って
しまって、いつしか制御が効かなくなってしまっていた。
 楽になりたくて、克哉は夢中で己の性器を扱いて…快楽を引き出していく。
 彼の手の中ではち切れんばかりに膨張し、大量の先走りが幹を
伝って…彼の手をグショグショに濡らしていった。

「はっ…うぁ! 『俺』っ…!」

 ついに限界を迎えて、大量の白濁を己の掌の中に吐き出していった。
 荒い呼吸を漏らして、暫くベッドシーツの上でぐったりとなっていく。
 頭に昇っていた血がやっと下がってきて…理性が戻ってくると、克哉は
余韻に浸るよりも…虚しさだけを痛烈に感じていった。

「…どうして、会いに来て…くれないんだよ…」

 力ない声で、克哉が呟いていく。
 こんな宙ぶらりんの不安定な気持ちでは…本当に自分は、
近い内に間違えてしまいそうだった。
 最近、無意識の内に…身近にいる人間を誘いそうになる自分に
ゾっとなりそうだった。
 …誰でも良い、自分を抱きしめて欲しいと。何もかも忘れるぐらいに…
あいつがしているみたいに、自分をグチャグチャに犯して欲しいと…そんな
浅ましいことを考え始めている自分が、確かに存在している。

(いつまで…オレを放っておくつもりだよ…。お前の顔も見れないまま…
クリスマスを迎えたら、きっと…オレ…耐えられない気が、する…)

 ポロポロと…克哉の意思と関係なく、透明な雫が頬を伝っていく。
 きっと、本多や太一、そして…御堂にまで、思わせぶりな態度を取っている
自分の行動はきっと、最低なことなのだろう。
 けれど…自覚はあっても、今は克哉は…自分のそんな暗い感情を
コントロールする事が出来なくなる時があった。
 必死に笑って、その一面を表に出すまいと努力はしている。
 けれど…それでも、もう一人の自分を求めて飢えている我侭な心が…
寂しさのあまりに暴れて、徐々に制御を失いつつあった。

「…どうしよう。オレ…このままだったら、間違えてしまうかも…知れない…」

 ブルっと肩を震わせながら、その予感に戦慄を覚えていく。
 やっと荒い呼吸が平静なものへ戻っていくと…枕元に置いてあった
ウエットティッシュを2枚ほど取って、掌を清めていった。
 それとほぼ同時に…近くの机の上に置いてあった携帯から、呼び出し音が
響いていった。

「電話だ…この、着信音は…」

 克哉は、親しい間柄の人間には一回聞けばその人物から来たとすぐに
判るように専用の着信音を設定している場合があった。
 だから…すぐに彼にはその電話が誰からなのか判ってしまった。
 オズオズとした仕草で、通話ボタンを押して…克哉は声を絞り出していく。

「…もしもし、佐伯ですが…お久しぶりです…」

 そうして、克哉が緊張した声で答えていくと…電話口で相手が、くぐもった
笑い声を噛み殺していくのが判った。
 相手の声に、今までと違って…即物的なものを感じる。
 だがそれでも、克哉は拒む様子を見せなかった。
 恐らく…今夜の相手の誘いに乗れば、どういう流れになるのか…判り切っていても
それでも、克哉は素直に相手の要求に応じて、約束を交わしていく。
 暫く、電話を通して…その人物とのやりとりを続けていく。
 全てが終わると、小さく克哉は頷いてみせた。

「…はい、それで構いません。それでは…来週の週末に、そこで…」

 そう克哉が応えると、相手は満足そうな笑い声を漏らしながら通話を
切っていった。
 それに習って克哉も携帯の通話ボタンを押して会話を断ち切っていくと…
どこか空虚な眼差しを浮かべながら、小さく呟いていった。

「…これは、最後の賭けだな…。もしその日までにあいつが…オレに対して
何の嫉妬もせずに、止めもしなかったら…その、時は…」

 それは、追い詰められてしまったから取ってしまった最終手段に
限りなく近かった。
 どんな形でも、克哉は答えをすぐに欲しいと思ってしまった。
 だから…こんな己を追い詰めるような、愚かしい行動に出てしまったのだ。

―あいつへの想いを、諦めよう…

 そんな悲痛な覚悟すらしながら、克哉の気持ちは来週の週末へと
向けられていく。
 その中で幾人もの想いが…自分を中心に、交差している現実を…この時点では
克哉はまったく自覚していなかったのだった―
 
 
 ※ ようやく『バーニングクリスマス!』の再開です。
    非常に間が開いてしまってすみません。
    過去のログのリンクも話のトップに繋げる形で読み返しがしやすい
   ようにしておきます。
   
    バーニングクリスマス!                
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)

 ―本多にとっての救い主、それは…この喫茶店の主でもあるマスター
 その人だった。

 太一が作ったラーメンに、大量のニンニクを投下して嫌がらせをするという
暴挙に出たおかげで…本多の理性は限界寸前だった。
 そして終始、太一に振り回されてやられっ放しの状態だった。
 だがしかし…その横暴を、今回に限って…天はどうやら見逃さなかったらしい。
 この店のオーナーでもあるその人が、店の入り口から堂々と入って来た瞬間…
太一の顔は「げっ!」という感じで思いっきり引きつり始めていた。

「おう、ただいま…! って何だこりゃ! 店中がニンニク臭いじゃねえか! 
太一…てめえ! 以前にあれだけ俺が言っていたにも関わらず…店の厨房を
使ってニンニクたっぷりのラーメンを作ったな!」

「おや、いや…マスター! それは…」

「言い訳は良い! ったく…ここは俺の城だと以前から散々言っているだろうが!
こんなにニンニクの臭いが強かったら、客商売をしている身としちゃ致命傷だって
散々言っているにも関わらず…またやりやがって。そんなに、お仕置きして
欲しいのか…?」
 
 その瞬間、全員が…マスターの眼光が鋭く物騒に輝いているのに気づいて
背筋に汗が伝うのを感じていった。

―マスターの目がマジだ…!

 と、全員が心の中で叫んだ瞬間だった。

「い、いや…マスターからのお仕置きは受けたくないから! っていうか…本気で
謝りますから、それだけは勘弁して下さい! ニンニクの臭いは明日までには
全力で落としますから!」

「…ほほう? こんなに強く残ったら並大抵のことでは…店内から臭いは
消えねえぞ? それでもか…?」

「は、はい! だからそれだけは…!」

 太一がここまで狼狽しているのは正直、珍しかった。
 だが…普段は非常に彼に関しては甘い部分があっても自分の実父である
この男性が、こんな剣呑な眼差しを浮かべて「お仕置き」と口にしている時は
本気で怒っている時だけだというのは身に沁みて知っていた。
 現在の太一は辛うじて…この父が味方になってくれているから今、大学にも
通っているし好きで堪らない音楽活動も出来ている状況な訳である。
  この怒りを放置しておいたら…父の気持ちが大きく変わってしまった場合、
それらの全てを失い兼ねないぐらい…太一の立場というのは微妙なものなのだ。

(…親父を本気で怒らせたままにしておいたら、絶対にシャレにならない事に
なりかねないし…じっちゃんに対しての押さえが利かなくなる…!)
 
 因果応報とは、まさにこの事だ。本多を貶める為にやった行動が全て
自分に返って来てしまっている状態だった。
 目の前で起こっている展開に、克哉と本多は思いっきり置いてけぼりに
されている状況だった。
 だが…傍から見ている限り、太一が相当必死になってこのマスターの
機嫌を回復させようとしている事だけは伝わった。
 
「あ、その…太一。オレ達、そろそろ時間だから…お暇するね。ニンニクの
臭い消しの件…頑張ってね」

 太一とマスターの間に流れる、緊迫した空気を感じ取って…克哉はオズオズと
席から立ち上がりながらそう告げていった。
 こんな息が詰まりそうな場に、延々と残り続けるなど流石に御免だったからだ。

「えぇぇ~克哉さん! もう行っちゃうの? まだ今日は全然…克哉さんと
話し足りていないっていうのに…!」

「ゴメン、太一…また来るから…。今日の埋め合わせは、次に顔出した時にね…?」

 そうやって克哉が太一に向かって謝っている姿を見て、チリリと…本多の胸が
痛んでいった。
 マスターにやり込められて、必死になって頭を下げている姿を見て少しは
溜飲が下がったけれど…やっぱり惚れて仕方がない相手が、他の相手に気を遣って
いる姿を見るのは若干心が痛んでいった。

「…判ったよ。克哉さんもお仕事だもんね…俺だって、まだバイトあるし。
けど…絶対に約束だかんね、克哉さん…」

「ん、約束するよ…」

 …という感じで、完全に本多の存在はスルーされた状態で話は進められて
いってしまっていた。

(…この場における、俺の立場は一体何なんだ…)

 と、本気で拳を握り締めながら号泣したい衝動に駆られていったが…ここで
妙な発言をすると、絶対にややこしいことになりそうな気がしたので…本多は
沈黙を保っていた。
 …もう一つの理由として、今の本多は非常にニンニク臭かった。
 口を開けば、一層激しい臭気を撒き散らすことは必死だったのだ。
 惚れた相手が目の前にいるというのに、そういう臭いをプンプンとさせるのは
若干…恋する男として躊躇いがあったのだ。
 まさに不憫もここに極まれり…な状況に追いやられていた。

「…佐伯さんもすみませんね。…こいつがニンニクなんて使って調理なんて
してしまったものだから…臭ったでしょう?」

「いえ、その件はあまり気にしていませんから大丈夫です…。それじゃあ、太一…
失礼するね」

「バイバ~イ、克哉さん。また来てね~」

「俺もそろそろ失礼させて貰うぜ。…ラーメンは旨かったけど、これだけ
ニンニクを入れられるのはもう勘弁させて貰うぜ。御代は幾らだ」

 本多が心底、不機嫌そうな表情を浮かべながら…上着のポケットから自分の財布を
取り出していくと、マスターはそれを静かに制していった。

「あぁ、こいつの給料から適当に差っ引いておきますから二人とも払わなくて
結構ですよ。今回、お二人に大しての迷惑量という事で…」

「…って親父! つか…マスター! ただでさえここの給料、信じられないぐらいに
薄給だって言うのに…また引かれちまったら俺、貧乏まっしぐらじゃんか!」

「うるせぇ! お客さんに迷惑を掛けたら減給だっていうのは今まで口が
すっぱくなる程言って来ているじゃねえか! 文句言えた義理か!」

「あたっ!」

 その瞬間、マスターの拳が思いっきり太一に向かって炸裂していった。
 ここら辺はある意味、ロイド名物というか風物詩に近いものがあるので
克哉もまったく動じた雰囲気はなかった。
 むしろ微笑ましい表情を浮かべながら、二人の様子を見守っている。

「…ん、それじゃ本多…行こっか。幾ら営業がどれくらい働くか自由裁量に
任されている部分が大きいって言っても、これ以上はちょっと問題が
出そうだしね…」

「あぁ、そうだな…」

 そう言って、克哉の言葉に頷きながら…本多は彼の後に続いて
喫茶店ロイドを後にしていく。
 カウンター席の周辺では、マスターと太一はまだまだ言葉での応酬を
続けていたが…敢えて気にしない事にした。
 
 バッタン!

 と喫茶店の扉を閉めていくと…急に現実に戻ってきたような気持ちになった。
 店の外に出た瞬間、克哉は自分のカバンから透明な黄色いカプセルが
何個も詰められているブレスケア商品を、そっと本多に手渡していった。

「はい、本多…これ。カプセルタイプのブレスケア商品だけど…これを幾つか
飲んでおけば少しはマシだと思うよ」

「あぁ…サンキュ! 克哉…すげぇ助かるよ」

「ん、でも…やっぱり気休めに過ぎないから…近くのコンビニとかで歯磨き
セットとかそういうのを買って歯磨きもしておいた方が良いと思う。やっぱり…
これから取引先に向かうならね…」

「あぁ、そうだな。けどこれだけでも有難いぜ。…ありがとうな、克哉」

「ん、どう致しまして…」

 そうして二人は駅の方までゆっくりと進み始めていく。
 駅までは目的地が共通している筈だからだ。
 しかし…その後、両者とも言葉もなく足を動かし続けていた。

(…無理やり、ついてくるべきじゃなかったのかもな…)

 と、相手が無言のまま先を進んでいる姿を見て…本多は思い知った。
 全ての動機は、「克哉と少しでも長くいたいから」というものであったけれど…
その結果、自分は克哉と太一が…友人同士として語らう時間の邪魔をして
しまっただけのような…そんな苦い気持ちを覚えていった。

(克哉は優しいから…俺に対して、グチャグチャと何も言わないで…
黙って許してくれるんだろうけどな…)

 けれど、今…克哉の方から、太一のことを咎める言葉は何一つ
出て来ない。それは本多に関しても同様だった。
 そして…言わない克哉を前にしているからこそ、静かに本多は…自分が
先約があったにも関わらずに、ついて来てしまった事を反省していく。
 その沈黙こそが…何かの答えのように、感じられてしまった。
 無言のまま…駅までの道を二人で進んでいった。

「…俺はここから、この近くの取引先まで直で向かうことにするな。
克哉も仕事…頑張れな」

「ん…ありがとう。じゃあここで…」

 と言って、フっと克哉が遠くを眺めていく。
 その表情を見て…一瞬、本多はぎょっとなってしまった。

(克哉…?)

 本多は、長年の友人のその顔を見て…驚きを隠せなかった。
 その瞬間の克哉の表情は、まるで別人のように冷たく…同時にひどく
艶やかなものだったからだ。
 本当にそれは克哉の表情だったのか…と疑いたくなるぐらいに
印象の異なる顔を見て、本多の胸の中に落ち着かない気持ちが
強く宿っていった。
 長年一緒に過ごして来た相手の、見知らぬ一面を再び垣間見て…
男の心は落ち着かなくなっていく。

「じゃあ、ね…本多…」

 そう告げて、踵を返した克哉の背中に…何か嫌な予感を覚えた。

(なあ…克哉。お前はどうして…最近、そんな顔を時々…浮かべているんだ?
ひどく色っぽいような…荒んでいるような、そんな相反した表情を…)

 克哉の背中から、奇妙な色香が立ち昇っている。
 それを見送った時、本多の胸の中に…言いようの知れない不安が一層強く
その胸に宿っていったのだった―
 こんにちは、本日は朝からちょっと我が家の総本山というか
厄除けに七沢の方の大山に一家総出でお出かけして参りました。
 一年の厄除け&ゲン担ぎの為との事です。
 んで、今年に入ってから水面下で暇を見つけては絵の練習を
しております。
 当面の目標は、「自分で満足がいく表紙絵&挿絵を描ける
レベルまで上達させる」です。
 ちょっとでもフォトショに慣れようと…今日は3~4時間掛けて
色々やっていたら、気力使い果たしました。
 これから一本SSを書き下ろす気力ないんでご了承
下さいませ(汗)
 今年からは、週一~十日に一枚ぐらいの頻度で、たまに
香坂の習作というか…絵も混じりながらの運営になります。

 一先ず、人に絵を晒す…という事を意識した方が鍛えられるかな~と
思ったので。
 もう一つ、来週中には自家通販を開始致しますのでその準備も
こそこそ~と進めております。
 この件に関しても、もう少しお待ち下さいませ。

 香坂が本日、3~4時間以上掛けてどんな絵描いたか興味ある
方だけ「つづきはこちら」をクリックして下さい。
 …いや、マジで大した内容ではないです。
 あんまり過剰な期待はせんで下さいね(ビクビク)

 ―晴れ着を着た状態のまま、もう一人の自分に抱かれるというのも
奇妙な感じだった。
 眼鏡の手がこちらの帯板へと掛かっていくと…ゆっくりと何度も
身体を反転させられて、さっき丁寧に巻かれたばかりの帯が
解かれていってしまう。

(時代劇か何かだと…この光景ってクルクルと回されたりするんだよな。
町娘があ~れ~とか言いながら…)

 しかし、自分が立った状態でならともかく…ベッドの上に横たわった
ままでは、それを実行するのは厳しいだろう。
 クルクルと慎重に身体を回していく度に、今…自分は相手の目の前で
着物を脱がされているんだなという思いが一層強くなっていく。
 帯をあらかた取られていくと、慎重な手つきで深い蒼の…色とりどりの
桜が舞い散っている上品なデザインの晴れ着が剥ぎ取られていく。
 その下につけていた長襦袢と肌襦袢が見え隠れするようになって
克哉は緊張していく。
 そんな彼の首筋から、鎖骨に掛けてそっと吸い付いていくと…赤い痕が
其処にくっきりと刻み込まれていった。

「んっ…つぅ…!」

 身体に、今夜も相手の痕跡が刻み込まれていく。
 その度に克哉の身体はビクビクと跳ねていくが…相手はそんなの
一切おかまいなしに行為を続けていく。
 ゆっくりと晴れ着を肌蹴られて…赤く熟れた胸の突起が露出していく。
 それを指先で摘まれたり、引っかかれたりしながら刺激を与えられていくと
克哉の唇から実に艶かしい声が零れていった。

「はぁ…ん…」

「…くくっ、今日は随分と色っぽい声を漏らすじゃないか…? やはり、晴れ着を
身に纏っているといつもより若干…色気が増しているのかもな…?」

「っ…! そ、んな訳、ないだろ…そんなの、お前の気のせい…?」

「ほう、その割には…顔は真っ赤に染まっていて、実に艶かしいぞ…?」

 相手は喉の奥で笑いながら、ゆっくりと克哉の裾を割って…その下に息づいている
熱いペニスを握り込んでいった。
 着物の厚い生地の下ですっかりと反応しきってしまったそれは相手の手の中で
ドクンドクンと荒く脈動を繰り返している。
 その生々しさといやらしさに、克哉はつい…目を釘付けにされていってしまう。

(オレの…あいつの手の中で、こんなに淫らに息づいている…)

 自分のペニスの先端からは厭らしい汁が大量に滲んで、もう一人の自分の
手をすっかりと汚してしまっていた。
 ただ握られているだけで呼吸が乱れがちになっているというのに…彼が
執拗に敏感な鈴口を擦り上げるものだから、耐え切れないとばかりに
克哉は肩を上下させて、荒っぽい呼吸を繰り返していく。

「んっ…あっ…! やっ…あんまり、弄るなよ…!」

「…何を言っている。お前の本心は…『もっと…』じゃないのか…? 俺の手の中で
これは暴れまくって、もっと気持ちよくなりたいって訴えかけているぞ…?」

「やっ…だっ! 意地悪…言う、なよぉ…!」

 克哉は泣きそうな顔を浮かべながら反論していくが、その声は一層甘さを
帯びていくばかりだ。
 愛撫を施されていく度に耐え切れないとばかりに肌を上気させて…眼鏡の
手の中で乱れていく様は、ハっとなるぐらいに色香を放っていた。

(まさに…艶姿だな。着物をつけなくても、お前は十分に色っぽいが…晴れ着を
身に纏うことによって…いつもはない華や色気が生じている…)

 克哉の肌に、その晴れ着の蒼はとても良く映えた。
 当然だ…自分が見立てて、これなら絶対に克哉に似合うと確信を得たもの
なのだから。
 彼の健康的な肌が、興奮する事で朱に染まり…その蒼に調和していく。
 蒼は極めて合わせるのに難しい色だが、今の克哉には…あまりにマッチ
していて…彼が本来纏っている色気を、何倍にもしていた。

 グチャヌチャ…

 淫らな水音を立てながら、眼鏡の手の中で克哉の欲望が育っていく。
 その音に鼓膜を刺激されて、克哉は耐え切れないとばかりに必死に
頭を振り続けていった。
 だが…眼鏡は決して容赦してくれない。
 何度も小刻みに全身を痙攣させて、克哉はともかく忙しない呼吸を繰り返し
続けていた。

「ひっ…あっ…! やだ、もう…イクっ!」

「あぁ…俺が見ていて、やるよ…もう、イケよ…」

「ふっ…あっ―!!」

 昨日も散々、抱かれているというのに…否、散々この男に至るところを
弄られ続けたせいで克哉の身体は敏感になっていた。
 だから、ついに堪え切れずに精を放っていくと…白濁が眼鏡の手の中に
大量に吐き出されていった。

「あっ…はっ…『俺』…」

 熱に浮かされたような眼差しを浮かべながら…克哉が真っ直ぐにもう一人の
自分の顔を見つめていく。
 そんな彼の視線を、そっと見つめ返していきながら…眼鏡は一層大きく
克哉の裾を捲り上げて、その足の間に身体を割り込ませていった。
 そうして…すっかり覆い被さられていくと…相手の欲望を奥まった箇所に
ダイレクトに感じて、克哉はビクっと震えていき…。

「そろそろ、抱くぞ…。晴れ着を纏っていつもよりも艶やかになっているお前をな…」

「ひゃ…うっ…!」

 期待するようにブルリと身体を震わせていきながら克哉はその衝撃に
備えていった。
 それから、容赦なく眼鏡の熱い塊がこちらの身体の中に割り込んでくる。

「あぁ…! 熱、いっ…!」

 覚悟はしていたが、もう一人の自分のペニスはかなり熱かった。
 その熱に歓喜の声を漏らしていきながら…際奥までそれを深々と克哉は
飲み込んでいく。
 相手の鼓動を身の奥で感じ取って、克哉は耐え切れないとばかりに
悩ましい声を漏らしていく。
 それから…眼鏡の律動は激しさを増していって…克哉の身体を遠慮なく
ゆすり上げていった。

「あぁ…もっと、俺をしっかりと感じろよ…『オレ』…。これが俺たちにとっては
今年最初の…『姫初め』になるんだからな…」

「ひ、姫初めって…! 何か、その響き…凄くいやらしい、んだけど…
ひゃう…!」

「いやらしい、から…良いんだろうが…。この為に、誕生日祝いを延長しても…
お前の傍にいたんだから、感謝しろ…」

「…っ! な、んだよそれ…まったく、お前って…!」

 誕生日祝いの為に自分の元に来てくれたことは何だかんだ言いつつも、
一人寂しいバースディを送ることに比べたら、凄い嬉しかった。
 そして初めて…もう一人の自分が、目覚めた後も残ってくれていたことも
最初はびっくりしたけれど…嬉しかったのだ。

「お前って、何だ…? 言ってみろよ…なあ、『オレ』…?」

 ククっと笑いながら、思いがけず甘い眼差しをこちらに向けて来たので…
克哉はつい、拗ねたような顔を浮かべてしまった。
 …こんな時に、そんな顔をこちらに向けるなんて反則以外の何物でも
ないと思う。
 …滅多に優しい顔なんて見せない癖に、こんな状況で見せられてしまったら
克哉としても…言葉に困ってしまうではないか。
 
「…お前って、本当に意地悪で…」

「ほう? それで…続きは何だ…」

「…困った奴、だよな…けど、その…耳、貸して…」

「あぁ、良いぞ。何を言ってくれるんだ…?」

 克哉の反論など、すでに相手は予測済みなのか…それくらいの言葉では
まったく動揺する様子など見せなかった。
 その間、抽送はかなりゆるやかで…甘い快感がじんわりと身体の奥から
広がっていくようだった。
 このまま、悪態を続けるだけでは相手を愉快がらせるだと思った。
 だから…克哉は言ってやる事にした。
 相手にとっては今、予想外な一言を…。

―けど、そんな奴でも…オレはお前のことが好きなんだよな…

 そう囁いた瞬間、相手の身体がピタっと止まった。
 そして驚いた表情を一瞬だけ浮かべていく。それを見て…克哉は
してやったりと…思った。

「驚いた…?」

 その瞬間、克哉は悪戯が成功した子供のような表情を浮かべていく。
 眼鏡は…少し経った後、正気に戻って…代わりに激しく相手を突き上げるという
行為に出始めていった。

「あぁ、驚いたとも…そういう訳で、お前には今の一言を言った責任を存分に
取ってもらおうか…」

「な、何だよ…その、責任って…はっ!!」

「…新年早々、俺をこんなに熱くさせた責任だ…」

 そう宣言しながら、克哉を翻弄するぐらいに激しく律動を繰り返していって…
眼鏡は貪るように克哉を抱き続けた。

 そして…激しく甘い一時が二人の間に訪れていった。
 …そうして、眼鏡と克哉の新年はゆっくりと始まっていったのだった―

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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