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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  先月の19日、「最果て」のおしげさんとデートした際に
描いてもらったスケブ絵でございます!
 諸事情でちょっとアップ遅れましたがすっごい力を入れてもらった一枚
だし、ご本人に掲載の許可貰ったのでここにアップしますね!

 ついでに簡単にですが…当日のデートのレポなんぞも
書かせて頂きました。
(ついでに香坂が描いた駄絵付き)
 おしげさんの素敵克克絵に興味がある方だけ、どうぞ
「つづき」をクリックしてやって下さいv
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※これも某所で御題を引いて書き上げた作品です。
「王子さまのキス」というテーマです。
11月1日分の「鬼哭の夜」と対になっているので
良かったら合わせてお読みになって下さいませ(ペコリ)

―今日もまた、男は一つの強い祈りを込めて愛しい人間に
口付けていく。
 それはまるで…童話の中の眠り姫の呪いを解いた口付けのように、
神聖で…心からの愛情が込められたものであった―

 今朝もまた、同じ朝が訪れていく。
 傍らに寝ていた御堂の頬を愛しげに撫ぜながら…暫く佐伯克哉は、
その身体を軽く抱きすくめていった。

(今朝も…駄目、だったか…?)

 その事実に溜息を吐いていきながら…男は窓の外に広がる、
明け方の空をそっと眺めていった。
 …どれぐらい長い期間、人形のように物を言わなくなった御堂の傍に
自分はいたのだろう。
 …何度、己の犯した過ちを悔いて涙を流した夜があったのだろうか…?

(…もう、そんな事も遠く感じられるぐらいに永く…俺はあんたの傍にいるよな…)

 しみじみとそんな事を考えながら、米神にキスを落としていった。
 かつて、御堂孝典という人間が欲しくて…その欲に囚われて鬼となった
男は、懺悔の涙を沢山流した事で…別人のように、穏やかな人間になっていた。
 
 最初の頃は…その後悔で、胸を掻き毟られそうな痛みを時折覚えて苦しかった。
 何度も何度も、それで人知れず涙を流し続けていた。
 静かに伝う泪はゆっくりと男の心を洗い流し…いつしか、廃人寸前になった
御堂の面倒を看る克哉の表情はどこか達観したものになっていった。

 どんな姿になっても…今は心を閉ざして、何の感情を表さなくなっても…
御堂孝典はまだ、生きている。
 その事に微かな希望を抱きながら…克哉は、御堂のマンションで寝食を
共にして…献身的に、その面倒を看続けていた。

 それで…春、夏、秋、冬…と全ての季節が一回は巡り…通り過ぎていった。
 
 年月が過ぎると共に…例えどんな姿でも、これは自分が心から愛した
人間なのだと…そう納得して、いつか戻ってきてくれる日を静かに待ち続けた。

―あんたは、必ず…戻って来てくれる筈だ

 それは眠り姫の目覚めを待ち続ける王子のような心境だった。
 現実は御伽噺のように上手くいくわけではない。
 そんな事は判りきっていた。
 だが、克哉は希望を捨てなかった。
 たった一度のキスで駄目なら…何回でも、何十回でも何百回でも…
己の想いを伝えていこうと思った。
 
「…本当に後、どれぐらい…この行為を繰り返せば、あんたは
目覚めてくれるんだろうな…」

 自分でも、こんな事に願いを託すのはバカらしくて…甘い考えだと
わかっている。
 だが、嘆き悲しみ…後悔している時、例の銀縁眼鏡をくれたあの男が
現れて…確かにこう言ったのだ。

―本当に愛する人間を追い詰め、人形のようにしてしまわれた事を
貴方は心から悔いていらっしゃるようですね…。
 それなら、愛情の篭った口付けを…この人の負った心の傷が
癒えるまで何度も落とし続けて下さい。
 それは気が遠くなるほどの時間を要するかも知れませんが…
その日まで貴方が決して諦めずに、この方に一途な愛情を
向けられるのでしたら…奇跡、というのも起こるやも知れませんね…

 そう、告げて…夜の闇にMr.Rが消えた翌日から…この儀式は
続けられている。

 ―もう一度、あんたの声が聞きたい。

 その願いを込めて…もう一度だけ、愛しげに御堂の頬を撫ぜた後…
唇に優しく、優しく口付けた。

 ピクリ…

 その瞬間、御堂の身体が…いつもと違って、反応したような気が…した。

「…御堂?」

 その僅かな反応に、目ざとく気づいていくと…あの日から初めて、
御堂が自らの意思で…身体を動かしていく姿が目に入った。

「…ここ、は…?」

 御堂が、途方に暮れた表情を浮かべながら…ゆっくりと
身体を起こしていく。
 それは…永き眠りに就いていた愛しい人がようやく目覚めてくれた瞬間だった。

(本当に…通じた、のか…?)

 その喜びに震えながら、二人はようやく…目が合っていく。
 双方の瞳には…お互いに、戸惑っているような…優しいようなそんな色が
浮かんでいた。

「…ずっと、君は…私の傍にいたのか…?」

 確認するように、御堂は問いかけてくる。
 その…声を聞けるだけでも、嬉しかった。
 心底、喜びに震えながら…掠れた声で、克哉は頷いて答えていく。

「あぁ…そうだ、ずっと…あんたの傍にいた…」

「…そう、か…」

 それ以上、何を答えて良いのかお互いに判らなかった。
 無言のまま…それでも、磁石が引き合うように…ごく自然に
身を寄せ合っていく。
 その目がぶつかりあうと同時に…顔もそっと近づいていって…静かに、
吐息が重なり合う。
 御堂の胸には、驚くぐらい怒りがなかった。
 …けれど、愛情を込められたキスをどれくらいこの男が自分に向けて
くれていたのかすでに知っているから。
 だから目覚めることにした。
 その愛を受け入れる事を…決めたのだ。

 もう、怒りも憎しみも…どうでも良くなるぐらいに…この男が、
自分を想い…愛してくれた事実を、知ってしまったから…。

 ―ただいま

 だから、御堂はそれだけ告げていった。

―おかえり…御堂…

 克哉もまた、それだけ返していく。
 それはまるで…王子様のキスを受けて、眠り姫が死の淵から
蘇ったかのような場面。
 愛という真実を得て…御堂は再び、目覚めていく。
 彼の心からの祈りを受けて…静かに、そして…輝くような笑みを浮かべて。

 ―祝福するように、窓の向こうには晴れ渡るような青空が広がっていた―

 

※先日、某所で御題を引いて書き上げた作品です。
 内容は「鬼が泣く」にちなんで=鬼畜が泣くというイメージで
仕上げてみました。 一先ずこれを投下させて頂きます。
 切ない話なのでご注意下さいませ(ペコリ)
 


 ―暗い部屋の中で、男は一人…跪いていた。
 
 目の前に横たわるのは、壊れた人形のようになっている一人の男。
 端正な顔立ち、均整の取れた肢体。
 かつては…傲慢に、輝くように多くの人間の上に立っていた一人の男は…
虚ろな表情のまま、今日も…ベッドの上に横たわっている。
 
 御堂孝典。
 かつて彼が憧れ、手に入れたいと心から焦がれた存在。けれど…
今は、長く続いた責め苦と陵辱の日々の果てに…心を壊してしまっていた。
  
 時刻は深夜。
 部屋の明かりは消されて、室内には静かな月明かりだけが差し込んでいる。
 煌々とした透明な光だけが一筋、静かに差し込んでくる中…うっすらと
シーツの上に横たわっている男の姿が浮かび上がっていく。
 
「…御堂」
 
 静かに、佐伯克哉は…その相手の名を呟いていく。
 だが、彼は答えない。
 
「…御堂」
 
 もう一度、静かに呼びかけていく。
 だが…御堂は、それでも反応しなかった。
 いや…彼が壊れてしまってからすでに十日以上が過ぎている。
 けれど、どれだけ克哉が呼びかけようとも…どんな仕打ちをしようとも、
彼は決して答える事はなかった。
 
(あんたは…本当に壊れてしまったのか?)
 
 激しい焦燥に駆られながら…無意識の内に胸を掻き毟るような仕草をしていく。
 …その顔には、深い苦悩が刻まれていた。
 
 横たわり、微動だにしないその人の肌は…透き通っているかのように白くなっていた。
 その頬を、慈しむように克哉は撫ぜていく。
 
「…もう、あんたがこうして…何も言わなくなって十日余り、か…」
 
 切ない表情を浮かべながら、克哉はしみじみと呟いていく。そっと…
ベッドサイドに腰をかけていって、その頬や髪に静かに触れていく。
 
 相手が壊れたと、追い詰めたと…あの時、どこかで判っていた。
 なのに…自分はその事実を認めなかった。
 御堂が、怯えて…「助けてくれ!」とうわ言のように繰り返していた日。
 あの傲慢で気高かった男が、ここまで墜ちたしまったその姿を見て…
薄々と己の過ちに気づいていた筈なのに、それでも目を逸らして…
一層、彼を追い詰める行為を行ってしまった。
 
―その日から、御堂の瞳はガラス玉のように無機質になり、
何も映さなくなってしまった。
 
 今の御堂を形容するなら「壊れた人形」
 そうとしか言いようのない状態だった。
 自らの意思で身体を動かすことも、言葉を紡ぐことも止めた御堂は…
本当に人形のようで。
 元々、風貌が整った男だから…特にそう感じられる。
 
「なあ…御堂。一言で良い…憎しみでも、俺を詰る言葉でも良い…。
どうか、前みたく…何か言ってくれないか…?」
 
 御堂の唇を、そっと指先で慈しむように辿りながら問いかけていく。
 だが…その瞳には何の感情もなく、鏡のように窓の向こうに浮かぶ
月を映していた。
 
「…なあ、答えてくれないか…?」
 
 その声には、哀切なものが混じり始めている。
 後どれぐらい…こうして、何も言わないこの人の傍で…独り言に近い言葉を
投げかけていくのだろうか?
 ゆっくりと、相手の顎や頬のラインを辿っていく。
 けれど…それでも、何の反応はなかった。
 
「…なあ、本当に…俺を罵る言葉で構わない…。あんたの声を、
聞かせて…くれ…!」
 
 気づけば、耐え切れないとばかりに…声を荒げて…相手の唇に
噛み付くように口付けを落としていた。
 激しく、相手の口腔を犯すように貪っていく。
 熱い舌先を侵入させ、荒々しく犯して…深く舌先を捉えていった。
 だが…相手は、何の反応も示さない。
 どれだけ強い刺激でも、快感でも…すでに感じる心が今の御堂には
ないのだと…その事実を、今夜も…思い知らされていく。
 
「ふっ…」
 
 唇を離した瞬間、二人の唇の間から銀糸の糸が伝って月明かりに
照らし出されていく。 
 だが…それでも、腕の中のこの人は何も言ってくれない。
 反応すら…すでにしてくれない。
 それで、やっと思い知る。
 …自分がしてしまった過ちの重さを。
 そして…本当の気持ちに、嫌でも気づかされていく。
 
「はっ…ははははっ…」
 
 乾いた笑いが、唇から零れていく。
 こんな現実を突きつけられて、やっと判るなんて…何て自分は
愚かな道化だったのだろうか。
 胸があまりに切なくて…苦しくて、息をする事すら辛いような…
そんな心境に陥っていく。
 悲しくて、辛くて…知らぬ間に、ツウっと一筋の涙が零れていった。
 
 かつて、鬼畜の限りを尽くした…まさに鬼のような男が、本心に気づいて…
真実の涙を零していく。
 一粒、二粒と…まるで真珠のように、キラキラと月明かりに照らされて…
御堂の頬に落ちていく。
 
「あぁ…そうか、俺は…あんたを、好き…だったんだ…」
 
 その事実に、ようやく気づいて…そっと目を伏せていく。
 そして…その身体を強く強く抱きしめて、その首筋に顔を埋めていく。
 
 慟哭と呼べるほどの悲しみを覚えながら…声を必死に殺して泣いていく。
 …それは鬼が心から哭いた夜。
 
 その中で己の想いにようやく気づいた男は…ただ、強く強く…御堂孝典と
いう存在を、強く抱きしめて…己の罪を悔いていく。
 
―どうか願わくば、この人が以前のように輝いて欲しいと
 
 強くそう願いながら…克哉は静かに、涙を零し続けていったのだった―
 
 
 
 
 
 ※本日は秋紀の誕生日&ハロウィンです。
 という訳で今までこのサイトでは眼鏡×秋紀は殆ど扱ったことが
ありませんがこういう日ぐらいは秋紀をメインにした話を書いて
あげようと思ったので、本日はこのCPです。
 …明日からは普通に戻りますのでご了承下さい。
 「始まりの扉」で示している通り、私は秋紀には結構、愛着が
あるんですよ。はい…。

 ちなみに克克バージョンも考えましたが…長くなりそうな
上に…「また克克かよコイツ…!」とか言われそうな感じなので
自粛しました(汗)
 放っておいても克克は書きますからね。私は…(遠い目)

 あ、リク企画の当選者の結果発表は土日にやりますね。
 もうちょっと待ってやって下さい。

 興味ある方だけつづきはこちら、をクリックしてやって下さいませv
 濃厚なミルクの匂いが鼻を突く中で…一旦、腕を引かれて
起こされた状態で浴室の壁に身体を押し付けられていく。
 背後から相手に抱きすくめられて、その淫らな指先がこちらの
胸元と下肢を怪しく蠢いている。
 
サァーザー…
 
 床にタイルが敷き詰められた浴室内に、シャワーの音と…自分達の荒い
息遣いだけが
響き渡っていく。
 
「あっ…んんっ…其処、ばかり…弄るな、よ…」
 
「何を言う…? お前のここはもっと強い刺激が欲しいって…俺の手の中で
訴えかけているみたいだがな…?」
 
「はっ…うんっ…」
 
 克哉が鼻に掛かったような甘い声を漏らしていくと、眼鏡はやんわりと
性器を握り締めて緩やかに扱き始めていく。
 シャワーの湯を浴びながらの愛撫のせいか、どこに触れられても克哉の肌は
肌に吸い付くように滑らかな手触りになっていた。
 
「ほう…? やはり風呂場でヤルと…趣がいつもと違って感じられるものだな。
お前の肌…どこも、俺の指に吸い付いて来ているぞ…? ほら、ここもな…」
 
「やっ…バカ…言わない、で…!」
 
 克哉が頭を振って必死に否定していくが、相手の攻勢は止まる気配を
見せていなかった。
 むしろどんどん巧みなものとなって、容赦なくこちらの欲情を煽り立てていく。
 眼鏡の指先が淫らにこちらの胸の突起を交互に攻め立て、右手で…
こちらの
ペニスを緩急を富みながら、執拗に弄り上げていく。
 交互に攻められるだけで…その先端からはいやらしく先走りが溢れて、
ヌチャネチャと
糸を引いているのが自覚させられた。
 それは溢れてはシャワーの湯にすぐ流されていくが…絶え間なく溢れ続けて
男の手を汚し続けていく。
 
「や、あっ…あんまり、弄るなよっ…。んっ…あっ…」
 
 シャワーを頭から浴びながら攻められているせいか、水蒸気が
立ち昇っているせいか少し息が苦しく感じられた。
 喘ぎながら、途切れ途切れにそう背後からこちらを攻め立てている
相手に訴えかけていくが…まったく聞き遂げられる気配はなかった。
 
「そうか…? こんなに淫らに腰をくねらせて喘いでいる姿は、俺には
『もっと…』と強請っているようにしか見えないがな…?」
 
「バッ…カァ…そんな、訳ない…ってば…ひゃう…!」
 
 そうしている間に、相手の昂ぶりがこちらの奥まった場所に宛がわれて
いるのに気づいて…高い声を上げていく。
 相手の剛直が、こちらの蕾に当たった状態で…ドクンドクンと荒く息づいて
いるのを自覚して、つい息を呑んでいった。
 
「あっ…んっ…」
 
 グイ、と先端が捻じ込まれている感覚がした瞬間…克哉はつい、
期待している
かのような甘い吐息を零していく。
 その隙を逃さず、眼鏡は一気に克哉の中に己を割り込ませていく。
 幾度繰り返されても、狭い隘路を割り開かれていく瞬間だけは
苦しくて息が詰まりそうになる。
 だが内部に納まった性器が、こちらの官能を駆り立てる部位を擦り上げた
瞬間…電流のような快楽が押し寄せて来た。
 
「あっ…あぁ―!」
 
 前立腺の部位を容赦なく擦り上げられて、克哉はただ…壁に対して
必死にすがり付いてその衝撃に耐えていった。
 だが眼鏡の追撃は一切、止まる気配を見せない。
 激しく腰を揺さぶり…相手を巧みに煽りながら、一層深い悦楽の海へと
容赦なく突き落としていく。
 相手の猛り切ったペニスがこちらの内部で暴れ回る度に、耐え切れないと
ばかりに
克哉の身体は小刻みな痙攣を繰り返していく。
 
「ん、あっ…やっ…もう、少し…加減して、くれよ…! こんなに…
激しく、されたら…息も、つけな…い…!」
 
「…そんな事を言っている割には、お前の中は痛いぐらいに
俺を締め付けて、放そうとしていないけどな…」
 
「だから、言わない、で…くれよっ…ひっ…あっ―!」

 後、もう少しで達する。
 性急に腰を突き上げられてそれぐらいギリギリの所まで追い上げられる。
 自分の内部で、相手の先走りがたっぷりと滲んで…ヒクヒクと蠢いている
様子すら感じられて、一層興奮を煽られていく。
 
(もう、イク…っ!)

 頭が真っ白になる感覚がして、息を詰めて身構えたその瞬間…相手の
突き上げが不意に止まっていった。

「えっ…あっ…?」

 達する寸前に、ふいに刺激が止まったので…怪訝そうに相手の
方を振り返った瞬間…胸元から下肢に掛けて、たっぷりと何か
トロリとした液体を掛けられていく。

「な、何…これ…?」

 突然感じた、ヌルリ…とした感覚に、克哉は途方に暮れていく。
 だが相手は…呼吸は若干乱れていたが、こちらの耳元で平然と
呟いていった。

「…ただのボディシャンプーだ。…せっかく風呂場でヤっているんだから
せっかくだから…お前を丁寧に洗ってやろうと思ってな…?」

「っ…! 余計な、お世話だよ…! やっ…まだ、敏感になって
いるんだから、そんなに…弄らないで、くれよ…!」

 さっきも散々弄られた胸の突起と性器を、今度は泡と一緒に
攻められ続けていく。
 さっきは滑らかな手触りだったが…ボディシャンプーが加わった
おかげでツルツルした感触になっている。
 シャワーの湯はいつの間にか止められ、相手の手が動く度に
たっぷりとした泡が立ち上がり…フワっとした雲のように克哉の
肌全体を覆っていく。

 胸元全体を、たっぷりと掌全体で撫ぜられ。
 淡い恥毛が覆われている部位を、指の腹全体で擽られていく。
 最初は間接的な刺激も時々加えられてじれったかったが、相手の
手がそれぞれ…再び胸の突起とペニスの先端に戻っていくと
嫌でも、克哉の吐息は乱され…忙しなく肩を上下させていく。

「やっ…だ…クチャクチュ…って、音…が…さっき、より…」

「…お前がいやらしくて、淫らな事なんて…俺は存分に知っている。
だから今更、だろう…?」

「意地、悪…! どうして、オレを…いつだって、こんな風に…!」

 眼鏡の手が、厭らしくこちらの先端の皮の部分を剥いて…露出した
亀頭全体を丹念に洗うように蠢いていく。
 その度に克哉の先端からはとめどなく蜜が溢れ出て、いつしか粘度を
増して…たっぷりと男の掌に伝い落ちていった。
 泡の力も手伝って、浴室中にグチャグチャ…と淫らな水音が響き渡って
聴覚すらも犯されているみたいだった。
 克哉が、とっさに漏らした一言。
 それを予想もつかない言葉で返されていった。

「…お前を愛しているからに、決まっているだろう…?」

「えっ…?」

 予想もつかなかった言葉を言われて、克哉がつい…相手の方を
振り返った瞬間、深く唇を重ねられた。
 そのキスは…若干、石鹸の味がして苦かったけれど…同時に
普段よりも甘く感じられた。
 相手の舌がクチュリ…とまた淫靡な音を立てて、こちらの口腔を
犯していく。
 それと同時に、暫く止められていた抽送が開始されていった。

「ひっ…ぅ…ん…!」

「だから、な…お前が乱れて、感じて…悶え狂う様を…俺は
たっぷりと…見たい…。だから、見せろ…もっと、俺だけにな…」

「あっ…はぁ…!」

 そのまま、手での愛撫と連動するように…的確に、腰を突き上げ
られていく。
 克哉の身体はその度に官能的にくねり、その強烈な感覚を
享受していくしか出来なくなっていた。
 相手の言葉にも凄く感じてしまっている克哉には、もう…己の
身体の奥から生まれた欲望を抑える術を失っていた。

―今はただ、相手の全てが欲しくて仕方なかった。

 ようやく羞恥という枷を外して、己の欲求に正直になった
克哉の姿に…眼鏡は満足げな笑みを刻んでいく。

「オレ、も…もっと、お前が…欲しい、から…だから…」

「あぁ、それで…良い。俺も、お前が欲しいから…な…」

「あっ…ん…」

 相手の一言一言に、内部で息づいている欲望の全てに感じて
ゾクゾクゾク…と悪寒にも似た強烈な快感が走り抜けていく。
 そこから先は無我夢中だった。
 喉が嗄れるぐらい克哉は激しく啼き続けて。
 そんな彼を煽るように、眼鏡もまた激しく腰を突き上げ続けた。
 そして、二人同時に達したその後…。

 克哉は半ば意識を失うように…その場に崩れ落ちて。
 そんな彼の身体をシャワーで清めて、泡を洗い落とした後…眼鏡は
沈まないように気をつけてやりながら…少し温くなっている泡風呂の
中へ一緒に入っていったのだった―


 
 
 
 

 例の一周年企画ですが、朝7時から翌朝の七時まで受け付けますと…
24時間程度、やるつもりでしたが…本日の午前一時から午前六時半過ぎまで
定期メンテナンスで閲覧出来ないというのをすっかり本人が失念して
おりました。本気ですみません(汗)

 という訳でメンテナンスで見れなかった時間の分だけ…本日の正午くらい
まで受付時間を延長しておきます。
 こちらに書いて欲しいもののリクエストがある方はお気軽に拍手か
メルフォの方でどうぞ。公平にアミダくじで決定します。

 で、本日分の掲載も…そのメンテの関係で、七時近くになるまでサイトの
閲覧が出来なかったので遅くなります。
 本日は帰宅後の掲載になります。
 ついでにリセットじゃなくて克克の9―4の方。
 リセットの最終話は多分…一時間半から二時間半は執筆に
掛かるだろうから、もうちょい時間が掛かります。
 んじゃ、また夜にお会いしましょう。では…(ペコリ)

  最近、ちょっとヨレヨレになっている事が多かったですけれど
どうにか無事にサイト一周年の日を迎えました。
 …いや、本気で一年こんな真似を続けられるなんて開設した
当初は絶対無理と自分で思っていたのに、これだけ書き続けられたのは
来訪して下さってこちらの作品を楽しんで下さっている皆様のおかげで
ございます!

 という訳でささやかながら…企画でございます。
 本日午前七時から、明日の七時までメルフォか…拍手でリクエスト
して下さった方の中から…1~2人が限度でございますが、リクに
応えて何か書かせて頂きます。
 …多数の場合は公平にアミダくじで決めさせて貰います。
 この件に関しては香坂個人と仲が良いとかそういうのは一切関係なく
決めますのでよろしくです。

 …まあ、一人か二人しか来なかったら自動的に決定するので…
まあ試しに、という気持ちでやって下さって構いません。
 出来上がるのは少し先の話となりますが…一つか二つぐらいなら
年内か、来年の初めぐらいまで…という気長なスタンスで構えれば
出来ると思うので、気軽にリクエストどうぞ。
 それでは失礼致します(ペコリ)
 目を開いた瞬間、眩い光が瞼を焼いていった。

 それはゆっくりと、ぬるま湯から浮かび上がっていくようなフワフワして
落ち着かないような、心地良いような不思議な感覚だった。
 窓の隙間から、鮮烈な一筋の光が差し込んでくる。
 ベッドの上に仰向けになった状態でその光景を確認していると
そっと手が、握られていた事に気づく。
 その手の力はかなり強く、痛みを感じる程だった。
 相手から注がれる眼差しも、それに負けない感じだ。
 それがゆっくりと佐伯克哉の意識を覚醒させ、あの夢の中から
現実へと連れ戻していく。

御堂」

 見なくても、その気配だけですでに判っている。
 けれど確認するように、静かに克哉は呟いていった。

「佐伯やっと、目覚めたのか?」

 御堂は、安堵するような息を吐きながらそっと身を乗り出して
克哉の頬を愛おしげに撫ぜていく。
 それに応えるように薄目を開きながら、克哉もまた相手の頬へと
手を伸ばして優しい手つきで触れていった。
 御堂は、髪型もほつれていて服装も若干乱れたままだった。
 いつもの御堂なら、きっと一分の隙も見せずにきっと整えているだろうに
若干、崩れている事実がこちらをそれだけ案じているのだろうと、実感
する事が出来てむしろ少し嬉しかった。

「あぁやっと、な。随分と長い事眠っていたような気がする
今は何時だ?」

「朝、六時だ。昨日の夜、私を抱いてからすぐに意識を失ってから
九時間くらいは経過している。その間、幾ら呼びかけようとも身体を
揺さぶろうとも一切君が目覚める気配がなかったから、本気で心配
していたんだぞ!」

「あぁ、悪かったな。心配、掛けさせてすまない

 普段の克哉の睡眠時間は、四時間から五時間に掛けてくらいだ。
 その事実に照らし合わせるといつもの倍近くの時間、自分は昏睡
していたようだった。
 確かに、随分と長い夢を見ていたようなそんな気分だ。
 けれどあの小さな子供のことも、そしてもう一人の自分のことも
全てが夢幻ではなかった事を、今の彼は理解していた。
 夢の中での記憶が、一気に溢れて流れてくる。
 その瞬間、彼は酷く晴れやかな気持ちになった。

世界が、自分のことを受け入れて祝福しているようなそんな
暖かなものを、まぶしい太陽の光から感じ取っていく。

 自分の中で欠けていた何かが埋まるような感覚。
 失われていた自分という人間を構成するピースがカチカチっと
嵌まっていくような、そんな感じがしていた。
 それはかつて、もう一人の自分が体験した感覚に似ていたが
似て否なるものでもあった。
 自分の中で、何かが満ちる。
 冷たかった心に、暖かいものが満ちていった。

オレは、ここにいるよ

 一瞬だけ、優しい声音でもう一人の自分が語りかけてくる。
 それを聞いた瞬間、涙ぐみそうになった。
 
佐伯、どうしたんだ?」

 克哉の目が、僅かに涙を湛え始めていた事に気づいて案じるように
御堂が声を掛けてくる。
 それが、嬉しくて今、自分の傍に心から愛しいと思った存在がいてくれる
事実に一筋の、涙が零れて頬を伝っていった。

「佐伯どうした、んだ?」

 かつて、自分を監禁して陵辱して非道の限りの行為を繰り返されていた時、
御堂はこの男には血も涙もないのだろうと思っていた。
 その男がどこか、切ない表情を浮かべながら涙を流しているのを見て
心底、驚いていく。
 
あんたが、傍にいてくれるのが本当に、嬉しくてな

 二度と、手に入らないと思っていた。
 自分にはこの人を想う資格などないと、そう思い込んでしまっていた。
 ただこの人から逃げ続けたのは、そんならしくもない弱気な感情に負けて
しまったからで。
 ただ、黙って想う資格すら自分にはないだろう。
 そう心の奥底では罪悪に駆られ続けていた。
 この想いは、受け入れられる事はなくただ、自分の胸を突き刺すだけの
痛みを伴うものでしかなかった。
 けれど、捨てる事も消し去ることも出来ず息づき続けていたその感情が、
報われた。
 その事実が
冷たかった筈の男に、暖かなを芽吹かせていく。

佐伯。それは私も、一緒だ

 あのもう一人の彼に、切り替わって彼と接せられなかった時御堂は
どれだけ絶望しただろうか。
 もう一人の彼が、嫌いな訳じゃない。
 最初の時点では驚いたが、今はそれもまた、彼の一面であるのだと
御堂は受け入れている。
 あのどこか儚く笑っていた方の彼を愛しいと想う気持ちもまた、御堂の中に
同時に存在している。
 けれど誰よりも焦がれ、欲しいと想ったのは今、目の前にいる
彼の方だったのだから

 そう伝えるように御堂は口角を上げて微笑んでみせる。
 お互いに、胸が満たされるような気持ちを感じられた。

その時、一瞬だけ克哉の脳裏に浮かぶ面影があった。
 
 それはかつて、自分にとって大事だった人間の面影。
 誰よりも信じていた、大切だった。
 けれど知らない間に彼に劣等感を植え付けて傷つけていて。
 その事実を卒業式の日に突きつけられて、そして自分は

澤村

 黒髪の、少年の悲しそうな泣き顔が嘲りながら、苦しそうな
そんな顔がそっと浮かんで儚く消えていった。
 封じていた、記憶が押し寄せてくる。
 あぁ、そうかと妙に納得した。
 自分は、同じ過ちを犯そうとしていたのだと。
 その事実をやっと、理解した。
 そしてどうして、もう一人の自分が必死になってこちらの背中を
押したのかも、全て見えて来た。

 自分の罪から幾ら逃れようと逃げ続けても、結局はいつかは
追いつかれて飲み込まれる

 なら、自分が犯してしまった過ちも痛みも、受け入れて生きて
いくしかないのだ。
 自分の存在をあの日、否定した。
 そして心が真っ二つに割れてしまった。
 傷つけたくないという想いとあいつに復讐してズタズタに裂きたいと
思った自分。
 そして後者の自分を押さえつける為に、克哉は弱い方の自分を
あの眼鏡の力を借りて、表に出した。
 けれどそのせいで、澤村の事が絡んでいるそれ以前の記憶が曖昧となり
もう一人の自分は、自信が持てずあやふやな存在となった。
 
(お前が言いたかった事を、やっと理解出来た

 今の克哉は、自分を確かなものに感じられる。
 この人と真っ直ぐに向き合って、まったく怯む事はなかった。
 互いに強い視線で相手の目を覗き込み、強く強くその手を握り締め
続けていく。
 
どんな苦痛が伴う記憶も、みっともなく否定したい要素も全てが
自分自身を構成するのに欠かせないピースなのだ。

 一人の人間の中には、良い部分も悪い部分もひっくるめて内包されて
存在している。
 それらの全てが、自分という一人の人間を作り上げている。
 だが人の心は脆弱で、全てを受け入れるには沢山の経験を積んで
己を見つめなければ到底出来ない。
 自分は、かつての親友であった澤村を自分が自分であった為に深く
傷つけてしまっていた。
 それが苦しくて、辛くてそして、記憶を封じて逃げた。
 けれどその為に自分達はバラバラになりそして、弱くなったのだろう。
 だが、今は違う。

お前は、確かに俺の中にいる

 弱い部分を補うように、そっと内側から支えてくれているのが判る。
 例え声が聞こえなくても、以前のようにはっきりと存在を感じられなくても
静かに己の心で息づいて、自然と自分の中に溶け込んでいるのが判る。
 だから世界を、真っ直ぐ見据える事が出来た。
 そうなって初めて、克哉は御堂への想いも、そして御堂から伝えられる
その愛も確かに、感じる事が出来たのだ。

御堂、あんたに触れて良いか?」

 優しく、微笑みながら克哉は問いかけていく。

そんな事、イチイチ聞かなくても良い。当然、だろう?」

「あぁ、そうだな
 
 そうして、柔らかく笑いながら御堂の背中に腕を回していく。
 その瞬間、瞬くほどの間御堂には、もう一人の彼の微笑みが
重なって見えた気がした。
  ただ、相手を抱きしめて体温を感じあうだけでこんなに幸福な
気持ちになれるだなんて知らなかった。

 記憶を封じて、自分を切り離すことで押されたリセットボタン。
 それが静かに一連の騒ぎを経て、もう一度押されたのだ。
 そのおかげで彼は否定していた自分の中の要素も、記憶も
全てを受け入れた。
 だからこの幸福を得る事が出来たのだ。

己の中にあるものを否定している限り、他者を完全に人は
受容する事など出来ないのだ

 受容していない内は、相手の中に自分の否定したい感情を
時に投射して見出してしまう。
 それは知らない内に起こり、それが悲しいすれ違いを時に生み出す。
 人を愛すにはまず、自分を受け入れなければならないのだ。
 その為に向き合い、目を逸らしたい過去にメスを入れて何に傷ついて
いたのか、苦しんでいたのか心の傷と向き合わなければならない。
 その中に、答えは必ず潜んでいる。
 愛という輝けるものも、きっと

「あんたは、暖かいな…」

 人の身体の温もりを、この瞬間ほど愛おしいと感じられたことはなかった。
 再会した当初、御堂に抱いていた罪悪感や後悔の念は…なかった。
 それよりも遥かに強く、愛しいという想いだけが溢れて…克哉の心を
満たしていく。

「君の身体だって温かいぞ…。ふふっ、まったくおかしなものだな。あれだけ
私に酷いことをし続けた男なのに、こんな風に君を想える日が来るなんてな…」

 自分達は、最悪のスタートを切った。
 己の中に潜む本当の想いに気づかなかったばかりに、御堂から全てのものを
奪って廃人寸前にすら追い詰めてしまった。
 だが、今…御堂も克哉を許している。
 克哉も、ようやく…もう一人の自分の手助けを借りて、自分を許せるようになった。
 だから、罪悪感という重苦しい枷が切れて…素直な気持ちでこの人に接して
その言葉を受け取ることが出来た。

「…あぁ、本当にな。…御堂、本当にすまなかった。…あんたを傷つけて、
その挙句に俺はずっと逃げ続けて、いたのに…それでも…」

「もう、良い…。再会してから見ていて、君がその件に関してどれだけ胸を
痛めて…苦しんでいたのか、迷っていたのか…充分に判ったから。
一時は本気で君を殺してやりたいぐらいに憎んだ。けれど…それ以上に
君を欲しいと、愛しいという想いが生まれてしまった。だから…」

 そこで一旦、言葉を区切って…御堂ははっきりとした口調で告げていく。

「二度と、それを理由に私の元を離れるな。…君が私に飽きるなり愛想を尽かして
しまったのなら仕方ないと諦めてやるが、罪悪感を理由に君が再び私の元から
逃げるのなら…絶対に、許さないからな…!」

 気迫すら感じられる、凄みの効いた告白だった。
 だが、逆に…御堂の本気が感じられて、克哉は嬉しかった。
 あぁ、自分はこの人のこの硬質な強さに、輝きに惹かれたのだ。
 それが欲しくて、過ちを犯してしまった。
 けれど…この人は真っ直ぐにこちらを見据えて、求めてくれている。 

「あぁ、それを理由に…あんたの元から立ち去ったり、逃げるような無様な
真似は二度としない。それを…この瞬間に、誓わせて貰おう…」

 そうして克哉は…もう一度しっかりと御堂の身体を強く抱きしめて…
口付けを落としていった。
 世界が、光り輝いて希望に満ちているように感じられた。
 その瞬間、幸せだった。満ち足りた気持ちだった。
 そして…はっきりと、頭の中にもう一人の自分の声が聞こえた。

―おめでとう…『俺』…どうか、幸せにね…

 あいつもまた、心から…自分の内側で見守って、祝福してくれている。
 それを感じられた瞬間…克哉は、微かに涙を浮かべていく。
 親友に裏切られた時、御堂を追い詰めながら想っている事実に気づいた時、
自分の存在を否定した。

『大切な人間を追い詰めるだけの自分なら存在しない方が良い…!』

 その想いが彼を弱くして、幾つもの心に分かれてしまっていた。
 だが、己の罪を真っ直ぐに見据えて、人に愛されること…肯定される事で
人は勇気を得られる。
 そして…それには自分自身を味方に得る事が不可欠なのだ。
 それを得た今、克哉は…自分を確かに、しっかりと強く感じる事が出来た。

 だから、全ての境界線が曖昧になり…緩やかに一つに近づいていくのを
再び感じた。
 柔らかく微笑むもう一人の自分が緩やかに溶けて、とても優しい気持ちが
ゆっくりと生まれてくる。
 こんなに…穏やかな気持ちになったのは、果たして何年ぶりなのだろうか。
 そう幸せを噛み締めていると…御堂が、そっと瞳を細めながら…克哉の
頬を撫ぜていった。
 その仕草に促されるように、もう一度…意識が落ちる寸前に曖昧に伝えた
自分の真実を、口に上らせていく。

「…御堂、孝典。あんたを…心から、俺は愛している…」

 やっと、真っ直ぐにこの人を見つめながら…言いたくて、言いたくて堪らなかった
一言を、告げていく。

「…あぁ、やっと言ってくれたな。私も…君を、愛している。…今の君も、少し
雰囲気の違う君の方も…どちらの、佐伯克哉でも…私も愛しているぞ…」

 御堂もまた、全てを受け入れた上で…噛み締めるように告げていく。
 その瞬間、自分の中でもう一人の自分が涙ぐんで喜んでいるような気がした。
 たった一言、それで全てが報われたと…泣いている。
 それに苦笑しながら、軽い嫉妬を覚えながら…それでもグイっと強く克哉は
御堂を改めて抱きすくめていった。

(まったく…お前は、本当に泣き虫だな…)

 しみじみと心から呟いていくと、克哉は御堂への口付けを更に深くして…
その想いを伝えていく。
 朝日が降り注ぐ光が満ちた室内で、二人は…身体も心も重ねて、想いを
確かめ合っていく。
 どちらの、佐伯克哉でも関係ない。今の克哉も、今…心の中で生きている
克哉も結局は同じ人間なのだから。
 そして、一人は現実で生きて。
 もう一人はひっそりと…胸の中で生きて暖かく、愛する人ともう一人の自分を
見守っていくと決意した。
 
 それぞれの役割を、納得した上で…『一人の人間』として彼らは生きていく。
 傍には、心から愛してくれる存在がいてくれる。
 克哉が自分の全てを受け入れた今だからこそ、御堂もまた克哉を許して…
リセットボタンを押す事を許してくれたのだ。
 かつて自分の全てを奪って追い詰めた罪を、許し…再び、この日から
スタートを切る事を認めていった。
 そう告げるように、御堂は…はっきりと告げていった。

―ここからが私と君の、新しいスタートだな…

 と、静かに告げていった。

―あぁ、そうだな。記念すべき日になるな…あんたと、俺にとってな…

 克哉もまた、優しく微笑みながらその言葉を肯定していく。
 その瞬間、柔らかく…もう一人の彼が溶けているのを御堂は感じた。
 違和感なく、ごく自然に…バラバラだった何かが静かに溶け合い…一つに
重なり合っているのを静かに感じた。
 じんわりと広がるような幸福感と、優しい一時が二人に訪れていく。
 その幸福を噛み締めながら…克哉はただ、愛しい人間の体温を深く、深く
感じ取り続けていった―
 
 

 
 
 とりあえずリセット29、昨日から今朝に掛けて執筆しましたが
やはり言いたい事が溢れている場面なので、ちょいと今朝の時点では
書き上げていけそうになかったです。

 けど、やっと気持ちが静まって…優しい気持ちになれてきたので
今週中には書き上げられると思います。
 という訳でもうちょいだけお待ち下さい。
 
 そして明日には、このサイトを開設して丸一年を迎えます。
 当初…3~4ヶ月程度の期間限定サイトのつもりで始めたのが
(というか毎日更新なんて、それぐらいが限度だと自分で思ってた)
こうして一年続けることは出来たのは、いつも来訪して下さっている方や
拍手、コメントを残してくれている人達のおかげです。
 いつもありがとうございますv

  一応…明日はささやかながら、企画を用意させて頂きます。
 それではまた夜か、明日にお会い致しましょう。
 ではでは~(ペコリ)
 ※やっと贈呈主が読んで下さったのを確認出来ましたので26日分の
掲載作品…という形で正式に掲載させて頂きます。
 非常に掲載作品が前後しまくっていて判り辛くなってて本気で
すみませんです(ペコペコ)
 無駄に甘いので覚悟してお読み下さいませ(笑)

―それは克哉が気付いたら眼鏡の奥さんという立場になってから
一ヶ月程経過した頃の話だった。

「本当にゴメン!オレが悪かったよ!」
 
 新居のマンションの整えられたリビング内。
 起き抜け早々、克哉は夫であるもう一人の自分に対して真剣に
謝っていた。
 だが冷蔵庫の前に立ち尽くしている眼鏡の表情は極めて厳しいものだった。
 
「…お前、仮にも俺の妻ならば…毎朝、こちらが朝食時に必要としている
物ぐらいは判るだろう?
 百歩譲って何か一つ足りないくらいならまだしも…俺が朝食に食べたいと
思う物が何一つない状態でどうしろと言うんだ?」
 
「だ、だからさっきからゴメンって…。けど昨日はオレも熱っぽくてダルくて…
家の事は辛うじてこなせたけど、買い出しまでする元気はなくて…」
 
「…ついでに言うと俺との愛情確認の時間もそれで初めて断ったよな…?」
 
「…しょうがないだろ? 本気で体調悪かったんだし…。そういう時ぐらい
キチンと睡眠は取らないと…」
 
 克哉がしどろもどろになりながらも説明していくが眼鏡の
表情は固いままだった。
 いつもなら克哉がここまで言えば彼も仕方ないな…と諦めてくれるのだが、
昨日の夜のセックスがなくて欲求不満なのか極めて不機嫌そうであった。
 …いつもより空気がピリピリしているのはきっと気のせいではない。
 
「…チッ、人間だから体調が悪い日はどうしても出るだろう。それを責める
気はない。だが冷蔵庫の食料に関しては毎日マメに買い出していれば
回避出来ないか…?」
 
 克哉は結婚以前、長年独り暮らしをしながら働いていたせいか毎日
こまめにスーパーに行って買い出しに行く習慣がなかった。
 独身時代は昼間は外食が多かったから週末に一週間分の食材を
買えば事足りた。
 結婚してからは二人分になったから週末の他に週の中頃にも、もう一回
行くようになったが…昨日は発熱のせいでそれを怠ってしまってこの
事態になったのだ。
 
「…うっ。それはそうだけど…」
 
「せめて今度から週三回程度に買い出しは増やせ。そうすればこのような
事態は回避出来る。まぁ…今朝はお前を朝食にする形で許してやろう」
 
「…はぁ?」
 
 あまりの唐突な申し出に克哉の頭は一瞬、真っ白になった。
 だがそんな克哉に一切お構いなく…眼鏡は問答無用でにじり寄っていく。
 
「…うわっ! ちょっと待ってくれ…」
 
 克哉も本能的な恐怖を感じて後ずさって逃げようと試みる。
 二人の睨みあいと攻防戦は暫く続いていく。
 だが眼鏡の方は克哉を逃がす気は一切ないらしく大きく立ち塞がる事に
よって、相手の逃走経路を確実に遮断していく。
 
(…どうしよう、逃げる隙がない…!)
 
 眼鏡の背中から何がなんでもこちらを逃すまいとする気迫が
ヒシヒシと伝わってくる。
 …つくづく、飢えた獣と欲求不満状態のもう一人の自分は敵に
回すものじゃないと思い知っていると…。
 
「…そこまで、だな」
 
「…あっ…」
 
 ついに窓際まで追い詰められてしまっていた。
 克哉にとってはまさに朝から絶対絶命の状態だった。
 後方に窓ガラス、前方に飢えきった夫。
 幾らあがこうともすでに克哉が逃げ切れる状況ではなくなっていた。
 徐々にその整った顔立ちが近付いてくる。
 互いの吐息が感じられる程の距離だ。
 
「ちょっ、と…待てよっ!こんな処で…」
 
 今、二人が立っているのはベランダに続く大きなガラス製の
引き戸の前だった。
 しかも擦りガラスや飾りガラス製の中の様子が見えないタイプの
物ではない。
 しっかりとカーテンを引かなければ中の様子が見えてしまう透明な物だ。
 
「…何をそんなに嫌がる? そんなに見られながらスルのは
抵抗があるか…?」
 
「…あ、当たり前だろ! こんな処でシて、誰かに見られでもしたら
一体、どうする…んぐっ!」
 
 克哉は必死になって反論の言葉を紡いでいくが、あっさりと相手に
キスされる形で唇を塞がれる事によって阻まれていった。
 クラクラと眩暈がする程の情熱的な口づけに思考が真っ白になりかけた。
 熱い舌先が縦横無尽にこちらの口腔内を擽り、性感を刺激していく。
 
クチュリ…グチャ、ヌチャ…
 
相手が舌を蠢かしていく度に背筋に甘い痺れが走り抜けていった。
 
「や…ぁ…」
 
唇がようやく解放されていくと、克哉の唇から悩ましい声がこぼれていった。
 
「…さっきまで嫌がっていた割には、随分キスかには乗り気だったみたいだな…」
 
「そ、そんな事は…んぅ…」
 
 抵抗の意思を示す言葉はあっさりと眼鏡の唇で塞がれて
封じ込められていく。
 ガシッとその腕の中に押さえつけられていくと…巧みな指先に、
腰から臀部に掛けてやんわりと撫ぜ擦られていった。
 間接的に蕾を刺激される形になって自然に克哉の吐息は
荒くなり始めていく。
 
「やだ…其処、ばかり弄るな、よぉ…」
 
―こんな処で抱かれてベランダの向こうから誰かに見られてしまったら…。
 
 その躊躇いから克哉は弱々しい抵抗を続けて首を振っていく。
 だが克哉は知らない。この新居のマンションは防音完備で、全ての窓が
外から見た場合は、一定以上の距離から離れて見た場合は全て光を
反射して室内の様子を見えなくする仕様である事を…。
 
「…口で嫌がっている割には、随分と腰をくねらせてねだっている
みたいな動きになっているみたいだぞ…?」
 
「あっ…はぁん…言うなぁ…言うなってばぁ…」
 
 尻肉を嫌って言う程揉みしだかれて克哉は甘い嬌声を漏らし続けていった。
 断続的に荒く乱れた呼吸を繰り返していきながら…肩を上下させていく。
 
「…そろそろ頃合いみたいだな…」
 
「ひゃっ…!」
 
 突然、窓ガラスに身体の前面を押し付けられるな格好になって
克哉は微かな悲鳴を出していった。
 そのまま背後から抱きすくめられ、臀部に熱い塊が押し当てられていく。
 互いの布地越しだから直接ではない。
 それでもすでに散々ソレに貫かれ続けている克哉には嫌でも判ってしまう。
 
(『俺』のが…こんなに、熱く…堅くなってる…)
 
 知らない間にゴクンと息を飲んでしまっていた。今、こうして背後から
自分を抱き締めている男が欲情してこちらを求めて来ている。
 そのあからさまな形を突きつけられて克哉は知らず、早鐘を打っていた。
 
「~~~~」
 
 もう何を言って良いのか軽くパニックに陥っていくと…耳元に口元を
押し付けられ、低い声音で囁かれていく。
 
―観念したか? それならお前を抱くぞ…
 
 そう言葉を落とされた瞬間、ゾクンと腰に甘い痺れが走っていく。
 眼鏡の手が巧みに克哉の衣類を脱がしに掛っていった。
  そのまま暖かい手のひらがくまなく克哉の全身を這い回っていく。
 こちらの両脇に腕を通す格好で、背後から敏感な場所ばかりを
攻め始めていった。
 
「んんっ…ぅ…」
 
 相手の指に触れられる度にどうしても声が出てしまっていた。
 両方の突起を抓まれ、こねくり回されながら耳の奥を舌先で犯されていけば
それだけで気が狂いそうになっていく。
 
「…ほら、俺にこうされるのが嫌なんじゃなかったのか…? その割には
お前の此処は堅く張りつめながらこちらの指に吸い付いて来ているがな…?」
 
「やぁ…お願い、だから…口に、出して…言う、なよ…! 恥ずかしく、て…
死にそう、になるから…」
 
 イヤイヤをするように頭を左右に振っていくが眼鏡の甘美な責めは一向に
収まる気配を見せなかった。
そうしている間に首筋に吸い付かれて何度も鋭い痛みが走っていった。
 
「っ…! あっ…!」
 
 反射的に身体を跳ねさせていくが痛み混じりの愛撫は暫く
絶え間なく続いていった。
 ようやく止んだ頃には…克哉の健康的な肌の上には、特に首筋から
肩口に掛けて赤い痕が散っていた。
 
(…また、痕が…一緒に暮らすようになってから…消えた、試しがないな…)
 
 式を挙げてからの変化の一つ。それは…眼鏡は抱く度に必ず克哉の身体に
所有の証を刻むようになった事だった。
 毎日抱かれ続けている訳だから行為の度にそれは上書きされている
形になっている。
 おかげで襟が開いて首元が見えてしまうデザインの服を着て外に
出れなくなってしまったくらいだ。
 
「やぁ…また、痕…が…」
 
「お前は、俺のものだからな…」
 
「あっ…」
 
 なのにこうゆう風に熱っぽく囁かれれば、肉体的な快楽とは
別の悦びが背筋を走り抜けていく。
 そうしている間に、臀部に押し当てられた相手の剛直はドクンドクンと
脈打っていて…激しく自己主張を繰り返していた。
 
(もう…『俺』の…こんなに堅く熱くなっている…)
 
 知らない内に期待するように身体を震わせて…ゴクン、と
息を飲み込んでいた。
 
「あ…あっ…んぅ…」
 
 ただ胸をイジられているだけの愛撫に焦れて、無意識の内に強請るように
腰を蠢めかしていた。
  ジーンズの生地の下で知らない間にペニスが張りつめて、痛いぐらいに
なっていた。
 
―胸の刺激だけではすでに物足りなくなっていた。
 
「んぁ…其処、だけじゃ…足り、な…」
 
 身体の前面を窓ガラスに押し付けられた状態でのセックス。
 そんな真似したら誰に見られてしまうか判らないのに…とんでもない事だって
考えているのに、すでに肉体に火が点いてしまって止められそうになかった。
 
(…外が、見える…のに…)
 
 すでにぼんやりとした頭でそんな事を考えていきながら…つい瞼を開けて
 外の風景を眺めてしまっていた。
 ベランダの向こうには幾つもの植え込みと町並みが広がっている。
 遠方には沢山の家やビルが立ち並んでいるのを見て強烈に
恥ずかしくなっていく。
 
―あの建物の中にいる誰かに見られてしまったら…
 
 とんでもない事にそう考えが過った瞬間、妖しいうねりが身体の奥から
生まれ始めていった。
 
「…あの建物の向こうから、お前の乱れている姿を誰かに見られて
しまうかもな…?」
 
「…嫌、だ…そんな、事を…耳元で、なんか…言わない、でくれ…」
 
 懇願をするように克哉は訴えかけるが、その願いが聞き遂げられる
事はなかった。
 
「…途中で止めたら、お前こそ困るんじゃないのか…さっきからおねだりする
みたいにお前の腰は揺れ続けているぞ…?」
 
「…バカァ…」
 
 すでに相手にぶつける文句の言葉すら甘くなる程に克哉は
追い詰められていた。
 
(どうしよう…こんな場所なのに…欲しくなって…堪らなくなっている…)
 
 こんな所で抱かれるなんて恥ずかし過ぎて嫌な筈なのに、すでに抗えない
処まで来てしまっていた。
そんな克哉の思考を読んでいるかのように、眼鏡は克哉のジーンズを
下着ごと一気に引き下ろして、腰から臀部に掛けてを露にしていった。
 
「ひぃ…あっ…」
 
 すでに堅く張り詰めていたペニスがその衝撃で表に飛び出して、
つい声が零れてしまった。
 その隙に眼鏡は克哉の蕾に己自身を当てがい、一気に際奥まで貫いていった。
 
「うあっ…」
 
 克哉の唇から耐えきれないとばかりに声が絞り出されていく。
 毎晩のように抱かれていたとしても…本来、男の肉体は同性を
受け入れるようには出来ていない。
 性急な挿入は受け入れる側にかなりの負担を強いる。
 最初は引き攣れるような鈍い痛みを覚えたが…背後から濃厚な口付けを
施されると徐々に緩和していった。
 
「あっ…はぁ…」
 
 ようやくキスが解かれる頃には克哉は甘く締くようになっていた。
 その頃を見計らって眼鏡は抽送を開始していく。
 腰を動かしていく度にガタガタと音を立てながら窓ガラスが揺れていった。
 それが余計に克哉の羞恥と快楽を高めていく。
 
「ひっ…あっ…! やだっ…『俺』…! こんな処、誰かに…
見られたら…!」
 
「見られたなら、そいつに見せつけてやれば良いだけだ…。俺たちは
こんなに、朝から愛し合うぐらいに円満な関係だとな…」
 
「やっ…バカ…。本気で、お前…信じ、られない…」
 
 克哉は必死に頭を振っいきながら一方的に与えられる強烈な感覚に
耐えていった。
 己の内部で相手の一部が熱く息づいているのが嫌でも伝わってくる。
 
(…俺の中で…ドクドク言ってる…。凄く…熱い…)
 
 そう自覚した瞬間、その熱い塊は克哉の内部を強烈に
往復し始めていった。
 腰を突き入れられる度に克哉の脆弱な場所が擦られて鋭い快楽が
生み出されていく。
 窓の向こうには鮮烈なまでに青い空が広がっているのに…自分達は
朝から何て不健全な事をしているのだろうと、頭の隅で考えていった。
 
「ん…あっ…。やっ…凄く、恥ずかしい…から、もう…」
 
 この場所で自分を抱き続けるのは止めて欲しい…そう懇願
するつもりだった。
 だが深い場所を強くえぐられていけば、そんな言葉もあっと言う間に
掻き消されていく。
 
「何を今更…お前の中はこんなに俺を求めてヒクついているぞ…?」
 
「んっ…ふっ…。バカァ‥そんな事、言うなよぉ…」
 
 克哉は激しくあえぎながら訴えるが聞き遂げられる事はなかった。
 そしてそのまま眼鏡の腰の動きは熱烈なものへと変わっていき…
克哉は一層翻弄されるしか出来なくなっていった。
 
―激しい律動が刻まれる
 
 その度に克哉の喉の奥から余裕ない声が紡がれていく。
 強烈な快楽は時に苦痛にも繋がる。
 相手に揺さぶられて背筋に電流のように快感が走り抜けていく度に
息を詰めてしまうから、さっきから息が苦しくて仕方なかった。
 
「やっ…息、苦し、い…はぁ…んっ…」
 
 崩れそうになる身体をどうにかガラスに手を付く事で支えて
いきながら克哉は訴えていく。
 だが眼鏡は抽送を一切弱める気配を見せず、むしろその力強い
動きは勢いを増すばかりだった。
 
「良い味だ…これなら、充分に俺の朝食代わりになる…」
 
「んぅ…こんな、風に体力使ったら…余計、お腹空いちゃうだろ…
何を、言って…」
 
「…空腹など、その辺で買ったバランス系の食料で満たせるが…俺の
飢えを満たせるのはお前だけ、だからな…」
 
「…えっ…?」
 
 今、とんでもない事を耳元で囁かれたような気がしてカァーと
 克哉の顔が赤く染まっていった。
 
「…聞こえなかったのなら、もう一度言ってやろうか…?」
 
「良いっ! 言わなくて…!」
 
 そんな言葉をもう一度囁かれたりなんかしたら自分は恥ずかしくて
仕方なくなってしまうだろう。
 必死に頭を振りながら断っていくと、その様子を眺めて眼鏡は…
喉の奥で笑っていった。
 
「くくっ…。お前のそういう処は、可愛いな…」
 
「なん、か…凄い…バカに、んんっ…され、ているよう…な、
気が…する…」
 
「…心外だな。俺は褒めているつもりなんだが…」
 
「どこ、が…だよ…ふっ…ううぅ…」
 
 反論しようとした唇は、背後から顎を捉えられての苦しい体制からの
キスによって塞がれてしまっていた。
 
「んっ…あっ…」
 
 さっきまで克哉の頭の中に渦巻いていたものも甘く情熱的なキスを
施された事によって、どうでも良くなってきた。
 ようやく口付けが解かれていくと…再び激しい腰使いによって
翻弄されていった。
 
グチャグチュ…ヌチャネチャ…。
 
 眼鏡が動く度に接合部から厭らしい水音が響き続けていく。
 それが恥ずかしくていたたまれないくらいなのに凄く気持ち良くて…
頭の芯からジィンと痺れるような思いがした。
 
「…はっ、うっ…イイっ…おかしく、なるっ…」
 
眼鏡の動きは激しくなるばかりでまともに息を付く暇すらなかった。
互いの全身から玉のような汗が滲み出てくる。
あまりに激しく追い立てられて満足に呼吸すら出来なかった。
眼鏡が、いる。
自分の中で強く脈動を繰り返しながら、克哉の中で確かな自己主張をしていた。
 
「あっ…あぁ…! お前の、凄く…熱くて、イイっ…」
 
「くっ…お前の中だってキツく絞まって…焼けるように、熱いぞ…」
 
「やっ…バカァ…言う、なよぉ…」
 
 泣き声混じりに克哉は甘く懇願していくが、眼鏡は意地悪げに
微笑みながら言い放った。
 
「ふっ…くぅ…聞く気は、ないな…」
 
 そう呟きながらも、眼鏡の方も余裕を無くしていた。
 コイツの内部は凄く熱くてキツくて…気持ち良い。
 だからあまりの快楽に彼の方もまた夢中で突き上げて…
快楽を追う方に集中していった。
 
 ガタガタガタ…。
 
 身体を揺すり上げられる度に窓ガラスが大きな音を立てていった。
 
 そのまま互いを揺すりあげる度に脊髄から脳髄に掛けて強烈な
悦楽が駆け抜けていった。
 
「…やっ…ダメっ…だ…! もうっ…」
 
 ついに克哉の方にも限界が訪れて、眼鏡よりも
一足先に達していく。
 窓ガラスに熱い白濁を飛び散らしていくのと同時に、内部の男の性器を
キツく締め付けていった。
 
「くぅ…!」
 
 かなり余裕なさげに唇を噛み締めながら眼鏡の方も勢い良く、
熱い精を解放していった。
 
「ん…ハァ…」
 
 克哉は悩ましげな声を漏らしていきながら、相手の欲望を享受していく。
 
 ドクドクドクドク…。
 
 繋がっている場所と肌が重なりあっている部位からお互いの
忙しない鼓動が伝わってきて妙に一体感を覚えていった。
 
(…この瞬間は…好き、だな…)
 
 抱かれている間は時に息が苦しくて辛い時もあるけれど…そういう時の
事後ほど、終わった後の余韻が満たされていて、心地好くて…。
 
(…悔しいけど、すでに癖になっているもんな…)
 
 はあ、と深い溜め息を突いていきながらガラスに戸に体重を預けていくと
克哉はその場に崩れ落ちていった。
 腰から下がまったく力が入らない。
 そのおかげでみっともなく尻餅を突いていくと眼鏡はそっと呟いていった。
 
「時間があれば介抱してやっても良かったが…残念ながら、時間だ。
だが…充分に充たされたぞ。やはりお前は美味しいな…」
 
「バ…カ! 朝から一体何を言い出すんだよ! 本当に、お前…信じられない!」
 
「だが、こんな男と挙式して一緒に暮らす事を受け入れたのは…お前だろう?」
 
「うっ…それは、そうだけど…」
 
 克哉が困って言葉に詰まっていくと同時に眼鏡は傍らに跪き、その唇に
触れるだけのキスを落としていった。
 
「じゃあ…そろそろ俺は行くぞ。帰って来るまで良い子で待っているんだぞ…?」
 
「…うん」
 
 そうして克哉が小さく頷き返していくと…眼鏡は満足そうに
微笑みながら立ち上がっていく。
 
 本音ならお互いもう少し一緒に甘く過ごしたい。
 けれど自分達はこうして結婚して共に生活している。
  働きに出て日々の糧を稼ぎに出るのは夫としては当然の事だ。
 
(…名残惜しい気持ちはあるがな…)
 
 そんな事を考えながら、眼鏡は相手の瞳を覗き込み、
小声で尋ねていった。
 
「いってらっしゃいは…言ってくれないのか…?」
 
「えっ…あっ…うん…」
 
 そういわれると克哉はハッとなって相手の首元に両腕を回して
恥ずかしそうに告げていく。
 
―いってらっしゃい、『俺』…
 
 克哉は照れくさそうな様子で…毎朝の儀式をそっと本日も行っていく。
 そうして自分の可愛い奥さんに見送りのキスを贈られた眼鏡は…
その一日をとても充実した気持ちで過ごしたのであった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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