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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※昨日書いていた続きはまだ時間掛かるので一話、掲載を
入れ替えてやります。
  書きたい場面は後、執筆に二時間ぐらい掛かりそうなので先に
克克達に一区切りつけておきますね~。
  一区切り→サブキャラ結末→夜街本編という流れになるので宜しく~。
 
  夜街遊戯(克克)                       10 11

 ―行為が終わった後、満足に腰が立たなかった。
  
 結局、深い口づけをしている内に体内に納められている眼鏡のペニスが
再び硬くなってしまったので、もう一回激しく突き上げられてしまった。
 二回目の行為が終わる頃には、もう全身が汗だくになっていて…
克哉は目の焦点さえ定まらなくなっていた。

「はっ…ぁ…、くっ…ふっ…」

 ようやく二回目の精が注ぎ込まれて、中のモノがズルリと引き抜かれて
いくと…克哉は膝が笑っているのを感じ取っていった。
 快楽で緩んだ身体が、芯を失ってしまったような感覚だった。
 もう壁に手を突いて倒れないように支えるのも困難だったので…そのまま
ズボンと下着が膝の位置まで引きずりおろされて、臀部や太腿が露わに
なっている状態で…地べたに正座を崩したような格好で、腰を下ろしてしまう。
 相変わらず克哉の肩は忙しく上下し、瞳からは…散々啼かされて、喘がされた
後遺症か…思いっきり涙の跡が刻まれてしまっていた。

(みっともない格好だ…)

 自分でも、そう思った。
 久しぶりのセックスはあまりに強烈過ぎて…すでに終わった後でさえも
克哉の脳髄を蕩かせてしまいそうだった。
 こんなカビ臭くて薄暗い路地裏で、強引に貫かれて…半ば強姦に近い
感じで犯されてしまって。
 それなのに…相手に、本気で憤ることも出来ない自分が何か情けなかった。
 相手が、離れた位置に立っている。
 体温も、吐息も何もかもが遠く感じられる。
 さっきまであれだけ密着して、その一部を受け入れていただけに…ほんの僅かな
距離でさえも、寂しく感じられてしまった。

「…無様だな。そんなに…俺に抱かれるのが、良かったか…?」

 微かに街灯が注ぎ込まれている、そんな薄暗い路地。
 相手はこちらを見下ろすような格好で、そう言い放った。

「…あれだけ、散々人を好きなように…して、最初に…言う、言葉が…それ、
なのかよ…お前、は…」

「あれは単なる、お仕置きだ。ちゃんとヒントをくれてやったにも関わらず…三日も
遅れた挙句に、他の男に色目を遣うような真似をしたお前に対してな…」

「…何を、言っているんだよ…。いつもみたく、普通に現われて来ないで…こんな
人探し、みたいな真似をしたお前が…悪いんだろっ!」

 克哉はキっと鋭い視線を向けていきながら…相手を睨みつけていった。
 しかし…眼鏡はそれを愉快そうな表情を浮かべて、流していくのみだ。

「何で、こんな事を…したんだ、よ…。素直に、どうして…オレの前に…来て、
くれなかった、んだよ…」

「…こうでもしなければ、お前は…この街に足を踏み入れることさえしなかっただろう…?
あの男が戯れに教えてくれたんだが…この周辺には幾つか興味深いスポットがあって
お前と使ってみようと思ったが…普通の手段では応じないと思ったからな。
後はどれくらい…お前が俺を求めて、忠実でいるか見極める良い機会だと思ったので
こうさせて貰った。…結果は、あまり良かったとは言えないがな…」

「ちゅ、忠実って何だよ! オレはお前の所有物でも、下に就いている訳でも
ないだろう…! どうして、そんな物言いしか出来ないんだよ!」

 そう叫んだ瞬間、再びジワリ…と涙が溢れそうになってしまった。
 もう感情がグチャグチャで、どうにかなりそうだった。
 どうして…こんな酷い男に、会いたいと思ってしまったのだろう。
 好きになど、なってしまったのだろう。
 今夜だって会えたからと言って、好きだとか愛しているとか…こっちと会えて嬉しいとか
そういう事を言ってくれる訳じゃないと判っていた。
 けれどここまで予想通りというか、ひねくれた発言ばかりされてしまうと本気で
ぐれたくなってくる。

「…何を怒っている? 俺は…思っているままに、正直に口にしているだけだぞ…?
それに、お前に…血が出るぐらいに強く指を噛まれたからな。これぐらいの
意趣返しをさせて貰っても…構わないだろう?」

「あっ…」

 そういって、もう一人の自分が…一回目の行為の最中に皮膚を歯で破って
しまった指先をそっと見せていく。
 すでに血は止まっていたし、外傷もそこまで目立つ訳ではない。
 しかし先程、確かに口内で感じた血の味を思い出して…相手の発言に対しての
反発心よりも、申し訳ないという気持ちが広がっていく。

「それ、は…確かに、痛かったよな…。その件は、御免…」

「悪いと思ったのなら、身体で支払え。せめて…俺を愉しませてみろ」

「えっ…?」

 いきなり、そう告げられたかと思うと同時に…克哉のすぐ傍らにもう一人の
自分が膝を突いて、目線を合わせて来た。
 あっ…と思った時にはすでに遅かった。
 すでに乱れたシャツの胸元を強引に掴まれて、相手の唇が再びこちらに
押し付けられていく。
 それは唇を舌先でゾロリ、と舐めあげられていくような挑発的なキスで…まだ
身の奥に欲望の火が灯っている状態では、少し煽られるようでキツかった。

―そして、相手の鋭い眼差しが克哉を射抜くように、真っ直ぐに瞳に注ぎ込まれた

 それだけで…もう、離れた位置から聞こえる喧噪や、物音も全てが
遠く感じられて…眼鏡だけに意識が釘付けになる。

「また明日、この街に来い。そして…ここで待っていろ」

「えっ…?」

 そうして、名刺サイズの…一軒のホテルの地図とアドレスが載っている紙を
手渡されていった。
 まったく知らない名前だ。しかし…横文字で「HOT SHOT」と書かれている。

「これ、は…?」

「…其処の707号室を予約しておく。明日の夜九時までに入って待っていろ…。
ちゃんと来たのなら…また存分に可愛がってやる…」

「んっ…!」

 そうして、噛みつかれるようなキスを落とされて…克哉はギュっと瞳を閉じていった。
 だが…今回の口づけはあっさりと解かれて、そしてもう一人の自分はその場から
立ち上がっていく。
 傲慢で強気で、自信に充ち溢れた表情だった。
 その余裕が、今の克哉には…妙に癪に感じられてしまう。

「じゃあ…今夜はもう遅いから俺は…そろそろ行くぞ…」

「ちょっと、待てよ…! こんな、格好で帰れと言うのかよ…!」

 グチャグチャになるまで路地裏で抱かれ続けたせいで…克哉の服装は現在
シャレにならないぐらいに乱れて、汚れてしまっていた。
 幾ら服装を整えても、服にこびりついた泥とか…残滓とかは最早誤魔化せない
レベルになってしまっている。
 もう一人の自分の方は克哉ほど激しくはないから良いが…こちらとしては
堪ったものではない。

「あぁ、一応その件は心配しなくて良い。すぐ其処に…お前を気遣って
着替えを持って控えている怪しい男がいる筈だからな…」

「へっ…?」

 突然の発言に、目を剥いていくと…その瞬間に物陰から、歌うようにしゃべる
男の声が聞こえていった。
 その瞬間、暗闇に紛れて…Mr.Rが現われていく。

「うわっ! いつから其処に…?」

「いちいちこの男に関して、そんな詮索をするな。呼べばこいつがどこであろうと
すぐに現われるのは当たり前だろうが…」

(あ、当たり前なのか…それ! すでに人外のレベルじゃないのか…!?)
 
 何か当然のようにそんな事を言ってのける眼鏡に対して、克哉は瞬間的に
そう突っ込んでしまっていた。
 …この男性は望めば、トラックのコンテナだろうが…外部の人間が入り込めない
ぐらいに監視されてしまっている建物内でも神出鬼没状態で現れることが出来る
事実をまだ知らない克哉にとっては…そう突っ込みたくなった。

「こんばんは…貴方様が御所望の品をお持ちしました…」

「…遅かったな。もう一人の『オレ』が待ちわびていたぞ…。俺はそろそろ
退散するが後は宜しく頼んだぞ」

「御意…我主となる資質をお持ちの方の…お望みのままに…」

「相変わらず、大袈裟な男だな…。まあ、良い。後始末は頼んだぞ…」

 そうして、もう一人の自分の姿が遠ざかっていく。

「待て、よ…!」

 とっさに、克哉は声を掛けていく。
 その瞬間…一度だけ心底愉快そうに男は嗤(わら)っていくと…。

「お前が明日、来るのを愉しみにしているぞ…」

 そう一言だけ残して、静かに彼の姿は闇に溶けていった。
 まるで…それが当然のように、ごく自然に…その姿が見えなく
なってしまって…克哉は呆気に取られていく。

「あっ…」


 克哉はその瞬間、胸にぽっかりと穴が空いてしまったかのような…
空虚な想いを覚えていった。
 それはもう一人の自分という存在の為に、空洞になってしまった部分。
 埋められるのは、彼と一緒にいる時だけだ。
 
「…求めるものを得たい、と思うのならば…御自分の欲望にどこまでも
正直になられた方が良いですよ…。この街はいわば、多くの人間の欲望や
様々な想いがひしめく遊技場。そして今は…あの方が主導権を握って
おります…。あの方が提示するゲームに、乗るか…拒否するかは貴方の
自由です。しかし…貴方が降りた途端、どうなるかは…私にも判りかねますので…」

 男もまた、愉しそうに笑いながら…克哉の傍らに、着替え一式が入っている
紙袋をそっと置いていった。

(降りたら…また、あいつの存在を見失うのかな…オレは…)

 そう思ったら、悔しかった。
 あいつと、この目の前の怪しい男性の掌に踊らされているようで。
 けれど今の克哉には…拒否する事すら出来ない。
 もう一人の自分を求める気持ちが、少し腹立たしくさえ感じられた。

「…乗り、ますよ…。そうしなきゃ、あいつを見失うのなら…オレ、は…」

 克哉はどこか悔しそうに呟いていく。
 行為が終わって、それなりの時間が経過したせいか…どうにか起き上がって着替える
事が出来るぐらいのコンディションまで、ぎりぎり回復していた。
 紙袋を手に取って、ヨロヨロと立ち上がり…そう呟いていくと。

「…それなら、存分にあの方が用意したゲームを楽しんで下さいませ。それでは…
私も今宵はこれにて…」

 そうして、Rの姿もまた…少し路地の奥まで進んでいくと同時に…ゆっくりと
姿を消していった。
 気づけばその場には、克哉一人だけが残されていき…。

「…ゲーム、か…」

 そう、Rが呟いたことに対して…寂しそうに呟いていった。
 これがゲームや遊戯、というのならば…もし自分が勝った時には何を
得られるのだろうか…。

(あいつがずっと傍にいてくれるとか…好きだとか、そういうことを言ってくれるって
いうのなら…やる意味はあるだろうけどな…)

 今夜の時点では、あいつの本心も意図も克哉には読めなかった。
 けれど…それでも。

「…あいつと、一緒にいたいなら…今は、乗るしか…ないのか…」

 そう呟いた克哉の表情は、どこか寂しげで…切ないものだった。
 そうして…どうにか着替えを終えていくと…克哉は大通りまで出てタクシーを拾い
そのまま今夜は夜の街を後にしていく。

―今の克哉には、この遊戯の果てに得られるものが何か…まだ見えていなかった

 多くの人間の欲望がひしめくこの場所で、彼が一体何を見出して掴むのか…
現時点では、誰にも予測がつかなかったのだった―


 



 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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