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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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2009度のクリスマス小説。
  克克ものです。ちょっとサンタクロースの逸話を
  ネタに使っているので宜しくです。
  微妙にヒヤっとする描写もあったりしますのでそれを
 了承の上でお読み下さい。コミカル、ギャグ要素も有。

  白と黒のサンタ                   

 ―相手の舌先がこちらの口腔を蹂躙するような勢いで
滑り込んできて、官能を引きずり出していく

 その感覚に早くも克哉は腰砕けになりかける。
 頭の芯がボウっとして、満足に考えることすら出来なくなりそうだった。

「はっ…あっ…ぁ…」

 甘い声が唇の端から漏れていく。
 相手の袖にギュっと捕まり、辛うじてすがり付いていった。
 キスだけで全てが蕩かされてしまいそうだった。
 早くもうっすらと快楽の涙が潤んだ双眸を相手に向けていくと…
もう一人の自分は愉快そうに微笑んでいくだけだった。

―どうして、赤い衣装じゃないんだろう…?

 その瞬間に猛烈な違和感を覚えた。
 真紅の色彩で染め上げられた室内。
 きっと相手がサンタクロースの衣装の基本である赤い服を
着ていたならこの部屋の色彩に馴染んでいただろう。
 だが、相手の着ている服は黒で…克哉の方は白。
 白と黒のサンタクロースの衣装なんて、克哉は聞いたことがない。
 どうしてだろうか…?
 キスに反応して、相手が欲しいと思う気持ちがゆっくりと湧き上がって
くる中で…克哉はその色に猛烈な疑問を覚えてしまった。

「なあ…どうして、オレ達の服は…赤く、ないんだ…?」

 それはこの衣装を渡されて袖を通すように言い渡された時から
ずっと感じていたことだった。
 その瞬間、眼鏡の顔は微かに歪んでいく。

「…サンタクロースの逸話をお前は知らないみたいだな。なら…良い。
教えてやろう…。最初、サンタクロースは二人いたって話を聞いた
事があるか…?」

「そう、なの…? まったく聞いた事ないけど…」

「白いサンタクロースと黒のサンタクロース。白い方は真面目に
プレゼントを配送していたが、黒い方はいたずらばかり。
そして業を煮やした白いサンタクロースは…黒いサンタをついに
自らの手で殺してしまった。そして…その返り血を浴びた為に…
サンタの衣装は赤くなったという逸話だ。ゾっとするような話だろう…?」

「っ…!」

 そう語ったもう一人の自分の目は怖くて、一瞬克哉は竦んでしまいそうになった。
 だが、相手の言葉は更に続いていく。

「…この辺の逸話を嬉々として俺に聞かせたのはRの奴だがな。奴の話では
ドイツの方ではサンタクロースは双子で、片方は良い子にしているとプレゼントを
配って…もう一人は悪い子にお仕置きを与えるんだそうだ。
双子っていう設定がなかなか面白いと思ったらしくてな…それでこの衣装を
あいつは用意して、こう言った訳だ。「伝承の通りにされるのもなかなか
面白いのではありませんか…?」とな…」

「そん、なの…どこが面白いんだよ! それじゃあオレがお前を刺し殺すって…
そういう話じゃないか!」

「…くくっ…! 引っかかったな。確かに最初に刺し殺す方の話をしたから
お前は勘違いしたようだが…俺はあくまで、白い方は真面目にプレゼントを
配って、黒い方はいたずらばかりという感じで贈り物をするのも一興と
思って承諾しただけだ。ま…その悪戯は真面目なサンタクロースの方に
阻まれてしまった訳だがな…」

「あっ…!」

 会話をしている間に、相手の下肢がこちらの足の間に割り込んで…
直接的な熱を押し付けてくる。
 その瞬間、ソファが大きく軋んで相手の体重が掛かってくるのを感じた。
 服の生地越しとは言えその生々しい熱を感じ取って…克哉の顔は真っ赤に
染まっていく。

「…そ、ういう…意図でお前が承諾したとしても…オレは、この衣装にはそういう
逸話が込められているって聞かされて…嫌な気分になったよ。
オレは、赤い衣装になんてしたくないよ…そんな話、久しぶりにこうして会ったのに…
聞かせる、なよ…バカ…」

 実際にお互いにその衣装を着ているからだろう。
 何となく聞き流すことが出来なくて、怖い気持ちがジワっと競りあがってきて…
相手に克哉のほうからすがり付いていく。
 そんな逸話の通りになんて、なりたくない。
 白と黒のサンタは、自分の双子を…もう一人の自分を殺すことで完成されたと
いうのなら…自分は、一人の人間になんてなりたくない。
 不完全でも…自分は、こいつと…。

「オレは、お前と、一緒にいたいのに…」

 懇願するように、気づけば呟いて…涙を零していた。
 自分と同じ顔をした男に、強く抱きついていった。
 いなくならないで、消えないで…。
 プレゼントなんていらない。
 怖い話を聞かされて背筋が凍ったからこそ嫌でも気づかされる。

―自分はこの男と一緒にいたいのだという気持ちを…

 相手の首元に腕を回してきつく抱きついていった。
 泣き顔を見られたくなくて眼鏡の胸元に顔を擦り付けていく。
 双子のサンタクロース。
 自分達は双子じゃない、けど…同じ顔をした存在なのは確かで。
 嗚呼、頭の中がグチャグチャだった。
 クリスマスの夜に…こんな衣装を実際に着ていなければ、
そして自分達の顔が同じでなかったらこんな恐怖を覚えなかったかも知れない。
 けど、このシチュエーションで…その話を聞かされるのはゾっと
してしまったのだ。

「…もう二度とその話はするなよ…。聞いてて愉快じゃないから…」

「どうして、だ…?」

 意地が悪い笑みが相手の顔に浮かんでいるのに気づいて…
克哉は拗ねたような表情を浮かべていった。
 
「…その話じゃまるで、オレがお前の存在を殺すみたいで嫌だ。
困った奴だと思うけど…お前の事をオレは嫌いじゃないんだ…。
だから、もう聞きたくない…」

「…くく、お前は本当に素直じゃないな…」

「何だって、んんっ…!」

 克哉の言葉を聞き終わると同時にもう一人の自分に強い力で
引き寄せられて唇を塞がれていった。
 濃厚で、脊髄が蕩けるような甘い口付け。
 相手と自分の舌先が絡まりあい、強烈な快感が走り抜けていく。
 たっぷりと口内を蹂躙され、腰砕けになると…強気な笑みを浮かべて
いきながら、眼鏡が告げていった。

「…素直に俺の事を好きだと口に出したらどうだ…? そんな風にすがり付いて
怖がっている癖に…言い方が遠回しで可愛くないぞ…」

「そんな、事は…ひぃあ!」

 いきなり相手に下肢の衣類を強引に剥ぎ取られて、足を大きく開かされた。
 反動で、克哉の下肢に息づいていたペニスがプルンと大きく震えて…
相手の眼前にアヌスと一緒に晒されてしまう。
 相手の目線が己の下半身に注がれていることに気づいて、克哉の顔は
真紅に染まりきっていく。
 だが相手は心底愉快そうに微笑みながら、こちらを凝視してくるだけだ。

(う、うううっ! どうしてコイツはいつだってこんなに意地悪なんだよ~!!)

 その手際のよさに克哉は抵抗すら殺がれてしまう。
 せめて相手の身体を押し返して阻もうとするが、それも全ては
無駄なことだった。

「ま、待てよ…まだ、心の準備が…!」

「待つ気はないな…抱くぞ、なあ…『オレ』…」

「あっ…あああっ!」

 そして克哉の意思などまったく無視する形で、もう一人の自分は
蕾にペニスを宛がって…強引に侵入を開始していったのだった―


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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