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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 昨晩、アップするまで寝ないぞ! と気合入れて
ギリギリまでやっていたら久しぶりにPCつけながら途中で
寝落ちして…え~…朝起きたら、パソコンが熱膨張してて…
打ったデーター、全部きれいさっぱり消えました…。

 最近、こんなのばっかですね。
 ここ一か月でサーバーやPCの不具合で一度書き上げたものが
ロストするの、これで三回目なのでちょっと流石にヘコみます。
 けど、メゲナイで今夜もう一回書きます!!
 
 あ、通販…昨日の夕方までに入金報告をして下さった方は
全員発送しました。
 ここで報告しておきます。
 この記事と入れ違いに、「秘められた想い 10」をアップ
致しますのでもう少しお待ち下さい。
 最近、こんなんばっかりでごめんなさい~! 今週、私ってば
運がないのかしら…ごにょごにょ。
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 昨晩はお騒がせしました。
 紆余曲折ありましたが、当面のネット接続は大丈夫な環境に
なりました。
 アクシデントの為、連載及び通販作業等が遅れて申し訳
ございませんでした。
(おかしくなってからPCでのメールの確認が出来なかった為、
梱包作業に入れませんでした)
 …まあ、色々試して本日の午後には、少なくとも昨日よりはずっと
安定した状態で接続出来るようになりましたので報告しておきます。

 今晩、日付変更か…少し超えるぐらいに本日分の連載を
アップ致しますのでもう少しお待ち下され。

 ちなみに今日、正式にハローワークの職業訓練の願書を
出しに行ったら倍率は大体1.2から1.3くらいになりそうと
効いてちょっとガタガタ震えています。
 今後の為にも合格したいので、来週の面接とか作文を
頑張らなければ…。

 後、通販の業務連絡。
 本日の夕方までに振り込み報告メールを送信して下さっている方の
発送作業に、これから入ります。
 連載はその梱包作業が終わった後に書かせて頂きますので
もう少しお待ち下さいませ。
 メール便の場合、発送した日から大体2~4日後ぐらいに
届きますのでご了承くださいませ。
 それではまた後で上がって来ます。一先ずこれにて…。
 …こんにちは、香坂です。
 えっと昨晩の夜に、無線LANの端子をうっかりと
強く打ちつけたら、ネット接続&パソコンの状態が極めて不安定な
状態になってしまったので、本日は掲載見合せます。

 4~5回、立ち上がっては消えて…を繰り返して、ネットに
やっと繋げる状態に23時過ぎにやっとなったんですが…
ちょっと有線に切り替えた方が良いと判断して、その設定を
して来ますです!

 …という訳で切り替えた後は普通に繋げるので問題なくなります。
 ちょっと再設定の為、本日分はお休みという処置を取らせて
下さいませ。
 …無線LANに慣れたから、ちょっと有線に一時的に戻すの
切ないですが…作業して来ますね。
 
 端子を外して、線を繋げばパソコンの状態も安定する…と信じたい。
 昨晩から丸一日…PC開けない状態でしたので、通販の作業も
遅れてしまってすみません。
 改善し次第、行っていきますので暫くお待ち下さいませ。
 
 私信 S・Hさん
 約束のSS、完成遅れてすみません。
 治ったら確実に渡します。
 もう少しだけ時間を下さいませ。
※お待たせしました。(予定より掲載遅れてすみません!!)
 6月25日から新連載です。
 今回のCPは御堂×克哉となります。
 テーマは酒、(「BAR」&カクテル)です。
 鬼畜眼鏡Rで、太一×克哉ルートで克哉が軌道が乗るまでアメリカで
BARで働いていたという設定を見て、御堂×克哉でもカクテルやバーを
絡めた話が見たいな~という動機で生まれた話です。
  その点をご了承で、お付き合いして頂ければ幸いです。

 秘められた想い                    

 ―タクシーに乗って、御堂の手配したホテルの部屋まで共に移動していき…
室内に入った瞬間にきつく抱きすくめられていく。

 彼が手配したのは、以前…自分たちがまだ恋人関係になる前に
使用していたホテルだった。
 強い力で引き寄せられていくのと同時に…フワリ、と御堂の使用している
フレグランスと、すでに馴染んだ男としての体臭が鼻を突いていった。

(孝典、さんの…匂い、だ…)

 それだけで、クラクラしてくる。
 心拍数と体温が一気に上昇して、制御が利かなくなりそうだ。
 …恋を自覚した時から、克哉にとって…この人ほど、自分の心を大きく揺さぶる
存在はいなかった。
 御堂の全てに、いつしか惹かれてしまっている自分がいる。
 扉を潜った瞬間に荒々しくキスをされて口内を貪られていく。
 こちらの呼吸すら、奪い尽していくような…強引で深い口づけに…半ば意識が
飛びそうになり、如実にこちらの下半身も熱くなっていく。

「はっ…ぁ…んんっ…! うっ…ぁ…」

 酸素を求めて、克哉が苦しげに唇を離そうともがく度に…唇から
信じられないぐらいの甘ったるい声ばかりが零れていく。
 これが本当に自分の声なのか、と疑いたくなる程だった。

「か、つ…やっ…!」

「んっ…孝典、さん…せめて、ベッドで…」

 このままだと玄関先で立ったまま犯されそうになりそうで…それだけは
避けようと、懸命に声を絞り出していく。
 激しくこの人に抱かれたい気持ちはあれど、せめてベッドで抱かれるように
しなければ…確実に身体が持たなくなりそうだからだ。
 だが、日頃抑えられている嗜虐心が全開になっている御堂にそう訴えても
逆効果にしかならない事まで、克哉は思考が回っていないようだった。

「…ほう? そんな事を言われると…逆に君をベッド以外の場所でグチャグチャに
したくなるな…。今夜は何処で君を犯してやろうか…」

「そ、そんな…!」

 そんな際どい言葉を呟かれながら、唇を舐めあげられて…ゾクリと肌が
粟立っていく。期待するように…背筋に悪寒めいた感覚が走って…
満足に立っている事すら困難になりそうだった。

「…今夜は、激しく貴方に抱かれたい…から、ベッドでお願いします…!」

 半ば懇願するように、克哉は告げていく。
 だが…こちらが縋るような態度を見せれば見せるだけ、御堂の心は逆に
煽られて…意地の悪いことばかり考え始めていく。
 
「…克哉。君も男なら…判るだろう。…特に疲れている時は時に意地悪く、
愛しい人間を抱きたくなる心理を…」

「それ、は…理解、出来ますけど…その…」

 克哉が困惑した表情を浮かべて、頬を真っ赤に染めていく。
 その朱に染まった顔が余計に…御堂の心を煽っていった。

「少し…黙っていろ。焦らすだけの言葉ならば、今は聞きたくはない…」

「孝、典…さん、待って…!」

 せめて玄関先で抱かれるのだけは阻止しようと、懸命にもがいて愛しい
男の腕から逃れていく。
 しかし鬼ごっこをして逃げ切るには狭すぎる室内。
 あっという間に窓際に追い詰められてしまう。
 冷たいガラスの感触を背中に感じ取って、ヒヤリとなった。
 
「…ほう、今夜は…夜景を背景にして…抱かれる事を望んでいるのか…?」

「そ、んな…事、ありません…」

「そんなにベッドが良かったのなら、何故そちらに逃げなかった?」

「…貴方が、全力で阻んだからです。だから…オレはこっちに
逃げるしか、なくなったんです…」

 そう、御堂は自分の意に添わせる為に己の身体を持って…克哉の
ベッドへの逃走経路を阻んでいった。
 だから…そう、こちら側かもしくはバスルームの方に逃げるしか、克哉に
逃走経路は残されていなかった。
 密やかなに、追い詰められていく。

「…そして君はこちらを選んだ。回答はそれで…構わない訳だな…?」

「………」

 克哉は、答えられない。
 激しく抱かれるのを望んでバーで御堂を挑発したのは自分だ。
 素直にベッドに連れていかれたのならば、きっとこんな風に逃げたりせずに
この人の熱い腕の中に自ら縋りついて…快楽に覚えていただろう。
 そう、克哉は察している。
 これは、先程の挑発行為に関しての…御堂なりのお仕置きなのだと。
 賢しい真似をしたこちらに対しての、意地悪な恋人からの意趣返しで
ある事を克哉は察していく。
 ジワリ、ジワリと…御堂が迫ってくる。
 その度に息が詰まるほどの緊張と…甘美な快感の予感が背筋を走り抜けて
ゾクゾクしていった。
 そしてガラス戸と…御堂の身体の間に、閉じ込められていく。
 焼けつくように熱い肉体と、冷たく濡れたガラス戸の相反する感覚を
覚えていきながら…ついに、捕えられていく。

「んっ…ふっ…ぅ…うぅ…!」

 そしてまず、口腔から征服者に犯し尽される。
 愛情だけではない、濃い情欲を滲ませる情熱的な口づけ。
 それにこちらのなけなしのプライドも、意地も全てがねじ伏せられて…
ただ、膝を折って屈する以外になくなっていく…。

「あっ…はっ…」

「相変わらず、君はイイ声で啼くな…克哉…」
 
 己の下で、銀糸を断ち切っていきながら…どこまでも淫蕩に、強気に
御堂が笑う。
 そして、ゆっくりと全身に指先が這わされて…完全に克哉は、
愛しい男の腕の中に閉じ込められていったのだった―
 
 
 

 昨晩アップした記事、照れくさくて(つか恥ずかしくて)
連載と差し替えに消してしまったけれど…凄く拍手して
くれた方がいらっしゃったので、興味ある人だけどうぞ…と
いう形で再アップ致します。

 拍手して下さった方…ありがとうございました。
 非常に励みになりましたです。
 とりあえず現在の状況と、こちらの心境。
 大雑把にですが、語っておきます。
 特に興味ない方はスルーでどうぞ(ペコリ)
 ※お待たせしました。(予定より掲載遅れてすみません!!)
 6月25日から新連載です。
 今回のCPは御堂×克哉となります。
 テーマは酒、(「BAR」&カクテル)です。
 鬼畜眼鏡Rで、太一×克哉ルートで克哉が軌道が乗るまでアメリカで
BARで働いていたという設定を見て、御堂×克哉でもカクテルやバーを
絡めた話が見たいな~という動機で生まれた話です。
  その点をご了承で、お付き合いして頂ければ幸いです。

 秘められた想い                 

 御堂がテーブルに戻り、克哉と暫く対話している間に…先程までは
コンサートのおかげで熱気が感じられた店内は…いつの間にか
閑散としたものになっていた。
 ジャズの演奏が終わったことと、今夜は24時以後にカクテルの注文が
出来ないという二つの要因から…多くの客は席を立って、帰路について
しまったようだった。
 控え目な音量でジャズの名盤が流されているが…先程に比べて
ガラリと店内の空気は変わってしまっていた。
 そんな中で…御堂と克哉は、静かに見つめ合い…対峙していた。

「…それでは、味あわせてもらおうか。君からのメッセージを…」

「えぇ、どうぞ。楽しんでください…」

 ―ブルームーンを一口、喉に流し込んでいくと…フワっとスミレの
花の芳香が感じられた。
 悩ましくセクシーな味わい、と表現すれば良いのだろうか。
 酷く官能的で、複雑な味わいをしているカクテルだった

(これが今の克哉の心を表している、一杯か…)

 今までワインばかりを愛飲して、カクテルの類はまったく飲んで
来なかった。
 だから少し馬鹿にしていた部分があったが、さっきのカーディナルと良い、
複雑に絡み合った味わいは…なかなかのものだった。

「隠された、意味か…」

「…えぇ、オレが貴方に伝えたいのは…原料に使われているものの方です。
19世紀とかでは媚薬にも使われていたそうですよ」

「…媚薬か。随分と艶めかしいな。だが…この味わいならば納得だ。
人の官能をくすぐるような風味だからな…」

「フフ、御堂さん…随分と詩人ですね。けど、知っています? ブルームーンには
カクテル自体には『出来ない相談』という意味が含まれていることを…」

 この瞬間、克哉は少し意地悪に微笑んだ。
 滅多に見せない、小悪魔的な表情だった。
 その悩ましい顔に視線が釘付けになりながら…そっと問い返していく。

「…ほほう、それはどういう意味かな?」

「…一般的に、一緒にいる時に…その相手にブルームーンを注文されたら
それは『拒否』を意味するメッセージになります。
 ブルームーンという語源は…一か月に二回満月を迎える、『滅多にない
出来事』という意味もあるんですが…「出来ない相談」の方は…
貴方とその話は出来ない、貴方を受け入れられない…という意味合いを
含んでいます」

「っ…! ほう、カクテルというのは…随分と色んな意味が含まれているんだな…」

 克哉から説明された時、一瞬だけ御堂の背中に戦慄が走った。
 『拒否』という意味を説明された時、ヒヤっとしたからだ。
 御堂は克哉を愛している。そして今まで付き合ってきたどんな恋人よりも
熱中して、執着している存在だ。
 そんな彼に拒否を意味するカクテルを注文された…と思ったら、ゾっとする。
 だが、御堂のそんな動揺を嘲笑うかのように…どこまでも綺麗に、克哉は
笑っていった。
 こちらの…僅かな時間感じた不安など、まるでお見通しとのばかりに…。

「…えぇ、まさか…初めて聴いたジャズのコンサート中にあんな事をされるなんて…
『滅多にない出来事』でしょう? だからこのカクテルを頼んだんですよ…。
今のオレの心境に、ぴったりでしょう…?」

「そう、か…」

 その一言をようやく聞けた時、御堂は肩の力が抜ける想いがした。
 拒否、という意味合いではなかったことに心から安堵を覚えていく。

「…『滅多にない出来事』は、貴重な一時を経験したとか…喜ばしい意味に
なるんですが、例えば告白した時に…これを差し出されたら、相手は困惑
するそうですよ。…「出来ない相談」とされて、拒否のメッセージになるか。
…もしかして後者の意味がついたのは、失恋で傷ついた心を…これで
癒せって事なのかも知れないですけどね…」

「…今晩の君は随分と意地が悪いな…。こうして二人きりでいる時に…
そのような話をされると、私の心とて…乱されてしまうだろう…?」

 二人の視線が、複雑に交差していく。
 きっとこれは、克哉なりの意趣返しなのだろう…というのは理解していた。
 克哉は、そういう性分だ。
 一見どこまでも従順でこちらに何もかも従っているように見えて…時折、
このように小気味良く御堂の予想を裏切る行動に出る時がある。
 だからこそ、彼の一挙一足や言動に注目して…心を囚われてしまって
いるのだが…。

「…フフ、今更…オレが貴方という存在を拒否する事は有り得ませんから。
…少しぐらいのことで離れたり、別れたりするような人と一緒に暮らしたり…
その下で働く訳がないでしょう?」

「…確かにそうだがな。それでも…君からカクテルの意味を説明されて
少しだけヒヤっとしたぞ…」

 そう呟きながら、程良く冷えているブルームーンを再び喉に
流し込んでいく。
 そういえばこのカクテルには19世紀には媚薬として使われていたものが
使用されていると言っていた。
 克哉のメッセージとは、その酒に由来しているのだろうか。
 それなら…一体、どのような意味が含まれているのだろうか。

(正直、見当がつかないな…)

 カクテルに使用されている多種多様の酒は、御堂にとっては
未知のものばかりだ。
 ワインは幾分…詳しいと自負しているが、普段自分が接していない領分に
関してはまったく判らなかった。

「…それで、克哉。この酒に秘められた君のメッセージは…何だ?」

「…聴きたいですか?」

「あぁ、是非…」

 そうして、御堂がはっきりと答えていくと…不意に克哉の唇がこちらの
耳元に寄せられていった。

「…なら、ベッドの上で…貴方に存分に愛された後に、答えます。その時に
告げた方が…きっと、相応しいから…」

「…っ!」

 今のは完全に、御堂にとっては奇襲に近い行動だった。
 甘く掠れた克哉の囁きに、再び全身の血が沸騰するようだった。
 この場で組み敷きたい、唇を貪りたい衝動に駆られていく。
 それを人としての理性で抑え込んでいくと…御堂は携帯電話をまず
手に取り、素早く行動に出た。

「少し、待っていろ。今…手配する」

「はい…」

 そうして克哉が頷いて、御堂を見守っていくと…五分も経たない内に
この近隣のタクシー会社と、ホテルの部屋の二つを手配したようだ。
 今夜はバーに来て一杯飲むと判っていた為、二人とも電車で出勤して
御堂の愛車の方は自宅に置かれたままだ。
 だが、御堂はアルコールを嗜んだ後…すぐに帰れるように都内の
タクシー会社を何社か控えて、携帯に登録していった。
 素早く、そしてスマートに行動している御堂の姿を見ていると頼もしく
感じられて、小さく胸が跳ねていくようだった。

「……手配をし終えた。会計を終えて店の外に立っていれば…すぐに迎えが
来るだろう。…そろそろ行くぞ」

「…あっ。はい…判りました」

 御堂の毅然とした態度を見て、軽く頬を染めていきながら克哉は
頷いていく。
 どうやら自分は…狙い通り、恋人の心を煽るのに成功したらしい。
 あんな風に悪戯を仕掛けられた時点から、克哉の心も体も深く
疼き続けていた。
 だが、普通に抱かれるだけでは…とても足りそうになかった。
 克哉が…この一杯を頼んだのも、挑発の為だった。
 …強く激しく、貴方に愛されたいと、貫かれたいと。
 だから、彼の心を揺さぶる為に…様々な意味合いが隠されている
ブルームーンを注文したのだ。
 …それに、この酒に隠されている秘められた意味こそ…克哉がずっと
この人に伝えたいと思っている気持ちに添うものは存在しなかったから。

(今夜は、激しく愛して下さい…貴方しか見えないぐらいに…
オレを貴方で、満たして…)

 浅ましい欲望を覚えていきながら、御堂の腕に引かれてバーを
後にしていく。
 背筋に感じるのは、これから愛しい男に組み敷かれて貪られる
官能の時間の予感。
 そして、タクシーに乗り込んで寄り添いながら後ろの座席に座った時…
二人は運転手に気づかれないようにしながら、深く指を絡ませ合って…
相手が欲しくて堪らないという想いを、如実に伝えあっていったのだった―

 
 ※一日遅れですが、七夕の季節ネタSSです。
 2009年の7月7日は、月齢が満月だった事で
思いついたネタです。
 珍しく太一×克哉ですが(鬼畜眼鏡R本編経過後設定)
、この二人が一番マッチすると思ったのでチョイスしました。
 良ければ見てやって下さい。

 この作品を書く為に、以下のリンクページの内容を参考、一部引用
させて頂きました。
 予め、ここで伝えさせて頂きます。
 
「FLY ME TO THE MOON 歌詞訳」

 和訳の部分しか極力使わないようにして、構成してみました。
 結構、頑張りましたです。がお…。


―駆け落ちしてからこの三年間、がむしゃらに二人で働き続けていた

 そして七夕の夜、珍しく二人のオフ日は重なっていた。
 日本の東京を拠点にするようになってから早半年以上が気づけば
経過していた。
 
―克哉さん、一緒に月を見ようよ。満月の七夕なんて珍しいしね

 無邪気な声で、太一がそう克哉に提案した。
 だから克哉はそれに付き合って、ベランダに出て…二人で
満月を眺めていく。
  さっき、自宅に帰る途中…こっそりとミニチュアの七夕飾りセットを買って
二人で短冊に願いを書いていった。
 こんな風に穏やかな時間を過ごすのも随分と久しぶりの気がした。

 七月七日、夏の夜。
 今夜は風も随分と穏やかで過ごしやすい。
 目を瞑っているとさりげなく吹き抜ける夜風がとても心地よかった。
 ベランダに出て暫く…太一はさりげなく克哉の肩に腕を回して
引き寄せていた。
 お互いの肌が触れ合う場所から、温もりと鼓動が伝わってくる。
 …言葉を交わさなくても、こうして二人で寄り添っているだけで
幸せな気持ちが満ちていく。

(…何かここ暫くずっと忙しかったから、こんな風に太一と二人きりで
過ごすのは…随分と久しぶりだな…)

 太一の祖父、五十嵐寅一との一件があってから…太一は一皮剥けていた。
 それから日本で認められるように、ともかく二人で頑張り続けた。
 一緒のオフなの夜など、それこそ三か月ぶりぐらいかも知れない。
 仕事の合間に抱きあったり、気持ちを確認しあった夜は幾度もあったけど…
こういう穏やかな時間は、相当に久しぶりだった。
 黙ってこうして身を寄せ合っているだけで、幸せな気持ちがジィンと
滲んでいくようだった。
 そうしている間に、太一は…一つの曲を口ずさんでいた。

「あっ…」

 そのメロディは、克哉も良く知っていた。
「Fly Me To The moon」日本では某アニメの主題歌として知れ渡っている
一曲だが、元々はジャズの名曲だ。
 太一はしっとりとした声で、優しく歌っていく。
 それはまるで…とても優しい子守唄のように。
 思いがけず聞こえた太一の歌声に、克哉はうっとりとして聞き入っていく。
 あぁ、英語曲で歌う太一を見ると…アメリカで過ごしていた時代の事を
静かに思い出す。

(…太一が英語で歌うのを聞くの、随分と久しぶりだな…)

 自分はバーでバーテンダーを、そして太一はショットバーでもライブハウスでも
望まれれば何でも歌った。
 主宰しているバンドの曲だけでなく、客の心を掴む為に洋楽のリクエスト曲も
頻繁にギターで弾き語りしながら英語で歌っていた。
 ジャズでもソウルミュージックでもJーPOPでも、多岐に渡って太一は
懸命に歌い続けていた。
 その下積みの時代が、今の太一の確実に糧になっている。
 日本に戻って来てから多くの人間を惹きつけてファンを作ったのは…
長らく認められない時代でも、彼がずっと歌い続けていた…その基盤が
あったからだ。
  そうして、優しい目をしながら…太一は最後の「アイラブユー」の
フレーズを歌っていく。
 瞬間、胸がドキリと弾んだ。何となく相手が、この最後の部分を特に強調して
こちらに歌い聴かせているような…そんな気がしたからだ。

「…太一が自分のバンドの曲以外の英語曲を歌うの、久しぶりに聞いた…」

「…ん、これ何て馴染みのジャズバーで良く歌ったスタンダードナンバーだからね。
俺も久しぶりに歌った気がする…」

「うん、聞いてて凄くうっとりした。けど…どうして、この曲を歌ったの? 太一…」

「ん? あぁ…今夜って七夕だけど満月じゃん? だから…この曲しかないな~と
つくづく思った訳。俺から克哉さんに捧げるラブソングって事で…」

「えっ…えええっ?」

 いきなり、そんな事を言われて克哉は耳まで真っ赤に染まっていた。
 この三年間、行きつく処まで行っている上…散々セックスもしている。
 けれど突然、耳元でこんな事を囁かれたらやっぱり胸がときめいてしまう。

「…もう、克哉さんってば…イチイチ反応が可愛すぎ。けど…元々この曲って
和訳すると、結構可愛い歌詞になるの…克哉さん知っていた?」

「えっ…そうなの? 普通に…メロディが綺麗な曲だなって思って…歌詞の意味とか
深く考えないで聞いていたけど…」

「ん~俺ってやっぱり歌う奴じゃん。歌詞を覚えるとやっぱり意味とか知りたくなるんだよ。
それで向こうのジャズバーとかで歌っていた時、こっそりと歌詞の意味とか調べたんだけど
これって「私を月につれてって」って意味の曲なんだよ。私を月につれてって。
星々の間で歌わせて。火星や木星の春がどんな感じか、私に見せて。つまり…ねぇ、
手を繋いで、そして貴方、ねぇキスをして…」

「あっ…」

 そう、甘ったるい和訳の歌詞を口ずさんでいきながら、太一がそっと手を繋いで…
こちらの頬に口づけて来る。
 その優しいキスに、思わず肩を竦めてしまう。

「…ね? これって…優しく可愛いラブソングな訳。あまり難しい言い回しとかされていない
シンプルだけど、綺麗な歌詞っていうか。ロマンチックじゃない?」

「うん、そうだね…今まで歌詞の意味とか考えないで聴いていたけど…太一に
説明されたら、胸が甘酸っぱくなるようなラブソングだって理解出来たよ」

「でしょ? ならもう一回歌おうか?」

「えっ…?」

 そうして、克哉は強引に相手の腕の中に引き込まれていくと…今度は
低く掠れた、しっとりした声音で「FLY ME TO THE MOON」を囁かれた。
 先程が子守唄のような優しさならば、今度は本来の意味であるラブソングとして。
 酷く官能的な声音が、鼓膜を直接揺さぶって体温が、鼓動が上昇していく。

(う、わっ…耳元で歌われると、相当にキそう…!)

 克哉が耳まで真っ赤にしながら、その甘い攻撃に耐えていくと…太一は
「darling kiss me」の部分を、特に強調するように歌っていく。
 その瞬間、眩暈を感じた。太一の歌うラブソングに心を奪われていく。
 相手に視線を捕えられて、抗うことが出来なくなる。

「あっ…太一…」

「克哉、さん…」

 そして、満月の仄かな月明かりがそっと降り注ぐ夜。
 二人のシルエットは確かに重なっていった。
 啄むように、優しいキスを何度も繰り返し落とされる。
 まんまるの月の下、クスクスと笑いながら二人は何度も戯れのような
口づけを交わし続ける。

「…太一の、確信犯。絶対今、これを狙って…歌っただろ?」

「うん、たまにはこういうのも悪くないでしょ? 俺はいつだって…胸の中では
克哉さんに向かってラブソングを歌い続けているから…」

 そう呟いた太一の笑顔は凄く大人びていて…思わず鼓動が跳ねていった。

「…もう、本当に…太一って何をするのか予想がつかないよな。…おかげで
今でも振り回されているし、胸はドキドキするし…」

「けど、俺といると…絶対に飽きないでしょ? 克哉さん?」

 ニッコリと楽しげに微笑みながら、太一は問いかける。
 そんな風に言われると少しだけ反発したくなるが、嘘は言えない。
 少しためらった後、克哉は小さく頷いていく。

「…うん」

 顔を俯かせながら答えていくと、嬉しそうに太一は克哉の身体を
引き寄せていく。
 この温もりに、今だ慣れない。未だにドキドキする。
 腕の中に強く抱きしめられて、閉じ込められる。
 柔らかくて優しい目。
 それが月下で、静かにこちらに注がれていって…また小さく胸が跳ねる。

「…克哉さんと一緒なら、俺は月でも火星でも木星でも…どこまでも
行ける気がする。…本当、一緒に幽体離脱でも出来るっていうのなら…
二人で月までデートするのも悪くないんだけどな~」

「太一、それは幾らなんでも非現実過ぎるよ…」

「ん~良いじゃん。空想の世界なら、幾らでも非現実な事を考えたって。
これだって現実では有り得ないことを願っている歌詞だけど…だからこそ
優しくて、聞く人間の心をそっと和ませる訳だし。人間にとって…いつも現実の
枠に縛られ続けるよりも、空想の翼を羽ばたかせて綺麗な夢を見ることだって
必要だろ? 歌とか芸術とかって、その最たるものだし…」

「…うん、そうだね」

 その一言を太一が言うと説得力があった。
 彼の今の立場だって、彼本来の境遇を考えれば有り得ないものだった。
 なのに…太一はそれでも負けなかった。
 自分の夢を叶える為の努力は惜しまなかったし、他の人間だったら見果てぬ夢と
一笑するような大きな夢さえ、心の中に抱き続けて…それを徐々に実現させている。
 太一のそんな部分が、常識とか現実に雁字搦めになっていた克哉の人生を
解き放っていった。

「けど、俺…克哉さんとだったら、いつか月さえも一緒に行ける日が来れそうな…
そんな気がする。貴方とだったら…どんな夢も、必ず叶えられると思うから…」

 そう告げてきた太一の目は驚くぐらいに情熱的で、甘くて。
 克哉は嬉しそうに微笑みながら頷いていく。

「…うん、オレも…太一と一緒なら、不可能なんてないとさえ…思えるよ」

 そして、優しい月明かりの下。
 二人は静かに寄り添い…もう一度、唇を重ね合っていく。
 その幸福に身を委ねていきながら、克哉はさっき…短冊に書いたたった一つの
自分の願いをもう一度、胸の中に思い浮かべていった。

―これから先も、ずっと…太一と一緒にいられますように

 それが唯一の、克哉が強く望む夢。
 いつか死が二人を分つ日が来るのは仕方ないと判っているけれど…
その瞬間が訪れる日まで、こうして寄り添いながら彼と生きて行きたい。

 いつまでも、自分の傍らで歌を歌い続けて。
 想いを歌という形にして、紡ぎだして欲しい。
 そう心から願っていった。
 だが克哉は太一に説明されていなくて知らなかったけれど…「FLY ME TO
 THE MOON」の冒頭部分の歌詞にこんな歌詞が存在していたのだ。

―簡単な事を伝える為、詩人は色々な言葉を用いる
 その歌を囁く為に思案して、時間を使い、音に乗せる

 それはまるで、愛しい恋人である太一の事を歌っているような歌詞の内容。
 きっと克哉がこの部分を後日、改めて見たのならば…太一の事を歌って
いるようだ、と微笑んで頷くに違いなかった。
 だからきっとこのラブソングは、二人にとても相応しい一曲だ。
 太一は、そう思ったからこそ…この夜、静かに克哉に歌い聴かせたのだった。
 そしてもう一つ、ラスト部分で二人の心を歌っているかのような部分がある。

―貴方だけが私にとって何者にも代えられない
 あなただけが大切で尊い者です
 貴方に真実(ほんとう)にしてほしい事を言い換えると
 「愛しています」…となります 
 
 長く愛される、普遍的なラブソング。
 けれど…されど、恋人たちの心情を的確に、優しく綴られている曲。

 太一が、ラスト部分を愛情を込めて耳元で囁いていく。
 愛されていると心から実感していく。
 そして…彼がもう一度「I love you」の部分を口ずさんで伝えてくれた時。

―俺も、愛しているよ…

 と、克哉は静かな声でしっかりと相手に告げていったのだった―
 こんにちは、香坂です。
 通販についての業務連絡の方をさせて頂きます。

 7月7日22時の時点までにこちらに通販を申し込んで
下さった方全員に、振込み詳細メールの方を送信させて
頂きました。
 心辺りのある方は、確認して頂ければ幸いです。

 後、当サークルの振込先はゆうちょ銀行(手数料無料)と
銀行振込み(手数料発生する代わりに振込時間帯に融通が利きます)の
二種類がございますが、今回の通販より…銀行口座の方の
振込先が変更しました。
 
 今回の入金案内メールの方には新しい方の銀行口座を記述して
ありますが…くれぐれも過去に通販を利用してある方は、以前の
銀行口座の方に振り込みをしないようにお願い申し上げます。
 以上、業務連絡でした。

 昨日、七夕ネタを一本書いて投下したら…丁度書き上がって
アップした時間からサーバーメンテナンス始まってて…そのタイミングに
投下しちゃったもんだから、昨日書いた一本目の七夕SSは消失しました(号泣)
 …けどその直後にもっといいネタ思い浮かんだので7月8日分は
そっち書いて来ます。
 昨日が月齢満月の七夕だったので思いついた話です。
 翌日以降に連載の続き書きますね~。
 もうちょいお待ち下さい(ペコリ)
  こんにちは香坂です。
  通販の希望者が何人かいらっしゃいましたので
今回も通販させて頂きます。
 受付期間は7月6~15日まで。
 今回は若干、期間が短めとなりますが…どうぞ宜しく
お願いします。

 今回はこちらも通販に慣れて来たのでオフ本の他に、既刊の
コピー本の方も取り扱いさせて頂きます。
 地方に住んでいて関東のイベントになかなか来れないよ~! と
いう方はどうぞご利用下さいませ。

 今回の通販のラインナップ(全部小説本なので、ご了承下さい)

 オフ本

 INNOCENT BLUE(克克新婚本1 100P おまけ本付き) 1000円
 LUNA SOLEIL (克克新婚本2 116P)            1000円
 幻花繚乱(御克前提 澤村&眼鏡シリアス本 44P)       500円
 胡蝶の夢(6月28日新刊 克克シリアス 44P          )500円

 コピー本   ALL300円

 夜桜幻想(眼鏡×御堂 しっとり&甘め)
 月と銀剣(克克 切ない&シリアス)
 『聖 痕』(眼鏡×御堂 切ない&シリアス)

 2008年1月に発行した「可愛いヤキモチ(克克)と
「未来予想図(太一×克哉)の二冊は、ノマ受けオンリーにて
無事に完売しましたので、今回は外させて頂きます。

 今回も通販して下さった方には時期はいつ、とは明記しませんが
一本通販お礼のSSを送信させてもらおうと思っております。
 当サークルの本に興味がある方は是非、申し込んでやって
下さいませ(ペコリ)
 連絡を下さいましたら、折り返しこちらから詳細メールを
返信させて頂きます。

 通販申込フォーム

 送料について

 商品の発送はクロネコ・メール便を使用します。

 1㎝まで=80円
 2㎝まで=160円
 3㎝まで=240円
 4㎝まで=320円

 2㎝以上の厚さになった場合は、梱包を二つに分けて
発送する場合が御座います。
 予めご了承お願いします。(その方が利用者の方の送料負担が安くなるので)
 これ以上の厚さになった場合は冊子小包にて対応させて頂きます。

  本の厚さの目安は以下の通りです。大雑把ですが、参考までに。

    INOOCENTBLUE=0.8センチ(+おまけ本 0.2ミリ)
      LUNA SOLEIL=0.9センチ
        幻花繚乱&胡蝶の夢=0.3センチ
    コピー本全種=一冊につき0.25~0.3センチ前後

  実際の厚さ計算についてはこちらが行いますので、利用者の方は
遠慮なく興味ある本を選んでやって下さいませ。
  出来るだけ送料は安く、をモットーに梱包をやらせて頂くのであまり深く
考えなくてOKです。
 それでは皆様、宜しくお願いします。
 ※お待たせしました。
 6月25日から新連載です。
 今回のCPは御堂×克哉となります。
 テーマは酒、(「BAR」&カクテル)です。
 鬼畜眼鏡Rで、太一×克哉ルートで克哉が軌道が乗るまでアメリカで
BARで働いていたという設定を見て、御堂×克哉でもカクテルやバーを
絡めた話が見たいな~という動機で生まれた話です。
  その点をご了承で、お付き合いして頂ければ幸いです。

 秘められた想い               

後、今回の連載の作中に使用されているミュージックのリンク。
どんな曲なのか知りたい方はどうぞ~。

 『A列車で行こう』
 『いつか王子様が』
 JAZZソング集 1. Fly Me To The Moon/フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
          2. The Girl From Ipanema/イパネマの娘
          3. Over The Rainbow/虹の彼方に
          4. Night And Day/夜も昼も
          5. When You Wish Upon A Star/星に願いを


―克哉と過ごしていると、時々…今、自分の周りに取り巻く全てが
煩わしく思える時があった

 手を洗いに席を立っている間に…海外支社の人間から連絡が来て
その連絡の為に、予想以上に時間を取られてしまった時…御堂は
つくづくそう思った。

(…随分と彼に毒されてしまったものだな。以前の私だったら…誰と
過ごしていようと、仕事上の連絡だったら決して煩わしく思ったりなど
しなかったのに…)

 そう、御堂は克哉と出会うまで…何人かの異性と付き合ったことが
あったが…どの相手に対しても、ここまで熱中した事はなかった。
 だが、克哉だけは違う。
 今夜だって視察の為に訪れたのに…ピアノに聞き入ってうっとりと
なっているその姿に軽く嫉妬心を覚えて…気づいたら仕掛けてしまっていた。

(まったく…君と共に過ごしていると、時々…仕事をしなくてはならないという
気持ちよりも…男としての欲求が強くなる時があるな…)

 さっきだって、手を握る処までで止める予定だった。
 思い返せば…我ながら、随分と大胆な振る舞いをしたものだと思う。
 だが…指先を絡めているだけで、次第に潤んでくる克哉の様子を見ていたら…
気づいたら、音楽を聴くよりも…彼に触れたくなってしまった。
 声を出さないように必死に手で口元を覆っていた克哉の様子を思い出して…
身体が熱く滾っていくような気がした。

(…参ったな。このままでは…彼を同伴させたら満足に仕事にならなく
なる日がきっと出てしまいそうだな…)

 そんな事を考えて苦笑しつつ、ようやくテーブルに戻っていくと…
自分が退席している間に、克哉はカクテルをオーダーしていた
ようだった。
 青紫色のカクテルが…光に透かされて、青い影をテーブルに落としている。

「…おかえりなさい、御堂さん…」

 そして、実に艶っぽい表情を浮かべながら…克哉が声を掛けていく。
 御堂は、その顔を見て…背筋がゾクリ、となった。
 …先程までの、自分の仕事を忠実に補佐している時の彼の顔ではない。
 これは…自分とベッドを共にしている時の表情と声音だった。

「あぁ、随分と待たせてしまってすまなかった。海外支社の方から…突然
連絡が来たものでな…」

「えぇ、何となくは予想していました。御堂さんは忙しい人ですし…時差的に
向こうの人からしたら、この時間帯が一番連絡しやすいでしょうからね…」

 そういって、クスっと笑う仕草一つだけでも婀娜っぽく…こちらを
見つめて来る。
 その視線一つでもゾクゾクしてくる。
 だが、今はこの眼差しと笑みの虜になる訳にはいかないと判断して…気を
逸らすために周囲をざっと見遣っていく。
 その時になって…ようやく御堂はすでに今夜のお目当てであったピアニストが
すでに店内に存在しない事実に気づいていった。

「…そういえば、例のピアニストは見えないのだが…君は私が不在の間、
引きとめておいてくれなかったのか…?」

「えぇ、このテーブルの隣に座っていた男性がどうやら友人だったらしく…
コンサートが終わった直後に連れ立って、二人で消えて行きました…」

「ほう? 私が彼を目当てに今夜…この店に来ていたのは知っていた筈だ。
それなのに…彼が店の外に消えるのを黙って見逃したというのか…?」

 まるで揶揄するように、御堂がこちらを軽く詰ってみせる。
 だがその口元には、愉快そうな笑みを浮かべているのが見て取れた。
 克哉もまた…その様子に負けじとばかりに悠然と微笑み、言葉を
返していった。

「…貴方が、俺に対してあんな悪戯を仕掛けなければ…貴方が席を立って
いる間に貴方の忠実な部下としての本分を果たして…彼が出ていこうとするのを
ちゃんと止めておいたでしょう」

「ほう?」

「…貴方に触れられたせいで、俺は…忠実な部下の立場を貫いて
いられなくなりました。…仕事上の事なら、部下としてなら…貴方があんな風に
真っ直ぐに他の人間に視線を向けられるのも耐えられる。
 けれど…その仮面を剥がされてしまったら、我慢出来ませんから…」

 そう呟きながら瞳を伏せた克哉の表情は、思わず息を呑むぐらいに
艶めかしいものだった。

「…随分な独占欲だな。君の中に…そのような情熱が潜んでいるとは…
知らなかったな」

「…オレは貴方が想っているよりもずっと嫉妬深いし…独占欲も強いんです。
…だからピアニストの男性を引きとめませんでした。こんなオレを…軽蔑
しますか?」

「…良いや、君の思わぬ一面を知れて満足だ。だが…仕事上で君が
損失を出したのも事実だ。…それに対して、埋め合わせをして貰わなければな…」

「えぇ、ですから…貴方にこれを用意させて頂きました…」

 そうして克哉は、青紫色の液体に満たされたカクテルグラスをそっと
差し出していく。
 あまりカクテル類に詳しくない御堂には、これがどんな名称の品であるかも
まったく見当がつかなかった。

「…このカクテルは?」

「…俺の貴方に対してのメッセージです。二つの意味が潜んでいますから…
その内の隠された方を読み取って下さい。それが…オレからの出題です」

「…ほほう、君は私を試しているのか?」

「…えぇ、そうです。これぐらいの事をした方が…きっと貴方は楽しんで
下さると思いましたから…」

 そうして微笑む克哉の表情は極めて艶めかしい。
 恐らく他の人間の目が存在しない状態で見たのならば…その場で
押し倒してしまいたくなる程だった。

「なら、参考までに聞かせて貰おうか。君が選んだこのカクテルの
名前は何と言うんだ?」

「…ブルームーンです。憂いの月…ヒントは、スミレを使ったリキュールを
用いて作るカクテルです」

「…ほう、そのヒントの中に…君の想いが隠されている訳なのだな?」

「えぇ、そうです。…これほど、オレの心情を良く表してくれている一杯は
存在しませんから…」

 そうして、克哉は自分の分のカクテルを悠然と微笑んでいきながら…
ゆっくりと喉に流し込んでいく。
 「憂いの月」を意味する一杯に隠されたメッセージ。
 その謎を投げかけながらも、克哉の瞳は酷く甘くて…艶めいていた。
 
―面白い

 御堂は、愉しげに微笑んでいきながら…恋人から唐突に投げかけられた
謎の答えを探ろうと、自らもまた…そのカクテルをゆっくりと味わい
始めていったのだった―

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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