忍者ブログ
鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
[88]  [89]  [90]  [91]  [92]  [93]  [94]  [95]  [96]  [97]  [98
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  ―御堂孝典が目覚めると、恋人の姿はすでに傍らにはなかった。

「克哉…?」

 小さく、愛しい相手の名前を呟きながらゆっくりと身体を起こしていった。
 激しいセックスをした後、快楽の余韻に浸りながら眠りに落ちた時には
しっかりとこの腕に抱いて眠っていた存在は…今では、その温もりのカケラすら
存在していない。
 それに若干の寂しさを感じつつ、御堂は髪を掻き上げていった。

「…昨日は随分と、激しく抱いたからな。シャワーでも浴びに出ていったん
だろうな…」

 そう割り切って、一先ずベッドサイドに置いてある棚の上から…ミネラルウォーターの
ペットボトルを手に取って、喉に流し込んでいく。
 これは週末、克哉が泊まりに来ると判っている時には必ず用意しているものだ。
 二人で愛し合うと…一日中、殆どベッドの中から出ないで過ごしてしまう日が
ある為…2~3本のペットボトルと、簡単に食べれるバランス食品の類は
すぐ近くに置くように心がけているのだ。
 カロリーメイトの箱を取っていくと、その包装を剥いて一本…食べ始める。
 水でそれを流し込んでいくと…ゆっくりと昨晩の記憶を思い出していった。

(昨晩も…私の克哉は、可愛かったな…)

 無意識の内に、すでに御堂の中では克哉は…「自分のモノ」という感覚が
出来上がってしまっている。
 有能で高学歴、仕事もバリバリとこなす上に容姿端麗という御堂は
今までも男女問わずに良くモテた。
 だが、どんな人間と付き合おうとも仕事を優先する御堂に…交際している
相手は寂しさや欲求不満を募らせる場合が多く、それであまり長くは続かなかった。
 御堂自身も、そうやって己を高めようとせずにダダを捏ねたり拗ねたりして
振り回してくるような相手に執着することもなく、どの付き合いもあっさりとして
今思えば…深く付き合った相手などいなかった。
 だが、7歳下の現恋人…佐伯克哉だけは、例外だった。

「…こんな物を贈ってしまうぐらい…彼に熱を上げるとはな…。我ながら、
滑稽だな…」

 自分の左手の薬指に嵌められているシンプルなデザインのプラチナリングを
見て…つい苦笑したくなってしまう。
 御堂にとっては、これはエンゲージリングやマリッジリングとほぼ同一の意味合いを
持つこの指輪は…昨日、依頼していたジュエリーショップから受け取って来て…
克哉に贈った物と対になっていた。
 昨日、この指輪を贈った時…本当に克哉は喜んでくれて。
 その顔が可愛くて仕方なくて、愛しさがこみ上げて来て…自分でもどうしようと
思ったぐらいだ。

 正式な結婚式や、挙式は出来ない間柄だ。
 日本では同性同士での結婚は認められていないし、その辺が外国のように
認められるのはまだまだ先の話だからだ。
 けれど気持ち的にはそれと同じ意味合いを込めて…指輪を贈った。
 それでお互いに…気持ちが高まって…。

―はっ…あっ…孝典、さん…! ダメェ…そんなに、されたら…オレ…!

 一瞬、無我夢中で克哉をバックから突き上げている時の…艶かしい
媚態を思い出してしまい…つい、鼻先と口元を覆ってしまっていた。

―んんっ…も、う…イク…た、かのり…さん…好き…!

 もう抑えないといけない筈なのに、今度は正面から抱いた時に…
瞳を潤ませながら必死に首元に抱きついて来た時の、切なくて…
耳まで紅潮していた表情を思い出し…それだけで下半身がズクズクと
疼くような思いがした。

(…何で私の克哉は、あんなに可愛くて可愛くて…仕方ないんだ…?)

 思い出すだけでこんな風に興奮して仕方なくなるなんて…それこそ
高校生同士のカップルでもないのに、凄いことだと思う。
 結局…今週の休みを確保する為に、平日は過密スケジュールを過ごして
かなり疲れていたにも関わらず…三発も彼の中で放ってしまったのだから
自分も随分…若いものだと思った。

「…いかん、これ以上…朝から克哉のことばかり考えていたら…本日も
セックスで明け暮れてしまう。…指輪を贈った昨日はさながら…私達に
とって初夜のようなものなら…今朝は、いわば…新婚初日と言った所だ。
せめて…もう少し、克哉にとって思い出になるような事をしなければ…」

 ただ、一日中セックスして愛し合うことは…今までだって散々していた。
 けれど…一生彼と添い遂げていくぐらいの覚悟を持って指輪を作り…
それを贈ったのならば、もう少し…二人でその思い出をずっと語り合えて
いけるような…そんな一日にしたいと、御堂は考えた。

―それから、暫く御堂は考え始めていく

 …そのまま、考えが纏まると…ベッドサイドに大雑把にたたんであった
自分のスーツから…携帯電話を取り出して、ネットに繋いで検索を
始めていった。
 そして対象となる店のリンクをいくつか辿っていくと…ようやく望んでいた内容に
合致する所を発見し、その電話番号を登録していく。

「…これで、良い…」

 どうせなら、恋人の喜ぶ顔をもっと見たい。
 嬉しそうに笑う克哉を、しっかりと眼に焼き付けたい。
 そう想像して…御堂は本当に幸せそうに微笑んでいった。

「…そろそろ、起きるか。克哉の顔を早く…見たいしな…」

 そうして、御堂はベッドから身体を起こし…簡単に衣類を羽織った状態で
リビングの方へと向かっていく。
 その時、キッチンの方からコポコポコポ…という音と、ジュージューと
言う小気味の良い音が微かに聞こえていたのだった―
 

 
PR

―大切な人から、それを受け取った朝は…世界が輝いて見えた

 佐伯克哉は、キラキラと光る朝日を受けながら…ゆっくりと意識を覚醒
させていった。
 今朝は…気持ちの良い朝で、窓の向こうには白く輝く見慣れた光景が
広がっている。
 御堂のマンションで、こうやって週末の朝に目覚めて…この眼下の景色を
眺めるにもそろそろ慣れて来たのだが…今朝は、また…違って感じられた。

(これを…孝典さんから、受け取ったおかげかな…)

 克哉は寝ぼけ眼で、そっと自分の指に嵌められているプラチナリングを
眺めていった。
 その小さな、されど確かな御堂からの想いの証を見つめながら…克哉は
幸せそうに微笑んでいく。
 御堂を想っていると自覚したばかりの頃は、こんな物をこの人から
贈られる日が来るなんて…想像した事もなかったから―

「どうしよう…一晩経った後でも、夢みたいだ…。凄く、嬉しい…」

 そっと大切な物に触れるかのように、愛しげに指輪を…指で辿って
確認していった。
 克哉のすぐ傍らには、御堂が安らかな寝息を立てて静かに眠っている。
 一緒の会社に働くようになってからも…御堂の多忙なスケジュールは
相変わらずで、愛し合った翌朝はこうやって泥のように眠り続けているのも
珍しくなかった。

(孝典さん…良く寝ているな。…いつもいつも、こんなに深く眠りこけてしまう
ぐらい疲れているのに…毎回あんなに激しく、オレを抱くんだもんな…)

 つい、昨晩の情事の記憶を思い出してしまって…ボっと頬が赤くなるような
想いがした。
 昨日の夜の、優しい瞳をしながら…この指輪を贈ってくれた時の愛しい人の
顔が鮮明に脳裏に浮かんでいった。
 たったそれだけで…克哉の胸に、じんわりと幸せな気持ちが浮かんでいく。

―この小さな指輪一つに、幸福がいっぱい詰められているような気がした。

 克哉は…ゆっくりと御堂の方に顔を寄せていくと、その唇に小さくキスを
落としていく。
 今の御堂は、彼の前では警戒心を解いているから…これくらいじゃ眼を
覚まさない事を知っている。
 触れるだけの口付けはとても長く…それだけでも、克哉の心を甘く
満たしていった。

「孝典、さん…大好き、です…」

 きっと眠っている相手には今は届かないけれど…この胸に溢れる想いを
静かに告げていって、その紫紺の髪を愛しげに撫ぜていった。
 愛しい人が傍にいてくれる。
 それがこんなに幸せだったと…この人に逢うまで、克哉は実感した事は
なかった。
 同じ布団にこうやって一緒に包まって寝て…朝を迎えていく。
 以前、無理やり…脅迫まがいの手段で関係が始まったばかりの頃は…
この人とこのように甘い関係になるなんて、予測した事もなくて。
 だからこそ…今、この瞬間の幸福は、本当に夢のようにさえ感じられた。

「…ん、克哉…」

 そう呼ばれた瞬間、ドキリとした。
 もしかして気持ち良さそうに寝ている御堂を起こしてしまったのだろうかと
肝が冷えたが…どうやら、少し経ってうわ言で呟いているだけだと判明していく。
 
「…何だ、寝言で…オレの名前を、呼んだだけか…」

 その事実に気づいて、克哉はほっとしていく。
 ただでさえ…自分の自慢の恋人は、忙しくて疲れているのだ。
 気持ち良さそうに眠っているのならば…絶対に邪魔したくない。

(このまま一緒の布団に入ったまま…寝顔を寝ていたら、絶対に孝典さんの
眠りを妨げちゃうよな…)

 もうすでに冬は過ぎて…暖かい季節を迎えている頃とは言え…朝方は少し
冷えるから一緒の布団に入っていると、フワフワしてあったかくて気持ち良かった。
 けれどきっと…こちらがすぐ傍でモソモソと動き続けていたら、御堂を起こして
しまうだろう。
 そう判断して…克哉は、そっと慎重に布団から這い出ていく。
 その時、自分が全裸で何一つ身に纏っていない事実が…酷く、恥ずかしくて
照れくさかった。

「あっ…これ…」

 自分の手首から、胸元。腹部や太股に至るまで…眼に見える範囲の場所
だけでも大量の赤い痕が散らされている事に気づいていった。

(うわ…っ! そういえば孝典さん、昨日はいつもにも増して…オレにキスマークを
つけまくっていたよな…)

 その記憶を思い出して、あっという間に克哉の顔が真っ赤に染まっていく。
 この赤い痕の一つ一つが、御堂の克哉への執着の証のようなものだ。
 今思えば…初めて御堂に最後まで抱かれた日の朝も、シャワーを浴びている
時に…全身にキスマークをつけられている事に気づいたけど、御堂は恋人関係に
なってからも…週末の度に、抱くたびに克哉に所有の証を刻み付けていた。
 そのおかげで…人前で肌を晒せなくなってしまったけれど、克哉は己の肌に
刻み付けられているコレを見る度に…どこか、安心出来た。
 …恥ずかしいけれど、それだけ…この人が自分に執着してくれているのだと
実感も出来るから…。

「…早く、シャワーぐらい浴びないとな…。これで良いかな…」

 正式に付き合い始めてからは週末の夜は…まず御堂のマンションで
一緒に過ごすので…今では克哉の着替えの類は結構、この部屋の中にも
置かれていた。
 そのまま克哉はクローゼットの方へと向かうと、ワイシャツ一枚と新しい
ボクサーパンツ、ジーンズを手に取っていった。
 肌寒いから…早く着たかったが…今はまだ、身体の奥に御堂の残滓が
残されているので…まずは浴室の方へと向かっていく。

 最後に、チラリと…ベッドの中で安らかな顔をして眠っている御堂の姿を
確認していくと…克哉は幸せそうに微笑みながら、まずはシャワーを浴びに
向かっていったのだった―

 ―ようやく求めて止まないものを与えられて、克哉が淫蕩な笑みを
浮かべて微笑んでいった。

「あっ…ん…凄く、イイ…そのまま、蕩けて…しまい、そう…」

 眼鏡の剛直を深々と身の奥で受け止めていきながら…甘い
吐息交じりに、そんな事を呟いていく。
 上半身を起こしている眼鏡の上に乗り上げていくような体制で…
克哉は淫らに腰をくねらせ続けていく。
 その度にグチュグチャ…と、接合部から厭らしい水音が漏れて
静かな室内に響き渡っていった。

「あぁ…俺の腕の中で、存分に蕩けろ…。その様を、たっぷりと
見ていてやるから…」

「うん…見て、恥ずかしいけど…お前に、なら…んんっ…」
  
 お互いに何も阻むものがない生まれたままの姿になっていても、
すでに冷たい外気すら気にならなくなるくらいに昂ぶって、身体が
熱く火照っている。
 克哉が、甘えた表情を浮かべながら…眼鏡の首元にすがり付いて
必死にキスを落としていく。
 いつになく積極的な克哉の様子に、男は心底…満足そうな笑みを
浮かべていった。

「…お前の中、燃えるように熱くなって…ヒクヒクって凄く厭らしく
俺を求めて蠢いているぞ…。ほら、自分でも…判る、だろう…?」

「ん、んんっ…判る。お前のも、凄く…オレの中で、熱くなって…
凄く、ドクドク言ってる…」

 自分の内部に納めている相手の性器が…火傷をしてしまいそうな
くらいに熱く感じられる。
 その感覚が、圧迫感が…克哉の心を満たしていく。
 眼鏡の手が…こちらの腰に回されていくと、淫靡な手つきで尻肉を
捏ねるように揉みしだいていく。
 相手に触れられる箇所全てが、快楽を訴えていく。
 その度に克哉の身体はいやらしく跳ね、更に身体の奥が
熱く燃え上がっていくのを感じていった。

 グチャグチャグチュグプ…。

 お互いが繋がっている箇所から、体液と空気が絡まりあっている
実に淫ら極まりない音が鳴り続けている。
 その度に、耳の中まで犯されているような奇妙な錯覚を覚えてしまう。
 だが…それが、今の克哉にとっては更に快楽を増す為のスパイスで
しかなかった。

(恥ずかしい、けど…少し…苦しい、けど…もっと、こいつを感じ取りたい…。
そして、もっと…一緒に…)

 もっと、気持ち良くなりたかった。
 眼鏡が先程、克哉をトコトンまで虐めて感じた姿を見たいと願ったように…
彼の中にも、同じ気持ちが生まれていく。
 今、自分をこうして深く刺し貫いている男に、感じて欲しい。
 もっともっと…気持ち良くなって貰いたい。
 何も考えられなくなるぐらいに、頭が真っ白になるような…あの天国の扉にも
似た感覚を…一緒に、他ならぬもう一人の自分と感じ取りたかった。
 その想いが…思わぬ奉仕精神を、克哉の中に宿らせていく。
 
「ねえ、もっと…オレの中で、気持ち良くなって…こうすれば、
お前は…気持ちよく、なれるかな…?」

 そう告げた瞬間、ギュウっと強く相手の背中にしがみついていきながら…
意識的に、己の括約筋を意識して収縮させていった。
 
「ぐぅ…っ!」

 ただでさえ克哉の中はキツくて締まっているというのに…意識的に、強く
締め付けられれば…瞬間的に、思わず放ってしまいそうなぐらいの強烈な
感覚が背筋に走り抜けていった。

「ん、ねえ…『俺』…気持ち、良い? もっと…こうした、方が…良い…?」

 そんな事を問いかけながら、克哉が再び…キュウ、キュウ…と繋がっている
場所を意識して窄めていく。
 その度に、眼鏡は今まで感じた事がない衝撃に耐えなければならなくなって
しまっていた。

「こら、あまり…締める、な。ただでさえ…お前の中は、キツくて…中にいるだけで
イキそうになるぐらいなんだ…。そんな、凶悪な事は…する、な…」

 珍しく余裕のない表情を浮かべながら、眼鏡が告げていく。
 本気で、半端じゃないぐらいに…意識的に締め付けてくる克哉の内部は
気持ちが良すぎた。
 セックスの時の持久力に関しては、結構自信がある方だったが…こんなのを
頻繁に繰り返されてしまったのでは、抱く側の面目が立たなくなる。
 それぐらい…意識的に締め上げてくる克哉の中は極上だったのだ。

「ん、なら…もっと、オレの中で…気持ちよく、なって…『俺』…。お前が
気持ちよくなってくれると…凄く、嬉しいんだ…」

 そういって凄く嬉しそうに笑いながら…克哉は自ら腰を使って律動を
繰り返していった。
 いつだってセックスの時は、克哉は受身だった。
 眼鏡が求めるままに…流されるままに翻弄され、喘がされる。
 そんな克哉が、こんな事を言うなんて…一瞬、信じられなかった。
 けれど…シックスナインまでして、どこか克哉は吹っ切れたらしかった。
 キッカケは媚薬の力。
 けれど…それで、トコトンまで己の欲望に忠実になった事が…この二ヶ月
ずっと存在していた心の壁を、一時…取り払って克哉を正直にさせていた。

「クク…それは、さっきまでの俺の気持ちと、一緒だな…」

「そう、だね…今、きっと…オレ達…同じ、気持ちだと…思うよ…」

 そういって、抱き合いながら…深く身体を繋げていきながら…二人は
奇妙な一体感を覚えていく。
 今まで感じていた、不安が取り払われていくような…不思議な感覚。
 相手に、感じてもらいたい。一緒に気持ちよくなりたい。
 その想いをお互い抱くことで…いつもと、何かが違って感じられた。

「そうだな…今、両思いだな…俺達は…」

 そう口にした、眼鏡はとても優しい顔をしていた。
 その顔が…柔らかい月明かりに照らされて、一瞬克哉は見惚れていく。

―こんなに優しい顔をした彼を、結婚生活を送る以前は決して見たことなど
なかったから…

「ん、凄く…嬉しい…」

 克哉は、その顔を愛しげに見つめながら…再び意識的に相手のモノを締め上げて
腰をしきりに使い続けていく。
 行為が激しくなるにつれて…はあ、はあ…とお互いの呼吸が、荒く乱れて
忙しないものへと変わっていった。

―月を背にして、満たされたように笑う克哉の顔もまた…ハっとする
ぐらいに綺麗だった

 お互いに…相手の滅多に見れない顔を見ながら…夢中で求め合って
快楽を追い求めていく。
 双方の身体の間に挟まれている克哉の性器が、限界寸前まで張り詰めて
大量の蜜を零していきながら、暴れ狂っている。
 ギシギシギシ、とベッドは大きな軋み音を立てて揺れている。
 それは…二人の行為が情熱的で、激しいものである事の何よりの証でもあった。

「はっ…あっ…あぁ…! ふっ…う…『俺』…! もっと、オレを…愛して…!」

 願うように、切実な声音で…克哉が訴えかけていった。
 相手の背中に爪を立てるぐらいに、切羽詰った様子で…縋り付いて
そう懇願してくる様は、眼鏡の中にジワリと…奇妙なものを生み出していく。
 暖かくて、フワフワしたもの。
 かつての自分はバカにして、否定していたもの。
 それを嫌でも気づかされていく。

「あぁ…愛して、やるよ…。だから、今は俺だけを…感じて、いろ…!」

「ひゃう…んっ…! イイ…凄く、イイよ…も、っと…!」

 他の事なんて考えられないぐらいに、ただこの瞬間だけでも愛して欲しい。
 こうして身体を重ねている今、だけは…。
 この生活にもうじき最初の区切りが、「リミット」が間近である事をほんの
一時でも忘れられるぐらいに…激しく、今はただ犯して欲しかった。
 だから克哉はどこまでも乱れて、夢中で腰を使っていく。
 そんな彼に応えるように眼鏡もまた…ムチャクチャになるぐらいに激しく
突き上げて、相手を翻弄していった。

 ―そして二人はほぼ同じタイミングで達していく

 心臓が破れてしまうんじゃないかって疑いたくなるぐらいに、荒く脈動を
繰り返していた。
 息が苦しくて、米神の周辺にトクトクと血が集まっているような感覚がした。
 相手の情熱を…己の内部に、感じ取っていって克哉は…小さく、呟いていく。

―好き…

 たった一言。されど、今の克哉にとってはそれ以外の言葉は
思い浮かばないぐらいに素直な気持ち。
 それを聴いて眼鏡は、充足したように微笑むと…その気持ちに応えて
いくかのように、甘いキスを…その唇に落としていったのだった―
 
 

「はじめに~」のページが最近、掲載作品が増えていくのに
つれて異様に長くなり始めていたので…別枠でリンクページを
作ってすっきり纏めてみました。
 これで若干、見やすくなったと思いますv

 後、冬コミインフォメーションのページも…克克新婚本に
ついては追加情報あります。
 今週、色んな方にオファーを掛けた結果、全員の方から
承諾頂けて本決定となりましたので…口絵ページについての
情報を公開しました。

 おしげさんの表紙&挿絵の他に木口薄荷さん、如月さん、気有さんの
三名のカラー口絵もつく事になりました。
 …凄い気づいたら豪華な本になっている。
 今から凄い緊張だよ(ガタガタガタ)
 こうなったら意地でも完成させます。頑張ります!(ムン!)
 以前に描いて貰ったイラストの掲載許可を下さった薄荷さん。
 そしてこちらの依頼を引き受けて下さったおしげさん、如月さん、気有さん達には
本気で頭が上がりません。マジでありがとうございます(ペコペコ)

 とりあえず今日はこれから原稿の編集作業&執筆頑張ります。
 本日分の掲載はまたギリギリになるかもです…。
 んじゃちょいと潜って参ります…(モソモソ)

 ※諸事情により若干時間を取られてアップが予定時間より
遅れました。本気ですみません(ペコペコ)

―どうせなら、もっと淫らに…俺の上で狂ってみろ

 媚薬によって極限まで欲情しきっている克哉に向かって…まるで、傲然と

眼鏡が言い放っていく。
 いつの間にか体制は、かなり淫猥なものへと変えられてしまっていた。
 眼鏡の方が下となり…克哉の臀部へと顔を埋めている。
 克哉は、己のもっとも恥ずかしい場所を相手に晒していきながら…眼鏡の
下肢へと顔を埋めるような格好になっていた。

「やっ…この、体制…凄く、恥ずかしい…」

 相手に促されるまま、ついこんな体制になってしまったけれど…まだ辛うじて
理性が残っているだけに、羞恥で神経が焼き切れてしまいそうだった。

「…その恥ずかしさを感じている方が、もっとお前も気持ち良くなれる筈だ。
お前がどれだけ…いやらしい身体をしているのか、俺は一番…良く知って
いるからな…」

「はっ…あ…言、わないで…ふぁ…!」

 ピチャリ、と音を立てながら…眼鏡が克哉の秘部へとゆっくりと舌を這わせていく。
 一応…毎晩のように抱かれているし、夕方頃にシャワーを浴びる時に
その内部まで綺麗に清めて準備はしてあるが…やはり、蕾を相手に舐め上げられるのは

相当な抵抗があった。

「ほら、もっと…俺のを口で愛してみろ…。俺も、お前のここを…丹念に、
愛してやるから…」

「はっ…んんっ、判った…ひゃう…!」

 言葉を言い終わると同時に、克哉の内部に熱い舌先がゆっくりと差し入れられて
指とも性器とも違う奇妙な感覚に肌が粟立ち始めていく。
 柔らかく熱い、滑るような感覚が…克哉の内壁の浅いところの脆弱な場所を
的確に刺激していく。
 その度に耐え難いほどの快楽が走り抜けて、相手の性器を己の手と口で愛する
ことがどうしても疎かになりかける。

「ふっ…うっ…んんっ…」

 くぐもった声を漏らしていきながら…息苦しさを堪えて、克哉は相手の
大きく張り詰めているペニスを口の中で必死に愛撫していった。
 先端の割れ目の部分に懸命に舌を差し入れてくすぐり…己の喉奥で
グイグイと締め付けるようにしながら、奉仕を続けていく。
 ジワリ、と…時折、苦いようなしょっぱいような相手の先走りを口内に
感じて…逆に、こちらが感じてしまった。

 同性のペニスをこんな風に口に含んで愛する事など、もう一人の
自分に抱かれるまでは考えた事もなかった。
 けど、それを夢中になってやっている自分を不思議に感じながらも
己が求めて止まないものを与えて貰うために、必死になって相手の

望みを叶えていこうとしていた。

(どうして、今夜はこんなに…身体が熱くて、こいつが欲しくなって
堪らなくなっているんだろう…)


 いつもの自分だったら、きっとこんな厭らしい体制―シックスナイン
なんてきっと抵抗がありすぎて、承諾なんて出来ない。
 自分の淫らに収縮を繰り返している箇所を相手の眼前に晒しながら
口でペニスを口に含んで愛するなんて、羞恥が邪魔をして…頷く
ことすら困難なものの筈だったのに…。

(どうしよう、オレ…今夜だったら、こいつの熱いのを与えて貰う為だったら
どんな事でも…してしまいそうなぐらい、欲情してる…)

 普段は理性で押さえつけている欲望が、歯止めが利かなくなっている。
 克哉は…それが、相手に一服盛られた媚薬のせいでそうなっている事実を
まだ、知らない。
 だから…そんな自分が恐ろしくて仕方なくて、けれど…溢れ出てくる欲望に
押し流されている部分もまた、同時に存在していたのだ。

「ねえ、もっと…オレ、を…愛して…」

 普段だったら、こんな風に甘ったるい声を出しながら…言えない言葉が
口を突いて出ていってしまう。

 男としての矜持、自尊心…意地、そういったものが…身体の奥底から
競り上がる欲望に、残らずへし折られていっているのが自分でも判る。

 グチャリ

 その言葉に答えるように、一層奥深くまで相手の舌と指が侵入して

こちらの内部を厭らしくグチャグチャになるぐらいに掻き回しているのが

嫌でも判った。
 相手の舌がこちらの内部を探る度に、普段のセックスの時とは毛色が違う
怪しい官能が競り上がってくる。
 疼いて仕方ない奥が、物足りないと蠢いているのに…同時に、浅い所に
ある前立腺を間接的に弄られている事で…今すぐにでも射精して放って
しまいたくなるぐらいの甘い快感も同時に感じていく。

こんな怪しい官能、今まで知らなかった

 排泄器官をこんな風に舌先で擽られるなんて、新婚生活を送るまでの
克哉には考えられない行為でしかなかった。
 だからその未知なる感覚は、新たな世界の扉を克哉に開かせていく。

「はっ…あぁぁ…ヤッ、もう…ダメェ…! も、イク…イッちゃう…からぁ…!」

 ペニスを弄られての快感と、後ろだけを的確に攻められて達する
快感は…明らかに系統が違っていた。
 性器から齎される悦楽は、単純で即物的なものだ。
 だが、前立腺から齎されるものはそれよりも遥かに濃厚で強烈な
快感だった。
 媚薬の興奮作用も手伝ってか、もう欲求を押し留められそうにない。
 いつになく克哉は相手の身体の上で悶えて、甘い嬌声を惜しみなく
漏らしていく。

(…これだけ、こいつが乱れてくれるなら…たまに、薬の類を飲ませて
理性を壊させるのも…悪くは、ないな…)

 普段の克哉が、どれだけ抱いても恥じらいを失わない処女のような一面を
持っているとすれば…今の克哉は、まさに快楽に忠実な娼婦のような
ものだった。
 普段と違う一面を見せる相手に、眼鏡もまた…興奮していく。
 少しだけ残念なのは、この体制では自分のモノをいやらしく愛している
相手の顔を見れない事だ。
 ビデオカメラで撮影するか、鏡か何かで見れるようにしておけば
良かったかとチラと思ったが…媚薬の効果が出ている以上、用意する
暇もなかったと…チラリと思い直していく。

「あぁ…イケよ。とことん、俺の上でよがり狂ってみせてみろ…」

 眼鏡もまた、熱っぽく告げながら…二本の指を差し入れて
窄まる肉壁を掻き分けながら…奥深い場所へ、グチャリと大きな
水音を立てながら差し入れていく。

「ひゃぁ…んんっ…!!」

 一際大きく、克哉が啼いていく。
 その瞬間、窄まりが一層きつく収縮して…内部を犯している舌と指を
痛いぐらいに締め付けていった。
 足の間で揺れている性器が、まるで落ちる寸前の熟れた果実のようだ。
 ビクビクビク、と小刻みに痙攣を繰り返して…イキたいと訴えかけている。
 眼鏡はそれを促してやるかのように…そっと指を這わせていくとグリっと
鈴口に爪を立てて、痛み混じりの強烈な刺激を与えていってやった。
 それが合図となって…克哉もまた、最後の足掻きとばかりに…チュウウ…と
強めに眼鏡の性器の先端に吸い付いてくる。
 もう、限界だった。

「あぅっ…はぁぁぁ…!!」

 克哉はついに堪えきれず、頂点に達してしまった。
 ギュウっと眼鏡の竿の付け根を握り締めながら、こちらの意識を飲み込んで
しまうぐらいに強烈な快感を享受するしか出来なかった。
 その先端からは勢い良く白濁が飛び散り、眼鏡の掌を汚していく。
 どうにかこちらに体重を掛けないように支えていた四肢から力が抜けて
克哉はぐったりと相手の身体の上に覆い被さっていた。

「あっ…ふ…何か、凄く熱くて…まだ…」

「…俺を悦ばせろ、と言ったのに…自分が先にイクなんて、随分と堪え性が
ないんだな…そんなのじゃ、ご褒美をやる訳にはいかないな…」

「そ…んな…っ…!」

 眼鏡の一言に、克哉が驚愕の声を漏らしていく。
 ここまで頑張ったのに、今の彼がもっとも求めて止まないものを与えて
貰えないなんて文字通り、気が狂ってしまいそうだった。

「何でも、するから…早く、頂戴…! もう、お前が欲しくて…オレ、は…
狂ってしまい、そう…だから…」

 それは無意識の媚態だったのだろうか。
 克哉は相手に下半身をいやらしく晒した状態のまま首を振り向かせて
相手の顔を涙目で見つめていって、いやらしく荒い吐息も零していった。
 一瞬、熱い舌先がチラリと口元から覗いて舌なめずりをするかのように…
己の唇を舐め上げていく。
 その様は妙に蟲惑的で…まるで男を誘っている淫乱な娼婦のような
表情だった。
 普段の清楚とか、真面目な雰囲気の克哉が滅多に見せない…欲望に
忠実になっている姿。それを見て…つい、ズクンと性器が疼いていく。

「…まったく、お前は本当に性質が悪いな…」

 呆れたように呟くと同時に、今の克哉の顔に煽られて…こちらも硬度を
増してズクズクズク…と脈動を繰り返している。
 相手をトコトンまで焦らして、たっぷりと今夜は狂わせてやろうと思ったが
今の顔が決定打になってしまった。

―俺もコイツが欲しくなって堪らなくなっている…

 だから、ゆっくりと身体を起こして…体制を変えていってやる。
 そして…相手の腰をゆっくりとなぞり上げて、抱えていくようにしながら
自分の上に来るように誘導していった。

「…グチャグチャになるぐらい、犯してやるよ。だから俺の上に乗って…
淫らに、踊り狂え…」

 そう言いながら、自分が口で愛してすでにトロトロに解れ切った蕾へと
熱いペニスを押し当てていく。
 それだけで克哉の後口は…歓喜の余りに激しく収縮を繰り返して
熱くなっていた。

「あ…んっ…頂戴…早く…お前、を…!」

 眼鏡の唇に、積極的に吸い付きながら…首元に強く抱きついて、こちらを
夢中で求めていく。
 ここまでストレートにこちらを克哉が求めて来たことは、今までなかった。
 行為の最中でもよっぽど燃え上がらない限りは羞恥も理性も捨てきれない
性格をしているので…だからこそ、今夜のこの姿は新鮮だった。

「あぁ、俺をたっぷりとお前の中に送り込んでやる…だから、正直に
感じたままに声を出すんだぞ…?」

「うん…はっ…ぁ…!」

 そうして、お互いの熱い舌先を熱烈に絡ませていきながら…眼鏡はようやく
克哉の内部へと、侵入を始めていった。
 その瞬間、克哉は大きく身体を反らせていくと…歓喜のあまりにくぐもった声を
零して、フルフルと全身を震わせていったのだった―
  ―ベッドの上で深く、唇を重ねあっていく。

  窓の外には綺麗な弧を描く三日月が浮かんでいた。
  二月の初旬、空気が冴え渡る夜。
  窓も薄っすらと曇って外も満足に見れない。
  服を丁寧に剥かれていく度に、吐く息すらも白く染まりそうな
冷たい外気に晒されて凍えていきそうだった。

 空調で一定の温度になるようにコントロールされている室内であっても
この時期、深夜の時間帯を迎えれば寒さを感じる。
 けれど…眼鏡の熱い舌が、こちらの口腔をねっとりと弄り…服の上
からでもその掌がこちらの肌をなぞりあげていけば、徐々に寒さなど
気にならないぐらいに…身体が火照り始めていった。

「はぁ…ん…」

 克哉が悩ましい声を、キスの合間に零していく。
 その間に、また相手の舌が唇から…歯列に掛けてやんわりと舐め上げて
こちらを煽るように蠢き続けていった。
 すでに克哉の方は先にベッドの傍らに腰掛けられる体制になり…眼鏡の
方はゆっくりとその上に乗り上げていった。

 ギシ、とスプリングが軋む音を立てながら…キングサイズのベッドの
上へと組み敷かれていく。
 淡い暖色系の照明に照らされながら…相手の顔を間近に見上げていくのは
やはり…結婚してから一ヶ月程度は経過しているのに、未だに慣れない。
 キスの合間にも、残されていた衣類は性急な手つきで剥ぎ取られていく。
 今夜もまた…克哉の方だけ、全裸にさせられていった。
 相手の舐めるような視線を感じて、それだけで血液が沸騰しそうになる。
 一緒の屋根の下で暮らして、毎晩のように抱かれ続けているにも関わらず
やはり…もう一人の自分に、抱かれる時は緊張していた。
 
「…寒いか…?」

「ううん、大丈夫…お前の体温を、感じるから…」

 先に脱がされると、やはり最初は寒さを感じていく。
 だが…それでも、相手の身体と触れ合っている箇所からじんわりと
温もりが伝わって来て徐々に気にならなくなっていく。
 
「…随分と、可愛いことを言うようになったもんだな…」

 相手が喉の奥で、ククっと笑いながら…こちらの胸元を弄っている姿を
見ると…つい、羞恥で頬を染めてしまう。

「…本当のこと、言っているだけだよ。…お前の体温を感じると…
凄く、気持ち良いし…」

「体温、だけか…?」

 耳朶に、そっと小さくキスを落とされながら…そんな意地悪な問いかけを
されていく。
 何となく、相手のその一言の裏に隠された意図らしきものは読み取れる。
 だから、つい照れてしまって拗ねたような表情を浮かべてしまった。

「…意地悪。確かに、お前と触れ合っていて気持ち良いのは…温もり、
だけじゃないよ…」

 プイ、と相手の方から顔を背けていくと…顎から耳の付け根の辺りに
そっと掌を宛がわれて、ゆっくりと耳穴の辺りを舌でくすぐられていく。
 その様子を見て、眼鏡は一層…楽しそうに笑っていった。

「…何か、今夜のお前は…可愛いな。少し普段と趣向を変えてみたくなる…」

「趣向って、何だよ…。まったく…また、エッチな事ばかり考えているんじゃ
ないだろうな…」

「…お前とこういう体制で一緒にいて、俺がそういう方面のことを考えないで
いるとでも思っているのか…?」

「うっ…確かに…」

 こちらは全裸で、相手の方だってすでに上半身の衣類は脱ぎ去って、ズボンの
フロント部分は寛げているような状態だ。
 この体制で抱き合っていて…確かにエッチな方向を考えないでいるのは
かなり難しい。
 克哉だって、つい…淫らな期待とか、そんな事が過ぎってしまう状態なのに…
この相手が、そっち方面に思考が行かないなんて確かに考えれなかった。

「…お前って、本当に…スケベ、だし…。一緒に顔を合わせていると…いつも、
エッチな事を仕掛けるか、オレを抱いてばかり…じゃないか…」

 途切れ途切れに、顔を赤くしながら呟いていく合間に…ゆっくりと下肢に
指先を這わされていく。
 すでに勃ち上がり切っているペニスを握りこまれていくと…先走りが滲んで
いる先端部分を、的確に指先で弄られ続けていく。
 その度に…いやらしい糸がネチャ…と引いて、クチュクチュと卑猥な水音が
聞こえていった。

「…お前は可愛いからな。こうやって抱いて…つい、虐めたくなる…」

「意地悪…はぁ…ん…」

 相手の手の動きは、じれったくなるぐらいにゆっくりだった。
 すでに火が点いてしまった肉体には…これぐらいの刺激じゃ全然足りないと
いうのに…それでも、煽るようにゆっくりとした動作で行為を続けていく。

「もっと、強く…擦って…足りない、から…」

 相手はこちらの快楽のポイントを知り尽くしている。
 そしてこの一ヶ月、克哉は散々抱かれているおかげで…相手がこちらの
感じるところを的確に付いてくれる時の強烈な愉悦をすでに覚えこまされている。
 だから、足りない。
 もっと深く弄って、気持ち良くして欲しい。
 おかしくなるぐらいに…こちらを乱して、理性など吹っ飛ぶぐらいに激しく
感じさせて欲しいのに…相手のこの動きでは、全然その領域にまでイケない。

「…さあな。今夜は、ジワリジワリ…とお前を追い上げていきたい気分なんだ…。
こうやって、たまには時間をじっくりと掛けるのも悪くない…」

 そう言いながら、相手は熱い眼差しを向けながら…相変わらず、ゆっくりと
した動きでこちらの性器を扱き続けていった。
 眼鏡の視線を感じるだけで、奇妙な電流が肌の上に駆け抜けていく。

「やっ…あんまり、焦らすなよ…。もう、オレは…耐え切れ、ないのに…」

 つい無意識の内に自ら性器の方に手を伸ばして慰めたくなってしまいそうな
心境に陥っていく。
 瞳の甘い涙を浮かべていきながら、必死になって懇願していく。
 
―早く相手が欲しくて仕方なかった

 眼鏡の情熱の証を、この身で受けてどこまでも乱されて、犯されていきたい。
 今夜の克哉は、特にその欲求が強かった。
 いつもは克哉の気持ちなどお構いなしに一方的に求めて抱いてくる癖に…
こちらがこんなに求めている夜に限って焦らすなんて、何て意地悪な男
なんだろうと心底思う。

「…今日は、凄く…オレ、お前が…欲しくて…堪らなかったのに…」

 日中に、つい…相手を想ってしまって自慰をしてしまうぐらい。
 それぐらい…待ち焦がれていたのに、なのにそんな日に限って
仕掛けてくるのも遅ければ、いざ行為になっても焦らされ続けるのだから
克哉にしてみれば堪ったものではなかった。

「ほう…? 俺は逆に…今夜は時間を掛けて、じっくりと追い上げて…
俺が欲しくて堪らないとばかりに狂わせていきたい気持ちなんだがな…」

「もう、そうなっているよ…! 意地悪…」

 克哉は、身の奥からジワリジワリと湧き上がる衝動に我を失いそうに
なっている。
 彼は、知らない。自分のその状態が…相手が今朝、さりげなく枕元に
置いてくれたレモン水の中に仕込まれた媚薬の作用である事を。
 それを一日掛けてじっくりと飲み干してしまった為に…克哉は
今日一日…身体が熱くなり続けて仕方なかった。
 男はそれを判った上で…ともかく、追い込んで愉しんでいる事実を…
まだ知らなかった。

「早く…お前を、頂戴…!」

 ずっと性器に手を伸ばしても、阻まれ続けたが…耐え切れずに腰を
淫らにくねらせ続けて、相手の熱を切望していく。

「…其処まで、俺が欲しくて仕方なくなっているのなら…その
気持ちを汲んでやろう…。口で、俺のを愛して…ソノ気にさせてみろ。
そうしたら…すぐにでも、お前の中に熱いのをくれてやる…」

「本当…?」

 淫蕩な瞳を浮かべながら、克哉が期待したように相手を見上げていく。

「あぁ、俺はこういう事では嘘を言わない…正直な男だからな…」

「良く、言うよ…けど、その言葉…信じる。だから…」

 そうして、克哉は自ら身体を起こしていくと…相手の下肢の方へと
顔を埋めていく。
 普段だったら羞恥の余りにきっと、躊躇いを感じてしまうだろう。
 だがもう…今はそんな事に構っていられる余裕などまったくなかった。
 欲しくて欲しくて、気が狂いそうで。
 その為だったら何でもやれる…そんな危険な状態の一歩手前まで、
欲情の余り…克哉は、追い込まれてしまっていたから…」

―お前を、頂戴…

 そう、魅惑的な笑みを浮かべて克哉が強請り…ゆっくりと眼鏡の
性器へと舌を這わせていった。
 その様子を…眼鏡は、実に満足そうに眺めていった―
 
 
※これは某所で以前に書くと宣言していた眼鏡×御堂ものです。
 エロと砂吐きそうなぐらいに甘いものしか存在しません。
 それを覚悟の上でお読みください。
 大変に遅れてしまって本気ですみません…(汗)

 興味ある方だけ、「つづきはこちら」をクリックして
お読みになって下さいませv
 ―太一の腕の中は、暖かかった

 窓からキラキラと…あったかい色合いに染まった夕暮れの光が
差し込んでくる。
 太陽と、太一と…どちらからも今、自分は包み込まれているような
そんな気になって、ホっとしてしまった。
 それでつい、また涙腺が緩みそうになってしまって…克哉は
軽く嗚咽を漏らしていった。

「えっ…? 克哉さんどうしたの? …もしかして泣いてる? …何か
嫌な事でもあったの…?」

 克哉の微かな嗚咽すら、太一はすぐに気づいて案じて問いかけて来た。
 それだけでも嬉しかった。
 けれど心配させたくなかったから、素直に答えていった。

「ううん、違うよ。嫌な事とかがあったんじゃなくて…今のメロディを聴いて、
この夕陽を見ていたらさ…前にアメリカで家を飛び出してしまった
時の事を、何故か思い出しちゃって…つい…」

「…えっ…?」

 克哉の言葉を聞いて、太一は驚きの声を漏らしていく。
 それからすぐに…克哉を抱きしめたまま、軽く肩を竦めていった。

(本当に…俺、克哉さんには敵わないよな…。この人、曲を聴いただけで
俺がどんな場面を思い描きながら…この一曲を作ったのか、即座に
読み取っちゃうんだもんな…)

 太一がびっくりして、つい口を噤んでしまうと…克哉は少し不安を
感じたらしい。
 恋人の肩から、そっと顔を離して相手の目を覗き込んでいくと…
苦笑しながら、太一は答えていった。

「太一…どうしたの? もしかして…オレ、相当見当違いな事でも
言っちゃったかな…?」

「違うよ、まったく逆。…俺、どんな事をイメージしながらこの曲を作ったのか
まだ克哉さんに一言も話していないっていうのにさ…思いっきりドンピシャで
当てちゃうんだもん。この曲が…青空と夕暮れを眺めてさ…克哉さんの
事ばかり考えていたことを。以前に…克哉さんが家出をして、夕暮れの中で
お互いに…素直になってみっともない姿や言葉を晒した、あの日の事を
思い出しながら…作った事を…」

「…そ、うなの…? 何となく、そう感じただけだったんだけど…」

「けど、当てちゃうんだから本当に凄いよ。だから俺って本当に…克哉さんには
敵わないんだと思うよ。克哉さん程、俺の曲を判ってくれる人はいないし…
インスピレーションを掻き立ててくれる存在もないからね…」

 そういいながら、米神と生え際にキスを落とされて…克哉は一気に
真っ赤に染まっていく。

「そ、そんな事ない…よ。いつも、たまたま当たっているだけで…」

「それが90%以上の確率で、俺の意図しているものを読み取っていれば
たまたまなんては言わないよ…愛してる、克哉さん」

「っ…!」

 ふいに耳朶を軽く食まれて、鼓膜に直撃するような感じで耳元で囁かれた
ものだから…ゾワっとした感覚と一緒に強烈な羞恥も覚えて…耳まで赤く
染まっていった。

「…オレ、だって…愛している。けど…本当に、太一はいつだってストレート
過ぎて…今朝、だって…」

 だんだん、感じて来てしまって…声も途切れ途切れになる。
 付き合って三年にもなるのに…未だに太一に触れられると気持ちよくて
同時に恥ずかしくて。
 ボソボソと呟くような小声になってしまっても…密着しているのなら充分に
通用する。それが…恋人同士の特権でもある訳だが。

「…あぁ、あの言葉?『克哉さんが俺の事を欲しがってしょうがなくて…
感じまくっている姿は…こっちも見ているだけでイキそうになるぐらいに…
メチャクチャ可愛いよ』って奴…でしょ?」

「……っ!!!!!!」

 ただでさえ赤くなっていた上に、今朝の死にそうになる程恥ずかしくなった
例の一言を復唱されたものだから…もう、全身から火を吹き出しそうになるぐらい
赤くなりながら、克哉は声にならない叫び声を上げていった。
 そんな発言を、もう一回耳元で囁かれたものだから…こちらとしても
堪ったものではない。

「た、太一のバカー!! 何だって、いつもいつも…こっちが死にそうに
恥ずかしくなるような言葉ばっかり…耳元で囁くんだよっ!」

「ぐはっ!」

 もう恥ずかしさが頂点に達してしまったので…反射的に相手のみぞおちに
目掛けて鋭いパンチを浴びせてしまっていた。
 この場合、幾ら恋人の恥ずかしがる反応が可愛いからもっと見たかったと
言っても…流石に限度がある。
 太一にも非があるので、あまり同情は出来なかった。

「…うっ…克哉さん、良いパンチだったよ。一応…ボイストレーニングで
腹筋は鍛えてあるけど…今のは鳩尾に見事に決まったから…さすがに、
ちょっと、キた…かな…」

「もう、自業自得だろ…。こっちをあんまり…恥ずかしがらせるような
言葉ばっかり吐いて…意地悪、するなよ…」

 ちょっとだけ克哉が拗ねたような表情を浮かべると…太一は笑いながら
頷いていった。

「…ん、そうだね。昨日から今朝に掛けては…久しぶりに克哉さんに
触れられたものだから…ちょっと、意地悪しすぎたかもね…」

「ん…そうだね…」

 太一が、その事を認めると…ちょっとだけ克哉も溜飲を下げて…
綻んだ表情を見せていく。
 …克哉だって、太一に意地悪されるのが嫌いな訳じゃない。
 むしろ適度なら、恋愛のスパイスになると思っている所もある。
 けれど…その、克哉にとっては昨晩のエッチは…相当久しぶりであったのと
日々の業務に追われて心身ともに疲れていたからこそ…。

―意地悪されるよりも、甘く優しく接して欲しかったのだ…

 恥ずかしさが邪魔をして、それをなかなか言えなかったけれど…
太一が、それを判ってくれたなら良いかなって思った。

 もうじき、窓の向こうで太陽が沈んでいく。
 世界を見事な金色に染め上げる一時は…終焉を迎えようとしていた。
 二人は暫く…抱き合いながら、その完全に夕陽が落ちる様を
眺め続けていた。
 それは太陽と空が…ゆっくりと混ざり合い、作り上げていく…
とても見事な儚い芸術の時間でもあった。
 
 その瞬間、太一は…恋人を空のようだと思い。
 克哉は…彼の存在はやはり、自分にとって太陽そのものである事を
思い知っていった。

 空と太陽は…この地上においては、ワンセットの存在だ。
 決して単体になる事はない。
 そして…それらは時に様々な顔を見せていく。

 時に吹きすさぶ嵐となって見失ってしまう時もあれば。
 曇り空のようになってはっきりしない事もある。
 ポカポカと暖かくこちらを優しく照らし出してくれるかと思えば
 その熱さのあまりに、時にこちらの正気さえ奪っていく。

 人との関係も…常に変わり続けていく気象と良く似ているのかも
知れなかった。
 時に嵐や雷が訪れて、危機を感じたとしても…その相手を決して
離すまい! とお互いが決意すれば…必ず晴天の時は訪れる。
 きっとこれからも…沢山の出来事が訪れるだろう。
 かつてのように大きなすれ違いを経験することだって、この先に
あるかも知れない。それでも…。

―太陽と空が対となって存在するように…自分達も、そうやって
続いていけば良いと…克哉は密かに願った

 そう心の中で願った瞬間、完全に太陽が地に沈むとする間際…
太一が優しい顔をして、こちらを見つめている事に気づいていった。
 顔を上げて、二人の視線がゆっくりと交差していく。
 言葉はなかった。けど…それだけで酷く穏やかな気持ちになれて…
そうしたら、さっきまで感じていた意地とかちょっとした憤りなどは
とっくにどうでも良くなってしまっていた。
 だから少しだけ素直な気持ちになって…呟いていく。

「太一、大好きだよ…」

「ん、俺も…克哉さんが一番…大好きだよ」

 そう告げて、二人は顔を寄せていく。
 唇が静かに重なり合い…陶酔したくなるような幸福感が満ちていった。
 そのまま強く抱き合い、二人はただ…純粋に相手を求め合った。

 双方の胸を満たす想いはただ一つ。

―貴方を愛している―

 ただ、その純粋な気持ちだけだった―

 
 
 
 それは三年近く前の記憶。

 ―克哉さん、戻って来てくれて…本当に良かった…!

 いつか、随分前に家出をした時…やっとの思いで当時一緒に
自分達が暮らしていたアパートに戻ると、憔悴しきった太一が
駆けつけて、全力で抱きしめながら…そう言ってくれた。

 その時点で、克哉の中でグチャグチャした想いが…溢れて
涙となって止まらなくなった。
 家を飛び出した当初、克哉の心の中は慣れない外国暮らしと
環境が頻繁に変わりすぎる事で、ストレスでパンパンになっていた。
 好きな人間と覚悟して日本を飛び出しても、破天荒な事ばかり
やらかす太一と…目立たないように堅実に生きてきた克哉とでは
考え方の違いや、そういったもので衝突が耐えなくて。
 それで頭を冷やして落ち着かせる為に衝動的に二日間、ホテルに篭って
過ごしていたのだけど…それがこんなに、太一を心配させていたのかと
思って…克哉は心底、後悔していた。

―太一、御免…勝手な、事をして…

 二日間、満足に眠れなかったのだろう。
 目の下にくっきりとクマを浮かべている恋人に向かって…泣きながら
克哉はそう告げていった。

―良いよ。克哉さんが…無事に帰って来てくれた事だけで…俺、すっげー
嬉しいからさ…

 そういって、骨が軋むぐらいに強く力を込めて来られて…それだけ自分は
太一に必要とされていた事を、再認識出来たのだ。
 今、思えば…衝突がなくなったのは、それだけ太一が自分を想ってくれているか
実感できたこの日がキッカケだったのだと思う。
 それで思い出したのだ。
 実家がヤクザだとか、そんな太一のバックグラウンドも関係なく…一緒にいる為に
今までの環境全てをついてきたのは、太一が今まで出会った誰よりも克哉を
求めてくれていて…どんな自分でも受け入れると言ってくれたからじゃないかって。

 だから…その日、お互いに泣きまくった。
 そして…大切な人が傍にいる事が、こんなに切なくて嬉しいことなのだと…初めて
強く実感した日でもあった。
 あの日、克哉が帰ったのは夕暮れの頃で。
 雑多なアメリカのダウンタウンで…窓の外の風景はお世辞にも綺麗と言えなかった
けれど空の向こうに広がる…太陽が空の上に描き出す、鮮やかで美しい日暮れだけは…
今でもはっきりと克哉は覚えていた―

                                *

 克哉がじっくりと吟味して、デパートでプレゼントを購入して戻った頃には…
すでに夕暮れ時を迎えていた。
 帰路の途中、徐々に太陽が…地に沈んでいく様子を眺めていって…何故か
無性に克哉は懐かしい気持ちになっていった。
 良く考えれば、バンドが軌道に乗り始めた辺りから…自分達は忙しすぎて、
こうやって夕日を見ることすら…忘れてしまっていたのかも知れない。
 
 夕暮れ時というのは…稀に、空の上に実に幻想的な光景を紡ぎだして
見る者の魂までも魅了していく。
 赤、青、橙、紫、桃、黄などの様々な色合いの光が乱反射して…太陽を中心に
空と雲を染め上げて…どんな一流の画家ですらも表現しきれない、美しい
光景を生み出していく。
 気象条件とか、雲の具合とか…そういったもので微妙に変わっていく
一日として同じ模様が描かれることはない自然の気まぐれが生み出した
芸術そのものだ。
 …こういった、綺麗な夕暮れの光景をじっくりと眺めるなど…どれくらい
ぶりなのだろうか。

 目を向ければすぐ其処に心を癒してくれる美しいものは…頻繁にこうやって
空に描かれているのに…短い時間で儚く消えてしまうその『美』を…
一体どれぐらいの人が注目してみているのだろうか…。
 その夕暮れが、アメリカ時代にやった…自分が感情のあまりに太一の
元を飛び出してしまった、今となっては甘く苦い記憶を呼び覚ましていく。

(…あの時は、本当に自分の気持ちしか見えていなかったよな…)

 夕暮れを眺めながら、ゆっくりと同じ造りのマンスリーマンションが並ぶ中…
自分達が暮らしている棟を探していった。
 どれも似たような外見をしているから、ちゃんと確認をしないと…時々
間違えそうになる事があるのだ。
 だが、自分達が暮らしている部屋に辿り着くと同時に…微かなメロディが
風に乗って耳に届いていく。

(…これは、もしかして太一のギターの音…?)

 今までに耳にした事がないフレーズであっただけに…一瞬、迷ったが
他の家の人間が音楽をやっている音は今まで聞いた事がなかったから…
この音がする家が、自分達の部屋だろうと判断して…克哉はそちらの
方へ足を向けていった。
 この近隣は一応、都内とされているものの…思いっきり外れに位置して
いるせいか…全然、東京というイメージとは異なっている地帯だった。
 沢山の…豪邸とは言えない普通の大きさの家々が立ち並んでいる。
 少し進んだ所には…小さな商店街も、大きな量販店の店舗のどちらも
あったりするから…車があるなら、充分に住みやすい場所だった。
 ここを選んだのは、太一の判断だ。
 
 東京に拠点を構える際、もう少し都心部に近い方がスタジオとか
仕事場に向かう際に…便利だと言ったのだが、太一は多少不便でも…
静かで、休みの日は克哉さんとゆったり過ごせそうな場所が良いと
言い張って…いくつかの候補地を吟味した上で、ちょっと辺鄙な
ここに決めたのだ。

 いつも夜遅くに帰宅することが多いので気づかなかったが…夕暮れの
交通量が多い時間帯であっても…この近隣には殆ど自動車の騒音が
耳に届くことはない。
 だから太一が奏でる、本当に微かなメロディすらも…風に乗って
結構遠く離れた所からでも聞き取ることが出来たのだ。
 そんな、自分の今住んでいる家の美点にふと気づいていきながら…
扉をそっと開けていく。
 その瞬間、克哉は…一瞬だけ、心臓が止まりそうになった。

 部屋に入った瞬間…目にも鮮やかな夕日の光が…部屋中を茜色と
金色に染めて…光り輝いているようだった。
 その中で、明るい髪の色を…まるで、金髪か、燃え上がるような真紅に
染めて…太一が、ギターを掻き鳴らしながら歌っている。
 まるで…太陽の化身のようにさえ見える場面に遭遇して…克哉はつい
言葉を失ってしまった。

(凄く…太一が輝いて見える…)

 太一はどうやら、今…この瞬間…歌の世界に没頭してしまっている
みたいだった。
 だから、克哉が静かに扉を開けたぐらいではその集中力が途切れることは
なかった。
 だから、真剣に歌に向き合って真摯な顔を浮かべている太一を本当に
久しぶりに見たような気がした。

 ドキドキドキドキ…

 久しぶりに、いちゃついたり…エッチの時以外で、太一に対してときめいて
しまって…心臓が早鐘を打っていく。
 音楽に向き合っている時の太一の表情は、時に怖いぐらいで…同時に
目が離せなくなるぐらい魅力的でもある。

 そして、太一が歌う。
 即興で紡ぎ挙げた切なく甘い歌詞を…それを聴いて、克哉は胸が
引き絞られるような感じがした。
 それは…自分に向けられた曲だと、すぐに判った。
 だから切なくて…嬉しくて、知らず心が揺さぶられて…かつて、夕暮れの中で
強く太一に抱きしめられた…あの日を思い出していく。

ツウ…

 そう、聞いていて涙を思わず零してしまった瞬間…音楽が終わり…
ようやく、太一はこちらに気づいたようだった。

「か、克哉さんっ…!?」

 最初に驚愕の表情浮かべながら、そして…瞬く間に本当に嬉しそうな顔を
浮かべながら、ギターを放り投げて…太一はこちらに駆け寄っていく。
 その様子に、かつての記憶が重なった瞬間…。

―おかえり! 

 と、明るい声を挙げながら全力で太一はこちらを抱きしめて、笑顔で
迎え入れてくれたのだった―


 
 思考切り替えました。一日15~20分程度でも
地道にこなして、溜まった拍手返信やっていきます。
 もう何ヶ月過ぎていようと、在り難い言葉である事に
代わりはないんだ~!

 以下は5月13~080531までの返信です。
 当時拍手したかしら? という方だけ「つづきはこちら」を
クリックしてやって下さい(ペコリ)

 
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[03/16 ほのぼな]
[02/25 みかん]
[11/11 らんか]
[08/09 mgn]
[08/09 mgn]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

 当ブログサイトへのリンク方法


URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/

リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ * [PR]