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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  ―体中がフワフワして、落ち着かない感じがした。

 達したばかりの身体は敏感になっているが…同時に脱力しているので
泡風呂の中に沈められていくと、まるで空に浮かんでいるような
奇妙な気分がした。

(フワフワの泡が、何か雲っぽく感じられるな…)

 湯船に放り込まれた後、すぐにもう一人の自分が入ってきて
背後から抱きすくめられるような格好になっていく。
 そしてそのまま…一緒に湯に浸かっていた。
 眼鏡が優しく、克哉の髪を梳いていきながら生え際や米神に
小さくキスを落としていく。
 …そういう、微細な刺激が妙に心地よく感じられた。

「ん…何か、気持ち良い…」

 湯船の中で身を寄せ合うのも不思議な感じだ。
 肌が吸い付いているような、ツルリと滑っているような…そんな
奇妙な感覚を互いに身体を軽く動かす度に感じていく。
 それでも…少し温いぐらいのお湯は、熱く貪りあった身体には
むしろ丁度良くて。
 無意識の内に…縋るものを求めるように、後ろにいるもう一人の
自分の指先を求めて…そっと握っていく。

「…気分は、どうだ…?」

「うっ…ん…悪くないよ…。むしろ、フワフワして…良い、気持ち…」

「そうか…」

 背後で、眼鏡がフっと笑ったような気配を感じた。
 その後、ふわりと柔らかい沈黙が二人の間に落ちていった。
 時々、身体が揺れあうので…その度にチャプチャプ、という水音だけが
辺りに響いていくが…せいぜいそれくらいで。
 お互いに無言のまま、指を這わせて…さりげなく相手の身体を
触りあったりしていた。

 ミルクの香りが充満するバスルームで…こんな風にゆったりした
一時を過ごすと、こんなに満たされた気分になるなんて…予想も
していなかった。
 相変わらず、もう一人の自分は身勝手でこちらのペースなんて
お構いなしの酷い奴だけど、こうやって抱き合った後に優しくして
くれる一時は、かなり好きだった。

(結婚前は…いつもヤルだけヤッたらすぐにこいつは消えてしまって
いたからな…)

 一人で終わった後に残されるその度に、切なくて。
 こんな寂しい気持ちを味わい続けるなら…いっそ、もう出て来るなよ!と
思った時期もあった。
 抱かれる度に、自分の中ではこいつの存在が大きくなっていって。
 そんなの究極のナルシストじゃないか…と、自分で信じられなかった。

(あぁ…でも、この一ヶ月は…毎晩抱かれて身体的に辛い部分はあるけど…
毎日が、幸せだよな…)

 いつコイツが現れるか判らず、焦燥していた時期を思えば…今は
毎日、一緒に過ごせて。
 抱かれた後も、こいつの寝顔をたまに見れる日まである。
 いつも終わったら消えてしまう…そんな切ない日々を過ごしていた時を
思えば、一緒にいられる事。
 それ自体が…とても、幸せな事なのではないだろうか…?
 湯船に浸かって、リラックスした状態だからこそ…何となく克哉は
その事実に気づいていった。
 
 さりげなく、こちらの身体をそっと背後から抱きしめるように…相手の
両腕が、克哉の胸の辺りで交差していく。
 その手に何気なく、克哉は己の手を乗せていった。
 式を挙げたのに、自分達の指先には…その証である指輪は存在しない。
 いや、あの夜は確かにあった。
 儀式の最中に…指輪を交換したのは、確かに覚えていたから。
 けれど、激しく抱かれて意識が朦朧として…この新居で目覚めた時には
すでに無くて…。

(あの夜の記憶は…かなり曖昧、だよな…しかも、新居で目覚めた時には
ほぼ丸一日が過ぎていて、夜で…その…)

 その初夜の記憶まで思い出して、克哉はカアっと赤くなった。
 今思えば…この一ヶ月は抱かれてばかりだった。
 克哉はそれに気づいて、だんだんこうして相手の腕の中にいる事が
いたたまれない気持ちになっていった。

「なあ…さっきの指輪の話、信じて良いのか…?」

 蒸し返すのは、しつこいと思われるかも知れない。
 そう思ったが、それでも聞き返さずにはいられなかった。
 克哉がそう問いかけた瞬間、いきなり顎を掴まれて…苦しい
体制で、強引に口付けられていく。
 あまりの激しさに、つい息苦しくなって呼吸困難に陥りそうな
ぐらいだった。
 だが、その熱烈なキスが…何よりもはっきりと、眼鏡の意思を
伝えてくれていた。

―俺を信じろ

 と、態度ではっきりと示してくれているような、そんな気がした。

「はっ…ぁ…」

「…不安は、治まったか…?」

「うん、大分…」

 ぐったりとなりながら、もう一人の自分の身体の上に凭れかかっていく。
 こうやって…身を寄せ合って、一緒にいるのがとても気持ちよかった。

「…まったく、お前は…こちらに尋ねるばかりで、全然…俺が言って欲しいと
望んでいる事は口にしないな…?」

「えっ…どういう、事…?」

「…お前は、指輪がなくて不安を感じているみたいだが…俺だって、お前の方から
まったく「好き」とか「愛している」とか…口にしてくれなかったら、少しぐらいは
不安を感じると…思ったことはないのか…?」

「っ…! そ、それは…」

 眼鏡に指摘されて、ハっと気づいていく。
 そういえば…この一ヶ月、毎晩のように抱かれていたから…失念していたけど
毎日、肌を重ねていても…お互いに、そういう類の言葉は口にしていなかった
のは確かだった。

「…俺は、そんな事で不安を感じるぐらいなら…お前にもう少し『好き』と
いう言葉ぐらいは言って欲しいがな…」

「ご、御免…」

「謝るぐらいなら、今言ったらどうだ? 俺はいつだって…お前からの
その一言を待ち望んでいるんだぞ…?」

 そんな事を言われながら、背後から手を伸ばされて…顎から首筋に
掛けてゆっくりとくすぐられていく。
 その感覚に肌が粟立っていくような心持ちになっていく。
 暖かいお湯の中のせいかいつもよりもフワ~と気持ちが、解れていく。
 だから普段は羞恥と意地が邪魔をして、なかなか言えないでいた言葉が
すんなりと口を突いた。

「…お前の事、好き…だよ…」

 凄く躊躇いがちではあったが、気恥ずかしそうに克哉が呟いていく。
 それだけで耳まで真っ赤に染まっていった。
 その様子に気づいて…再び、眼鏡が笑っていった。

「よく言えたな…俺も、お前を好きだぞ…」

「ん、判っている…」

 そうして、再び唇を重ね合う。
 言葉を交し合った後でのキスは、快感もひとしおで…つい、腰をモジモジと
させていくと…自分の臀部辺りで、相手のモノもはっきりと息づいているのに
気づいていった。

「っ…!」

「それじゃあ、お互いの想いを確認しあうとするか…」

「ちょ、ちょっと待って! まだ、さっきの疲れがあるんだけど!」

「関係ない。それとも…お前がそんな可愛いことを言った直後に、俺に我慢を
しろと言うつもりなのか…?」

「だから、何でそんなにお前…いつも盛れるんだよ! 一日に何回も何回も
抱かれたら、オレだって身体が持たな…んんっ!」

 腕の中で克哉がジタバタ暴れていくと、それを押さえつけるように
強引に眼鏡がそのうるさい口を塞いでいった。
 そのまま…スルリと、相手のモノが自分の中に割り入ってくると…最早
克哉は観念するしかなくなっていく。

―こいつは本当に…! けど…それだけ、求めてくれているって事…なの、かな…?

 怒る気持ちと、求められて嬉しい気持ちが半々になっていく。
 フっと瞼を開けて、相手の顔を見つめていくと…眼鏡の、アイスブルーの瞳が
優しい色を湛えているのに気づいて…抵抗を止めていった。

(こんな目で見つめられたら…断わりきれない、よな…)

 それを認めるのは悔しかったけれど。
 自分も、その眼差しを自覚した瞬間…もう一度相手が、欲しくなってしまった。
 だから…ようやく克哉は抵抗を止めて、その首に腕を回していった。

 濃厚なミルクの香りに包まれながら、再び二人は熱い一時を過ごしていく。
 この日々がいつまで続くかは…今は判らない。
 けれど、会えなくて気が狂いそうな夜を思えば…今は確かに、克哉は
幸せで満たされた日々を送っていた。

 その幸せを噛み締めて、再び…情熱に身を委ねていく。
 相手の熱さを身の奥で感じながら、克哉は再び…狂乱の中へと
愛しい人間の手で落とされていったのだった―
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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