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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※相当に連載に間が空いてしまってすみません。
 ようやく続き書けるPC環境整いました。
 やっと連載再開です。

※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
 RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。

 桜の回想 
        


―まったく見覚えのない男性と再会して、その男と口付けを
事故とはいえ交わしてしまった現場を愛しい人に見られた
 
 そんな状況で、御堂からの「あの男は誰だ?」という
問いかけに「知らない」としか本当に答えられなかった。
 だが、その瞬間…御堂の眼差しはまるで氷のように
冷たく冴え渡り、こちらをまっすぐに射抜いていく。
 すぐ傍に問題の男が立っていたが、今の克哉には
御堂しか見えなかった。

「あっ…」

 瞬間、背筋が凍るような恐怖を覚えて…克哉は小さく
呟いていく。
 だが、どれだけこちらが怯えて困惑した表情を浮かべようが
今の御堂は容赦をしてくれる様子はなかった。

「…今の君の発言は、聞き捨てならないな…? あの男を
知らないとは、到底信じられないな…」

「…けど、本当…何です! オレは、この人の事を
まったく…思い出せない。名前すら、どこで会ったのかすら
判らないんです…!」

 泣きそうな顔をしながら、本当のことを伝えていく。
 だが、御堂の顔は一層冷酷になっていくだけだった。
 そんな言い逃れを許さない、と訴えかけるような
鋭い眼差しだった。
 大好きで堪らない人に、そんな目で睨み付けられたら
それだけで心臓が凍り付いてしまいそうだった。
 だが、御堂は真偽をはっきりさせるまでこちらを
解放してくれそうになかった。
 
「…ねえ、そんなくだらない演技をいつまで君は続ける
つもりなんだい?」

 そうして、暫く御堂と克哉のやりとりを傍観していた
男から冷たい声が零れていく。
 相手の目には、今の御堂と同じく…凍てつくような
冷たさが感じられた。
 二人の人間から冷たく見つめられて…克哉は居たたまれない
気分に陥っていった。
 けれど、本当に知らないし…思い出せないのだ。

「ごめん、なさい…」

 二人に懇願するように、克哉は謝罪の言葉を
紡ぎ出していく。
 判らない、幾ら頭の中を探っても…この男性が誰なのか
まったく引っ掛からない。

「本当に、オレは…貴方のことを、思い出せないんです…」

 その一言を、涙を浮かべながら告げた瞬間…男性の
表情にも変化が訪れた。
 演技ではないと、言い逃れではないと…克哉の
泣き顔を見て悟ってしまったらしい。

「…嘘だろ。君が、僕を忘れる筈がない…。幾ら小学校の
卒業を機に会わなかったとしても…僕らは、小さい頃から
ずっと一緒にいた筈…なんだから…。
 君は僕を、親友だと…信じていた筈だろう? なのに…
どうして…?」

 彼もまた、呆然となりながら呟いていく。
 小さな頃から一緒だったなら、何年もずっと一緒
だったなら十数年が経とうが確かに簡単に忘れる
筈がなかった。

「…ごめんなさい。信じて貰えないかも知れないけれど…
オレには…中学に入学する以前の…記憶が、まったく
ないんです…」

「っ!」

「…はっ?」

 その一言を告白した瞬間、御堂は驚愕のあまりに
目を見開いていって…男は信じられないという風に
唖然としていた。
 
「はっ…! 何をでたらめを…そんな事、信じられないよ。
君が…僕を忘れるなんて、しかもその理由が記憶喪失だ
なんてね…。嘘を言うのも、いい加減にしたらどうだい?」

「嘘じゃないんです! オレは…本当に…中学に
入る以前のことは霧が掛かったようになって…
殆ど思い出せないんです…」

 泣きながら、克哉は再び訴えていく。
 その顔を見た瞬間…男は、全てを認めたくないと
こちらに訴えかけるような複雑な表情をしていった。

「…信じたく、ない。けど…僕が知る彼なら…そんな
顔を絶対に、人前に…晒す訳がない。あいつは、いや…
僕の知る佐伯克哉という人間は傲慢で、人の心の痛み
とかまったく判らなくて、自分が出来ることをひけらかして
出来ない奴の気持ちを理解しようともしない…自信家だった。
 特に、あんな真似をした僕に…そんな弱気な顔を晒す
訳が、ないんだ…」

「…?」

 御堂は、相手が語った内容に何か引っ掛かるような
ものを感じたようだった。
 そう…男が語った人物像は、今の克哉にはまったく
当てはまらない。
 だが…眼鏡を掛けて別人のようになった彼の特徴に
被る気がして…怪訝そうに眉を寄せていた。
 だが、今の克哉には…御堂の微妙な表情の変化に
聡く気づくだけの心の余裕は失われてしまっていた。

「人違い、だったというのか…? それとも、記憶喪失って
いうのが本当なのか…? なら、僕を親友だと言って信じて
疑わないでいたあいつは、もう…何処にもいないのか…?」

 男の表情にはショックの色が濃く出ていた。
 呆然となりながら、信じられないという顔を浮かべていく。
 その顔にチクっと胸が痛んだが…嘘をついて「貴方を知っている」とか
「思い出した」とかは言えなかった。
 事実、克哉はこの段階でもこの男性の名前が「澤村紀次」で
小学校に入る前からの幼馴染みである事実を思い出してもいない。
 否、彼の中にこの人物に関しての記憶が存在している筈が
ないのだ。
 今の佐伯克哉の存在は、「この男を忘れて苦痛を失くす為に」
作り出されたものなのだから…。

「ごめん、なさい…」

 克哉は、そうとしたこの男性に伝えられない。
 泣きながら、心からの謝罪を込めて告げていく。
 その顔に…相手の男は打ちのめされて、毒気を抜かれた
ような表情をしていく。

「…本当に、何処にも…いないのか。僕が叩きのめしてやりたいと…
屈服させたいと思っていた…あの傲慢で、自信に満ち溢れていた…
佐伯、克哉は…」

 男もまた、泣きそうな顔を浮かべていた。
 そんな二人の様子を、御堂はただ黙って見届けていた。
 暫くの沈黙が落ちていく。
 それでも、克哉の唇からはまるで壊れたスピーカーのように…。

『ごめんなさい』

 の言葉だけが紡がれて…男は、まるで糸が切れた人形の
ようになりながら…呆然と、それ以上何もいえない様子でその場を
立ち去っていったのだった-―

 

 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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