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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※これは久しぶりに鬼畜眼鏡のキャラソングを聞いて
思いついた話です。
 ストーリーのその後の事をつい妄想して書いた話なんで
ご了承下さい。
 リハビリを兼ねた、軽いノリの話なんで宜しく。

お前と歌を            

 ―もう一人の自分と抱き合うと、毎回一つだけ悲しい事がある

  あれだけ抱き合っている時間は熱くて濃密なのに、毎回セックスの後に
疲れて意識を失うと…目覚めれば一人になってしまう事だった。
  元々自分達は同一人物な訳で、本来なら会う事も…こんな風に向き合って
会話したり抱き合ったりする事が出来る訳のない関係なのだ。
   だから…奇妙な現象が起こっているからこそ、自分達はこうして会える
訳であり…普通の恋人たちのように、甘い夜明けを共に過ごす事など…
期待する事が間違っていると理性では判っていた。

(けど…そう簡単に、気持ちは割り切れないんだよな…。毎回の事だと…
もう判っているけれど…)

  目覚めると、何故か見慣れた天井だった。
  その事に対して違和感を覚えていく。

「あれ…確か、俺らが会った場所は…別の処だった筈なのに…?」

  そう、もう一人の自分に招かれた場所はカラオケのパーティールームの
ようなそれなりに大きな部屋で…そしてソファの上で自分は抱かれた筈だった。
   だが、今…克哉が横たわっているのは、寝慣れた自分のベッドの上で…
周囲を見回しても、それは間違いない事を自覚して混乱しかけた。

「あれ…どうして、オレの部屋に…いつの間に…?」

 そういえば昨日も、知らない間にあのパーティールームの上に横たわって
いたけれど…いつももう一人の自分に遭遇する時は、その前に何処にいたのか
記憶が曖昧になってしまうような気がした。
  克哉が毎度の事ながらその辺を疑問に思っている内に…フワリ、と珈琲の
芳しい香りがほんのりと鼻に感じていった。

「あれ…珈琲の匂いがする…」

「…やっと目覚めたか。随分と遅いお目覚めだな…『オレ』…」

「ええ、えええええっ! な、何で起きた後も…お前が一緒にいるんだよ!
今までそんな事は一度だってなかった癖に…! 俺が起きる頃には
いつもいなくなっている癖に~!」

「…全く、朝からやかましい奴だな。たまには気まぐれを起こしても
良いだろう…?  俺が珈琲を飲みたい気分だったから…それならお前の部屋に
来て作るのが手っ取り早いと思っただけだ…」

「…ああ、確かにオレの部屋…インスタントコーヒーぐらいは一応…
置いてあるしな…」

  全く持って、一切甘くない言い回しに…克哉は少し落胆しそうになったが…
元々、もう一人の自分というのはこういう男である。
  むしろ彼が…自分に対してとても優しい態度を取ったりしたら、その方が怖いし
不気味に感じてしまうだろう。
  其処まで考えた時、つい自分でツッコミを入れてしまった。
 
(はあ…何故、オレはこんな奴が気になり始めてしまっているんだろう…)
 
  問答無用に抱かれている内に、気付かない間に情が芽生えてしまったのだろうか。
  そう考えると若干、切ないものを感じていった。
 
「お前の分も一応淹れてやったが…飲むか?」
 
「え、本当! うん…飲む、飲む!」
 
  それでも、ついでとはいえ…もう一人の自分がこちらの分まで一緒に用意して
くれた事に…喜びを覚えて、勢いで頷いてしまっていた。
 
「判った、今持って来てやる…待っていろ…」
 
「うん…」
 
 そうしてすぐに、もう一人の自分が克哉の元に…コーヒーの入ったマグカップを
持ってきてくれた。
 
「ほら…熱いから気をつけろ…」
 
「う、うん…ありがとう」
 
  それを素直に受け取っていくと…手のひらに、その暖かさがじんわりと広がって
いくような気がした。
 
(何か良く飲んでいるインスタントコーヒーも…こうやって人に淹れて貰うと…
違うもののように感じるよな…)
 
  いつの間にか、壁際にもう一人の自分が立って…マグカップを手元に持っている。
  それに倣うように…克哉も、火傷しないように気をつけながら…ゆっくりと縁に
唇を当てて少量ずつ喉に流し込んでいく。
 
―静かな朝のコーヒーブレイクの時間
 
  たったそれだけの事なのに、とても嬉しいと思う自分がいた。
  気分が良くて、昨晩…接待カラオケで一緒に歌った曲を口ずさんでいく。
  それに応えるように…もう一人の自分が、一小節だけ一緒に…その歌を
歌ってくれた。
 
(相変わらずコイツと一緒に過ごす時間は…毎回、現実なのか…夢の中の出来事だったのか
判別つかないけど…。昨日の事は、夢じゃなかったんだな…)
 
  そうじんわりと実感していきながら、歌った後の余韻に浸っていく。
 
(お前と歌を…一緒に歌うと、オレはとても楽しいし…幸せだよ…『俺』…)
 
 そう強く想っていきながら…克哉は、ささやかなこの幸福の時間を噛み締めていく。
 いつまた…消えてしまうのか。次に会えるのはいつなのか…判らない関係でも。
 
―今は、この幸福な時間を…堪能し、享受していく事にしたのだった―
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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