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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※2001年の秋頃に書いた前ジャンルの作品です。
 三番目くらいに書いた話で、ドラグ温泉でともかく
バタバタしています。
  何て言うか全体的にギャグ風味な話になります。

  ドラグ温泉憂鬱帳   


 温泉の精霊である桜涯と、びばののが管理しているドラク温泉。
ここもまた封印獣を解放する冒険の途中で訪れたダンジョンの一つである。
 再びダンジョン閉鎖がされた今でも、ここだけは健康センターという
形で一般の人間でも気軽に足を踏み入れる事が許されている。
それでも地下のオクトマンの巣や、封印獣がいた辺りは立ち入り禁止に
されてはいるが…。
 それでも、二人にとっては思い出深い場所である事には変わりない。
  久方ぶりの外出にカナンは浮かれ巻くっていた。

「セレスト! 早く浴衣に着替えような!」

「はいはい…」

 脱衣所で、びばののに浴衣を手渡されてカナンははしゃいでいた。

「後、ここでの僕らの武器…石鹸ネットと…そしてへちまだ。これで
再びお前をへちま剣士の称号で呼べるな。嬉しいだろ? セレスト」

「嬉しい訳ないでしょう! 何度もその名で呼ぶのはお止め下さいと…」

「まあ細かい事は気にするな。それよりも着替えだ。僕らのせっかくの強化
された装備を温泉の成分で錆びさせる訳にはいかないからな」

「…はい」

 結局カナンには基本的に逆らえないセレストである。
  自分の装備を外し、着衣に手を掛ける。
  ふいに主の方を見やり…その手が止まった。
 すでにカナンは自分の服をあらかた脱いで、浴衣を纏おうとしている所だった。
晒された上半身の白い肌が…異常なまでに眩しく見える。

(ヤバい!)

 慌てて目を逸らし、自分の浴衣を着る事に集中する。
 そうだ…忘れていた。温泉に来るという事は…。
 嫌でもカナンと裸の付き合いをする事になる訳である。
 これでもセレストは正常な男である。以前来た時はまだそんなに
カナンの事を意識して
なかったので何とも思わなかったが…今は彼が愛しくて溜まらないのである。
 そして二週間カナンの側にいられなかったという事は…触れ合う
機会もなかったという事でもある。
  そんな時にこんな刺激の強いものを見せられたら…。

(俺…本当に大丈夫なんだろうか?)

 と、思った矢先。

 
コォォォン!

 小気味の良い音が、周囲に響いた。

「セ、セレスト! 大丈夫かっ?」

「うぅ…大丈夫です…これしきの事では…」

 どうやらセレストが悩んでいる隙に、カナンは浴衣を羽織り終わりその間暇なんで
石鹸ネットを振り回していたらしい。
 それがモノの見事に、セレストの側頭部に命中した訳である。

「す、すまない…! 久しぶりに石鹸ネットの扱い方を思い出そうとして、つい…」

「…カナン様、ここではもう敵は出ない筈なんですけど…」

「だからと言って、目的がないのもつまらないぞ。経験値を稼ぐのが駄目なら…
温泉タマゴを作るとか、卓球やマッサージを堪能するか…」

「あのー私の疲れを取りにきたのではないんですか?」

 その一言を言った途端、何故かカナンはセレストから目を逸らして赤くなった。

(えっ? 今の反応は…?)

 だがそれは一瞬の事で、すぐに平静に戻っていた。さらに青年には訳が判らなくなる。

「…そうだ! 良い事を思いついたぞ!」

「今度は何ですか?」

「…ビバノノと、お風呂に入るってのはどうだ? 題してホットビバノノ計画」

「…お聞きしますが、それ…何の意味があるんですか?」

「なっ? セレスト。お前はビバノノを見て何も感じてないのか? あのつぶらな瞳
にチョコチョコした動きに、特に僕が好きなあの腹の所の温泉マーク。あれだけ
可愛らしいものと一緒にゆったり温泉に浸かりたいと思う僕はそんなに変か?」

「はあ…」

 思わず生返事しか出てこない。
 だが考えようによっては、悪い提案ではないのかも知れない。
 はっきりいってカナンと二人っきりというのは、今は余り精神衛生的に
よろしくない気がする。
  確かに間にビバノノの一匹でもいた方が、その…変な展開になる事は
防げるような気がする。
 これでせめて、自分たち以外に客とかがいればまた話は別だろうが、ダンジョンで
なくなったドラク温泉には敵すらも出て来ない。
事実上自分達の貸し切り状態である。
 特に二週間の隔てがあるだけに…今は自分を抑える自信がなかった。

「まぁ…悪くないのかも知れませんね」

「だろ? だったらすぐにでもビバノノを捕獲に行くぞ!」

「ほ、捕獲って一体どんな手段を用いるつもりなんですか! 手荒な事だったら
断固として阻止させて貰いますよ!」

「心配するな。安全かつ、極めて合理的な方法だ」

 疑わしげな目でカナンを見るセレストの思惑とは裏腹に、丁度物陰からトコトコと
白いビバノノが現れ、二人の前を通り過ぎようとしていた。

「ちょっと待て。そこのビバノノ」

「ナンですノノー?」

「僕と、卓球をしないか?」

 何故ビバノノと一緒に温泉に入ろうというのに、卓球の話を持ち掛けるのか
セレストにはさっぱり判らなかったが、気のせいか話を持ち掛けられた
ビバノノは嬉しそうに目を輝かせているように見えた。

「卓球ですノノー?」

 興味深々といった様子で、カナンの言葉に返答する。我が意を得たりといった風で、
主は続きの話をビバノノに語った。

「そうだ、卓球だ。ここにいるセレストはコーナードラゴンという異名があるくらい
それに達者だからな。ほぼ素人に近い僕とは勝負にならない。ビバノノも
卓球をした事はないだろう?だから一緒に卓球をして貰いたいんだが、嫌か?」

「嫌ではないノノー。けど賞品がないですノノー」

「僕はただ卓球を一緒にやりたいだけなんだが…そうだな、強いていうなら僕が勝ったら
一緒に温泉に入ってくれるか?背中を流してもらうって事で…」

「それくらいなら、お安い御用ですノノー。ぜひやらせて貰いたいノノー」

「なら、僕らは卓球の間で待っている。仕事に一段落がついたら来てくれ」

「判りましたノノー。すぐに向かいますノノー」

 あれよこれよと言う内に、いつの間にかカナンとビバノノの間で話が
ついてしまっていた。
一人取り残されたセレストは、どうして良いのか判らなかった。

「あのー私にはどうしてビバノノ君を温泉に誘うのに、卓球の話を持ち掛けたのか
理由が見えて来ないんですが…」

「ん? 気づいていなかったのか? あの白鳳やナタブーム盗賊団と対決した時に、
ビバノノが自分もやりたそうにしてたのを…」

「そうなんですか?」

「実は僕も参加したかったんだぞ。あの時…けどお前の足を引っ張るだけだし、
代表は各チーム一名までだったからな…。僕が我を張って、ペナントを
取り逃す訳にはいかない状況だったしな…」

 まさかあの時、カナンがそんな事を考えていたとはまったく思いも寄らなかった。

「だからビバノノの態度に気づいたのかもな…ビバノノも、本当に自分も参加したそう
だったんだぞ」

「そんな事が…」

 当たり前のように自分が参加して戦いを繰り広げていた裏で、それを見ていた者たちが
そんな事を考えていた事などセレストは考えた事もなかった。

「と、いう訳でセレスト。僕に少しで良いから卓球を教えてくれ」

 しかしそんな想いなど存在しないかのように、明るく笑うカナンの言葉に、
青年は軽く微笑みながら答えた。

―えぇ…喜んで…

 と、珍しく穏やかに微笑みながらそう告げていったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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