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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※2001年の秋頃に書いた前ジャンルの作品です。
 三番目くらいに書いた話で、ドラグ温泉でともかく
バタバタしています。
  何て言うか全体的にギャグ風味な話になります。

  ドラグ温泉憂鬱帳           


 その後二人は、ビバノノをお供に全部の温泉をじっくり堪能した。
 ビバノノに背中を流してもらったり、桜涯に温泉の湯をワクワクの
球で自分達好みの
温度にしてもらったりなんだりで、かなり快適な時間を二人は過ごした。
 そうしている内に、卓球の件で損ねたカナンの機嫌もどこかに
吹き飛んだらしい。
ドラク温泉を後にする頃には二人共上機嫌になっていた。
 いつも通りカナンのハラペコ度がゼロになる頃に二人は城に戻り、
夕食の時間を恙無く過ごした後、カナンの自室でセレストは主人に本を
朗読して聞かせていた。
 幼い頃は、こうした事を良くカナンにねだられたものだった。
これを読んでくれと手渡された本もまた、昔散々読んで聞かせた初代国王
ルーシャスの冒険を綴ったものだ。
 何かこうゆう時間を二人で過ごせるのが嬉しくて、セレストは優しい声ですでに
ソラで言える話をカナンに読んで聞かせた。
カナンもまた、穏かな声で青年が語るストーリーを聞いていた。
 そしてその絵本を読み終える頃…就寝の時間が訪れようとしていた。

「それではカナン様…私はこれにて失礼いたします」

「待て」

 カナンに引き止められ、セレストはその場に硬直した。
昔の彼が幼い頃ではともかく、最近では退室する時に引き止められる事など
無かったので青年は訝しんでいた。

「あの…何か?」

「何か僕に…言いたい事とか何かないのか?」

 セレストの腕をそっと掴んで引き寄せながら、カナンが問う。

「カナン様…?」

「一緒に温泉に行って…せっかく僕と部屋で二人きりなのに本だけ読んで…
それだけでお前は満足なのか?」

 この言葉を聞いて、セレストはようやく少年の言いたかった事を理解した。

「あの…それは?」

「一つ聞く。お前にはもう僕に触れる意志はないのか? それだけは
はっきりさせて貰うぞ。この二週間、こっちがどれだけヤキモキしたと
思っているんだ、お前は」

 あまりにストレートな言葉に、セレストは赤くなる。
だが真っ直ぐ見つめてくるカナンの瞳はこちらを逃してくれそうにない。
観念するしかなかった。

「あの…触れて、よろしかったんですか?」

「地底湖で人にあんな事をしときながら、何を寝ぼけているんだ? お前は」

「いえ…その、カナン様に触れたら…こっちの歯止めが利かなくなりそうで…」

 相変らずノリの悪い目の前の男に嘆息しながら、カナンは切り札を明かすことにした。

この堅物男は生半可な手段では、この壁を乗り越えて来そうにないと察したらしい。

「セレスト…お前、どうして僕がお前を温泉に誘ったか、本当の理由を判っているのか?」

「私の疲れを取る為じゃなかったのですか?」

「お前を…挑発する為だ」

「は?」

「僕の裸でも見れば…その、少しはその気になるかなーと思って…」

 少しはという所ではない。あの意識をした瞬間、最後まで自分の理性が持つかどうか
本当にセレストは危機感を抱いていたのだ。

「なっ、なんでまたそんな事をなさるのですか! 貴方はっ!」

「仕方ないだろ! この二週間はお前が僕に触れなかったんだから!」

 カナンの言葉に、またまたセレストは驚きを隠せない。

「それは…最後までするのは、そう出来るものじゃないと諦めがつくんだが…。
せめて僕と二人でいて、誰も割り込んでくる可能性のない時くらいは…もっと僕を
求めてくれても良いんじゃないかとずっと思っていたんだぞ…」

「そんな事を考えてらしたんですか…」

「まぁ…こっちも脱衣所で久々にお前の裸を見て、動揺してしまった
からな…それで、その流石に温泉でする訳にもいかないから、ビバノノに
間に入ってもらおうかと…」

「あぁ…それでホットビバノノなんて切り出したんですね…」

 それでようやくカナンの行動に合点がいった。ようするにカナンは
自分がまあ…そういった意味で好きかどうかを確認したくて…けれどドラク
温泉内で盛り上がる訳にいかなかったから、一見すると突拍子もない提案や
行動を繰り返していた訳だ。
 その事情を知った途端、セレストはカナンが愛しくてたまらなくなった。
その腕の中に少年を収め、包み込むようにそっと抱き寄せた。
 互いの鼓動が、温もりが嫌でも伝わる距離だった。そしてその鮮やかな金髪を
そっと梳きながら<前髪を掻き分け、額に口づける。
 途端にカナンの顔が真っ赤に染まっていく。

「その…お前はまだ、僕の事好きなのか?」

 その問いに…セレストはちょっとムッとなりながら答える。

「そんな当たり前の事、今更聞かなくても判るでしょう?」

 カナンの身体をそっとベッドに組み敷きながら、その上に覆い被さる。
 互いの吐息が掛かるくらいの距離で、二人は見詰め合った。

「どんな時も…私はカナン様の事が大好きですよ」

 降りてくる、唇。それをそっと瞼を伏せた静かな顔でカナンは受け止める。

 ずっと抱いていた疑念が…柔らかく解き解されていく。

「僕も…」

 唇が離れた瞬間、そっとカナンが呟く。
 それに応えるように、セレストはその口付けを更に深いものへと変えていった。

 月明かりがそっと二人を照らす。
 想いも熱も全てを分け合い、二人はただ今はお互いを確めあった。
 そしてそれは、もう秋も終わりを迎えようとしている時期の事だった…。


                                   Fin
                          



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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