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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※ 久しぶりに鬼畜眼鏡の小説を書くので
リハビリ的に短めで、軽い感じの話を書かせて頂きます。
 
 キャラソングCDを久しぶりに聞いて…何か書いてみたく
なった話なんで宜しくです。



 佐伯克哉は困惑していた。
 此処に来るまでの記憶が、ぼやけて殆ど思い出せなかった。
 何となく身体はだるくて、思考がまともに働いてくれていなかった。

(此処は…一体、どこなんだ…?)

 頭の中に、まるで濃厚な霧でも掛かっているような感覚だった。
 周囲を見回しても…まるで見覚えがなかった。
 果たしてどういった経緯で、此処まで自分がやってきたのか…それに
繋がる記憶が全く思い出せない。 

 ―気づいたら、大きなパーティールームのような部屋のソファの上に
克哉は横たわっていたのだ。

「…うぅ、ここは一体…何か、カラオケとかの…多人数のパーティールームの
ような感じだけど…何か、カラオケの機械とかあるし…」

 しかし、何となく違和感を覚えるのは…カラオケルームにしては、調度品の
類がちょっと豪勢な物である事だ。
 赤いベルベッドのような肌触りの良い生地が敷かれたソファに…複雑な
紋様が端っこや柱の部分に施された机などは、普通はカラオケルームに
置かれていないだろう。
 それが…部屋の隅に置かれた大きなモニターとカラオケの機械と
酷くミスマッチな印象を与えていて…克哉は困惑した。

「…ようやく目覚めたか、待ちわびたぞ…『オレ』…」

「へっ…? ああっ! どうしてお前が此処にいるんだよ!」

「…随分な言い草だな。実に平和そうに寝ていたお前を…自然に目覚めるまで
気長に待っていてやったというのにな…」

「えっ…そうなんだ…って、だから…どうしてオレの前に…お前がいるんだよ」

「…お前は、覚えていないのか…?」

「…ゴメン、何か…此処に来るまでの直前の記憶が…何か、良く…
覚えてないんだ…」

 相手の、覚えていないのか…という問いの時…一瞬、眼鏡を掛けた方の
自分が何となく寂しそうな顔をしたので…克哉は言葉に詰まっていった。
 それに対して少し、後ろめたさのようなものを覚えたので…素直に謝っていく。

「…なら、教えてやろう。お前は…接待カラオケを俺と一緒に披露した後…
ここにやって来た。どうせなら…ただホテルに連れ込んだり、いつものように
お前の自宅でヤルよりも…たまには場所を変えた方が気分がより
盛り上がると思ったからな。あの男に…この場所を準備されて、此処に
招いてやったんだ。一緒にお前と歌ってやった御褒美を…たっぷりと
堪能させて貰う為にな…」

「えっ…?」

 その言葉を聞いた瞬間、克哉の脳裏に急速に直前の出来ごとが
再生されていく。
 そうだ、接待の為に自分はカラオケに向かって…其処で、もう一人の
自分とデュエットをして…それで…。

「ああああああっ!」

 そして、よりにもよって酒の席とは言えど…会社の関係者の前で、もう一人の
自分と二人で並んで歌ってしまった事を思い出して、克哉は叫んでしまった。

「何だ…その反応は。お前と俺とで一緒に歌って…非常に盛り上がったし、
接待も成功した。それで何でそんな風に叫ぶんだ?」

「だ、だって…会社の…権田部長の前で…お前と二人で並んで歌っている
処を見られたんだぞ…! 追及されたら、一体どうするんだよ!」

「何だ、そんな事か…。お前は覚えていないだろうが…そんなの、
気にしなければ良い。どうせあれだけ酒を飲んでベロベロになっていた
連中の事だ。お前が二人いたって事も…自分が酔っていたから見た
幻覚程度に処理するだろう。気にするな」

「…気にするな! って言われたって…そんなの無理だろ! …ああ、明日から
一体どうしたら良いんだろう! どんな顔をして会社に行ったら…!」

「…お前の頭には、明日の事しかないのか…?」

「えっ…あっ…うわっ、何だ…」

 こっちが頭を抱えて嘆いていると、もう一人の自分の顔が
唐突にグイっと近づいて来た。
 その事に泡食って目を見開いていくと…まるで不意打ちのように…
唇に噛みつくようなキスをされていったのだった―




 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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