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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※ 最近、というか2012年の3月にネットで全話を
視聴したらうっかりハマってしまったタイガーバニーの
初作品です。

 世間では兎×虎の方が多いって判っているんですが…
逆CPの虎兎にハマりました。
 お姫様だっこされているのは虎だって判っているんだけどね!
 それでもオジサン受けよりも、私はオジサンは攻めが好きなのよ!
 と力説してやります(笑)

 とりあえず初作品はエロ描写基本ありません。
 原作の設定とか、そういうのをある程度意識して守るよう
意識して書いています。
 良ければ見てやって下さい。
 これは先月、書き上げて完結している作品なので
前後編の掲載になります。

『貴方と一緒に(前編)』

一虎徹と昨晩、一緒に過ごしたバーナビーは、早朝…朝日を
受けながらまどろんでいた。
 
 バーナビーの使っているベッドはキングサイズのものなので…大の男二人が
寝ても寝返りを打てるくらいの余裕がある。
 傍らに自分の相棒の体温を感じていきながら、ヌクヌクと布団に包まれている
時間がバーナビーは好きだった。
 
(暖かくて気持ち良い…特に…この人がソバにいてくれると…)
 
 昨晩、熱い時間を共に過ごした。
 そして行為が終わった後…その心地良いけだるさを感じながら眠りに落ちた。
 その余韻が体に残っている状態で…こうして、虎徹の体温と匂いを感じて
まどろんでいられるのはかなりの至福だった。
 しかし…次の瞬間、その幸福感を一気に破壊する言葉が相手の口から
こぼれ落ちていった。
 
「…友恵…」
 
一ピキッ…!
 
 幸福感で満たされていた金髪の青年の額に、怒りによって大きく
血管が浮かび上がってくる。
 とっさにハンドレットパワーでも発動させてしまいかねないくらいの勢いだった。
 
 (…このオジサン…! 散々昨日はこっちを好き放題してくれた癖に…
その僕の隣で、亡くなった奥さんの名前を呟くとは良い度胸してますね…!)
 
 どうにかギリギリの所で踏み留まって…シーツを強く握り締める程度で抑えていく。
しかしその手も力を込めすぎて蒼白になっているくらいだった。
 幾ら何でも、寝ている相手に対して100倍の身体能力になる
ハンドレットパワーを発動するのは危険過ぎる。
 しかし何もしないでは、この胸のムカムカは収まりそうになかつた。
 
 (せめてもの意趣返しに…頬でもつねってやりましょうか…)
 
 最終的にそういう結論に達して、ゆっくりと虎徹の方へと指先を伸ばしていく。
 その瞬間…相手は小さく続きの言葉を呟いた。
 
「友恵…お前の臨終に…立ち会うことが出来なかったこと…御免、な…」
 
 その内容の重さに、バーナビーの手はピタリと止まっていく。
 虎徹の目元にうっすらと涙が滲んでいるのを見て…余計にこちらの
葛藤は色濃いものへと変わっていった。
 
「貴方は…本当に卑怯ですよ…。そんな言葉を続けられてしまったら…
こっちは何も言えなくなるじゃないですか…」
 
 そう口にしながら、青年はモヤモヤした気持ちを胸に抱え込んでいく。
 この複雑な気持ちを相手にぶつけて良いか深く迷っていきながら、
暫くその切なそうな相手の寝顔を見つめていったのだった―
 
                             *
 
 
  虎徹がベッドの上で、爆弾発言に近い寝言を呟いてから
数日があっという間に過ぎていった。
 その間もいつものように、何度もアニエスからヒーローの出動要請が来て、
パニックに陥っている市民の救出や避難誘導、悪人の捕獲などをこなしていった。
 仕事中は…その一件の事を忘れて、ヒーローとしての自分の役目を
果たすのを優先する事が出来た。
 だが、ヒーロースーツを脱いだ、バーナビー=ブルックス・Jrとしては、
簡単にそう割り切れなかった。
 その為、久しぶりのオフの日が来ても…今回は、虎徹から一緒に
過ごそうという誘いが来ても、素直に頷く気持ちになれなくて。
 結局、彼は…ゴールド地区内のリバーサイド周辺を、気持ちの整理を
つける為にあてもなく散歩していた。
 こうして歩いていると、幾つもの視線が感じられる。
 だが、バーナビーにとっては…一歩、マンションの部屋を出ればある意味…
常に一挙一足を見られ続けるのもまた仕事の一環のようなものだ。
 最初は一人になりたい気分の時に、無遠慮に視線が注がれていることに
不快に思ったが…すぐに気を取り直して、気にしないことにした。
 今は…考えたいことがあったからだ。
 
(一体僕は何をしているんだろう…。あの日の虎徹さんの寝言を未だに
引きずって、せっかくの誘いすら断ってしまうなんて…)
 
 けれど、今だに自分の胸の中にはモヤモヤした気持ちが色濃く残っていて。
 妻の臨終に立ち会う事が出来なかった後悔…そういったものが
あの言葉には色濃く残っていて。
 その事で虎徹を責めてしまうのは人としてどうなのか…という思いが
あるからこそ、青年は口を閉ざしているしかなかった。
 
(僕はバカだな…。あの人が僕の部屋のベッドの上で亡くなった奥さんの
名前を呟いた事で、凄く嫉妬をしてしまうなんて…)
 
 セブンマッチを経て、虎徹の作戦のおかげでジェイクを倒した辺りから
自分たちの関係はそれまでと大きく変わっていった。
 それまでずっと「オジサン」と彼の事を呼んでいた。
 元々、相棒になったのは会社からの命令だったし…自分と何もかも
考え方の違う相手の行動に、共感も納得も出来ないことだらけだった。 
 だから、意固地になって最初は絶対に認めるものか…と思った。
 けれど、そんな冷たい態度をとり続けていたにも関わらず相手はこっちの
誕生日を祝おうとしたり…ルナティックからの攻撃からかばって負傷したり、
そういうバカな事をやり続けた。
 そうしている内に、気づいたら…徐々に虎徹を認め始めている自分に
気づいて、虎徹さんと初めて呼んだ時から…何かが大きく変わっていった。
 
―その結果、こんな関係に転じてしまうなんて…呼び始めた当初は
予想もしていなかったけど
 
(あれからもう半年か…。ジェイクを…あの人の助けを得て倒してから…)
 
 太陽の光を浴びて、キラキラと輝く水面を眺めながら…バーナビーは
深く溜息を吐いていった。
 その光景を素直に…今の自分は美しいと感じている。
 だが、両親の復讐を果たす事に燃えていた頃の自分は…今、思い返すと
何を見ても心から美しいとか、綺麗だと感じられなかったように思う。
 そのせいで、恋愛も縁遠く…心を許せる友人も、出来ないで生きてきた。
 25年の人生の中で、バーナビーにとって大切な人といえるのは21年前に
殺された両親、家政婦のサマンサおばさん、自分を引き取ってくれた
マーベリックさん、それと…虎徹と、同じヒーローをやっている仲間たちぐらいだ。
 
(特に…僕にとって、虎徹さんは…その中で誰よりも大切になっている…)
 
 独占欲も嫉妬も、今までのバーナビーにとっては無縁に近いものだった。
 女性に好意を寄せられた事は数多くあるが、自分には恋愛感情というのは
欠落していると思った。
 だからそれまで異性と付き合い始めても…両親の復讐に関する情報が
得られる可能性があれば何よりもそれを優先していた。
 そんな自分に、女性たちはすぐに愛想が尽きて…気づいたら終わっている。
 それが何度も続いた為、誰とも深い関係になることもなく生きてきた。
 けど、虎徹は違った。自分の復讐を果たす為に…大怪我をしているにも
関わらず、病院を抜け出し…自分が勝利する為に協力してくれた。
 キング・オブ・ヒーロー…今の自分がその称号を得て、栄光の中で笑って
いられるのは…虎徹の存在無くしてはあり得ないと思っている。
 
(あの日…虎徹さんが手を貸してくれなかったら、僕はみじめにジェイクに
負けて、このシュテルンビルドの街も…沈められてしまっていただろう…)
 
 今、目の前に広がる平和な光景。
 それは…自分だけの力では、守る事が出来なかった。
 虎徹がいたから…あの人が、自分をあの日助けてくれたから
失わないで済んだもの。
 そう思うと…ひどく愛しいものに感じられて、バーナビーは瞳を細めて
周囲の風景を見やった。
 
「あ…」
 
 すると視界に、一組の親子連れが入ってきた。
 金髪の小さな少年が…茶色の髪をした身なりの良い男性と、綺麗に
金髪をまとめた婦人に両手を繋がれて幸せそうに笑っている。
 一瞬、声に詰まりそうだった。
 …小さな頃の自分が、両親に手を引かれて歩いている光景を思い出したから。
 それを見た瞬間、とっさに涙が流れそうになった。
 だが、自分が何人かに注目されていたことを思い出し…とっさに押さえていく。
 そしてどうにか表情が崩れないように保ちながら、小さく呟いていく。
 
「父さん…母さん…」
 
 もう、自分の両親は殺されてこの世にいない。
 そんなのは分かりきっている。
 けれど…その幸せな親子連れは、自分がかつて幸福だった頃の
記憶を呼び覚ましていった。
 自然と、一粒…二粒と、涙がこぼれていく。
 あれは自分自身でも、亡くなった両親そのものじゃないって理性では判っているのに。
 なのに…幸せだった頃の記憶が蘇るだけで、自分の意志と関係なく涙が零れていった。
 
(ああ、そうか…)
 
 その瞬間…天啓のように、バーナビーは気づいていく。
 とても当たり前の事に。
 小さな嫉妬の心に囚われて、視野が狭くなってしまった状態では
つい見落としてしまっていた事に。
 それに気づいた瞬間…胸のモヤモヤは霧散していき。
 
「…あの人に、すぐにでも会いに行こう…」
 
 そう決めて、赤いジャケットのポケットから携帯電話を取り出していくと…
虎徹に掛けていった。
 
―すぐにでも会いたいと、率直に伝える為に…
 
 

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香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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