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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ―昨晩のあんたは凄く可愛かったな…

 朝焼けが部屋の中に静かに差し込んでくる中で…佐伯克哉は目覚めると
自分の傍らで安らかな寝息を零している御堂孝典の顔を見つめていった。
 日曜日の朝、誰も邪魔など出来ない二人きりの一時。
 余分な家具など殆ど置かれていない機能的な室内において…恋人の
存在だけが、とても暖かな温もりを放っていた。

(ふっ…本当に良く眠っているな…)

 自分が目覚めて、軽く身じろぎをしても…御堂はまったく目覚める気配が
なかった。
 その無防備な姿に、克哉は満足げな微笑を浮かべていく。
 まったく…自分達にこんな日が訪れようとは以前からは想像出来なかった。
 かつての有り様をふと思い出して…苦笑していくと、その紫紺の髪を優しく
梳き上げていった。

(以前のあんたの寝顔は…どこか強張っていて、こちらを警戒しているのが
良く判ったけどな…。今はこんな顔を俺の前で浮かべてくれるようになったんだな…)

 かつて、相手を自分と同じ位置まで引き摺り下ろしたい一心で監禁していた頃。
 何十日もの間…拘束具をつけて彼のマンションにこの人を閉じ込めていた。
 その頃の御堂の眉間の間には…いつも深い皺が刻まれていて、その寝顔すらも
苦しげなものであった。
 だが…今、目の前にいる彼は子供のようにあどけない表情を浮かべながら
寝顔を晒していた。
 それが…克哉の心中に、何ともいえない甘い疼きを与えていった。

(何かこの寝顔一つだけでも…あんたと、今は良好な関係を築けているんだなって
実感出来る。奪い奪われるような…そんな殺伐とした間柄じゃなくて…もっと…)

 それをどう形容詞すれば良いのか、一瞬迷ってしまっていた。
 こんなに胸が温かくなるような、そんな関係を他者と築いたのは彼自身にも
初めての経験で。
 この穏やかな寝顔を守りたくて…そっと、頬を這わせていった。
 自分にとっては、この姿は…脳裏に刻んでおきたいくらいに、愛おしく感じられた。
 その瞬間…昨晩、行為の最中にベッドサイドに放り出した携帯の存在を思い出す。

(そういえば…三枚だけ、と許可を受けたのに…撮影したのは結局、二枚だけだったな…)

 昨日は一枚目は、局部をこちらに晒した状態で相手が淫らな顔を浮かべている姿。
 二枚目は己を含みながら、自らを慰めている状態を撮影した。
 三枚目は…一応考えていたのだが、その最中に…御堂が「私を見ろ!」と挑発して
しがみ付いてきたので…結局撮影する余裕などなくなって、撮れないままであった。

「せっかく…あんたから三枚、と言われたのに…二枚だけで終わらせるのは
心底勿体無いな…」

 目の前にあるのは、とびっきりの可愛らしい寝顔。
 それをチラリと見て…克哉はカメラの設定を色々と弄っていく。
 朝焼けが眩しい室内なので、フラッシュの設定と効果音を消していき。
 慎重に相手の前に携帯電話を構えていきながら…ボタンを一回押していく。

「あぁ、レアなものを撮影出来たな…」

 そう言いながら、ディスプレイに視線を向けて確認していった。
 これは…おかずにしたいとか、そういう画像ではない。
 自分にとって大切な愛しい人を確かめる為の一枚だ。
 現在のこの人との関係は…これだけ良好であり、警戒されずに…この腕の中で
眠ってくれるようになったのだと、その事実を教えてくれる貴重な画像。

「これだけは…他の人間に、見せたくはないな…」

 御堂のあれだけ淫らな姿を、他者に見せることなど当然論外なのだが…この
姿はまた別次元で、決して誰にも見せたくない。
 孤高、と呼ぶに相応しいくらいに気高いこの人が…こんなあどけない顔を
しながら眠っている。
 それは信頼関係が結ばれたから、愛情をお互いに確かめ合っている今だから
撮影出来たものなのだ。
 
―俺だけしか知らない、あんたの秘蔵写真だな…。

 誰にも見せない。
 離れて、見せる隙すらも今後作る予定はない。
 見ているだけで暖かな気持ちを齎してくれる、とっておきの画像だ。
 一瞬…待ち受け画面にでも設定してやろうという考えが過ぎったら、そんな事を
したら何かの拍子に誰かに見られてしまう恐れがあると思い直した。

「んっ…」

 そうして、堪能するように撮影終了後も相手の寝顔をジっと見つめ続けて早五分。
 こちらの視線を感じ取って目覚めてしまったのか…相手の睫が大きく揺れながら
重い瞼が徐々に開かれていった。

「…起きたか、孝典…」

「ん…克哉、か…おはよう…。今、何時だ…」

「朝の五時をやっと回った頃くらいだな…休日だから、もう少しゆっくりと寝ていられるぞ…」

「う…ん、そうだな…まだ、正直…眠い…」

 少し寝ぼけながら目をトロンとさせながら、こちらを見つめてくる様は…普段のピシっと
した彼の姿と酷いギャップがあって…本人に言ったら憤死するくらい怒るだろうが、
本当に可愛くて仕方なかった。

「あぁ…ゆっくりと眠っていると良い。俺も…もう少ししたら一寝入りをする予定だしな…」

 そうして、相手の髪を掻き上げながら…額と目元にそっと口付けていく。

「ん…克哉、くすぐったいぞ…」

「だが、悪い気持ちではないだろう…?」

「そうだな、良い気分だ…」

 そうして、お互いに瞳を見つめあいながら満足に微笑んでいく。
 御堂の優美な指先が、こちらの頬にそっと触れていった。
 他愛無く、同時に限りなく幸せな恋人同士としての戯れの時間。
 静かにお互いの顔が寄せられて、徐々に瞼が伏せられていった。

「だが…少し、物足りなくはあるな…」

 挑発的な事を呟きながら…ごく自然に唇が重なり合った。
 柔らかく暖かい感触を感じながら、ジィンと広がる幸福感に身を委ねていく。
 甘ったるくて、幸せな気分だ。
 昨晩の焼き焦がれそうな強烈な想いとはまた別の…酩酊しそうなくらいに、
ほんわかとした…くすぐったい気持ち。

「じゃあ、これなら…どうだ…?」

「ん、そうだな…悪くない…」

 そうして、戯れるように唇をお互い啄ばんでいきながら…相手を愛撫するように
二人はそっと、髪や項、首筋から肩に掛けて指先を這わせ続ける。
 今…目の前に存在する相手を確認するように。
 このじんわりと広がる幸せを、強く噛み締めていく為に…。

―愛しているぞ

 再び深く瞼を閉じていく相手を見遣りながら、耳元に唇を這わせて…甘い睦言を
そっと囁いていってやる。

―私、もだ…。

 そして、相手からそう返答されると…本当に幸福で、そのまま死ねそうだった。
 また…御堂がまどろみの中に落ちていく。
 その顔は…克哉にとって宝物のような、愛しい姿であった―
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初めまして
初めまして、神城と申します。
何時も楽しく拝見させて頂いてたのですが、今回のお話があまりに萌えてしまったので、コメントさせて頂きました。
もう御堂さんエロ過ぎですっ!佐伯ではないですが、読んでいてこっちまで興奮してきてしまいました(笑)まさか御堂さんがあんな台詞を吐いて誘い込むとは…佐伯が幸せものすぎですねv
最後の回があまりにラブラブで、寝起きで読んだのですがニヤニヤしちゃいました。
これからも執筆頑張って下さいませ!楽しみにしております。
では、乱文失礼致しました。この辺で失礼致します。
神城岬 URL 2008/06/16(Mon)18:22:31 編集
初めまして~v
 神城さん初めまして~(ペコリ) 
 コメントの方ありがとうございましたv
確かにこの話の二人、ラブラブですよね。私も最初頭の中で浮かんだ時…「このバカップルめ…」と思わず呟いてしまったくらいですもの(笑)
 つか、確かに御堂さんエロ過ぎですね。何と言うか眼鏡が苛めたくなる気持ちも大変理解できます。くそう…幸せモノめ、と少し嫉妬したくなりますよね(同意を求める)
 何と言うか、いつも好きなように書き散らしているサイトに足を向けて下さって感謝です。地道ながら、これからもマイペースで更新していきたいと思います。また来てやって下さいね。ではでは~v
香坂 幸緒 2008/06/17(Tue)05:28:42 編集
お初ですが・・・
初めまして…そして、尊敬します!
私自身も小説を書くのですが、
全然うまくできないのですごいと思いました! また何度も来ますね!^^
なぽりん 2010/09/15(Wed)18:36:27 編集
返信遅れてごめんなさい(ペコリ)
 なぽりんさんへ

 初めまして、随分前に書いた小説に感想をどうもありがとうございました。
 丁度コメントを頂いた頃、気持ち的に余裕がなかったのでネガティブな事を言わない為に少し時間を置くつもりが…開きすぎてしまいました。マジですみません。

 尊敬する、と言って下さってありがとうございます。
 面白いと言ってもらえたりこうしてコメント頂けると非常に励みになります。
 えぇ、何度でも来て頂ければ幸いです。
 現在はこの小説を書いた頃に比べれば更新速度は落ちてしまっていますが…これからもやれる範囲で続けていきます。
 また顔を出してやって下さいませ。ではでは。
香坂@管理人 2010/10/04(Mon)00:01:52 編集
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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