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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※この話はこのサイトでは初めての「眼鏡×片桐」です。
 元ネタは私のオリジナルですが、その話の主人公に当たる人が
片桐さんに良く似ているな…と以前から思っていたのですよ。

 それである日、フっと気づいたら…一部、そのオリジナルで
言いたかったことのテーマを片桐さんをモチーフにして
使えるな…と気づいたので書いてみることにしました。
 この話は、ラブラブ要素よりも…片桐さんの亡くなった息子さんとか
人の死とか、人の過ちを許す心とかそういうものがテーマに
なっている話です。

 片桐さんのお人好しさと優しさを一度じっくりと書いてみたい。
 それに最近、自分の傍にいてくれる人が…何かそんな感じで
こっちの過ちとか弱さを承知の上で受け入れてもらっているから…
そのありがたみを噛み締める意味もあります。
 そういう動機で始めるお話です。

 身内が最近、なくなったからこそ…ちょっと今までとは違う
アプローチで書いてみたいので良ければお付き合いして
やって下さいませ。

 優しい人(眼鏡×片桐)

 ―ねえ、佐伯君…僕は君と出会えて本当に良かったと思っています。
君と出会えたから、僕はここにいて良いのだと心の底から思える場所が出来たから。
 だからこのまま、ずっと君の傍にいる事をどうか許して下さい。
 君にとって、僕の存在が迷惑になるまでの間で構わないから…

 佐伯克哉から春に指輪を贈られてから数ヶ月が経過して、すでに
季節は初夏の頃を迎えていた。
 本日は天候は良くて、きれいな青空が広がっていたが少し風は強かった。
 長い階段を昇ると、三方を山に囲まれて遠方に海が見える見事な
景観が広がっていた。
 暖かい日差しが降り注いでいるおかげで、見ているだけで心が爽やかになりそうだった。
 石段にテンポ良く、二人分の靴音が響き渡っていた。
 今までは墓参りは片桐が一人で来ていたのだが、克哉がふと…あんたの息子さんに
会いに行っても良いかと言ってくれたので…今日は初めて、二人でこの地を
訪れたのだった。

(…久しぶりだね。今日は君の月命日ですね…君は、天国に行っても元気ですか…?
 そして僕の父さんと母さんもお元気ですか…?)

 そして片桐は、この地に眠っている自分の息子と両親にそっと
心の中で語りかけていった。
 その表情はどこか穏やかで優しいものだった。

「稔さん、疲れていませんか…?」

「えっ、はい…大丈夫ですよ。その…克哉君…」

 少し前を進んでいた克哉がこちらを振り返って、気遣う言葉を掛けてくれた。
 その瞬間、相手の掛けている眼鏡が光を反射して眩いばかりに輝いていく。
 無意識の内に目元を手で覆って、嬉しくて更に口元を綻ばしていった。
 指輪を贈られた辺りから、二人きりでいる時だけは彼の事を下の名前で
「克哉君」と呼ぶようになった。
 そう呼ぶ度に恥ずかしそうに頬を染める片桐の様子が可愛らしくて…眼鏡は
フっと穏やかに微笑んでいく。
 この人には、本当に敵わないな…という感じの笑い方だった。

「まだ、その呼び方に慣れてくれないみたいですね…。まあ、それが貴方らしさだと
受け取っておきますよ…。さあ、行きましょうか…?」

「はい、そうですね…。頂上まで後…少しですからね…」

 そうして片桐が息を乱していきながら、ニコっといつものように
微笑んでいく。
 墓参りをするには少々、きつい場所だ。
 だが墓に入れられた人間にとっては…最高の景色が望める場所だった。
 この墓地を選んだのが片桐自身だったならこの人の事だから…墓参りを
する自分の事よりも亡くなった身内の事を考えて…というのはありえそうな話だ。

―そういう処がこの人らしいがな…

 と、ふとその事実に気づいて…克哉は苦笑していった。
 そうしてもう三分ぐらい階段を登り続けるとようやく最上部に辿り着いていった。
 天気も快晴のせいで、山並みを見ていると…気分も清々しくなるようだった。

「ふう…やっと着きましたね。意外に…大変な処に墓を作ったものですね…」

「えぇ、来る度にちょっと息切れしますけど…けど、どうせなら景色の良い
場所の方が…両親や、僕の息子が喜ぶと思いまして…」

 そして片桐が予想通りの返答をしていくと、ククッとついに眼鏡は吹き出した。
 本当に予想通りの答えだったからだ。

「えっ…? えっ…? 克哉、君…どうしましたか…?」

「いえ、亡くなった人間の方を優先するなんて…本当に稔さんらしいなって
思ったもので。ああ…悪い意味じゃないですよ。微笑ましいという意味で笑った
だけですから…」

「は、はあ…そういう意味なら…ん~良いですけど…」

 そして相変わらず、頬を真っ赤にしたままで足を進めていく。
 すでに付き合ってそれなりに長い年月が過ぎているにも関わらず初々しい
反応をするこの人を可愛いと思った。
 沢山の墓石が並ぶ境内を…隙間を縫うように奥の方に進んでいくと、
其処に「片桐家代々の墓」と書かれた墓石にようやく辿りついたのだった―



 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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