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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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現在連載中のお話のログ(途中になっているの多くてすみません…)

  2009度のクリスマス小説。
  克克ものです。ちょっとサンタクロースの逸話を
  ネタに使っているので宜しくです。
  微妙にヒヤっとする描写もあったりしますのでそれを
 了承の上でお読み下さい。コミカル、ギャグ要素も有。

  白と黒のサンタ                        10   11


  悪夢から目覚めると、いつの間にか赤い天幕で覆われた部屋から
自分の部屋に移動していた。
 全身にびっしょりと汗を掻いて、呼吸が乱れていた。
 先程見た夢の光景のせいだろうか。
 起き抜け早々、心臓がバクバク言っているのが判った。

「夢、夢…だったのか…?」

 小さく呟いていくと、克哉は周囲を見渡していった。
 いつものように身体には情事の痕が色濃く残されていて…腰がだるかった。
 もう一人の自分に抱かれた証。
 そして目覚めたら自分だけしかいない状況。
 予想していたこととはいえ、少し切なかった。

「はは…まあ、いつもの事だよな…」

 無理に笑おうとしたが、引きつって乾いた声が零れていく。
 心の中でどれだけ願おうと…自分のささやかな願いすら叶えられることはない。
 クリスマスの発祥とされる話では聖者が身売りされる娘を救おうと…煙突から
金貨を投げ入れたのが始まりとされている。
 だが、どれだけ豪華な金銀宝石が投げ入れられても、今の克哉は
幸せを感じることなどないだろう。
 目覚めたら自分の傍らにいて欲しかった。
 たったそれだけの…ささやかな願いすら、得られない。
 その事実に少しだけ落胆していった。

「…何で、お前ってオレの前に現れるんだよ…」

 力なく呟いていく。
 だが、答える声はない。
 ベッドの上で身体を起こして…もうじき明けようとする空を見つめていく。
 今日は12月25日…クリスマス当日だ。
 プレゼントなんていらない。
 克哉が今、望んでいるのは自分だけのサンタクロースだ。
 さっきまで対となる服をまとって、自分を好き放題していったあの身勝手な男の
顔を見たいと強く願った。

「…せめて、顔ぐらいは見せろよ。こっちを散々抱いておいて…やり逃げ
するなんて、ズルイだろ…」

 そんな悪態をつきながら、それでも窓から相手が来ることなどないと
半分諦めていきながら…ゆっくりと明けていこうとする紺碧の夜空を
眺めていたその時。

「…ほう、なかなか生意気なことをほざくじゃないか。それが…せっかくお前の
元に顔を出してやった人間に対して言うことか…?」

「えっ…?」

 その瞬間、窓が開け放たれて…其処には克哉が愛用しているダークスーツと
赤いネクタイを纏ったもう一人の自分が立っていた。
 予想外の出来事に克哉は一瞬、息すら出来なくなった。
 絶対に今日もまた…一人で夜明けを迎えると思っていた。
 なのに…どんな形であれ自分の密かに願っていたことが叶った瞬間…嬉しくて
涙が滲みそうになってしまった。

「…どう、して…?」

「…お前が望んだんだろう? 朝、目覚めた時に俺に傍にいて欲しいと…。
普段なら面倒だが、それがお前の望んだプレゼントなら…今日ぐらいは叶えてやるさ。
まあ、単なる気まぐれに過ぎないがな…」

 相手の物言いは相変わらず可愛くなくてひねくれていた。
 それでも今は全然気にならない。
 こみ上げてくる喜びの方が遥かに勝ったからだ。

「…そっか。…ありがとう。嬉しいよ…」

「…しかしお前も欲のない奴だな。あの男に望めば、もう少し豪華なプレゼントぐらいは
用意してもらえたというのにな…。俺が朝、一緒にいるだけで本当に良いのか…?」

「うん、それが…オレがずっと望んでいたことだから…」

 そういって、克哉は心から嬉しそうに微笑んだ。
 ささいな願いでも、それはずっと叶えられることはなかった。
 もう一人の自分に抱いている感情が何と呼ばれるものか、今はまだはっきりと
自覚したくなかったけれど…毎回、抱かれる度に目覚めたら相手の姿はない事に
寂しさを覚えていたから。
 初めて…その望みを満たされて、克哉の顔には喜びだけが存在していた。

「…そうか」

 その顔を見て相手も毒気を抜かれたのだろう。
 それ以上の言葉もなく、無言でそっと克哉の横たわっているベッドの方へと
歩み寄っていく。
 お互いのアイスブルーの瞳がぶつかりあっていく。
 真摯に瞳を覗き込みあって、顔がゆっくりと寄せられていき。

「…今日ぐらいはお前の望みを叶えてやるよ…」

 そういって、克哉だけのサンタクロースから…どこまでも優しい口付けが
与えられていった。
 それがきっと、克哉にとっては最高のクリスマスプレゼント。
 触れるだけのキスを交し合っている間に…ゆっくりと空が白く染まり始めて…
太陽が静かに浮かび始めていく。
 朝日が輝いている中で、強気な笑みを浮かべているもう一人の自分に
克哉はうっかり見とれていきながら…ギュっと確認するように相手の
身体に抱きついていく。

「…ありがとう…『俺』…」

 そして自分の下に来てくれたサンタクロースに向かって、克哉は
感謝の言葉を投げかけていった。

 そう、完全な佐伯克哉になんてもう戻れなくて良い。
 お互いに別個の心と身体を持っているなら、それぞれがこうして
存在しあって…こうして時折会話して、身体を重ねられる方がずっと良い。

―お前がこれからも、こうして…オレの傍にいてくれますように…

 そうして克哉は白と黒のサンタクロースの悲しい逸話を頭の隅へと
追いやり…強く願いながら、相手の身体に抱きついていったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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