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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 4月24日からの新連載です。
 無印の眼鏡×御堂ルートのED.NO「因果応報」を前提にした話です。
 シリアスで、ちょっとサスペンス風味の強い話です。
 眼鏡×御堂ルート前提ですが、眼鏡なしの克哉も色々と出張ります。
 それでも良い、という方だけ付き合ってやって下さいませ。
 
 【咎人の夢 過去ログ】            

 ―御堂が佐伯克哉と対峙するのとほぼ同じ頃…Mr.Rは
真紅の天幕で覆われた部屋で、一人の青年の寝顔を眺めていた

「…お加減は如何ですか?」

 整ったその顔立ちは…瞼を閉じると少しだけ無防備な印象になる。
 切れ長の瞳が隠されるだけで日頃の彼とはまた、雰囲気が変わって見えた。
 キングサイズのベッドの上に…上質のシーツに覆われたその寝具の中心に
一人の青年が静かに眠っていた。
 確認するように…Mr.Rはその頬をそっと撫ぜていく。
 けれど相手の身体は微動だにしない。

「…やはり、これぐらいの刺激では…貴方は目覚めませんね。これ程までに
長い眠りにつかなければいけない程…貴方の負った傷は深かったんですね…」

 Rの持っている力で、傷はとっくの昔に塞がっていた。
 けれど…この青年は未だに目覚めない。
 身体の傷はすでに癒えている。
 彼は自分にとって、実に得難い素材だから。
 数多もの運命を背負い、多種多様な未来を作りあげる可能性のある
存在だからこそ…男はこの青年を何よりも大切に思っている。

―まだ、この青年は完成されていないから。だから…自分の望むものに
なる可能性がある内は、男は出来る限りの助力をするつもりだった

 そっと相手の髪を梳いて、愛しげに微笑む。
 けれどどれだけ大切に扱っても…相手の意識が目覚めないままでは
深い献身も何の意味を成さなかった。

(あの時…貴方の心は一旦死んでしまわれたのですね…)

 彼の心は、腹部を刺されたあの晩に…一旦死んでしまった。
 あの傷の深さから、きっともう自分は助からないと観念したのだろう。
 その潔さの故に…彼は、こうしてRが傷を塞いだ後も…「自分はすでに
死んでいる」と思い込んでしまっている為に目覚める事がなかった。
 
「普通の眠りならば…丸一日も経てば目覚めるでしょうがね…。
貴方が目覚める為には…どれ程の月日を重ねれば宜しいんでしょうかね…」

 そうして、彼は慈しむようにその頬を撫ぜ続ける。
 けれど…幸いなのは、彼は元々…二つの魂を持つ存在だった。
 だから片方の心が死んでしまっても、もう片方が生きていれば…
そちら側の生命力に促されて、再生する可能性を持っていた。

「ねえ…佐伯克哉さん。貴方は…まだ、こうして生きているし…とても
この身体も温かいままなのですよ…。傷は、まだ激しい運動が出来るように
なるにはもう少し掛かりますが、こうして閉じているのに…いつまでそうやって
眠り続けているつもりですか…?」

 この男にしては珍しい、どこか優しい声音で問いかけていく。
 けれど…限りなく「死」に近い眠りに堕ちてしまった青年は…
それでも目覚めない。
 いつになれば…かつてのように、欲望に煌めくあの美しい瞳を
眺められるのだろうか…と、男はつくづく残念に思った。
 一週間か、一か月か、半年か一年か…一度、自分がすでに
死んでしまったと…心だけが死んでしまった人間が目覚めるまで
要する時間は、まったく読めない。

 後はどれだけ…彼にとって、生きる気力を与えるものが存在
しているかの問題になる。
 大切なもの、失いたくない人間…そういったものを持ち、自分が生きなければと
思っている人間は強い。
 逆にそういった執着するものがなく…罪の意識に囚われて、自分など
生きている価値がないと思っている人間は…いつまで経っても目覚めることがない。
 死はどんな生物にも等しく訪れる絶対的な恐怖であると同時に…苦痛から
解き放つ最大の安らぎでもあり、解放でもあるからだ。
 本当に追い詰められた人間が自殺に走る最大の理由もそこにある。

―死ぬ事で苦痛から逃れられる側面があるからだ

 だから彼は眠る。
 一時の仮初の「死」に浸ることで…きっと魂を癒しているのかも知れない。

「ねえ…まだ、貴方が亡くなるには早いですよ…。こんなにも若く、輝いている時に…
これほどまでに美しい存在である貴方が…いつまでも、仮初の死という殻に籠って
年をとるなど…勿体ないでしょう…? ですから、一日も早く目覚めて下さいませ…。
貴方という素材が、どのような進化を経て…完成していくのか、私は是非とも…
見守りたいですからね…」

 そうして男は真摯に、青年の顔を覗き込んで…妖しく微笑んでいく。

―ですから、一日も早く蘇って下さい…そう、伝説に存在する…まさに
不死鳥のごとくにね…

 そう呟きながら、男は…青年の唇をゆっくりと指先で辿っていく。
 それでも…その形の良い唇から、微かに温かい吐息が零れているのを
指先で感じ取っていくと…微笑を浮かべながら、Mr.Rはその場から
静かに立ち去っていった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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