鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
忘却の彼方に 1 2 3 4 5 6 7 8 9
―この世界で目覚めてから、気づけば十日余りが経過していた
目覚めた翌朝に見せつけられた、別の結末を辿った哀れな自分の
姿はあまりに衝撃的過ぎたから。
今はまだ、思い出すべきじゃない。
そのメッセージを受け取ったからこそ…克哉は、当面は記憶を無理に
蘇らせようとは考えなくなった。
(…もう、十日ぐらい経っているのかな…。一応昼夜は存在しているし、
時間の経過もあるみたいだけど…。けど、本当に不思議な場所だよな…)
自分達が生活している、高級なペンションを思わせる建物の中から
外の風景を眺めていきながら…克哉は物思いに耽っていく。
毎日、眼鏡を掛けた自分と同じ男の手によって、美味しい食事は
出されていく。
そしてこの十日間にも何度も抱きあい、彼の手で絶頂に導かれ続けた。
最初は抱かれる事にも抵抗はあったが、二度…三度と行為を重ねている内に
慣れて来て、今では当たり前のように相手に触れられ…口づけられるのが
日常になってきている。
「…何か、真綿で包まれているみたいだな…今の、オレって…」
自分と相手との間にある感情や関係は、一体何なのかという疑問はある。
けれど…克哉は薄々、感じ取っている。
相手に、こちらに対しての悪意や害意の類は一切感じられない事を。
もしそんな想いを抱きながらこちらに接しているとしたら…きっと自分は
こんなに寛げないと思うから。
相手から、こちらに対しての慈しみを…優しさを感じ取っているから。
けれど同時に感じている。
―相手は決して、自分を恋愛感情の意味で愛している訳ではない事を…
何かに、いや…誰かに対して遠慮をしているような部分を、ふとした
瞬間に感じる。
時々眼鏡の奥にあるアイスブルーの瞳が、切なそうに歪む事も…
肌を重ねている瞬間に感じ取る時がある。
その目を見る度に…彼が、どうして自分に対してそんな目を向けてくるのか
空白の記憶の内容を知りたくなる。
何故、彼はこの不可思議な世界に自分と共にいてくれるのか…その理由を
猛烈に知りたい。
けれど…同時に薄々と感じている。
(あいつが…あんな目をしてオレを見つめる理由を知りたい…。けれどその
理由を知ったら、きっと…この世界にいられなくなる気がする…)
世界の消失だけならまだ良い。
一番、克哉が恐れているのは…彼と過ごせなくなるかも知れない事だった。
知りたいという欲と…この真綿で包まれた心地良い時間を失いたくないと
いう気持ちが強烈にぶつかりあっていく。
それはまるで…パンドラの箱を前にして葛藤する女のような心境だった。
自分が思い出せば、きっと本気で箱の鍵を探せば思い出す事は可能だろう。
けれどその時、今ある環境は消えうせるのと引き換えになる事が
判っているからこそ…今は、克哉は自分の本心を隠すしかなかった。
(…何か、今のオレって…真実を知りたいって気持ちと…この場所を
失いたくないって気持ちが戦ってしまっている気がする…。それに、あいつが
オレにとってどんな存在だったのか…どうしても知りたい。…せめて、それだけでも…)
オーロラのように美しく、様々な色合いを映す空を眺めていきながら…
克哉はそう願っていく。
この十日間だけで、少しずつ自分に触れて慈しむ男に対して…強烈な
情を抱き始めていたから。
彼と自分がどんな間柄だったのか。
どういう経緯で此処で二人で過ごすようになったのかを…どうしても
知りたいという欲が、溢れてくるようだった。
そう、克哉は惹かれ始めていた。
『克哉』
そう、自分の事を甘く呼びながら…彼の熱がこちらの最奥に注がれる度に、
ジワリと胸の中に湧き上がってくる想いがあるから。
彼はこちらに名前を決して教えてくれない。
だから、どう呼べば良いのか判らない。
仕方なく、克哉は彼の事を「お前」と呼び、相手もそれで良いと流されて
しまっているのが現状だった。
相手はこちらの名前を呼ぶのに、こちらは呼ぶことが出来ない。
そんな関係なのに、優しさと慈しみを注がれ…守られているのだと
実感していく。
たった十日、それだけの日数でも…人の中に想いを生み出すには
充分で…だからこそ克哉は知りたいという欲が日増しに強くなっていく。
「ねえ…教えてくれよ…。お前とオレって…どんな関係だったの…?」
自分と同じ顔をしている人間に向かって、こんな想いを抱くなんて…
どこまでナルシストなんだ、と思う。
けれど…克哉はもう、目を背ける事が出来なくなっていた。
この世界でただ一人、自分と共に過ごす相手に対して…強い想いが
生まれてしまった事を。
―そしてその想い故に、真実を知りたいという気持ちが深まっていく事も…
そうして葛藤し、思い悩み…遠くを眺めている最中。
背後からドアが開閉する音が静かに聞こえていき…眼鏡を掛けた男が
部屋の中に入ってくるのに気づいていく。
「…この部屋にいたのか。探したぞ…」
「あ、うん…。ちょっと空を眺めたくなったから…」
「…まあ、この家の中にいるのならイチイチ俺に断りを入れなくても
構わないがな。外に行く時は一応言っておいてくれ。あまり遠くまで行くと
迷子になる可能性があるからな…」
「う、うん…それは、気をつけるよ」
克哉は数日前、当てもなく彷徨っていたら夜まで帰って来れないという
失態をかましてしまったばかりなので相手にそう言われると…肩身の
狭い想いをするしかなかった。
相手が必死に探してくれてこちらを見つけてくれたから良かったものの
このままこの家に帰れないままだったら…と考えるとゾっとする。
(まあ、その一件があったから…更にコイツを意識してしまったのかも
知れないけどな…)
そうして、何気なく眼鏡の顔を見つめていく。
其れに応えるように…男は、こちらに歩み寄って来た。
ごく自然に目を閉じていけば…吐息が、間近に感じられていった。
「ん…」
そして、ごく自然に唇は重なって、抱きしめられていく。
少しずつそのやりとりが自分の日常の一部になっているのを感じる。
確かな安堵を感じていきながら…克哉は一時、思案を止めて相手の腕の中に
収まる。
―その鼓動を聞きながら、克哉もまたそうして…彼の身体に腕を回して
一時、温もりに身を委ねていったのだった―
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
忘却の彼方に 1 2 3 4 5 6 7 8 9
―この世界で目覚めてから、気づけば十日余りが経過していた
目覚めた翌朝に見せつけられた、別の結末を辿った哀れな自分の
姿はあまりに衝撃的過ぎたから。
今はまだ、思い出すべきじゃない。
そのメッセージを受け取ったからこそ…克哉は、当面は記憶を無理に
蘇らせようとは考えなくなった。
(…もう、十日ぐらい経っているのかな…。一応昼夜は存在しているし、
時間の経過もあるみたいだけど…。けど、本当に不思議な場所だよな…)
自分達が生活している、高級なペンションを思わせる建物の中から
外の風景を眺めていきながら…克哉は物思いに耽っていく。
毎日、眼鏡を掛けた自分と同じ男の手によって、美味しい食事は
出されていく。
そしてこの十日間にも何度も抱きあい、彼の手で絶頂に導かれ続けた。
最初は抱かれる事にも抵抗はあったが、二度…三度と行為を重ねている内に
慣れて来て、今では当たり前のように相手に触れられ…口づけられるのが
日常になってきている。
「…何か、真綿で包まれているみたいだな…今の、オレって…」
自分と相手との間にある感情や関係は、一体何なのかという疑問はある。
けれど…克哉は薄々、感じ取っている。
相手に、こちらに対しての悪意や害意の類は一切感じられない事を。
もしそんな想いを抱きながらこちらに接しているとしたら…きっと自分は
こんなに寛げないと思うから。
相手から、こちらに対しての慈しみを…優しさを感じ取っているから。
けれど同時に感じている。
―相手は決して、自分を恋愛感情の意味で愛している訳ではない事を…
何かに、いや…誰かに対して遠慮をしているような部分を、ふとした
瞬間に感じる。
時々眼鏡の奥にあるアイスブルーの瞳が、切なそうに歪む事も…
肌を重ねている瞬間に感じ取る時がある。
その目を見る度に…彼が、どうして自分に対してそんな目を向けてくるのか
空白の記憶の内容を知りたくなる。
何故、彼はこの不可思議な世界に自分と共にいてくれるのか…その理由を
猛烈に知りたい。
けれど…同時に薄々と感じている。
(あいつが…あんな目をしてオレを見つめる理由を知りたい…。けれどその
理由を知ったら、きっと…この世界にいられなくなる気がする…)
世界の消失だけならまだ良い。
一番、克哉が恐れているのは…彼と過ごせなくなるかも知れない事だった。
知りたいという欲と…この真綿で包まれた心地良い時間を失いたくないと
いう気持ちが強烈にぶつかりあっていく。
それはまるで…パンドラの箱を前にして葛藤する女のような心境だった。
自分が思い出せば、きっと本気で箱の鍵を探せば思い出す事は可能だろう。
けれどその時、今ある環境は消えうせるのと引き換えになる事が
判っているからこそ…今は、克哉は自分の本心を隠すしかなかった。
(…何か、今のオレって…真実を知りたいって気持ちと…この場所を
失いたくないって気持ちが戦ってしまっている気がする…。それに、あいつが
オレにとってどんな存在だったのか…どうしても知りたい。…せめて、それだけでも…)
オーロラのように美しく、様々な色合いを映す空を眺めていきながら…
克哉はそう願っていく。
この十日間だけで、少しずつ自分に触れて慈しむ男に対して…強烈な
情を抱き始めていたから。
彼と自分がどんな間柄だったのか。
どういう経緯で此処で二人で過ごすようになったのかを…どうしても
知りたいという欲が、溢れてくるようだった。
そう、克哉は惹かれ始めていた。
『克哉』
そう、自分の事を甘く呼びながら…彼の熱がこちらの最奥に注がれる度に、
ジワリと胸の中に湧き上がってくる想いがあるから。
彼はこちらに名前を決して教えてくれない。
だから、どう呼べば良いのか判らない。
仕方なく、克哉は彼の事を「お前」と呼び、相手もそれで良いと流されて
しまっているのが現状だった。
相手はこちらの名前を呼ぶのに、こちらは呼ぶことが出来ない。
そんな関係なのに、優しさと慈しみを注がれ…守られているのだと
実感していく。
たった十日、それだけの日数でも…人の中に想いを生み出すには
充分で…だからこそ克哉は知りたいという欲が日増しに強くなっていく。
「ねえ…教えてくれよ…。お前とオレって…どんな関係だったの…?」
自分と同じ顔をしている人間に向かって、こんな想いを抱くなんて…
どこまでナルシストなんだ、と思う。
けれど…克哉はもう、目を背ける事が出来なくなっていた。
この世界でただ一人、自分と共に過ごす相手に対して…強い想いが
生まれてしまった事を。
―そしてその想い故に、真実を知りたいという気持ちが深まっていく事も…
そうして葛藤し、思い悩み…遠くを眺めている最中。
背後からドアが開閉する音が静かに聞こえていき…眼鏡を掛けた男が
部屋の中に入ってくるのに気づいていく。
「…この部屋にいたのか。探したぞ…」
「あ、うん…。ちょっと空を眺めたくなったから…」
「…まあ、この家の中にいるのならイチイチ俺に断りを入れなくても
構わないがな。外に行く時は一応言っておいてくれ。あまり遠くまで行くと
迷子になる可能性があるからな…」
「う、うん…それは、気をつけるよ」
克哉は数日前、当てもなく彷徨っていたら夜まで帰って来れないという
失態をかましてしまったばかりなので相手にそう言われると…肩身の
狭い想いをするしかなかった。
相手が必死に探してくれてこちらを見つけてくれたから良かったものの
このままこの家に帰れないままだったら…と考えるとゾっとする。
(まあ、その一件があったから…更にコイツを意識してしまったのかも
知れないけどな…)
そうして、何気なく眼鏡の顔を見つめていく。
其れに応えるように…男は、こちらに歩み寄って来た。
ごく自然に目を閉じていけば…吐息が、間近に感じられていった。
「ん…」
そして、ごく自然に唇は重なって、抱きしめられていく。
少しずつそのやりとりが自分の日常の一部になっているのを感じる。
確かな安堵を感じていきながら…克哉は一時、思案を止めて相手の腕の中に
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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