鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※御克ルート前提の、鬼畜眼鏡R内で判明した澤村や
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
桜の回想 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
―御堂は、克哉を強く抱きしめていきながら…複雑な思いに
駆られていた。
明らかに、赤いフレームの眼鏡を掛けた男と出会ってからの
克哉の様子はおかしかった。
中学以前の記憶がない、という言葉も…あれだけこちらに悪意を
見せている男の事を覚えていないとか、不可解極まりなかった。
だが、彼がおかしくなってしまっているのならば…少しでも
手助けしたいと思っているその気持ちだけは偽りがなかった。
だが、御堂の胸の中に宿るのは…本城との一件だった。
…あの時期、御堂は…本城への怒りと憎しみを心の底に
押し殺しながら生きていた。
本当ならば、大切な克哉をあんな目に遭わせた本城を許すことが
出来なかったし…他の友人たちのように、堕ちてしまったかつての友を
心の底で案じたり、手助けしようという気持ちにもなれなかった。
だから、克哉とも…友人たちと顔を合わせることもどこかで辛く
思っていた時期。
二人きりでリビングでゆったり過ごして会話をしていた時…
本城の話題が軽く上った時、克哉は穏やかな顔を浮かべながら
こう口にしたのをふと、思い出した。
―オレはあの人を、憎みません…。確かにあの人に大きな怪我を
負わされてしまったけれど…こうしてオレは生きていますから。
幸いにも、後遺症も何も残らなかった。それなら…今は袂を分かって
しまったとは言え…オレは、貴方のかつての友人を憎んだり
恨んだりしたくないんです…
あの本城の暴走で大怪我を追って、退院した直後…二人きりで
過ごしていた時に、そっと克哉が静かな声でそう呟いたことがあった。
御堂はその一言に、驚いた。
けれど…克哉の表情はとても透明で、それが酷く印象的だった。
―例え私のかつての友人であったとしても、今の私にとって…
君以上に大切な存在なんかいない! その君を傷つけた彼を私は…
心の底から、許せそうにない…
大学時代の他の友人たちが、麻薬漬けになった本城を案じている事を
知っていた。
克哉も、許そうとしていることを察していた。
だから…御堂は、必死になって気にしないようにしていた。
だが、かつての旧友を案じる気持ちよりも克哉を傷つけた怒りの方が
その時期の御堂は勝ってしまっていた。
―忘れて下さい御堂さん。オレはこうして…今、貴方の傍にいます。
本当にあの人の過ちでオレを失ってしまったというのならば…貴方が復讐に
身を焦がしても何も言えません。けど…オレはこうして貴方の傍にいる。
貴方の目の前にいるんです…!
そうして、食い入るように真摯な眼差しを向けた後…克哉は酷く魅惑的な
笑みを浮かべて、次の瞬間…御堂の心を酷く驚かせる一言を吐いた。
―憎しみなど捨てて下さい。オレは…貴方が、どんな感情であれ…オレ以外の
人間に、強い感情を抱いていることの方が耐えられませんから…!
その一言を聞いた時、御堂は驚きを隠せなかった。
何を言われたか把握出来ない、鳩が豆鉄砲を食らったようなマヌケな
顔を自分は浮かべていたのだろう。
―同時に、貴方が…その憎しみを抱くことで四柳さん達とすれ違って
しまうことも嫌なんです。…孝典さん、オレはこうして…五体満足の姿で
貴方の目の前にいる。だから、もう引きずらないで下さい。
憎しみを抱き続ければ…本来あるべき形が歪められてしまうから。
心の中に重いものを抱き続けなければならないから!
人は誰でも間違います。本城さんは弱くなって…その過ちを犯して
しまっただけです。皆が、貴方のように強い訳ではない。
間違えないで生きれる程…強い人なんて、世の中に殆ど存在いません。
誰だって間違える時はあります。魔が差してしまう時だってあります。
…だから、オレを傷つけたことであの人を憎んでいるというのならば…
どうかその恨みを流して下さい…!
―それが君の、望みなのか…?
―はい
力強く、克哉はそう言い切った。
自分を傷つけたものを許せと、その為に他の男に憎しみとは言え強い感情を
向けてくれるなという…その正直さに、つい笑いが込み上げて来た。
御堂はそのやりとりの後、一頻り笑い続けた。
そうして…心から、こう思った。
―君には、本当に私は一生…敵わないな…
あの男と出会って、おかしくなった克哉を胸に抱きながら…御堂はあの日の
やりとりを鮮明に思い出していた。
あの日、憎しみを胸に抱えて歪になりそうだった自分を…克哉は必死になって
救おうとしてくれた。
『自分以外の男に、憎しみでも強い感情を抱かないで欲しい』
そんな風に、愛しくて堪らない存在に言われてしまったら…惚れた男として
聞き遂げない訳にはいかない。
おかしくて、おかしくて…そう笑っている内に、確かに自分の心の底に溜まって
いた猛毒のような感情は確かに流れていくのをあの日…感じていた。
あの日、また自分は彼に救われたと思った。
その事を思い出したから…今度は、自分が彼の心を汲み取って…少しでも
楽にしてやりたいと思った。
あの男の事を思い出せない、貴方を知らないと言った時の克哉の
苦しそうな顔が脳裏に蘇っていく。
(あの男を思い出せないことであんなに君が辛そうな顔をするのなら…桜を
一緒に見に行くぐらいの事は幾らでもしよう…)
それが本当に、彼を救うことになるか判らないけれど…少しでも
御堂は克哉を助けたかった。
その想いにだけは偽りはなかった。
お互いに無言で、ただ…抱き合っていく。
こちらが本城との一件を思い出している間…彼の方には果たして
どんな気持ちが湧き上がっているのだろう。
あの男の事を考えて、今も不安を覚えているのだろうか…とふと思った時、
心の中にチリリとした想いが宿っていった。
(私も大概、嫉妬深いな…)
けれど…克哉の方に意識が戻った時…こうして抱き合っている最中に
これ以上…他の誰かの事を考えて欲しくないと、思い始めていく。
だから御堂は甘く掠れた声で…そっと相手の耳元で囁いていった。
「克哉…」
そうして、愛しい人間に呼びかけると同時に…御堂はそっと、その晩…
克哉の身体をソファの上に組み敷いていったのだった―
ノーマル克哉の大学時代の過去が絡む話です。
RのED後から一年後の春…という設定の話なので
ご了承くださいませ。
桜の回想 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
―御堂は、克哉を強く抱きしめていきながら…複雑な思いに
駆られていた。
明らかに、赤いフレームの眼鏡を掛けた男と出会ってからの
克哉の様子はおかしかった。
中学以前の記憶がない、という言葉も…あれだけこちらに悪意を
見せている男の事を覚えていないとか、不可解極まりなかった。
だが、彼がおかしくなってしまっているのならば…少しでも
手助けしたいと思っているその気持ちだけは偽りがなかった。
だが、御堂の胸の中に宿るのは…本城との一件だった。
…あの時期、御堂は…本城への怒りと憎しみを心の底に
押し殺しながら生きていた。
本当ならば、大切な克哉をあんな目に遭わせた本城を許すことが
出来なかったし…他の友人たちのように、堕ちてしまったかつての友を
心の底で案じたり、手助けしようという気持ちにもなれなかった。
だから、克哉とも…友人たちと顔を合わせることもどこかで辛く
思っていた時期。
二人きりでリビングでゆったり過ごして会話をしていた時…
本城の話題が軽く上った時、克哉は穏やかな顔を浮かべながら
こう口にしたのをふと、思い出した。
―オレはあの人を、憎みません…。確かにあの人に大きな怪我を
負わされてしまったけれど…こうしてオレは生きていますから。
幸いにも、後遺症も何も残らなかった。それなら…今は袂を分かって
しまったとは言え…オレは、貴方のかつての友人を憎んだり
恨んだりしたくないんです…
あの本城の暴走で大怪我を追って、退院した直後…二人きりで
過ごしていた時に、そっと克哉が静かな声でそう呟いたことがあった。
御堂はその一言に、驚いた。
けれど…克哉の表情はとても透明で、それが酷く印象的だった。
―例え私のかつての友人であったとしても、今の私にとって…
君以上に大切な存在なんかいない! その君を傷つけた彼を私は…
心の底から、許せそうにない…
大学時代の他の友人たちが、麻薬漬けになった本城を案じている事を
知っていた。
克哉も、許そうとしていることを察していた。
だから…御堂は、必死になって気にしないようにしていた。
だが、かつての旧友を案じる気持ちよりも克哉を傷つけた怒りの方が
その時期の御堂は勝ってしまっていた。
―忘れて下さい御堂さん。オレはこうして…今、貴方の傍にいます。
本当にあの人の過ちでオレを失ってしまったというのならば…貴方が復讐に
身を焦がしても何も言えません。けど…オレはこうして貴方の傍にいる。
貴方の目の前にいるんです…!
そうして、食い入るように真摯な眼差しを向けた後…克哉は酷く魅惑的な
笑みを浮かべて、次の瞬間…御堂の心を酷く驚かせる一言を吐いた。
―憎しみなど捨てて下さい。オレは…貴方が、どんな感情であれ…オレ以外の
人間に、強い感情を抱いていることの方が耐えられませんから…!
その一言を聞いた時、御堂は驚きを隠せなかった。
何を言われたか把握出来ない、鳩が豆鉄砲を食らったようなマヌケな
顔を自分は浮かべていたのだろう。
―同時に、貴方が…その憎しみを抱くことで四柳さん達とすれ違って
しまうことも嫌なんです。…孝典さん、オレはこうして…五体満足の姿で
貴方の目の前にいる。だから、もう引きずらないで下さい。
憎しみを抱き続ければ…本来あるべき形が歪められてしまうから。
心の中に重いものを抱き続けなければならないから!
人は誰でも間違います。本城さんは弱くなって…その過ちを犯して
しまっただけです。皆が、貴方のように強い訳ではない。
間違えないで生きれる程…強い人なんて、世の中に殆ど存在いません。
誰だって間違える時はあります。魔が差してしまう時だってあります。
…だから、オレを傷つけたことであの人を憎んでいるというのならば…
どうかその恨みを流して下さい…!
―それが君の、望みなのか…?
―はい
力強く、克哉はそう言い切った。
自分を傷つけたものを許せと、その為に他の男に憎しみとは言え強い感情を
向けてくれるなという…その正直さに、つい笑いが込み上げて来た。
御堂はそのやりとりの後、一頻り笑い続けた。
そうして…心から、こう思った。
―君には、本当に私は一生…敵わないな…
あの男と出会って、おかしくなった克哉を胸に抱きながら…御堂はあの日の
やりとりを鮮明に思い出していた。
あの日、憎しみを胸に抱えて歪になりそうだった自分を…克哉は必死になって
救おうとしてくれた。
『自分以外の男に、憎しみでも強い感情を抱かないで欲しい』
そんな風に、愛しくて堪らない存在に言われてしまったら…惚れた男として
聞き遂げない訳にはいかない。
おかしくて、おかしくて…そう笑っている内に、確かに自分の心の底に溜まって
いた猛毒のような感情は確かに流れていくのをあの日…感じていた。
あの日、また自分は彼に救われたと思った。
その事を思い出したから…今度は、自分が彼の心を汲み取って…少しでも
楽にしてやりたいと思った。
あの男の事を思い出せない、貴方を知らないと言った時の克哉の
苦しそうな顔が脳裏に蘇っていく。
(あの男を思い出せないことであんなに君が辛そうな顔をするのなら…桜を
一緒に見に行くぐらいの事は幾らでもしよう…)
それが本当に、彼を救うことになるか判らないけれど…少しでも
御堂は克哉を助けたかった。
その想いにだけは偽りはなかった。
お互いに無言で、ただ…抱き合っていく。
こちらが本城との一件を思い出している間…彼の方には果たして
どんな気持ちが湧き上がっているのだろう。
あの男の事を考えて、今も不安を覚えているのだろうか…とふと思った時、
心の中にチリリとした想いが宿っていった。
(私も大概、嫉妬深いな…)
けれど…克哉の方に意識が戻った時…こうして抱き合っている最中に
これ以上…他の誰かの事を考えて欲しくないと、思い始めていく。
だから御堂は甘く掠れた声で…そっと相手の耳元で囁いていった。
「克哉…」
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香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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