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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は結ばれて結構経過した眼鏡と御堂のお話です。
ふとした瞬間に、黒い欲望を克哉は覚えてしまい…それを
どう抑えるか、忠実になるか眼鏡が葛藤を覚えるお話です。

『刻印』                           


―後日、嫌でも判るさ…

 ビデオカメラでお互いの情事を、御堂の合意の上で撮影した日から
二週間後。
 御堂はその言葉の意味を嫌でも知る事になった。
 帰宅後、夕食を食べ終わってからリビングでお互いに寛いでいる最中、
ふと本を読みたくなって本棚に足を向けた時に…いつもは閉じられたままに
なっている本棚の一番下の段にある棚が微かに開いていのに気づいていった。
 克哉は向こうで、夕食後の片付けをやっているので恐らく暫くこちらの
部屋に来る気配はない。
 
(どうしてこの棚が開いているんだ…? あいつはイチイチ屈むのが面倒だと、
ここに本を置く事を好まなかった筈なのに…)

 部屋の片隅に置かれている棚は、上段から中段に掛けては本棚になり、
一番下の段は左右開きの木の扉があって、その中に物を収納出来る
ようになっていた。
 ここには本棚がひっくりかえらないように日常であまり使わない
工具の類が置かれている筈だ。
 当然、滅多に使われる場所ではない。
 その事を訝しんでいきながら扉を開いていくと…其処には一枚の
DVDのケースが入っていた。
 其れを恐る恐る確認していくと、御堂は思わず言葉に詰まっていた。

「こ、この日付は…!」

 そのケースにはタイトルらしきものは一切記されておらず、代わりに
日付だけが記載されていた。
 だが…その日付は、二週間前にビデオカメラで撮影したいと強請られた
例の日付けだったのだ。
 それだけでこれが何のDVDなのか察してしまい、御堂は顔に青筋を
うっすらと浮かべていきながら一言、こうきっぱり口にしていった。

「壊そう、こんな物は存在してはいけないものだ」

 そういってDVDに力を込めていきながら感情的に破棄をしようとした
瞬間、背後から抱きすくめられていく。

「それは困るな、孝典…。その中にはあんたと俺が愛し合っている
場面がキッチリと収められているんだからな…」

「あ、あの時は流されて許可してしまったが…や、やはりこんな物を
残しておくのは嫌だ。もし誰かに見られたら…」

「これが他の人間の目に触れないように細心の注意は払っているさ…。
これは絶対に、この部屋から外に出さないようにする…。それでも駄目か…?」

「出来れば、破棄して貰いたい…。これが残っていると思うと…
酷く居たたまれない気分になるからな…」

 そういって、背後から克哉に抱きすくめられて…お互いの顔を見ないまま
睦言のようにやりとりを続けていく。
 だが、次の瞬間…御堂にとっては反則とも言える一言が紡がれていった。

『この中に残されているあんたの可愛い寝顔は…俺にとっては一生残して
おきたいぐらいの価値のある映像なんだがな…』

「っ…!」
 
 その一言が囁かれた瞬間、ゾクっと背筋に甘い痺れが走っていった。
 また、こちらの意思に反して彼の思惑通りに流されてしまう。
 その事を悔しく思いながらも…御堂は苦々しく呟いていった。

「君は、本当にずるいな…。そんな言葉を、甘い声で囁かれてしまったら…
これ以上、抗えなくなる…」

「だが、事実だ。あんたの寝顔があまりに可愛くて…つい、延々と撮影して
あの日は夜遅くまで起きてしまったからな…。あの朝、珍しく俺があんたよりも
起きて来るのがずっと遅かったのが何よりの証拠だろ…?」

「あっ…」

 そうして、あの朝に珍しく克哉の寝顔をたっぷり見た事を思い出して…
御堂の中に甘やなか感情がゆっくりと広がっていく。
 彼と自分の平均睡眠時間はほぼ一緒だ。
 だから御堂がごく自然に目が覚めた時に…克哉もすぐ目覚めるのが
当たり前なのに、あの日だけは適用されなかった。
 その事実が何を指しているのか…御堂はようやく思い至った。

「君は…本当に、バカだな…。眠る時間を削ってまで、私の寝顔を
延々と撮影し続けるなんて…悪趣味過ぎるぞ…」

「それぐらい、あんたの無防備な姿が愛しく感じられて…俺は残して
おきたかったんだよ。それでも…駄目か…?」

 そうして克哉がグイっと顔を寄せて、背後から抱きすくめられている格好でも
お互いの目線がぶつかっていく。
 アイスブルーの瞳に、真剣な色が宿っているのに気づいて…御堂は
肩を竦めながら結局、折れる事にしていった。

「…判った、この一枚だけは残しておく事を許可しよう…。けど、こんな
恥ずかしい想いをするのはもう二度とゴメンだぞ…」

「ああ、この一枚だけで良い。これだけで…俺にとっては一生の宝物に
なっているからな…」

「そうか…」

 そうして、御堂はゆっくりと克哉の顔に唇を寄せていく。
 この困った愛しい男に、自分の痕跡を残したい気持ちが再び
湧き上がってきたから。
 だから…目立つ位置につけるのは平日は極力避けていたが、それでも
この男は自分の恋人なのだという証をどうしても刻みつけたかった。
 だから…唇を重ねた瞬間、血が出るぐらいに強く歯を立てて噛みついていった。

―それは永遠にこの男は自分のものであると自己主張を示す刻印のように…

「っ…!」

 克哉もまた、一瞬眉を顰めたが同じように御堂の唇に噛みついて
同じように血をうっすらと滲ませていく。

「…今のキス、まるで何かの契約みたいだな…。これからもずっと、
離れる事は許さないと…そう、呪いめいたものすら感じる…刻印のようだ…」

「ああ、俺はそのつもりだ…。あんたを一生、手放すつもりなんてないからな…。
覚悟してくれよ…」

「望む処だ。君だって浮気したり…二度と離れたりしたら許さないからな…」

 そうしてお互いに心底愉快そうに笑っていく。
 相手に刻んだ、己の証を眩しそうに見つめていきながら…二人は抱きあい。
今夜もまた共に熱い夜を過ごしていったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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