鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※4月1日からの新連載です。
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
それらを了承の上でお読み下さいませ。
GHOST 1 2 3 4 5 6 7 8 9
―望まない行為によって、激痛を感じ続けている内に克哉は
意識をいつの間にか失っていた
迸る声は喘ぎではなく、痛みの為に発せられたものだった。
悔しさと少しでも声を出したくない意地のせいで…唇にはうっすらと血が
滲んでいて、衣服は所々破れて体液で汚れていた。
体中に相手の刻んだ痕が残され、最後には両手を縛られていたせいで
手首には赤黒い傷が残されてしまっている。
夢うつつの状態で…意識が覚醒していくと、今の自分のあまりに哀れな
状態に苦笑せざる得なかった。
(身体が、もう…動かない…)
リビングも酷い有様だった。
ダイニングから必死に逃げて来たせいで克哉ともう一人の自分が
移動してきた処は酷く乱されてしまっている。
まるで強盗に物色されたか、もしくは乱闘騒ぎでも起こったかのように
部屋中がグチャグチャになってしまっている。
(御堂さんが帰って来るまでに…少しは片づけないといけないのに、
もう駄目だ…。指一本動かす事すら…今は、億劫だ…)
心の中で起き上がって早く片づけなければと思うのに…何かの糸が
先程の行為で切れてしまったのか、もう身体は自由に動かなかった。
まるで全身の神経の糸が全て切れてしまったかのようだ。
(御堂さん…『俺』…)
そして脳裏に浮かぶのは、自分が本来いた世界の二人の事だった。
御堂と結ばれた…眼鏡を掛けた方の自分は、あんな男ではなかった。
過去の罪を心から悔い、そして御堂と向き合いながら…理想に向かって
邁進している。
見るからに希望と力強さに満ち溢れた…一国一城の主へと上り詰めた
眩しく、嫉妬を覚えざるを得ない存在だった。
そしてそんな彼を支え、傍にいる御堂もまた…克哉には美しく感じられた。
(…あの二人は、本当にオレにとっては眩しく見えた…)
彼らの事を思い出す度に、胸の中にチクリとした痛みを覚えていく。
一年以上の空白の時間を経て、再会し心を通わせた彼らの絆は
強固であり…自分の付け入る隙などなかった。
御堂に愛し愛されてから…澤村という男性との一件が片付いてからは
もう一人の自分の心はぶれなくなった。
しっかりとした芯のようなものを得た彼は…現実に地に足をつけて
生きるようになり…そして、克哉が生きる隙間のようなものが徐々に
埋まっていった。
―御堂を彼が愛して、その信頼に応えようと思えば思うだけ…彼の力強さは
ましていき、肉体の主導権は完全に奪われてしまっていた
一年余り、そうして克哉は一度も表に出る事なく…傍観者として
彼ら二人の関係を眺めるだけの存在となった。
克哉の意識は確かに其処にあるのに、その存在を意識される事はなく。
二人ですでに彼らの関係は完成されてしまっていた。
自分が入る隙間などまったく存在しない、憧憬を覚えざるを得ないぐらいに
強い信頼で結ばれている姿を見て克哉は思い続けた。
―自分もたった一度で良かったからこんな風に人と愛し愛されたかったと…
Mr.Rから例の眼鏡を渡されるまで自分の方が確かに生きていたのに…
こういう状況に追い込まれてからやっと、全ての可能性を無駄にして生きていた
己の愚かさと情けなさを思い知らされた。
人を傷つけない為という名目を掲げて…誰とも深く付き合う事もなく、ただ
曖昧に笑って生きていた。
そうすれば確かに誰かを傷つける可能性は少なかっただろう。
だが、人と触れ合ったり理解する事を拒否していたのだという事を…彼らの
関係を見ている内に嫌でも気付かされたのだ。
(オレは…無駄に、ただ生きているだけだったんだ…。それを…あの二人を見て…
心から信頼し合って、お互いを必要としている…そんな姿を間近で見続けている
内にやっと気付いたんだ…。オレは、何もして来なかった…。誰とも関わって
生きていなかったんだって…!)
あんな酷い目に遭わされ、もう一人の自分の存在を意識した途端に…
この三日間の穏やかな暮らしで忘れかけていた、己の本来の動機を
思い出していく。
―オレは、愛されたかった…必要とされたかったんだ…御堂、さんに…
本来いた世界では御堂は克哉の事になど気付かない。
もう一人の自分だけを真っすぐに見つめて、彼だけを必要としている。
だが…彼らを見ている内に、どうしようもない欲が克哉の中に
生まれてしまった。
自分も彼に愛されたいと…いつしか願うようになった。
だが、知覚される事もない儚いままの自分ではそんなことは叶わなかった。
そうしている内にもう一人の自分の心に押しつぶされて、もう克哉の心は
消滅する寸前になっていた。
その時に…Rは例の賭けを、このゲームを持ちかけたのだ。
(生きている…幽霊のような、亡霊のような存在にすぎなかったオレには…
例えこのゲームの間だろうと、確かに実体を持っていられるんだ…)
負けたく、なかった。
この勝負に負けて…また、亡霊のような存在に逆戻りしたくなかった。
悔し涙が克哉の目元に浮かんで、頬を濡らしていく。
身体は動かなくても、カーペットの上で爪が食い込むぐらいに強く己の
手を握り締めていった。
「ち、くしょう…!」
そう思わずつぶやいた瞬間、玄関の方から物音が聞こえて唐突に
克哉の意識は現実に引き戻される。
「ど、うしよう…!」
御堂が帰って来た事に気づいて克哉は顔面蒼白になっていく。
だが慌てて起き上がろうとしても、腰から下に力が入らないせいで…
彼は再び、カーペットの上に突っ伏すだけの事しか出来ないでいたのだった―
それぞれ異なる結末を迎えた御堂と克哉が様々な
謎を孕んだまま出会う話です。
彼らがどんな結末を辿った末に巡り合ったのかを
推測しながら読んでください。
途中経過、結構ダークな展開も出て来ます。
それらを了承の上でお読み下さいませ。
GHOST 1 2 3 4 5 6 7 8 9
―望まない行為によって、激痛を感じ続けている内に克哉は
意識をいつの間にか失っていた
迸る声は喘ぎではなく、痛みの為に発せられたものだった。
悔しさと少しでも声を出したくない意地のせいで…唇にはうっすらと血が
滲んでいて、衣服は所々破れて体液で汚れていた。
体中に相手の刻んだ痕が残され、最後には両手を縛られていたせいで
手首には赤黒い傷が残されてしまっている。
夢うつつの状態で…意識が覚醒していくと、今の自分のあまりに哀れな
状態に苦笑せざる得なかった。
(身体が、もう…動かない…)
リビングも酷い有様だった。
ダイニングから必死に逃げて来たせいで克哉ともう一人の自分が
移動してきた処は酷く乱されてしまっている。
まるで強盗に物色されたか、もしくは乱闘騒ぎでも起こったかのように
部屋中がグチャグチャになってしまっている。
(御堂さんが帰って来るまでに…少しは片づけないといけないのに、
もう駄目だ…。指一本動かす事すら…今は、億劫だ…)
心の中で起き上がって早く片づけなければと思うのに…何かの糸が
先程の行為で切れてしまったのか、もう身体は自由に動かなかった。
まるで全身の神経の糸が全て切れてしまったかのようだ。
(御堂さん…『俺』…)
そして脳裏に浮かぶのは、自分が本来いた世界の二人の事だった。
御堂と結ばれた…眼鏡を掛けた方の自分は、あんな男ではなかった。
過去の罪を心から悔い、そして御堂と向き合いながら…理想に向かって
邁進している。
見るからに希望と力強さに満ち溢れた…一国一城の主へと上り詰めた
眩しく、嫉妬を覚えざるを得ない存在だった。
そしてそんな彼を支え、傍にいる御堂もまた…克哉には美しく感じられた。
(…あの二人は、本当にオレにとっては眩しく見えた…)
彼らの事を思い出す度に、胸の中にチクリとした痛みを覚えていく。
一年以上の空白の時間を経て、再会し心を通わせた彼らの絆は
強固であり…自分の付け入る隙などなかった。
御堂に愛し愛されてから…澤村という男性との一件が片付いてからは
もう一人の自分の心はぶれなくなった。
しっかりとした芯のようなものを得た彼は…現実に地に足をつけて
生きるようになり…そして、克哉が生きる隙間のようなものが徐々に
埋まっていった。
―御堂を彼が愛して、その信頼に応えようと思えば思うだけ…彼の力強さは
ましていき、肉体の主導権は完全に奪われてしまっていた
一年余り、そうして克哉は一度も表に出る事なく…傍観者として
彼ら二人の関係を眺めるだけの存在となった。
克哉の意識は確かに其処にあるのに、その存在を意識される事はなく。
二人ですでに彼らの関係は完成されてしまっていた。
自分が入る隙間などまったく存在しない、憧憬を覚えざるを得ないぐらいに
強い信頼で結ばれている姿を見て克哉は思い続けた。
―自分もたった一度で良かったからこんな風に人と愛し愛されたかったと…
Mr.Rから例の眼鏡を渡されるまで自分の方が確かに生きていたのに…
こういう状況に追い込まれてからやっと、全ての可能性を無駄にして生きていた
己の愚かさと情けなさを思い知らされた。
人を傷つけない為という名目を掲げて…誰とも深く付き合う事もなく、ただ
曖昧に笑って生きていた。
そうすれば確かに誰かを傷つける可能性は少なかっただろう。
だが、人と触れ合ったり理解する事を拒否していたのだという事を…彼らの
関係を見ている内に嫌でも気付かされたのだ。
(オレは…無駄に、ただ生きているだけだったんだ…。それを…あの二人を見て…
心から信頼し合って、お互いを必要としている…そんな姿を間近で見続けている
内にやっと気付いたんだ…。オレは、何もして来なかった…。誰とも関わって
生きていなかったんだって…!)
あんな酷い目に遭わされ、もう一人の自分の存在を意識した途端に…
この三日間の穏やかな暮らしで忘れかけていた、己の本来の動機を
思い出していく。
―オレは、愛されたかった…必要とされたかったんだ…御堂、さんに…
本来いた世界では御堂は克哉の事になど気付かない。
もう一人の自分だけを真っすぐに見つめて、彼だけを必要としている。
だが…彼らを見ている内に、どうしようもない欲が克哉の中に
生まれてしまった。
自分も彼に愛されたいと…いつしか願うようになった。
だが、知覚される事もない儚いままの自分ではそんなことは叶わなかった。
そうしている内にもう一人の自分の心に押しつぶされて、もう克哉の心は
消滅する寸前になっていた。
その時に…Rは例の賭けを、このゲームを持ちかけたのだ。
(生きている…幽霊のような、亡霊のような存在にすぎなかったオレには…
例えこのゲームの間だろうと、確かに実体を持っていられるんだ…)
負けたく、なかった。
この勝負に負けて…また、亡霊のような存在に逆戻りしたくなかった。
悔し涙が克哉の目元に浮かんで、頬を濡らしていく。
身体は動かなくても、カーペットの上で爪が食い込むぐらいに強く己の
手を握り締めていった。
「ち、くしょう…!」
そう思わずつぶやいた瞬間、玄関の方から物音が聞こえて唐突に
克哉の意識は現実に引き戻される。
「ど、うしよう…!」
御堂が帰って来た事に気づいて克哉は顔面蒼白になっていく。
だが慌てて起き上がろうとしても、腰から下に力が入らないせいで…
彼は再び、カーペットの上に突っ伏すだけの事しか出来ないでいたのだった―
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HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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